イノセンツのレビュー・感想・評価
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それは
「イノセンツ」
森の中の郊外の団地。
夏休みはどこの家庭は別へ休暇中なので
大きな団地でも、人が少なくひっそりとしている。
新しく入居した家族。
序盤から子供の無知と無垢と無邪気は
理性を持ってしまった大人をゾッとさせる。
最後は静かな対決。
ロケーションと設定、
とてもスリリング。
しかし友情や愛がある。
動物に危害は加えておりません。
開始早々、天真爛漫な子供の中にある
邪悪さを見せられて
「2時間耐えられるか😫」と思ったほど。
穢れを知らないからこそ生まれる邪悪な心
冷徹で残酷な子どもたちには「母親からの愛情」も
大きく関係するのです。
姉への嫉妬心、抑えられない怒り、
子どもならではの短絡的な思考
久しぶりに終始ぞわぞわさせられました。
誰しもが悲鳴をあげたくなるあのシーンは
劇場で映画観ながら初めて「ひっ😨」と声が
出てしまいました💦
4人が集まることで、能力がパワーupした時には
X-Menの育成話❓かと思うほどで、
それまでの雰囲気や禍々しさや陰鬱とした空気感が
ちょっと崩れたなぁ🤔勿体ない気がしました。
猫チャンに対する所業は許すまじ!!
倫理観が形成される前の残虐性を残した子供たちが、超越的な能力に目醒めてしまうサイキックスリラー。
大人たちの知らないところで静かにサイキックバトルが繰り広げられる構図は面白い。
……だけど、猫チャンに対するあの描写は絶対許せない!
その他の美点をすべて帳消しにして、マイナス5万点。
【夏休みに”或る能力”に覚醒した子供達4人の、無垢故に善悪の区別が曖昧な中”或る力”を暴走させて行く少年や、子供達の関係性の変遷を不穏極まりない雰囲気で描いた北欧サイコキネシス・スリラーの逸品。】
ー フライヤーに記載されている通り、今作は大友克洋の名作「童夢」へのオマージュに満ちている。ー
■「童夢」・・一応概要を記す。
ボケてしまったチョウさんの住む”団地”に、悦子と言う女の子が越してくる。怪事件が多発していた団地の中で”悪戯”をしていたチョウさんに、悦子はチョウさんを上回るサイコキネシスでチョウさんの”悪戯”を止めようとする。
ラストの公園での二人のサイコキネシス対決は、名シーンである。
*今作と「童夢」との関係性
チョウさんは誰が見ても、一線を越えて善悪の区別がつかなくなった強力なサイコキネシスを得たベンジャミンである。
そして、悦子は、悦子と同じく団地に越して来た、イーダと強力なサイコキネシスの能力を持っていた自閉症の姉のアナである。
今作は、そこにアイシャという自分の意思を告げられないアナの代弁者であり、且つ凶悪化したベンジャミンに対し、怒りを持つようになった女の子が重要な位置づけで描かれているのである。
◆感想
・冒頭、イーダと姉のアナが郊外の団地へ向かう車の後部座席に乗っているショット。
ー 陽光が降り注ぐ中、イーダはアナの足を抓る。だが、アナは表情を変えない。アナが自閉症である事が、この後語られる。
団地に越してからも、イーダはアナの靴の中に割れたガラスを入れる”悪戯”をする。イーダは母に構って貰えない理由をアナの所為にしているようだ。-
・イーダは団地で、一緒に遊ぶようになったアイシャ(黒人だが、白斑に罹っている。)とベンジャミンとで、石を垂直に落としてそれを別の方向に曲げる”遊び”や木の枝を折ったりする”遊び”をしている。
ー 最初は”遊び”だったのが、思考を共有していく子供達の間に起こる摩擦。
特にアイシャは口の利けないアナの思考が良く読め彼女の代弁者となる。ー
■そんな中、ベンジャミンの”遊び”が残忍化していく様は恐ろしい。
元々猫を階段の上から落としたり、その猫の頭を踏みつぶしたりするベンジャミンの残虐性ある性格が、徐々に暴走し始める。
口うるさい母に対し、料理中に頭にフライパンをぶち当て昏倒させ、煮えたぎるスープが入った寸動鍋を母親にサイコキネシスで動かし掛けるシーンは、可なり怖い。
更に彼は、或る男を操り且つて、サッカーの時に彼を揶揄った14歳の少年を襲わせ殺し、サッカーをしている少年たちの一人の足の骨をへし折るのである。とても怖い。
ベンジャミンのサイコキネシスの暴走が始まって行くのである。
・ベンジャミンの行動に気付いたアナとアイシャはベンジャミンを止めようとするが、ベンジャミンはアイシャの母を操り、彼女を刺殺する。
ー この辺りの子供達の連動性が、コレマタ怖い。アイシャに対するベンジャミンの攻撃を察したアナとイーダは、彼女を助けようとするが・・。
又、アナのサイコキネシスの力が、実は一番強いのではないかと分かって行くシーンも印象的である。彼女が回す止まらない鍋蓋。
自分の心を読んでくれたアイシャを殺したベンジャミンに対する声なきアナの怒り。
故に、アナに対してはベンジャミンも手が出せないのである。ー
■そして、アナとイーダが、アイシャを殺したベンジャミンと対峙するシーン。アナとイーダは今や結束して手を繋ぎ、少し遠くの公園のブランコに座っているベンジャミンと、サイコキネシス対決をするのである。
そして、周囲の大人は何一つ気付かない中、ベンジャミンは息絶えるのである。
- ここは、監督の”童夢”に対するオマージュが容易に感じられるシーンである。”童夢”では、悦子がブランコに乗り、チョウさんは公園の椅子に座っている。そして、チョウさんが悦子の自分を観る怒りに満ちた姿に気付いた時の驚愕の表情。(見開き2ページ使って、大友氏はその表情を描いている。名シーンである。)-
