イノセンツのレビュー・感想・評価
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純粋で無垢な最高のサイキックホラーですね。
子役達の演技は圧巻で、アンナ役の自閉症の子供を演じるのは、素晴らしい。
団地に住む子供達の設定は、素晴らしくほんとに様々な家庭環境下に置かれているのは、真実味がありストーリーに入り込みました。
サイキックと連想すると、バーン💥ドーンなど派手なアクション、人体破壊などあるかと思わされますが、まー静かにジワジワと恐怖心に変わる映像と音響が素晴らしい👀
子供の純粋で無垢なゆえに、残酷にもなり得る。
そこにプラスされて、サイキックを手にしたらさぁどうなるのか?
ハラハラ、ドキドキが最後まで持ってイカレましたねー。
最高でした。
大人は判ってくれない
テルマ(2017)の脚本家が監督にまわってつくった映画。
少女アイダは引っ越し先の団地でテレキネシスやテレパシーがつかえるベンやアイシャに出会う。自閉症の姉アナも精神感応ができるようだ。
当初はあそび仲間だったベンはサイコパス気質があり、能力をつかって人を傷つけるようになったので対立する。
道徳倫理や社会通念のない子供が凶悪な能力をもっていることが、基地外に刃物のような様相を呈し、見ていてすごくはらはらした。息詰まる映画だった。
映画は見たままの印象で、いじめや無理解な大人などの寓意は読み取れるものの、とくに明らかなメッセージにはなっていない。
が、子供らは大人の理解できない高度な能力をつかって大人の解決できない問題に対処しようとしている。その豊饒ともいえる子供らの能力世界から見たとき、大人たちの経済的な生活の諸問題などが、ばかばかしいものに見えるという構造において、皮肉や風刺が成立している。
アイシャの母は台所でいつも泣いているが、大人らは各々、生きづらい俗世間をどうにか生きていかなければならないゆえに、つねに自身の悩みと屈託に沈んでいる。それが無関心や無理解の態度となって子供にあらわれる。
一方で子供らはテレキネシスやテレパシーをつかって人類の敵となるであろう邪悪を倒そうとしている。
ところが大人からは子供は子供でしかなく、アナは意味をもたない非言語の自閉症スペクトラムにしか見えない。
de uskyldigeという原題を翻訳機にかけたら“あどけない”とか“罪のない人”などと翻訳された。
じっさいには恐るべき能力をもった者が、端からは(大人からは)無力なde uskyldigeにしか見えないということの逆説をこの映画は言っている。
いずれにしてもたんに異能の子供らを描いたのではなく複合の寓意を持たせようとしている感じがあった。ともすればベンは「大人は判ってくれない」のジャン=ピエール・レオに見えなくもない。
この感じはテルマにも通じていて、テルマは見た人毎にいろんな印象のある映画だった。個人的なテルマの解釈は「宗教二世の悲劇」であり、それはこんな感じ。
テルマは厳格な信者夫婦の子に生まれた。つづいて弟のトロンが生まれるがなんらかの要因で死なせてしまう。両親は悲しみから逃れるために、何かと小賢しいテルマに弟の死の責任をかぶせる。心因性の発作も悪魔憑きのようにとらえて抗精神病薬を飲ませてテルマをグルーミング=手なずける。
こうしてテルマは両親にコントロールされて育ったが、親元を離れ寮生活をはじめ、アニャに出会いお酒をのんだり性的な高ぶりを経験し、また自身の診療歴を知って、両親によるグルーミングから徐々に覚めていき、最終的にアニャとふつうの学生らしい生活をつかみとる。
この解釈のばあいは超常現象の描写がぜんぶ両親の妄想であり、もとよりテルマは発作がある以外はふつうの子だったが、肥大した狂信者である両親には彼女がモンスターに見えていたのだった・・・。
この映画イノセンツもそのように大胆な解釈もできるようになっていて、すなわちそれぞれの自由な想像に委ねるという特長が作家・脚本家として優れていると思った。
imdb7.0、RottenTomatoes97%と73%。
姉と私の忘れえぬひと夏の経験。子供はみんなイノセンツ。
福祉国家として有名なノルウェー、かつては移民政策にも積極的で一時期移民の数は人口の一割を超えるほどに。しかし極右過激派の男がその移民政策に反対して連続テロ事件を起こした。「ウトヤ島、7月22日」はそのテロ事件を描いた作品。その事件をきっかけに保守政党が政権を握りノルウェーは移民規制に舵を切ることとなった。そんな経緯があるだけに移民の子供が悪役の映画なんて作って大丈夫なのか、ただでさえ移民には風当たりが強いというのに。この監督は移民反対派の人間なのかな。
監督のインタビュー記事を読むと、オーディションで人種性別関係なく演技力で選んだら結果的にあのキャスティングになったとのこと。移民という設定自体はキャストが決まった後に改編したらしい。ちょっと勘ぐりすぎたかな。
