ロスト・キング 500年越しの運命のレビュー・感想・評価
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知的好奇心を擽る作風にファンタジーと仄かにオカルト要素がバランス良く育んだ素敵な作品♪
映画館で予告編を観た時から、観たい!と思っていた作品を鑑賞しました。
で、感想はと言うと…面白い!
実話を元にしているが、そこにファンタジーテイストも加えていて、素敵な作品になっている。
それでいてクライマックスのリチャード3世の遺骨発見は事実に基づいた描写がされていて何処かオカルトチックでもあり、単にヒューマンドラマと言う括りでは言い切れない面白さがあります。
主演のサリー・ホーキンスは好きな女優さんで「シェイプ・オブ・ウォーター」が有名ですが、個人的には「しあわせの絵の具 愛を描く人 モード・ルイス」の主人公モード・ルイス役が印象的。
ちょっと影があると言うか、何処か病に悩まされていて、報われない感じの役の印象が強く、今作でも筋痛性脳脊髄炎を患っていて不当な扱いを受けている人物を演じている。
でも、今作ではアグレッシブかつ割りと若々しく見えるんですよね。
リチャード3世は英国では遺骨が不明で発掘されるまでは醜悪な悪人と言うイメージをされていたが、それも歴史家の証言やシェイクスピアの戯曲のイメージが大きい。
そこに自身の重ね合わせ、不当を覆す為に真偽が定かではなかったリチャード3世の遺骨を発掘する。
それも駐車場のコンクリートを剥がしてもそんなに深い所では無かったのなんてなんかビックリですが、いろんな事が勉強になります♪
500年以上も遺骨が見つからず、ましてや様々な研究家がこうであったと結論付けたリチャード3世の歴史に真っ向から異論を唱える根性も凄いが、それを覆そうとする行動も凄い。もうこれは完全にリチャード3世愛としか言いようがないくらい。
日本で言えば、織田信長の遺骨を発見しようとしているようなもんでしょうかw
実際にリチャード3世の遺骨を発掘するのに辺り、直感と言うか何か感じる物があって発見したと言うが、それを説明するのって凄く難しい。
でも、駐車場の真下に遺骨があるなんて直感としか説明のしようがないと思うんですよね。
その辺りが「事実は小説よりも奇なり」でこんなことってあるんだ~と感心と言うかビックリ。
それをリチャード3世が自分の周りに現れてと言うアイデアはシンプルかつナイスアイデア。
なので、劇中でもフィリッパ以外は誰も見えないのが凄く面白い。周りからすると独り言を話す不気味さがあるがリチャード3世が見えているとコスプレにも見えるし、時折馬に乗って現れるw それがコミカルなんですよね。
周囲の理解がなかなか得られなかったフィリッパの行動が徐々に周囲に認められ、支援金も集まり、発掘作業に入り、遂にリチャード3世の遺骨を発掘するが多少の支援金を援助したレスター大学が我が物顔で自分達の手柄にするところはとても胸糞。
また仲間だと思っていた考古学者のリチャード教授も自身の大学復帰を絆されて、大学側の加担してしまう。
心情的にはフィリッパ側に付いているが完全にレスター大学側。
事実を元にしているので、劇中で大学側に天罰が下される件りは無いんだけど、正直“ここまで大学側を悪者にしても良いの?”と思ってしまう。
事実であったとしてもここまで悪者扱いされたら大学側の面目丸潰れ。実際に上映に当たっては訴訟寸前まで行ったらしいけど、レスター大学側も何処か後ろめたいと感じているところがある感じ。名誉は大学側で世の認識と真実はフィリッパ側と言った感じっぽい。
劇中でもラストで大英帝国勲章を授賞したとの事で報われた感はあるけど、レスター大学側は華々しくパーティーに参加して、フィリッパは講演呼ばれている対比はどっちが良いかと言えないけど、やっぱり切ないなぁ。
前半はいろんな事から屈折した感じで別居中の夫とも上手くいってなく、子供たちとも何処か距離がある。
そこからリチャード3世の名誉回復に遺骨発掘を試みるが、その行動に家族が振り回されていて正直ワガママにも見える。もうスティーブ・クーガン演じる夫のジョンの懐の深さを感じますがここまで善人だとちょっと出来すぎ感があり、ジョンの善イメージとレスター大学の悪イメージの振り幅が広すぎますねw
ラストでシェイクスピアのリチャード三世でリチャード3世を演じたピートとの出会いが良いんですよね♪
事実を元にしたヒューマンドラマでありながら、ファンタジー色もあり、何処かシニカル。少しオカルト的でもありますが勉強にもなる。
何よりも2時間内で収まる上映時間でテンポ良く進むのま良い♪
ミニシアター系の作品ではかなりお勧めの作品なので、ご興味があれば是非是非!
