ダンサー イン Parisのレビュー・感想・評価
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バレエダンサー兼女優、新“二刀流スター”誕生。鍛え抜かれた身体の躍動と表現に心も踊る
世界最高峰の4大バレエ団の1つとされる、パリ・オペラ座バレエ団。5段階の厳格な階級制でも知られ、最高位エトワールに次ぐ第2位のプルミエ・ダンス―ルに2019年に昇格したマリオン・バルボーが、本作で映画初主演デビューを果たした。ダンサーとしてのバルボーは実際、クラシックバレエとコンテンポラリーダンスの両ジャンルで輝かしいキャリアを築いており、本作にコンテンポラリーの振付家として参加し本人役で出演もしているホフェッシュ・シェクターの演出作品にも参加したとか。
「スパニッシュ・アパートメント」や「ロシアン・ドールズ」で知られるセドリック・クラピッシュ監督は、2010年にエトワールのオーレリ・デュポンのドキュメンタリーを手がけて以来、パリ・オペラ座から定期的に撮影を依頼されるようになり、ダンス作品の映像化はお手の物。そんなクラピッシュ監督がバルボーという逸材を得て、ある女性ダンサーの挫折と再起を追うストーリーの中にクラシックとコンテンポラリーそれぞれの魅力を効果的に組み入れた劇映画を完成させた。
冒頭のバルボー演じるエリーズが主役を踊る「ラ・バヤデール」の台詞を排した15分のシークエンスと、シェクターの既存作品をベースにした終盤の舞台のパートがいずれも、ダンサーの躍動のみならず演者の表情から照明に至るまで緻密かつダイナミックな映像に収めており、劇映画のフォーマットでありながら本物の舞台芸術を目にした感動をもたらす。ただし、ショーアップされたダンスだけではなく、たとえば、ブルターニュの練習場兼宿泊施設で調理アシスタントとして働くことになったエリーズが、カジュアルな服装のまま友人2人と一緒に余興で踊ってみせるなごやかなシーンからも、踊ることの喜びが生き生きと伝わり、ダンスを見る楽しさと高揚感を共有できる。
マリオン・バルボーの踊る身体はもちろん素晴らしいが、理学療法士のもとでリハビリに取り組む場面での、素足の甲から指先までの鍛え抜かれたしなやかさにも見惚れてしまう。長年ダンサーたちと仕事をしてきたクラピッシュ監督だけに、一流ダンサーの特権的な身体が持つ美しさも収めたかったに違いない。
ひとつ難点を挙げるなら、バレエ一筋だった女性ダンサーがコンテンポラリーに出会い再起するという大筋が、近年のダンスと女性を題材にした「ポリーナ、私を踊る」(2017)や「裸足になって」(2022)といった映画とかなり似てしまったこと。物語自体にも新鮮な驚きがあればなお良かったのに、その点が惜しい。
まず、音楽が最高。踊りが最高。とにかく美しく、目を奪われる。 フラ...
まず、音楽が最高。踊りが最高。とにかく美しく、目を奪われる。
フランスの「私はこうだけど、あなたはこうね!!」とゆう、他者を受け入れる感じが嫌味なく散りばめられていて心地よい。
新しいことに出会うけど、主人公の根っこにあるクラシックバレエもすごく大切にしていて、バレエのお陰で今があるとゆう感謝に似た感情が滲み出て、溢れ、伝わり、感動してしまった。みんな、不器用だけど愛に溢れていて、本当に素敵な映画!!
