「市井の人々の温度差」6月0日 アイヒマンが処刑された日 コージィ日本犬さんの映画レビュー(感想・評価)
市井の人々の温度差
「イスラエルの様々な市井の人々」が主人公のオムニバス的で地味な作りでした。
アイヒマンは出てくるものの、特に物語を動かす人物としては描かれず、設定条件や背景みたいなものなので、そこを期待して行ったら肩透かしのはず。
それでいて面白い。
ユダヤ人の感性から最も遠い、アラブ人移民の少年。
責任感が強く、職務に忠実なモンゴル系刑務官。
ホロコーストの生き残りのユダヤ人。
同じイスラエルの中でも人種や世代で、ナチへの怨みの温度差がある事実や、ユダヤ人の定義の曖昧さを示していたのが上手い。
ユダヤ人とは何か?
人種か?宗教か?
イスラエル人とは何か?
国家としてのイスラエルはどうあって、どうなるのか?
ユダヤ人の生きる道は?
そんなことを観る者に考えさせつつ、ナチスの行ったユダヤ人虐殺は絶対に忘れないし、許さないという決意を込めた作品と思いました。
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