小学生の頃、捕まえたバッタの足を友達が楽しそうに一本一本むしり取っていた光景は今も脳裏に焼き付いている。無邪気でたわいもない子供の遊び、しかし残酷でもある。他者への思いやりの感情がまだ芽生えてない幼き頃、そんな幼少期のひと夏を描いた異色の作品。
それぞれの事情を抱えた子供たち、イーダはまだ幼く甘えたい盛りにもかかわらず両親は自閉症の姉につきっきりで、その寂しさを紛らわすためかまたは姉への嫉妬からか細かな嫌がらせをしたり、虫を殺したりしている。
ベンは母子家庭で体にあざがあることから母親から虐待を受けてるようである。アイシャはソマリア難民の母親が夫を亡くしたばかりで情緒不安定。そして自閉症のアナ。そんな問題を抱える四人がひと夏をともに過ごす。四人は無二の親友になれるかと思われた。
だがベンの抱える闇は深刻だった。涙を流しながらも動物をたやすく殺してしまうほど、もはや心のバランスを失いかけていた。監督は善悪の分別がつかない頃の子供時代はみなそれなりに悪いことをしたものだというが、昆虫を殺すのと哺乳類を殺すのとではわけが違う。人間と同じ赤い血が流れてる動物を快楽で殺せる人間は過去の実例からもわかる通り次は人間を標的にするものだ。
母親の命を奪ってしまったベンは歯止めが利かなくなり三人に対しても牙をむく。そんなベンに三人が立ち向かう。自閉症のアナは唯一の理解者アイーシャを奪われてベンと対峙する。互角の能力を持つ二人だが、そこに同じく能力に目覚めたイーダが加勢して二人は勝利するのだった。
この経験で少しだけ成長し、イーダとアナの絆は深まった。そしてお絵描きボードにただ殴り書きをしていたアナの手が止まるラストカット、彼女の進歩をうかがわせるシーンだと解釈した。
幼少期の忘れえぬ甘酸っぱい成長譚とサイキックスリラーを足したような作品。ただサイキック描写の部分は少々物足りなかった。大友克洋の童夢にインスパイアされたなんていうもんだからどんなアクションが見られるかと思ったら肩透かしを食らった。
サイキックアクションといえば古くは「スキャナーズ」の頭部破裂、血管浮き出しまくりの血しぶき出まくりから、北斗百裂拳を食らった悪党が体を爆裂させるかのような「フューリー」の人体大爆発までと、ありとあらゆるサイキック描写を堪能してきた自分としてはいささか物足りない。かといって心理的に怖がらせてくれるかと思いきや「シャイニング」には遠く及ばない。監督のインタビューを読むとどうもサイキックホラーというジャンル分けも無理があった気がする。やはり子煩悩な監督が描いた子供たちの幼少期の成長譚ととらえるのが無難なんだろう。
演技力で選んだというだけあって四人の子役の演技は圧倒的だった。難しい役どころを見事に演じていた。
子供故の残虐性、無邪気さは狂気をはらむ
穏やかで眠たくなるような序盤だが退屈には感じさせない不穏で静かな展開だが、徐々に確かに強大になる力
感情がコントロールできないことからの暴走、とも言いきれないところがこの映画の深みであって、大人であってもその狂気は毎日のように世間を賑わせている
終盤、少女の決心には心動かされるものがある
そして最も静かで壮絶なラストバトルには息を呑む
勝ったがそこに善悪は存在するのか?
とんでもないものを観た感覚だ
大友克洋作『童夢』は読んでいるが、北欧ならではの寒々しさと無駄も派手さもない冷たい雰囲気が物語に混ざり合い感情に訴えかけるものとなっていた
めちゃくちゃ面白い
次は私?!
大規模マンション内で起きる連続殺人事件、超能力少年少女たちによるサイキック・バトル、そして問題のラストシーンが、大友克洋による漫画『童夢』にそっくりだという。監督のエスキル・フォクト本人が白状しているので間違いないだろう。私は本作を観ていてパク・フンジョン監督の『The witch』をふと思い出したのだが、ド派手なアクションの代わりにこの映画、恐怖がジワジワと忍び寄ってくる北欧らしい静かな雰囲気が特徴だ。
自閉症の姉アナを持つ妹のイーダ、テレパシー能力に優れたアトピー少女アイシャ、そしてアナと同等のサイコキネシスが得意技のベン。ほぼ育児ネグレクト状態のベンは近所の子供たちから除け者にされているられっ子で、引っ越してきたイーダに自分の能力を見せて友だちになる。アイシャは言葉が喋れないアナの気持ちを伝える通訳のような存在で、超能力ごっこで盛り上がった4人はすっかり意気投合仲良しに。しかし、心に闇を抱えていたベンは次第に狂暴化、女子3人でなんとかベンの暴走を食い止めようとするのだが...
4人の中で最も強力な能力を持っているのが、実は自閉症のアナであり、さすがのベンも一対一の勝負では歯が立たない。しかしこのアナ、アイシャのヘルプがなければ喋ることもままならず、肝心な時に「ウ~ん、ウ~ん」うなってるだけてまったく役に立たない。このじれったさが実に効いていて、静かなトーンながら緊張感が常に場を支配しているのである。身の危険を察知したノンケ少女イーダはベンをノラネコ戦法?で排除しようとするのだが.....