500年の時をこえて 響き合う2つの魂
病気持ちで昇進させてもらえない、夫と別居中の主婦フィリッパ。周囲から理不尽な扱いを受け不遇な人生を送る、という点で、悪名高きイギリスの王・リチャード3世と自分の人生を重ねあわせ、なんと彼の遺骨を発掘するというびっくりストーリー。実話がベースと聞いてさらにびっくりです。
自分の意見も言えなかった彼女は、発掘協力のために大学や役所で雄々しくプレゼンします。バカにしていた夫や子供も最後には応援するように。
フィリッパに遺骨を発見されたロスト・キングは、汚名返上し救われますが、フィリッパもまた、遺骨発掘を通して成長し救われていきます。
フィリッパは、学識者の反対を押し切って、自分の直感を信じて発掘し、それがドンピシャに当たります(創作かもしれませんが)。爽快と同時にゾッとしました。
フィリッパがリチャード3世の劇をみて魂を揺さぶられてから、500年の時をこえて、王の魂を引き寄せちゃったんだろうな〜と感じました。
主演のサリー・ホーキンスの演技、脚本・演出が光ります。実際に発見して歴史を塗り替えたという事実も、ストーリーに重みを与えます。
予想外に面白かったです!オススメです。
究極の主婦の推し活
信じることってスゴいバワーを生むのですね。究極の主婦の推し活でした。
しかし映画の題材って、いろんなところに転がってるんだなぁ~。実話ならではの説得力。この説得力はもちろんサリー・ホーキンスの名演があってこそでしょう。
史実って、けっこう脚色されてことってあるんだろうな。興味深い映画でした♪
真価を発揮できずにいた人の物語
主人公のセリフがなんだか自分の今の状況に刺さるところがあってそこから妙に気になり出して休暇を利用して観た映画。
サリー・ホーキンス演じる主人公がとある演劇を見て、リチャード3世に関しての歴史的な間違った誤解を解こうとする話。
事実に基づいて作られたこの映画について、いいと思うところがたくさんあったが中でも劇中のセリフに心に残るものがあった。
この映画のラストで主人公は豪華な祝宴の誘いを蹴り、子供たちに真実を教えるための講演を選ぶ。
そこで「これは人生で正当な評価を得られず、真価を発揮できずにいた人の物語です」と説く。
それはリチャード3世のことを指しているが、また主人公自身でもあって、更にはこの映画を観ている人の中で現在の状況にもがき苦しんでいる人たちへのバトンでもあると感じた。
この映画を鑑賞できてすごくよかったと思う。
色んな不安や不利に負けずに自分の直感に従って行動したこの実在するフィリッパを心から尊敬する。
エンドロールに流れた女王から勲章を授与された事実がまた映画に爽やかな後味を残していると思う。
自分の心の声を後回しにしてしまっている自分を含めて同じ境遇の人にぜひおすすめしたい映画。
丁度ピッタリ「普通の良さ」
