ロスト・キング 500年越しの運命のレビュー・感想・評価
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究極の推し活
500年にわたり行方不明だった英国王リチャード3世の遺骨発見の立役者となった女性の実話をもとに撮りあげたヒューマンドラマ。
わかる…わかるよ。
会社の上司に理不尽な評価をされて、あー世の中くそったれだなと思った時、ふと見た映画やドラマや、読んでいた漫画や小説で「あー彼も私と同じかもしれない…」とシンパシーを感じること…。
主人公であるフィリッパは、それがリチャード3世だった。
彼の真実を知りたいと、文献を読み漁り、知識人に話を聞きに行き、仕事を休んでまで彼のゆかりの土地まで足を運ぶ。
現代の言葉で言うと、もはや究極の推し活だ。
ただ彼女の推し活は執念で、彼の名誉を回復させることが、自分自身を救うことにも繋がっているようにも感じた。
推しが疑惑やイメージで悪く言われたら、そうじゃないんだと声高に言いたい気持ちはすごくわかる。
周りに相手にもされず、頭がおかしいとまで思われても、自分の直感を信じて最後まで諦めない彼女の姿は、とても眩しくかっこよかった。
実話だからこそ最後はちょっとモヤモヤしたけれど、彼女が追い求めていたことは自分自身の名誉でも名声でもなく、ただひたすらにリチャード3世が世の中から正当に評価されてほしいという想いが1番だと思うので、彼女は私ほどモヤモヤしていないかもしれない。
それにしても500年後にこうして再埋葬されるなんて、リチャード3世もあの世でびっくりしているだろうな…。
ブレない信念
心に潤いを与え、知的好奇心を満たしてくれる秀作
歴史というものは支配者の思惑によっていくらでもねじ曲げられるわけで、敗者の王たちは、自分とあまりに異なる虚像が広がろうとも、泣き寝入りするしか術がない。誰かが奇跡的に真実を掘り起こしてくれぬ限りは・・・。一人の女性がふとしたことでリチャード3世に興味を持ち、自らの信念を貫いて固定化した歴史を覆そうとする本作をとても面白く観た。人は物事や人物を枠にはめたがるもの。職場や家庭内でついつい枠にはまってしまいがちな主人公が、英国史に残る悪王として烙印を押されたリチャード3世に惹かれ行く様は、突飛な展開ながら無理なく納得してしまうユニークさがある。凝り固まった常識や権威主義の眼鏡を外し、濁りない眼で真実を見極めようとする役柄をサリー・ホーキンスが嬉々として演じていて、観ているだけで微笑ましく、元気をもらえる。夫役のスティーヴ・クーガンは共同脚本も担当。知的好奇心を満たす充実した内容に仕上がっている。
権威主義が個人研究者を蔑視する悪弊が、朝ドラ「らんまん」に通じる
500年以上行方不明だった英国王リチャード3世の遺骨が2012年に発見された実話に基づくそうで、大学等に所属していない個人の研究者フィリッパ(夫と別居中のワーキングマザー)が発掘を牽引したという事実にまず驚かされた。
もっとも、劇映画化に際してよりドラマティックな効果を狙い、主人公にリチャード3世の幻影を見させるなど、ファンタジックな描写も添えている。遺骨が埋まっている駐車場にも馬上のリチャード3世に導かれるが、現実には既に別の研究者らが遺骨がある場所として絞り込んでいた候補地の1つだったそうで、場所の特定をフィリッパ(と彼女の霊感)だけの手柄のように描くのは創作が過ぎると感じた。
とはいえ、当初はプロジェクトに懐疑的で非協力的だったレスター大学の関係者らが、遺骨が見つかった途端に大学主導の偉業のように吹聴し、フィリッパの功績を蔑ろにするのは、悲しいかな既視感のある、現実にありふれた構図なのだろう。植物学者牧野富太郎をモデルにしたNHK朝ドラ「らんまん」でも何度か描かれたように、国立大学など国の組織に属する権威主義者が下請けや在野の研究者を見下し、何か目覚ましい功績があれば大学や所属教授の手柄にしようと画策するのは、英国でも日本でも同様の悪しき伝統なのだろうか。
レスター大学や考古学者リチャード・バックリー(遺骨発掘後、名誉教授に)なども実名で登場しており(もし日本で比較的最近の実話を劇映画化するなら、当然各方面に忖度して架空の名前だらけになりそう)、結構な悪役として描かれているため、公開後に抗議の声明や法的措置の示唆もあったようだ。完全なフィクションなら大学側に天罰が下ってスカッとさせてほしいところだが、そのあたりは実話ベースゆえ、今一つすっきりしないエンディングを迎える。ともあれ、遺骨発掘の経緯自体は実に興味深く、英国で放映されたドキュメンタリー作品「Richard III: The King in the Car Park」がUK版のプライムビデオで配信されているので、ぜひ日本でも視聴可能にしてほしい。
実話をもとに適度な脚色とサリーホーキンスが素晴らしい フィリッパが...
事実は小説より奇なり?
ホーキンスを通して見る世界は美しい
ホーキンス演じるフィリッパは、ガーリーとボーイッシュを行き来する服装でとても自由でかわいい。ショートカットのホーキンスは初めて見たと思う。後頭部の形がよくてショートがとても似合っていた!でも心の中は辛い。二人の息子と元・夫ジョンともいい関係。元・夫は元・妻のこと一番よくわかっている。フィリッパは自分が「ノーマル」でないことが職場でも問題となっていて仕事も休む。でも息子と見た「リチャードⅢ世」の芝居で頭の中で何かがカチッと鳴った。リチャードⅢ世は私と同じだ!彼は誤解されている、彼をちゃんと理解したい!