しなやか軽やか健やか
主役エリーズを演じるMarion Barbeauはパリ・オペラ座の主席ダンサーとのことで、6歳からバレエをやっているが映画主演ははじめてだそう。だが女優が余技というわけではなく、ちゃんと魅力ある主人公をつとめている。
公演中に足首をけがしてもう二度と踊れないかもしれないと告げられたエリーズ。ひどいショックを受けるも周囲の人々に励まされ触発されながらコンテンポラリーダンスに自身の住処を見いだしていく。
Marion Barbeauはショートヘアにきりっとした眉、シュッとした顔でキャロルブーケやマルーシュカデートメルスなんかをほうふつとさせるが笑うと可憐なかんじがでる。しなやかな身体で、動くと安定した体幹がわかるが、本職がダンサーとは思えないほど物語に溶け込んでいた。
この映画は簡単に言えばクラシックバレエのオーソリティーだったエリーズが、足首を捻挫したことをきっかけにコンテンポラリーダンスへ転向する──という話である。
こうした克己を経て目標へ至るドラマは彼女自身のことでもあったにちがいない。
『パリ・オペラ座バレエの階級は、上からエトワール(Danseur Étoile)、プルミエ・ダンス―ル(premier danseur)、スジェ(sujet)、コリフェ(coryphée)、カドリーユ(quadrille)の5つであるが、この階級制は非常に厳しいものである。
ダンサーにとっては、まず、パリ・オペラ座バレエ学校に入学することが事実上必須である。バレエ団の団員のうち、95%が同バレエ学校の出身だからである。すなわち、バレエ団のコール・ド・バレエとなるには、バレエ学校に入学し、最低でも最後の2学年(第2学年と第1学年)を修了することが求められる。ただし、バレエ団に入団できるのはバレエ学校の卒業生のうち5%から20%程度であり、かつ、初めは研修者という立場である。正式団員であるカドリーユになるためには、毎年11月に行われる昇進試験に合格しなければならない。さらに上の階級に昇進できるかどうかは、ひとえに、翌年の昇進試験で審査員を前にうまく踊れるかどうかにかかっている。
最高位であるエトワールは、任命された者のみしか昇進することができない。エトワールになるためには、プルミエ・ダンス―ルとして何年も主要な役を踊り、人並外れた卓越性と美点を持つことを示す必要がある。』
(ウィキペディア「パリ・オペラ座バレエ──階級制」より)
Marion Barbeauは現在プルミエ・ダンス―ルという階級にいてエトワールを目指しているが、2021年のパンデミックのさなかにパリ・オペラ座に対して4ヶ月の無給休暇を取得したうえでこの映画の主演にとりくんだそうだ。おそらく、このエリーズという主人公はMarion Barbeauそのものであったにちがいない。
映画のなかでエリーズの父親は足をけがした彼女に「だから法学部に行けと言ったんだ」と言ってダンサーという職業に敬意をはらわない。エリーズをバレエダンサーに育て上げた母は亡くなっていて、母への慕情と父との確執が本作に立体的なドラマ効果をもたらしている。
父親の主張は「身体を使う仕事をするなら2つの人生を送る」というもので、たとえばサッカー選手ならせいぜい35歳でやめて次の仕事をさがすことになる。
ダンスをやっている娘が足をけがしたことをきっかけに無理解な説教をしたのだが、就業したらずっと安泰なんてものはない。それでも知的専門職をすすめるのは万国共通の親心である。
監督セドリック・クラピッシュはベテランで、出てくる人も料理も景色も建物や街並みもきれい、かつきれいに撮ってあり、フランスの香りがした。映画は主人公に魅力があり、躍動的で健全で笑いも加味され多幸感もある。まっとうないい映画だった。
imdb7.1、RottenTomatoes100%と83%。
本物のダンサーは凄い!
踊りのシーンに一切スタントは使わない!という監督の強い意思により、完成したダンスの醍醐味を味わえる秀作です。
主人公をはじめ踊っている人々はプロダンサーばかりなので、動きが違う。役者が役作りのためにダンスを習う、というのとレベルが違います。
素晴らしい肉体、一つ一つの動きに関連し、躍動する筋肉。美しい。
バレエのシーンが最初続きますが…「バレエってこんなに激しいの?」…と感じました。過酷なトレーニング。アスリートのような筋トレ。あの美しく、優雅な動きには筋力との葛藤があるのを知りました。
怪我によりバレエを諦めなければならないかも。失意の主人公を救ったのは、やはりダンスでした。それもバレエ仲間といつも馬鹿にしていたコンテンポラリーダンスでした。
バレエの動きがコンテンポラリーダンスにも生きる。コンテンポラリーダンスの精神が彼女を救う。そして…新しい恋愛。
ラストのコンテンポラリーダンスは号泣ものの感動ですぞ!必見です(^o^)
それにしても…フランスの人の恋愛に対する積極性はスゴイ😳なんだか…羨ましい。
なぜだめか?なぜ生きてるかについて考えが監督と合わない。
ダンス素晴らしい。肉体動きクセになる。いつまでも見ていたい。しかもオペラ座とコンテンポラリーヒップホップ。でも鑑賞後は怒り。オープニングも良かった。ロックとバレエは調和している。音よしハラハラした笑える(男の自虐ネタも上質の笑いひどい娘父親の心娘は知らずという感じ)なのに…ダメ。人生を全て味わいなさいというメッセージ、私が若者だったらいいがもういい加減年寄りで先行き見えてるそういう人たちはそういうこと言われたくない。自分のちっぽけな生を肯定して帰りたいわけよ。人生素晴らしいというのが上滑りしたら見てる方は鬱になったりどっと疲れてしまう。
主人公は本当に美少女だった。フランスではバレエは日本でいう芸者のような感じなのかも。男社会のしんどさ。
恋に仕事に、夢に、挫折。 様々な悩みを抱える中、主人公が出会ったの...