シャカリキになって王の遺体を探すお母さんの「その辺にいる普通ぶり」の演技とケレンのない「普通の演出」が素晴らしい。特に、にっちもさっちもいかなくなった時の困惑ぶりが普通でよろしい。
王の亡霊の出てくるタイミングが絶妙。単調な話のアクセント。
脚本、話の構成がよく練られていますが、話の展開が早いのであっという間の110分でした。
しかし、スペンサーの時も思いましたが、松金よね子さんにか見えない。
パチパチパチ
ほろ苦いエンディングが良い
主人公の女性の願いが叶うには叶うのだが、現実には理不尽なことも起きることが併せて描かれ、そのほろ苦さと言うか、100%ハッピーエンドでイェ~イ、じゃないのが良かった。ほろ苦いながらも後味は悪くない。
主人公の旦那さんがいい人過ぎて、こんな旦那さん最高じゃないか!と見ながら何度も思った。
中年女性エンパワメント映画
リチャード3世役の人、ゲームオブスローンズのヴィセーリス・ターガリエン役の人だって。
考古学者のリチャードが、ゲームオブスローンズのロバート・バラシオン役だったのは、既知で観たけど、ヴィセーリスには気づかんかったなぁ。
あの愚かなヴィセーリスが、見事なリチャード3世を演じ、かわいい娘を抱っこする素敵パパ俳優を演じていたなんてねぇ。
フィリパの持病が何なのか、よくわからなかったのと、リチャード3世の研究に夢中になって仕事に行かなくなったのが、ちゃんと病気休職的なことにしたのか、無断欠勤なのかわからなくて、混乱したのが、引っ掛かりポイントでした。
その他は楽しく、フィリパを応援し、リチャード3世の謎を追いました。
学位のない在野研究者で45の女であるフィリパは、各所で軽んじられるわけです。何とか大学の担当者とか、考古学者のリチャードとか、“権威ある”歴史家とか。
予感で第一溝を掘りすすめてくれ、との要望に、え?となる考古学者の気持ちはわかって、私も同じように根拠ないやんって言ってしまうかもって思った。
でもこれが男の依頼だったら考古学者の対応は、あんなにつっけんどんではなかったはずとも思った。
そして大学の関係者(あいつもリチャードちごたかな?)が、企画を鼻で笑ったくせに、お金も大して出してないのに、手柄だけ取っている姿が、醜悪だった。
ラスト、キラキラしたパーチーに、フィリパは出席せず、フィリパは中高生くらいの女の子を前に自分の物語を語るのですが、ある種の達成感と、ある種の落胆を覚えました。
リチャード3世の幻覚が見える表現が、好ましくおもいました。
また、別居してた夫が息子らとBMWを売って安い車に買い替えて、差額をフィリパの活動に寄付した件は、すごく良かったです。
翌日に『バーナデット ママは行方不明』を観に行ったのですが、2作とも中年女性エンパワメント映画です。
史実と知れば、すごい物語
シェイクスピアの影響が大きく英国史上悪名高く評されるリチャード3世。一方で実は名君だったとの評価もありファンもいるというこの英国王。日本で言うと天下は取れませんでしたが、光秀のような感じでしょうか?
