ロスト・キング 500年越しの運命のレビュー・感想・評価
全96件中、1~20件目を表示
究極の推し活
500年にわたり行方不明だった英国王リチャード3世の遺骨発見の立役者となった女性の実話をもとに撮りあげたヒューマンドラマ。
わかる…わかるよ。
会社の上司に理不尽な評価をされて、あー世の中くそったれだなと思った時、ふと見た映画やドラマや、読んでいた漫画や小説で「あー彼も私と同じかもしれない…」とシンパシーを感じること…。
主人公であるフィリッパは、それがリチャード3世だった。
彼の真実を知りたいと、文献を読み漁り、知識人に話を聞きに行き、仕事を休んでまで彼のゆかりの土地まで足を運ぶ。
現代の言葉で言うと、もはや究極の推し活だ。
ただ彼女の推し活は執念で、彼の名誉を回復させることが、自分自身を救うことにも繋がっているようにも感じた。
推しが疑惑やイメージで悪く言われたら、そうじゃないんだと声高に言いたい気持ちはすごくわかる。
周りに相手にもされず、頭がおかしいとまで思われても、自分の直感を信じて最後まで諦めない彼女の姿は、とても眩しくかっこよかった。
実話だからこそ最後はちょっとモヤモヤしたけれど、彼女が追い求めていたことは名誉でも名声でもなく、ただひたすらにリチャード3世が世の中から正当に評価されてほしいという想いが1番だと思うので、彼女は私ほどモヤモヤしていないかもしれない。
それにしても500年後にこうして再埋葬されるなんて、リチャード3世もあの世でびっくりしているだろうな…。
ブレない信念
ひたむきに、そして真っ直ぐに信念を持って突き進むフィリッパ。
はたから見れば変わり者かも知れないが、そのブレない行動力がちょっと羨ましい。
時々現れるリチャード3世の幻影に励まされながら…
きっと、決して周りの目が全く気にならなかった訳では無いと思う。。。
それでも信念を貫き通す彼女に脱帽。
陰ながら、「がんばれ」と、応援したくなる。
ありがとう。これで私もブレずに進める。
心に潤いを与え、知的好奇心を満たしてくれる秀作
歴史というものは支配者の思惑によっていくらでもねじ曲げられるわけで、敗者の王たちは、自分とあまりに異なる虚像が広がろうとも、泣き寝入りするしか術がない。誰かが奇跡的に真実を掘り起こしてくれぬ限りは・・・。一人の女性がふとしたことでリチャード3世に興味を持ち、自らの信念を貫いて固定化した歴史を覆そうとする本作をとても面白く観た。人は物事や人物を枠にはめたがるもの。職場や家庭内でついつい枠にはまってしまいがちな主人公が、英国史に残る悪王として烙印を押されたリチャード3世に惹かれ行く様は、突飛な展開ながら無理なく納得してしまうユニークさがある。凝り固まった常識や権威主義の眼鏡を外し、濁りない眼で真実を見極めようとする役柄をサリー・ホーキンスが嬉々として演じていて、観ているだけで微笑ましく、元気をもらえる。夫役のスティーヴ・クーガンは共同脚本も担当。知的好奇心を満たす充実した内容に仕上がっている。
権威主義が個人研究者を蔑視する悪弊が、朝ドラ「らんまん」に通じる
500年以上行方不明だった英国王リチャード3世の遺骨が2012年に発見された実話に基づくそうで、大学等に所属していない個人の研究者フィリッパ(夫と別居中のワーキングマザー)が発掘を牽引したという事実にまず驚かされた。
もっとも、劇映画化に際してよりドラマティックな効果を狙い、主人公にリチャード3世の幻影を見させるなど、ファンタジックな描写も添えている。遺骨が埋まっている駐車場にも馬上のリチャード3世に導かれるが、現実には既に別の研究者らが遺骨がある場所として絞り込んでいた候補地の1つだったそうで、場所の特定をフィリッパ(と彼女の霊感)だけの手柄のように描くのは創作が過ぎると感じた。
とはいえ、当初はプロジェクトに懐疑的で非協力的だったレスター大学の関係者らが、遺骨が見つかった途端に大学主導の偉業のように吹聴し、フィリッパの功績を蔑ろにするのは、悲しいかな既視感のある、現実にありふれた構図なのだろう。植物学者牧野富太郎をモデルにしたNHK朝ドラ「らんまん」でも何度か描かれたように、国立大学など国の組織に属する権威主義者が下請けや在野の研究者を見下し、何か目覚ましい功績があれば大学や所属教授の手柄にしようと画策するのは、英国でも日本でも同様の悪しき伝統なのだろうか。
レスター大学や考古学者リチャード・バックリー(遺骨発掘後、名誉教授に)なども実名で登場しており(もし日本で比較的最近の実話を劇映画化するなら、当然各方面に忖度して架空の名前だらけになりそう)、結構な悪役として描かれているため、公開後に抗議の声明や法的措置の示唆もあったようだ。完全なフィクションなら大学側に天罰が下ってスカッとさせてほしいところだが、そのあたりは実話ベースゆえ、今一つすっきりしないエンディングを迎える。ともあれ、遺骨発掘の経緯自体は実に興味深く、英国で放映されたドキュメンタリー作品「Richard III: The King in the Car Park」がUK版のプライムビデオで配信されているので、ぜひ日本でも視聴可能にしてほしい。