恋に仕事に、夢に、挫折。
様々な悩みを抱える中、主人公が出会ったのは、コンテンポラリーダンスのカンパニー。
静かに落ち着いた木々、夕暮れに映える壮大な海、そっと癒してくれる優しい仲間たち。
その邂逅が疲れた景色に色を奏でる。
✴︎✴︎✴︎
パリの街並みが大変美しく、全編、旅をしているような気分で、リラックスして楽しめた。
光の交差が本当に見事。
伝えたいメッセージもどこまでも清々しいまでにポジティブで、最後まで安心して見続けらる。
終了後の矢田部さんと上野水香さんとのトークも知的好奇心をくすぐられ、とても素敵でした。
ヤン、がんばれ💪
クラシックバレエの美しさと
コンテンポラリーダンスの美しさは
似て非なるものではあるものの
怪我をしたエリーズ(マリオン・バルボー)が
ストレッチをする脚の動きすら美しく見惚れます🩰
また、あらゆる感情を体ひとつで表す
コンテンポラリーダンスにも魅了されます💃
どこを見ても美しいフランスの景色🍁𓂃 𓈒𓏸◌🍁
心優しい人たち、笑いあり涙ありで
登場人物のキャラも立っていて
とても魅力的な人達ばかりです。
その中でも抜きん出ていたのが
療養士ヤン(フランソワ・シビル)には
劇場内のお客さん皆が笑いました🤣
←大袈裟ではなく、そのくらい笑い声がすごかったの
キッチンカーのカップルにも癒される👩🍳🔥🥘
挫折からの別ジャンルへの移行と再起の物語
おすすめです💃
.
マリオン・バルボーの魅力
パリ・オペラ座バレエ団でエトワールを目指すエリーズは、ある日、恋人が他のダンサーとキスしてるのをするのを目撃し、動揺したまま舞台で転倒し、足首を負傷してしまった。。医師から踊れなくなる可能性が有ると言われ、失意の中でバレエ以外の新しい生き方を探し始めた。そんな時、料理のアシスタントの仕事でブルターニュを訪れた彼女は、注目のダンスカンパニーの独創的なコンテンポラリーダンスと出会った。誘われて練習に参加した彼女は、未知のダンスを踊る喜びとバレエ以外の新たな自分を見いだしていき・・・てな話。
特筆するようなストーリーでもないが、実際にパリ・オペラ座のバレエダンサーとして活躍してるマリオン・バルボーの映画初主演作といくことで、彼女の魅力は発揮されてたと思う。濡れ場もちゃんと演じてたし、これからは俳優もやっていくのかな?
コンテンポラリーダンスのホフェッシュ・シェクターも本人役で出演してる、との事だが、このダンス自体をよく知らないので、特に興味は無かった。
フランスでは人気あるのかも、とは思い、日本でも人気あるのかも、とは思った。
いずれにせよ、本作はマリオン・バルボーを観賞する作品だと思う。
ダンスを通して表現される心の機微
この作品は、全編を通してクラシカルバレーダンスやコンテンポラリーダンスのシーンがあるのですが、どちらも踊り手である主人公の怒りや不安、生き生きとした感情などが、クラシカルバレーでは表情や指先の動きなどの機微な肉体の動きで、そしてコンテンポラリーダンスでは全身を使ったダイナミックな動きで表現されており、鑑賞者を引き込みます。
ダンス以外でも、この作品はそうした「人の感情」にフォーカスした演出が多々有り、演者の顔を見るぢ家で「いまこういう感情なんだろな」と感じさせる演出が散りばめられており楽しかったです。
バレエとコンテンポラリーダンスの演技が素晴らしいです。踊っていない場面でもテンポの良さが感じられ、見ていて気持ちの良い作品です。
何気なく上映中の作品紹介を眺めていたところ
「ケガで夢を失ったヒロインの再生の物語」を発見。
好みの内容かも …と気になって鑑賞です。・_・
パリはオペラ座でエトワールを目指し活躍するヒロイン。
舞台の幕が上がる直前「彼」の浮気現場を見てしまう…
動揺。…そして
演技中に着地に失敗してしまう。
右足首の捻挫。ギプスで固定。
しばらくは舞台に立てない。落ち込むエリーズ…。
診察した医師からは、
” 2~3カ月は安静。状態が悪化すれば手術が必要。”
” 治るまでに2~3年。最悪治らないかも知れない。”
そんなことを言われ、落ち込むエリーズ。
