「素晴らしいエトワールの躍動」ダンサー イン Paris foolさんの映画レビュー(感想・評価)
素晴らしいエトワールの躍動
マリオン・バーボーは、パリ·オペラ座のプルミエ·ダンスールとなったバレリーナであると、鑑賞後に知った。
ちゃんと、本人が演じなければ出せない演出や効果。
実際に主役級のダンサーでなければ、あの甲はあり得ない。
アラベスクの時の甲の美しさは、素晴らしかった。
主役で公演中の舞台での負傷。ダンサー生命が危うくなり、笑顔を作ろうとしながら、友達に意地悪な事を言ってみたり、父との確執や将来への不安。
そこで出会ったのが、コンテンポラリーダンスだった。
実際にバーボーはコンテンポラリーダンスもやっていた。
地面を感じるような踊りに、今まで天に伸び上がるようなバレエをやっていたエリーズは惹きつけられ、
素晴らしいダンサーへと変貌して行く。
その過程は、閉じこもった殻を少しずつ砕き、生き生きと新しい宝物を見つけたように輝き始める。
コンテンポラリーて、よく解らなかったけど、海辺のシーンで風と共に動くシーンを観て、少し理解出来た気がする。
「弱さは素晴らしい、新しいスーパーパワーと同じ。クラシックバレエは形が決まっている。完璧を目指して努力して行ける、君の中にある弱さ、迷い、恐れこそが興味を引く」そう言われ、順調だった自分の幸運に気付き、新しい世界が拓けて行く。
モダンとかジャズダンスとかも観てみたいなぁ
そう思わせてくれる女優さんだ。
周りのダンサーも、本物なのだろう。
実際の舞台を観ているようで、素晴らしい。
食事をしながら、「クラシックバレエなんて」と言われ、エリーズは経験者三人でバレエのワンシーンを再現。
このシーン好き。お硬いイメージのクラシックバレエを、好きだからと裸足で、リビングでサラッと踊る感じ、めっちゃ好き。
クラシックバレエは、ダンスの根源なんだと感じさせてくれるとこも好き。
(私は経験者ではなく、見るのが好きなだけ……)
身近にはない世界の話だけれど、取り巻く人達、恋愛や友情、葛藤や挫折。
日常で、人間臭くて、ド派手な展開は無いけれど、淡々とした中の、素晴らしいダンスが最高のスパイスとなっているいい映画だった。