アマチュア歴史家とか郷土史家は専門家なりアカデミックの人間からはまともに相手にされないのが殆どだと思う。でも彼らの情熱と勉強と研究は、大学の雑務や金集めや昇進でヘロヘロになっている「大学関係者」に比べたらずっと純粋で真実で素晴らしいことが多いと私は思う。
外見に対する偏見はどこの国でもある。それが王や支配者関連であれば隠蔽されるか嫌悪されて悪者になるか根拠なき噂まみれになるだろう。司馬遷もシェイクスピアも司馬遼太郎もそれからは逃れられない。だから考古学、発掘作業はとても大事だ、キングダムと兵馬俑発掘が密接に関係しているように。
本を沢山読み考え仲間達と交流する。でもアマチュアだから、女だから、感情的だからと、公的な場所(大学とか議会とか)では排除され軽くあしらわれるフィリッパ。そうなんだよ!でも女性と若い女子生徒たちはちゃんと見ている、わかっている。
リチャードⅢ世をテーマにしながら、グローバル化や競争研究費のせいでグチャグチャの大学、一方でスマホ、ズーム、クラウドファンディングの有り難さに今だなあ、ダニエル・クレイグのボンド三作目「スカイフォール」(最高!)やカンバーバッチが言及されるなどはイギリス🇬🇧だなあと思った。ホーキンスを通して見るイギリスは好き。彼女は本当に素晴らしい俳優。この映画に出会えて良かった💕
ワクワクする歴史探究もの
演技上手いなあ
極悪人のイギリス国王の遺骨を探す実話。
家族や仕事もうまくいかない女性。
行方不明のイギリス国王を見つけるべく、尽力を尽くす。←頭痛が痛いかな?
日本には無いような情勢や言い回し。
どこまで実話に基づいているのかは分からないが、
国王をが見つかるまで、ずっと国王の幻影に付きまとわれたんだろうな。
日本でも、なんでも無いと思ったところに、
ものすごい重要なものが埋まってるかもしれないね。
24.11.21 レンタル
聖フィリッパの奇跡
あのくだりは必用だったのか
リチャード三世…
尊厳の回復
そうそう、こういう「この世」のことより「あの世」のお世話がうまい(好きな)人って(男女問わず)舐められるのよね、と我が身を重ねつつ見た。/大学っていうのは、「あの世」と「この世」をつなぐ機関だと思うんだけど、昨今はどうも「この世」の事情ばかりを考えさせられるようで(これは日本も同じ)。そこに、女性で・シングルマザーで(元夫の協力は半端ないが、観劇での見下されはこれ故ですよね)・持病のある・在野の研究者というスティグマだらけの人物が、真相究明のための戦いを持ち込むという話。映画としては単なる歴史解明ドキュメンタリーにはしておらず、そこに映画である意義があると思った。リチャード3世同様、口を封じられた人間が、リチャード3世の名誉を回復することで自らの尊厳も取り戻すという。/とにかく突き動かされ、苦しいんだけどそうするしかないし、そこに生命の充実もあるという様子がよく伝わってきた。
タイトルなし(ネタバレ)
シェークスピアがリチャード3世の真実を歪めた訳では無い。
かなり辛辣で差別的な表現をリチャード3世に対して、シェークスピアはとっているが、フィクションとして描いている訳であるし、宗教改革前のデフォルメとアイロニーを描いていると感じる。それは戯曲として見れば一目瞭然。しかし、
日本で言えば、忠臣蔵の吉良上野介みたいに偏見で鑑賞者は見てしまう。なぜなら、その方が主旨が通るからなのだ。
さて、
リチャード3世に限った事でなく、歴史は一人の創作者や作家の個人的な意見で判断してはいけないと思う。
例えば、明治維新に付いてもそう言えるのではないだろうか。
クラファンのはしり
サリーホーキンス扮するフィリッパラングレーは上司の指名から外されクレームをつけた。子供たちはゲームばっかりでうんざりだ。そんな折、シェークスピアのリチャード3世の演劇を見てリチャード3世の人物像について疑問を感じた。
人間思いつめると亡霊まで見る様になるのかな。まずは書籍8冊を買い求めて調べるは良し。趣味が高じてリチャード3世協会へ行くも良し。でも亡霊を部屋に呼び込んで話するのはいかがかな。さらには駐車場を掘り返すなんてね。墓を探して正しく地位に相応しい埋葬をしてあげたいなんて立派なものだ。クラファンのはしりみたいな事もあったし、何と実話らしいから凄いね。でも大学が手柄を独り占めにしようとは情けなや。
シュリーマンのトロイ発見のようなお話し、であったらよかったのに…
うんー着想はいいのだがー
私がリチャード三世のことを知らなすぎてフワフワ見てましたけど、それにしても作りが荒いような気がしました。実話なのであんまり事実と違うことも言えないだろうけど、ほぼずっとフィリッパの勘だけで掘り進めていく感じ、そりゃムリがあるよ。あんまり細かく説明されても映画がつまんなくなるだけだけど、にしても根拠らしい根拠は研究者?のおじさんの「広場」の一言だけ。その後もフィリッパ全然報われないし、というか夫との愛も戻り、小学生たちからは講演に招かれて、フィリッパにとってはこれが報われたことになるのかもだけど、明らかに功績横取りされてるし、その強奪者達にはなんのお咎めもなし。大学教授リチャードに至っては善人なのか悪人なのか描くことさえ諦めてる感じ。フィリッパの病気についても最初の方では熱心に使ってたのに、話が佳境に入ってきたらすっかり忘れてる?好きなことに熱中してるから発作も出なくなったと言いたいのかな?だとしたらとても乱暴な表現。忘れてるようにしか見えないもの。実話の力に頼った映画でした。
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