何かをして気を紛らわせなければ。
元パレエダンサーの友人の誘いもあり
友人の彼(=料理人)の仕事のヘルプとして
パリから離れた宿泊施設の、食事を担当する仕事に
同行することになった。
その宿泊施設のオーナーは姐御肌の女性(60代?)。
若者たちのアートや芸術に理解があり、自分の宿を
練習の場として提供している人のようだった。
やってきたのが「コンテンボラリーダンス」の団体。
大勢のメンバーの中に、見覚えのある顔。
団体のリーダー(=メディ)は、この宿に来る少し前
に出かけた街で、踊る姿を見かけた男だった。
踊りに興味をもったのをエリーズは覚えている。
そのリーダーから
「どこかで会わなかったか?」の声。
彼も以前の出会いを覚えていたようだ。
こうしてエリーズは、コンテンポラリーダンスという
新しい世界に接することになった。
メンバーの練習相手を務めたりしているうち、バレエ
とは異なるこのダンスの魅力に引き寄せられていく。
と、まあ
一人の女性の、目標の喪失と再出発とを描いたお話です。
重苦しい雰囲気ではなく、前向きに進んでいく姿が明るく
描かれた作品でした。
また、全体を通して「綺麗な作品」との印象です。
光(陰影)の表現方法 とか
演技者の表情の捉え方 とか
ロングとアップの切換え とか
場面全体から感じるリズム感 とか
どれもキレの良さ(?)が感じられて心地よさを感じ
ながらの鑑賞でした。
あ、もちろん
登場するダンサーの身体の躍動する姿もとても綺麗で
嘆息するのみです。
観て良かった。
満足です。
◇あれこれ
■ヤン(理学療法士)
エリーズの身体をケアする理学療法士なのですが
後半はコミカル担当も兼任してしまったようで… -_-;
エリーズと同じタイミングで失恋したにも関わらず
" エリーズのこれまでは間違いじゃない
軸をぶれさせてはダメ 新しい恋を探しなさい”
と励ます姿は、理学療法士の枠を越えメンタルケアも
担当するカウンセラーのように見えました。
このヤン、しばらくエリーズの担当を離れて遠くに
行っていたのですが、何やら心に秘めて戻ってきて…
あれ? もしかしてエリーズに? あれれ…??
彼、良い奴なんですよ ・_・
最後は彼女が出来ていたようで 良かった
■揺れてます
昼はキッチンカー、夜は寝床に早変わり。
そして時折、揺れます。主に夜。えへ
揺れる理由がか分かりません。えへ
けれども揺れます。 えへへ
揺れる原因、最初は料理人と友人のカップル。
その組み合わせが何度か続いて、最後は
エリーズとメディ。わーい。おめでとう。
仲の良い事は、良いことですね♡
※ この「ゆさゆさ」にフランス映画らしさを感じたのは
私だけでしょうか。はて。
■タイトル
原題 En corps
邦題 ダンサー イン Paris
原題を直訳すると「体内」(Google翻訳先生)
なんか分かるような分からないような…。
邦題の方が分かりやすくはあります。
パリが舞台ではあるのでしょうけれど
"Paris" とタイトルに付けるのは、そうする事で
色々と「上がる」気がするからなのでしょうか?
※「北海道産」とついた食材がより美味しそうに
感じるようなものかも。
◇ 最後に
” バレエには型がある。だから「完璧な演技」が存在する ”
” コンテンポラリーには型は無い。表現は自由 ”
” バレエの演技は、空を目指す ”
” コンテンポラリーは、地面に近づく ”
このようなセリフが作中に出てくるのですが(…確か)
ダンスの本質を言い表しているような気がして
心の中でなるほど と頷いています。
☆映画の感想は人さまざまかとは思いますが、このように感じた映画ファンもいるということで。
ダンスへの愛と人生応援物語
冒頭のクラッシックバレーの舞台のシーン。
ここでやらかしちゃうんだよね…のドキドキ以降は、
結構早い段階から前向きな風が吹いてる作品で、
終始、笑顔で観ていた気がします。
微笑ましく笑ってしまうシーンも多く
まず、医学療法士のヤンね。
彼女と別れて、エリーズより打ちひしがれ過ぎ!泣き過ぎ!!ナイーヴ過ぎ!!!