特に歴史研究家や専門家でもない女性が、リチャード3世の幻影に取り憑かれ、500年もの間、その行方がわからなかった彼の遺骨を発見すると言う物語。うっすらとリチャード3世の遺骨発見がニュースになっていた記憶があったので、本作はそこから想起されたフィクションかと思っていました。しかしなんと、本作は多くの部分が実話を基にしているようでびっくりです。
流石に現実では幻影は現れていないかと思うのですが、本作の主人公として描かれ実際の遺骨発見の立役者であるフィリッパ・ラングレー氏は実際に起こったスピリチュアルな体験から、遺骨の場所の目星をつけたと言っているようなのです。
その他、映画だけを観ているとまさか現実に起こるとは思えない展開で、とても引き込まれます。
特筆すべきは主演のサリー・ホーキンス。『シェイプ・オブ・ウォーター』でもそうだったのですが、どこにでもいそうな雰囲気のこの人が演じると、どんなファンタジーでも現実感が増すように気がします(本作は実際に起こったストーリーですが、観劇中はフィクションと思っていました)。
また『フル・モンティ』以来でマーク・アディの芝居が見られたのも嬉しい驚きでした。
いずれにせよ「事実は小説より奇なり」を体現する一本。一部がしっかり史実としていることを知れば、現実離れしている話だけに大変興味深い作品であることは間違いありません。
自分の信念を貫くことの難しさ
実話を基にしたとの事だけど彼女の信念と屈しない精神にただただ敬意を示したい。
正当に評価されなかった彼女が最後評価されるのが嬉しかった。
どこか猟奇的なんだけど応援したくなるのは主役の人の力量なんだと思う。
BBCが作る良作
歴史的な発見にスポットを当て、国営放送局が制作した今作品ですが、登場する誰かに肩入れすることなく客観的なドラマへと仕立て上げたように思います。
ですから主人公は発見者であるフィリッパ(サリー・ホーキンス)であっても、偉業は評価されこそすれど、英雄とした扱いではありませんね。
誰しも善き処、悪しき処はあるものだ。そんなスタンスで忖度することなく描き出されたことが観終えた時の爽快感に繋がったような気がします。
一緒に観たパートナーの感想は「フィリッパって、ヤバい人だよね」でした。
確かに思い込みの激しさ、そして自らの病気をも前面に打ち出して戦う姿やのめり込んだら家庭も顧みない一点集中、確かに一般人としてのわきまえからは逸脱しているかもしれません。でも、古の時から、そういった突き抜けた人たちの情熱で偉大な発見に繋がったものって沢山ありますよね(ワタシが思い当たるのはシュリーマンの「トロイの木馬」くらいですが)。
家庭人としては難しくて、周りが振り回されても漲る情熱がいずれは周囲を協力者にさせてしまう、力で圧倒されてしまう人の生きざまに感服させられた良い作品でした。
不思議な実話
シェイクスピアの劇でリチャード3世を見た主人公が非情な話に疑問を感じてせめてお墓参りをしたいと考える。しかし、リチャード3世の遺骨は1485年に亡くなってからどこにあるのか分かっていない。
そのリチャード3世の遺骨を主人公が見つけるために奮闘する話。
リチャード3世の幻影は少し滑稽な感じに見えるけどそれがなかったらもっと単調になっていたかもしれないから良かったと思う。
いろんな機関の嫌な部分も赤裸々に見せていて良い作品でした。
この話を知れて良かった。
あり得ない実話に勇気をもらった
スティーブン・フリアーズ X サリー・ホーキンス
500年にわたり行方不明だった英国王リチャード3世の遺骨発見の立役者となったフィリッパ・ラングレーをサリー・ホーキンスが演じた。
二人の息子と暮らしてるけど、精神的な疾患があるようで、夫とは別居し、職場では正当に評価されることがない。
そんな彼女がシェイクスピア劇「リチャード三世」を鑑賞して抱いた疑問は、、、
そう、悪名高きリチャード3世も自分と同じように不当に扱われてきたのではないかと、、、
1485年に死亡したリチャード3世の遺骨発見と名誉回復を実現したフィリッパの探究心、諦めない心に観る自分も高揚した。
そう、いい気分で、ポジティブな気分で帰路についた。
知的娯楽映画だ。十分楽しめた。
私は文学好きだか、未だにシェイクスピア作品全編を読んでいない。生きているうちに全作品を読もうと考えている。全集はすでに持っている。亡くなった弟から引き継いだ。