<今作は、子供だから善悪の区別が曖昧な中、サイコキネシスを暴走させて行くベンジャミンや、それを止めようとするアイシャ、アナ、イーダの関係性の変遷も絡めて、ヒンヤリとした恐ろしさと、独特の世界観を漂わせた、北欧サイコキネシス・スリラーの逸品である。>
■2023年8月20日
親切なレビュアーの方のご指摘を頂き、一部修正しました。
単純に面白い!とは言えない…
サイキック物は楽しい方がいい…
猫可哀想…
ストーリーの構成とかキャラクター的にはいいと
思いますが…残虐なシーンが意外と多くて
HSP気質の私はみ終わったら疲れてしまいました。
念力でものを動かす戦いなのかと思いきや
人まで操れるなんて…念力で留めといてくれたら
良かったなぁ、と個人的に思いました。
スプーン曲げとか物体浮遊、透視能力とかテレパシー…
その辺ならまだサイキック感ありますけど、
人を操る、憑依に似た能力まで使っちゃうとなんでもありになっちゃう。
健常者の妹が小さいながらも自閉症の姉にしたイタズラを姉はどう感じてたのかとかは気になりました。
終わり方は結構あっさりしていたので良かったかなと思います。
まんま
なかなか雰囲気を盛り上げるのが上手い。
北欧の映画はたまにこういう良品がある。劇伴も効果的で好ましい感じだし、なんといっても子役の4人がそれぞれ上手い。そこがポイントかな。
しかしラストは『童夢』まんまじゃねぇか。笑っちゃったよ。いや別に良いんだけど…
(試写会で見た作品は内容のいかんにかかわらずネタバレ扱い)「わたしは最悪。」と相性があうかどうか?
今年237本目(合計888本目/今月(2023年7月度)23本目)。
(参考)前期214本目(合計865本目/今月(2023年6月度まで))。
fansvoiceさまのご厚意で早く見ることができました。
北欧発のサイコスリラーというもので、北欧映画自体が珍しいので(しいてあげれば、ロスバンドくらい?)、そこでの目の引きようはあると思います(ただ、今のところミニシアター中心の模様)。
また、2時間と結構本格的な割に表現についても配慮があり(何の表記もないけど、一般指定?あってもPG12だと思いますが…)、ここは安心して見られるところです。
通常、子供どうしのトラブルには親なり警察なりが合理的な範囲で介入しますが、介入しなかったり、介入の度合いが不適切だったり配慮が不適切だったりすると、子どもはどんな反応を示すのか…というのがテーマで、日本では福祉の在り方が違うので一概には言えませんが、設定的にはありだろう、というところです。
どうしても映画の趣旨的にネタバレ要素が異様なまでに強く(一応、「これには触れないで」という扱いはないものの、どう考えてもダメでしょみたいなのは3つくらいはある)、どう感想を書いてよいか…といったところです。
なので、関連する作品やヒントになりそうなところなどなどを。
まず、日本では北欧映画というのは結構珍しいもので、本作品が正式公開される日も含めても、1年間に2~3本あるかどうかというもので(去年はロスバンド)、ロスバンドなり何なり、旧作でもよいので何かVODで課金して、「北欧作品とはどういうものなのか」ということを事前に把握することをお勧めします。
また、北欧映画あるあるなのですが、登場人物の名前(趣旨的に子供の名前が大半)が一般的な名づけと違うようで、余り聞きなれない名前の子も出てきますが、「誰が誰か」を整理できないと詰むところがあります(ただ、趣旨的にはスリラーものないしホラーなので、そこが理解できないと全体がワケのわからないということにはならない)。気になるなら、何か作品を一つ見るだけでも、「北欧映画ってこういう名前の人が多くて、(インド映画やドイツ映画等と違い)こういう独特な進み方なのね」ということがわかるのでお勧めです。特に後者、「登場人物の整理」に関しては、オンライン試写会では都度巻き戻して公式サイトを参考にしながら見ることはできますが、実際の映画館ではそれはできないので、2時間と長い事情もあり(一応、1時間57分ですが、そこに映画館の予告編やら、「勝手に盗撮するな」とか入れると2時間10分くらいか?)、途中で「半つまり」が発生しますので、公式サイトなどで事前に「予習」しておくだけでも違います。
なお、このスリラー・ホラーものは後半の1時間に多く集中しますが、前半の自己紹介的なパートの部分にもヒント描写は隠されています。とかく長い映画は「本質でない部分」が軽んじられる傾向がありますが、この映画はそこを飛ばしたり適当に見ているとさらに詰まるので注意です。
また、タイトルにも書きましたが、脚本が「わたしは最悪。」の方と同じである事情もあり、ストーリー展開が多少似る部分もあります(ジャンル分類が違うので、「多少似る」程度であるにすぎない)。この点でも同作品を見て賛同できたかどうかも、チョイスのひとつの選択肢になりうるだろうと思っています。
減点対象としては特に見出しにくいのでフルスコアにしています。
やはり「わかりにくい」点は、北欧映画という「レアさ」から出る部分はどうしてもあるので、試写会参加者も正規の公開公開日にもう一度見ることも、また想定されているし、それもあまり負担はかからないのかな、という気がします(2時間というのは一応、標準より少し長いかな、程度でしかないので)。
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