後半の勘違いも、もー、困ったちゃんやん…って、半分呆れ笑いさせてくれました。
憎めない大きな子ども。
サブリナとロイックのカップルも、お似合い。
サブリナ、ちょっと、気強すぎだよー 笑
結構、普通に褒めているのに、深読みして怒っちゃって…
でも、ロイック、が優しいから、良いカップルバランス。
そして、お父さん!
エリーズのコンテンポラリーダンスの練習での、なんともいえない戸惑った動きと、
ラストのショーの客席で見せた涙が素晴らしくって…。
言葉は少ないけれども、娘への深い深い愛情を感じました。
って考えると、レジデンスのオーナーふくめて、嫌な人が一人も出てこない!
みーんな、それぞれに個性的でそれぞれに素敵。
だから、終始笑顔。
監督のダンス愛と、人間の再生の力を信じる人間愛と、
とても気持ちが明るくなりました!!!
そして、ダンサーのみなさんの身体能力に惚れ惚れ。
完璧な人生を送っている人"以外の"全ての人にとって観る価値あり
【古いアカウントで投稿していたので、削除して再投稿します】
とにかく優しく、美しい映画でした。
映画は、完璧な美貌と技量を持つ(らしい)プリマドンナ=主人公がステージ上のカーテンの覗き穴から幕前の客席に誰かを探すシーンから始まります。その舞台で主人公の心と人生を揺さぶる出来事が起こった後、そのままスタイリッシュなオープニング映像に繋がって行き、一気にストーリーに引き込まれてしまいます。
冒頭の5分位の中に監督の腕前が凝縮されていて、このまま最後まで映画の世界に没入して行ける感じです。
ストーリーは、簡単に言うと「挫折と再生」そして「家族」の物語。ほとんどヒネリもないシンプルなものですが、登場人物や舞台設定がとにかく美しく、一つひとつのエピソードと登場人物の心の動きが丁寧に描かれていきます。
特に、随所に散りばめられたダンスシーンがとにかくキレイなので、それを見ているだけで全く飽きずに最後まで観られます。
主人公は冒頭のシーンでこそ完成された”美しさ”と”強さ”を備えたバレリーナとして描かれますが、そのあとは全編を通して、ほぼ化粧っ気のない等身大の悩める26才の女性であり、そのギャップがいい感じで物語を活き活きとさせています。
結構生々しいシーンがあったり(但し、暴力的描写は一切ない)、登場人物が激しく意見をぶつけ合ったりするんですが、終始カラッとして嫌味がないのは、多分フランスのサバサバした文化、国民性に拠るところが大きいと思います。
邦画で同じことをやったら結構ウエットな感じになって、同じような映画にはならないでしょう。
逆にそれを無理にやろうとしたらかなりの違和感が出そうな気がします。
最近のフランス映画というと、根強く存在する階層間の対立や貧富の差などの社会問題を反映した、陰鬱で殺伐としたテーマのものも多い印象を持っていますが、この映画には全くそんなところがありません。
これからこの映画を観る人に一つアドバイスするとしたら、
この映画には、意外性を狙った展開や、敢えて聴衆の心をザワつかせるような奇をてらった出来事、演出は一切ないので、最後まで安心してストーリーに入り込んで主人公やそれを取り巻く登場人物達の再生と成長の物語を見届けて下さい
と言いたいです。
P.S.