鑑賞した感想はタイトルどおりだ。シェイクスピア作品が好きで、知的好奇心旺盛な人には堪らない映画だろう。また、これが実話だから驚く。勿論、観る人を楽しませるために、脚色が行われている。仕方ないと思うし、やり過ぎでなければ私は認める方だ。成功していると思う。
シェイクスピアの劇作によりリチャード3世は極悪非道の人に貶められた。日本でいえば「忠臣蔵」によって、吉良上野介が悪役になってしまったこと同じだろう。愛知県の吉良町では、善政者として知られている。
また、リチャード3世遺骨発見の名誉をレスター大学が簒奪したことに相応する。英国映画らしくユーモアがあり、シェイクスピア作品のセリフを引用して上手い脚本だと思う。
脚本はこの映画で主人公の夫役を演じた方だそうだ。イタリア出身の名指揮者クラウディオ・アバドにそっくりで驚いた。わが家には彼のCDが10枚以上ある。
評価はとりあえず4点としているが、本音は3.5点以上4点未満だと思う。主人公がリチャード3世に共感するところ(共に病気持ちで正しく評価されていない)がもうちょと上手く描かれていればなぁと感じた。
知的娯楽映画で、人生の皮肉が効いた佳作の作品だ。
不思議
めちゃくちゃ不思議な話なんだけど、これが実話ベースだというから驚く。
なんといっても、芝居を観た日からずっとなんかそこに「居る」リチャード3世。なんだそりゃ、なんだけど居るし、話すし、でもなにかお願いするわけでもなく、ここだよ、って言う訳でもなくむしろ相談に乗ってくれる…ww
でもラストにフィリパが言うとおり、これは紛れなく「正当に評価されなかった人たち」かそれを回復する物語だからそれで正しい。クソな大学の対応とその後の顛末も含め。
そういう意味で、これは同じくサリー・ホーキンス主演の「シェイプ・オブ・ウォーター」と相似の物語だと分かる。分かりづらいけど、良く出来てる。
なかなか不思議な感覚でした。ww
単調だからかいまいち世界に入っていけなかったな。
何かにのめり込んでいる人を見ると以前は羨ましいなーって思いましたが、最近はなんかちょっと変っていうか偏ってる、いびつじゃねって目で見てしまう傾向があります。
ま、本人が良ければ他者からどう見られようが関係ないですが。
500年後の真実
個人的にシェイクスピアの戯曲に登場する悪人の中で、最も魅力的なのがリチャード三世だと思っている。
コンプレックスの塊であり、目的を遂げるためには手段を選ばない残忍な性格。
癇癪を起こすような幼児性がありながら、計算高く、何故か女性たちが抗うことを諦めてしまうような魔力を持った人物でもある。
もちろんこれがシェイクスピアの創作したリチャード三世像であることは承知している。
あくまでこれは歴史劇であり、史実ではないのだから。
それでも世間一般のリチャード三世に対するイメージは醜くて残酷な悪人といったところだろう。
そう考えるとリチャード三世にとっては不不名誉なものであり、シェイクスピアは随分と罪深いことをしたのかもしれない。
実はリチャード三世は我々のイメージとはまったく異なる人物だったかもしれないのだから。
真実は時の勝者によって作り替えられるものであり、リチャード三世は戦いに破れたのだ。
これはリチャード三世の王位簒奪者という不名誉を晴らそうとする一人の女性の物語だ。
考古学とは何の繋がりもないフィリッパが、リチャード三世に異様なまでに執着していく過程が面白かった。
むしろこれはリチャード三世の真実ではなく、フィリッパという女性の生き方にフォーカスを当てた物語だ。
まず彼女は筋痛性脳脊髄炎という病気を患っており、社会的に正当な評価をされていない。
彼女には二人の息子がいるが、夫とは既に別れて別居状態にある。
しかし夫のジョンは今でも子供たちの世話をしたりと、献身的に家族に尽くしてはいるようだ。
ある日、彼女はシェイクスピアの『リチャード三世』の舞台を観て、演じる俳優の姿に惹き付けられる。
そしてリチャード三世の作られたイメージに疑問を持つようになる。
すると彼女の前に舞台で演じた俳優の姿のままで、リチャード三世の幻覚が現れるようになる。
彼女はリチャード三世について調べるうちに、彼の遺骨はどこにも埋葬されずに行方不明になっていることを知る。
彼女は自分が彼のことを見つけるのだと固く決意をする。