尊厳の回復
そうそう、こういう「この世」のことより「あの世」のお世話がうまい(好きな)人って(男女問わず)舐められるのよね、と我が身を重ねつつ見た。/大学っていうのは、「あの世」と「この世」をつなぐ機関だと思うんだけど、昨今はどうも「この世」の事情ばかりを考えさせられるようで(これは日本も同じ)。そこに、女性で・シングルマザーで(元夫の協力は半端ないが、観劇での見下されはこれ故ですよね)・持病のある・在野の研究者というスティグマだらけの人物が、真相究明のための戦いを持ち込むという話。映画としては単なる歴史解明ドキュメンタリーにはしておらず、そこに映画である意義があると思った。リチャード3世同様、口を封じられた人間が、リチャード3世の名誉を回復することで自らの尊厳も取り戻すという。/とにかく突き動かされ、苦しいんだけどそうするしかないし、そこに生命の充実もあるという様子がよく伝わってきた。
シェークスピアがリチャード3世の真実を歪めた訳では無い。 かなり辛...
シェークスピアがリチャード3世の真実を歪めた訳では無い。
かなり辛辣で差別的な表現をリチャード3世に対して、シェークスピアはとっているが、フィクションとして描いている訳であるし、宗教改革前のデフォルメとアイロニーを描いていると感じる。それは戯曲として見れば一目瞭然。しかし、
日本で言えば、忠臣蔵の吉良上野介みたいに偏見で鑑賞者は見てしまう。なぜなら、その方が主旨が通るからなのだ。
さて、
リチャード3世に限った事でなく、歴史は一人の創作者や作家の個人的な意見で判断してはいけないと思う。
例えば、明治維新に付いてもそう言えるのではないだろうか。
クラファンのはしり
サリーホーキンス扮するフィリッパラングレーは上司の指名から外されクレームをつけた。子供たちはゲームばっかりでうんざりだ。そんな折、シェークスピアのリチャード3世の演劇を見てリチャード3世の人物像について疑問を感じた。
人間思いつめると亡霊まで見る様になるのかな。まずは書籍8冊を買い求めて調べるは良し。趣味が高じてリチャード3世協会へ行くも良し。でも亡霊を部屋に呼び込んで話するのはいかがかな。さらには駐車場を掘り返すなんてね。墓を探して正しく地位に相応しい埋葬をしてあげたいなんて立派なものだ。クラファンのはしりみたいな事もあったし、何と実話らしいから凄いね。でも大学が手柄を独り占めにしようとは情けなや。
シュリーマンのトロイ発見のようなお話し、であったらよかったのに…
フィリッパ▪️ラングレーの努力が二重、三重にリチャード3世の評価と重なっているストーリーがとても悲しいお話し。彼女が2018年に叙勲されたのが唯一の慰みでしょうか。この映画をどう評価したものか… ただ、映画的興趣は高く、絵は綺麗で、私の好みです。
うんー着想はいいのだがー
私がリチャード三世のことを知らなすぎてフワフワ見てましたけど、それにしても作りが荒いような気がしました。実話なのであんまり事実と違うことも言えないだろうけど、ほぼずっとフィリッパの勘だけで掘り進めていく感じ、そりゃムリがあるよ。あんまり細かく説明されても映画がつまんなくなるだけだけど、にしても根拠らしい根拠は研究者?のおじさんの「広場」の一言だけ。その後もフィリッパ全然報われないし、というか夫との愛も戻り、小学生たちからは講演に招かれて、フィリッパにとってはこれが報われたことになるのかもだけど、明らかに功績横取りされてるし、その強奪者達にはなんのお咎めもなし。大学教授リチャードに至っては善人なのか悪人なのか描くことさえ諦めてる感じ。フィリッパの病気についても最初の方では熱心に使ってたのに、話が佳境に入ってきたらすっかり忘れてる?好きなことに熱中してるから発作も出なくなったと言いたいのかな?だとしたらとても乱暴な表現。忘れてるようにしか見えないもの。実話の力に頼った映画でした。
勉強不足で観たけれど・・・
勉強不足でリチャード3世のことをよく知らずにこの映画を観ました。
それでもよく理解できてこの映画の良さが分かって楽しめました。
主役のサリー・ホーキンスはこういう感じの役柄ピッタリですね。
正当に評価されない人の気持ちがよく分かり
思ったことを粘り強くやり遂げる気持ちの大切さに感動しました。
元夫も最初は好かん奴かなと思ったけど
家族みんなで応援してくれるようになりいい気持になりました。
大学には胸糞悪かったけど主人公の笑顔に救われました。
面白かった。 でも頭に来た。 正当に評価されなかったり意見を軽んじ...