誰かのレビューにもありましたが、確かにこの映画のテーマを何も表現していない邦題はちょっといただけませんね。1年もたったら忘れてしまいそうなありふれた名前です。
原題は En Corps(英語でIn Bodyの意)、アメリカ題の Rise の方がまだ大分マシだと思います。
肉体の佇まいと美しさに感動
ダンス、ダンス、ダンスの映画でした。
パリ・オペラ座のダンサーの大怪我からの復帰を描いた映画で、主役のマリオン・バルボーが見事なダンスを披露しています。
ダンサーの肉体を余す事なくスクリーン上に披露しており、遠目でみる舞台の踊りと比べ、近くで見るリビングで踊るダンスは、ゾクッとするほど魅力的でした。
コーラスの声をバックに、殺される真似をしていたシェフは、ゴッドファーザーを真似したものでしょうか。
時々入るコミカルシーンも良かったです。
整体師のヤン残念な男前で、最高です。
ダンサーによるダンス映画
パリ・オペラ座のバレエダンサーでコンテンポラリーダンスも踊れる、
マリオン・バルボーの初主演作。
コンテンポラリーダンスで有名なホフェッシュ・シェクターが本人役で出演というから、
ダンサー達によるダンス映画☆
ストーリーも怪我で挫折したバレリーナがコンテンポラリーダンス出会う、
というシンプルなもの。
バレエの舞台から、練習風景、コンテンポラリーダンスの練習風景から、舞台へ。
ダンサー達の身体の使い方が本当に美しいし、その美しさを堪能するための作品。
身体を使った表現って何て素敵なんだろう♪
自分も体を使ってみたくなってしまう…(けど、無理)
邦題だっせ!
普段は極力最後列で鑑賞しますが、今回は最前列で鑑賞しました。
まるで特等席で舞台を観に来たかのような感覚でしたのでおすすめです。
自分もダンス経験があるため
怪我で今後のキャリアが閉ざされる序盤のシーンは心底胸が痛くなった。
しかしそこを乗り越えたらそれはそれは素晴らしい作品。
コンテンポラリーやJAZZは
HIPHOPなど他のジャンルのダンスとは違い
「こうすれば上手くなる」という明確な要素(基礎煉)が無いので
ニュアンスが多く最も難しいジャンルかと思われます。
(ダンス初心者でコンテンポラリーを始める人は滅多にいないと思いますが...)
お父さん、「悪くはない」の言い方に悪意はないのよねきっと
無自覚に人を傷つけるとはこういうことかと
同様の感情を抱いても言葉表現の仕方で受け取り方の満足度も大きく変わる。
コンテンポラリーダンスと似たものを感じられるシーンでした
しかし、“ダンサー イン Paris”って…
そこまでいくならParisもカタカナ表記でええやろ!
そもそもその邦題がダメダメなんですけどね。
どうしても”~インザダーク”が浮かんで鑑賞前に変な覚悟を持ってしまった
バレエの美しさが光る
冒頭のタイトルバックに流れる音楽がやや不協和音っぽくて、悲劇の展開になるのではないかと心配していたが、映画が始まると、全体的にどことなくコメディっぽい展開で、きっとハッピーエンドになるのではないかと予想がつき、実際その通りであった。ただ、特に嫌味もなく素直に安心して観られた。よくあるモチーフのサクセスストーリーで、どんでん返しもないのだが、個人的にはこの種の映画は好きである。
クラシックバレエとは全く違うジャンルであるが、ダンサーとして再起ができ、希望を見出し、しかも新しい恋人もできたということで、めでたしめでたし、主人公の幸せそうな表情のエンディングではあった。
ただ、果たしてそうだっただろうか?
映画としては、このエンディングでもちろん良いのであるが、なぜか私は懐疑的になってしまった。このコンテンポラリーダンスは決して悪くはないが、個人的には絶賛するほどの感動までには至らなかった。このダンスを見て涙した父親には感動してしまったが。それに比べると、冒頭のクラシックバレエがあまりにも美しすぎたのである。実際にオペラ劇場に行ってバレエを見たとしても、最前列の1番高い席でもダンサーの顔や体はそれほど大きくは見られない。でも映画で見ると大迫力なのである。しかも演技が始まる前の舞台裏も見られたのである。この冒頭のバレエシーンだけでも、この映画を観る価値があると言える。
もし彼女の足が以前のように完全に回復したとしても、あの素晴らしいクラシックバレエに戻る気はなかったのだろうか?
完璧性を求めるクラシックバレエと独創性を求めるコンテンポラリーダンスの違いを楽しむのも面白い映画かもしれない。
主演の女優は、シャルロット・ゲンスブールとジェーン・バーキンを足して2で割ったような顔。コンテンポラリーダンスのコーチはエンゼルスで活躍した長谷川滋利に似ている。
強烈!!オープニングとラストのダンス
を見るだけでも価値があります。
「コンテンポラリーダンス」というと、どうしてもNHK「LIFE!」でタクヤシモムラさんが最初に踊ったものがあまりにも強烈だったので、それを思い出してしまっていました。でも、この映画を見て、「コンテンポラリーダンス」に対するイメージも少しはぬぐえました。
あと、エリーズは久本雅美さんにそっくりだった。(ちょっとだけ岩城滉一)
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