正直、どうして彼女が幻覚に取り憑かれ、リチャード三世に執着するようになったのか理解するのは難しい。
これはもうリチャード三世が彼女を呼び寄せたとしか思えない。
彼女自身もずっと目に見えない何かを探し求めていたようだ。
そしてフィリッパはある社会福祉施設の駐車場の下にリチャード三世が埋葬されていることを突き止める。
遺骨を発掘するためには様々な協力を得なければならないが、感情的に話す彼女の言葉をほとんどの人間が論理的に理解することが出来ない。
フィリッパ自身も大きな力によって導かれているのであり、直感でリチャード三世がここに眠っていると信じてもらうより他に説明が出来ないのだ。
それでも熱意を持って直向きに働きかければ、必ず心を動かされる人たちはいる。
最初は彼女の言葉を受け流していたジョンも、彼女の息子たちも、そして同じリチャードの名を持つ考古学者も、ついには彼女の熱意に心を打たれ、彼女を援助するようになる。
彼女の直感によりリチャード三世の遺骨は発掘されるが、彼の名誉を挽回するまでには至らなかった。手柄を横取りしようとする大学側の姿勢など、名声に目が眩んだ人間の愚かさが目についた。
最終的にはイギリス王室から、リチャード三世が正当な王と認められたことでフィリッパの願いは叶ったことになる。
本当のリチャード三世が善人だったのか、悪人だったのかは分からないが、もし悪人だったとしても500年という月日は人の行為が許されるには十分な時間だともいえるのではなかろうか。
確かにドラマチックな出来事ではあります
なかなか信じがたい出来事であるし、映画にする意義みたいなものもつよく感じた作品です。
作品自体も、かなり工夫されていたし、色々と対比やシンクロさせた演出なんかも非常に劇的で引きつけられました。
内容は非常に面白いとは思いましたが、なぜか映画としての魅力がそれほど感じず・・・
映画そのものの魅力をもっと─。
とはいえ、この驚愕の事実を追求した結果がこれなのだと言われると、何も反論できませんが─。
存在(?)感が凄すぎるリチャード3世
今週締めの4本目。いやぁ、こちらもいい映画でした。今週は良作揃い。
結論は知っているのに、とてもミステリーでスリルも感じる演出は流石の名匠スティーブン・フリアーズですね。
そしてフィリッパ役のサラ・ホーキンスを筆頭に役者陣が素晴らしい。フィリッパの理解者である元夫のスティーブ・クーガン、作品上、大事な敵役である英国レスター大学のリチャード・テイラー(リチャードだらけ)役のリー・イングルビー、そして存在(?)感が凄すぎるリチャード3世役ハリー・ロイドなどが作品を盛り立てます。
それにしても、これぞ「信念の人」と言えるフィリッパ・ラングレーには頭が下がります。ME(筋痛性脳脊髄炎)という正しく理解されにくい病気に悩まされ、そして端々に感じざるを得ないアンフェアな扱われように納得がいかない彼女。「歴史の改竄(かいざん)」はいつの時代でも、どこの国でもある話ですが、シェイクスピアによる戯曲にみるリチャード3世に対するアンフェアな扱いに納得ができず、それをきっかけに火が付くところは、まさに「オタク感情」と言っても語弊がないような気がします。さらにそこから、リチャードオタクによる「リチャード三世協会」に傾倒していき、仕舞には偉大で「歴史的な結果」を残すところは夢があって素晴らしい。そしてまた、彼女に対するレスター大学の「やり口」のいけ好かなさが、否応なく観ている私たちにフィリッパを推させてくれます。
結局のところ、誰しもが羨ましと思える「そこまで打ち込めること」を、普通、いや更なるビハインドがあるフィリッパ「その人」を魅力いっぱいに演じられる俳優、サラ・ホーキンスだからこそ納得、そして満足感いっぱいで観終わって多幸感です。良作。
凄い!リチャードⅢ世の実話
500年の時空を超えて王座に返り咲いた英国王の物語。
何かに導かれたように街中の駐車場から英国王の遺骨を発見するお話ですが様々な人間模様を織り交ぜながら進むストーリーは「これホントに実話なの‼️」という驚きに満ちていました。イイものを見せてもらいました。この機会に英国やヨーロッパの歴史の勉強でも始めたくなるほどの秀作。上映館少なめですが
是非映画館で🎦
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