面白かった。
でも頭に来た。
正当に評価されなかったり意見を軽んじられたり、
結構イライラした。
感情が見えるのよくないとか、女性に言うのもよくあるけどむかつく。
アマチュア歴史家の人たちに聞いてまわるところワクワクした。
発掘調査の場面、
情報を集め精査して出てくる予想は掘り起こして何か見つかった時点で実績があるのに、信頼されずもどかしかった。
すでにある、今の時代に残ってる情報をまとめた彼女の情熱はすごい。
今までの歴史家も同じ情報を集めることができるのにやってなかったのは情熱がなかったから。
リチャード三世への悪いイメージと興味のなさがあったよう。
シェイクスピアも「フィクションなのにみんな真に受けすぎ」と思ってるかも。
自分の書いたものが意見の根拠にされてもそれ創作なんだけど…って。
数年前発見したニュースを見た覚えがあって、女性が駐車場で見つけたのを知ってたから、少し先がわかって見てた。ちょっと自分でネタバレがあったのが残念。
信念こそ生きる理由になる
特に印象に残ったのは、
フィリッパが
「みんな私のことをME(病気)の人としてみてる」
「でもそれだけじゃない」と心から絞り出したとき。
信念こそ持ち続けることは難しい
自分自身を信じ続けることは本当に困難
仕事や家族などやるべきことがたくさんあり、
また心身の調子が思うようにいかない中で、
周囲の冷笑を乗り越えて、やりたい事をやり続ける彼女は本当にまぶしかった。
最後に。レスター大学の評判がこれで下がると思うとスッキリする!笑
実話に基づく歴史的の発見の裏に。
持病のせいで不当な扱いを受けていた女性がたまたま観たシェークスピア劇に触発されて、歴史の常識にとらわれない持論をもち、それを解明していく。
歴史に完全な素人にも関わらず,これほどの調査と行動力を発揮できるものなのか。
空想の王様が出てきて,導いてくれたり共感してくれたりの演出もとても面白かった。
そしてこの大発見の裏に、大学という権力が汚らしく存在するあたりも、すごく説得力があった。
彼女が子供たちに語る歴史は,きっと夢と希望に溢れてると思う。リチャード3世、嬉しいだろうなぁ(笑)
歴史は後に作られる
息子たちとシェイクスピアの「リチャード三世」を観劇したフィリッパ。リチャード三世は、自分と同様に正当な評価をされていないのではと感じ、その研究に没頭する。そして別れた夫や息子たちの協力で、遺骨探しをはじめ、大学も動かすが。
背中にこぶがあり、甥二人を殺し王位に就き、遺骨は川に捨てられたという悪名高いリチャード三世。その川に碑まであります。しかしフィリッパと同様に疑問に思う人が世界中にいて、リカーディアンと呼ばれています。全然知りませんでした。そして筋痛性脳脊髄炎に悩みながら、真相にたどり着き500年の歴史を覆した、フィリッパに天晴、感動しました。重厚なのに軽妙な物語もよかった。
サリー・ホーキンスが、やっぱりいいなぁ。
ユーモア溢れる脚本
熱意や執念により奇跡を起こした実話ベースのお話。
とにかく主演のサリー・ホーキンスさんの演技が素晴らしく最後まで見入ってしまった。
ヒューマンドラマだけではなく無口なリチャード三世の幻影が出てくるのもファンダジー要素が加わってそのユーモアさが楽しい。
自身の名誉より彼の汚名払拭や真実を知りたいという正義感で突き進むフィリッパを自然と応援出来た。
それでもクライマックスの在り方にはスカッとしない部分がありその後の結論がテロップで示される手法は寂しかったかな。
全96件中、1~20件目を表示