「百獣の王は、いつしか他の動物を操れる動物使いになっていた」クレイヴン・ザ・ハンター Dr.Hawkさんの映画レビュー(感想・評価)
百獣の王は、いつしか他の動物を操れる動物使いになっていた
2024.12.14 字幕 MOVIX京都 ドルビーシネマ
2024年のアメリカ映画(127分、G)
原作はスタン・リー&スティーヴ・ディッコの同名コミック
百獣の王の力を得た男の活躍を描くアクション映画
監督はJ・C・チャンダー
脚本はアート・マーカム&マット・ホロウェイ&リチャード・ウェンク
原題は『Craven The Hunter』で、劇中で使用されるの意味は「死を運ぶ狩人」
物語は、ロシア極東にある刑務所にて、囚人のふりをして侵入するセルゲイ(アーロン・テイラー=ジョンソン、若年期:リーヴァイ・ミラー)が描かれて始まる
彼の目的は、刑務所を牛耳るキーロフギャングのボス・チョーニィ(ユーリー・コロコリニコフ)で、見事に目的を成し遂げた
その14年前、セルゲイとその弟ディミトリ(フレッド・ヘッキンジャー、若年期:ビリー・バラット)は、母の死によって、マフィアのボスの父ニコライ(ラッセル・クロウ)の教育を受けることになった
ニコライの趣味は狩猟で、北タンザニアにて、百獣の王「ザー」を仕留めることを目的としていた
その後、ザーはセルゲイの目の前に現れるものの、彼はザーを仕留めようとは考えなかった
だが、ニコライの銃弾がザーを貫き、そのために凶暴化してしまう
ザーはセルゲイに襲いかかり、そのままどこかへと連れ去ってしまった
その後、セルゲイはたまたま現地に来ていたカリプソ(アリアナ・デボーズ、若年期:Diaana Babnicova)に助けられ、彼女は祖母(Susan Aderin)から貰った秘薬を彼に使った
それによって、セルゲイは復活を果たし、ライオンの血液が彼の中に入ったことで、その力を得ることになった
そして、セルゲイは父と袂を分ち、密猟者などを中心に粛清を始めていくのである
映画は、セルゲイがクレイヴンと名乗って活躍する様子を描くのだが、彼が「クレイヴン」という名前を使う理由や過程などは描かれない
「死を運ぶ狩人」という意味があり、伝説の人物のようで、映画のキャラは「あの伝説の」みたいな感じで捉えている
だが、始めてその言葉を聞いた人には全く響かず、彼らが何を恐れているのかもわからない
クレイヴンのリストに載ると狙われるというものの、彼がリストを入手してから殺した人数もほとんどおらず、伝説となっていること自体が意味不明のように思えた
物語は、兄弟が別の人生を歩むに至る過程を描いていて、ディミトリは兄が父を殺したことで、結局は同じタイプの人間であると断罪する
そして、今回の敵であったアレクセイ(アレッサンドロ・ニコラ)から得た情報をもとに、自分をカメレオン化していく
冒頭からモノマネが上手いキャラとして描かれ、歌手の歌マネができるほどだが、最終的には体自体を変化させてカメレオンとなっていく
このあたりも結論ありきで描かれているので、かなり駆け足で説明していたように思えた
いずれにせよ、マーベルコミックファン向けの映画で、地味だけどファンが多い作品なのだと思う
なので、事前に作品の世界観や立ち位置を知っていることが前提のようで、セリフだけで登場するキーキャラも登場する
また、フォーリナー(クリストファー・アボット)のキャラもほとんど説明がなく、彼の師匠をクレイヴンが殺したみたいな説明セリフがあるのだが、そんな出来事あったっけという感じになっていて、その辺りのことも知っている前提で話が進んでいく
単純なアクション映画として楽しむ分には良いと思うが、ストーリーを端から端まで楽しむためにはかなりの事前準備が必要なのかな、と感じた