アナの血を引いているイーダ、そしてマンションの窓から、アナ姉妹vsベンのラストバトルを観戦していた子供たちも、おそらく超能力者だったのではないか。つまり、北欧の森に佇むこのマンションは超能力者の子供たちだらけだった、という設定だ。彼ら彼女らはアイシャやベンのように、移民のワンオペ家庭で親から満足な愛情を注いでもらっていない子供たちだったのではないだろうか。この点、両親がちゃんと揃っているイーダ姉妹の家族とは若干異なっているのである。
親に潰されそうになった子供は大人の気持ちを読むようになると、『ナイトメア・アリー』のインタビューでギレルモ・デル・トロが語っていたが、ベンやアイシャの場合もまさにそれ。現在3組に1組が離婚している日本においても、親の愛情に飢えている子供たちがおそらく急増中のはずであり、もしかしたらもしかするのである。恐るべき宿敵をやっつけて一件落着の姉妹だったが、今度はママの愛情をめぐって仁義なきサイキックバトルを繰り広げるのかもしれない。「次は私?」なんたって超能力に目覚めたイーダには前科があるのだから。
名作です。
子供たち同士の心理変化とその戦い。
子供たちの繊細な心理描写がとても上手く描けています。
悪はただの悪ではなく純粋が故の行動であり、子供たちにとってはアリを殺すのも猫を殺すのも同じ価値なのでしょう。
もちろん人も…。
この映画の魅力は何を言っても子供たちの演技が物凄いです。
少年役の演技の上手さはピカ一でこの少年じゃなかったらこの映画は成り立たないぐらいです。悪役ですが子供とは思えない最高の演技をしてくれています。
あと、おねーちゃんの役の女の子も凄く上手です。
見てない人は是非視聴を。
危険な遊び
イーダ(9歳)
その姉で自閉症のアナ
アラブ系のベンジャミン(ベン)
インド系のアイシャ。
この3人の少女と一人の少年のサイキック・ホラー映画です。
引き込まれました。
不思議で神がかりで邪悪で無垢(?)
でもって、少しはズルい。
でもアナはめっちゃ無敵でかっこよかった!!
自閉症の子どもはある意味で選ばれた子どもかも知れない。
特殊能力を持つ故に、
言葉が話せない、
他者と意思疎通が出来ない、
相手の顔を見ない、
などの代わりに、
聴こえないものを聴き、
見えないものを見、
細密な絵画や、作曲、計算、ジグソーパズルなどが得意、
だったりする。
この北欧ホラーは子どもたち4人がサイキック能力を持ち、
その中の一人が邪悪な心を持っていたことから、
不気味な事件が多発する。
「ミッドサマー」と「LAMB/ラム」の不思議な魅力に取り憑かれた私は、
この映画のまた一味違うサイキック・スリラーにも引き込まれました。
子ども4人が主役。
ノルウェーの低所得者向けの団地に越してきたイーダと姉のアナ。
アナは自閉症で言葉を離さない。
イーダに近づいて来た少年・ベンは見たところアラブ系の顔立ちをしている。
ベンは小石を超能力で移動させたり、大木を真っ二つに折ったりできる。
小石や大木ならまだしも、悪意はエスカレーターして行く。
もう一人の少女・アイシャはインド系の優しい少女。
顔や手ににアトピーなのか白斑がある。
アイラはブランコに揺られていたアナとなぜか意思疎通が出来るようになる。
そしてベンのサイキック能力は人に向かって、
いじめっ子の脚を折ったり、
大人を操っていじめっ子を殺させてしまう。
そして、
遂には自分と敵対して来るアイシャを憎み、
危険を感じたベンは、
アイシャの母親の意思を操ってアイシャを
惨たらしく刺殺させるのだ。
無敵に思えたベンだが、畏れを感じたイーダは
ベンを歩道橋から突き落とす。
それでも平気だったベン。
しかしアイシャを殺されたアナは
最強のサイキッカー。
主導するのはアナ。
水辺に立っと波がさぁーっと押し寄せて来る。
そして砂がサーっと引いてくる。
そしてベンは遂に‼️
この映画が特異なのは、大人が徹底的に無力で蚊帳の外であること。
子どもたちだけの孤独な闘い、
イノセンスとの訣別、
それをメタファーにして描いた成長物語なのだ。
日本の漫画「童夢」by大友克洋の40年前の作品をベースにしている。
北欧と日本・・・遠くとも意外と近いのだと感じた。
そしてこの映画のヒロインは自閉症のアナ!!
アナの超能力はギフト。
アイシャのためにも強く生きてほしい。
タイトルがまさに…
このタイトルから、子供の残酷さを描いたホラーだと思うじゃないですが。それも、間違ってはないけど子供の絶望のようにも思える。主要登場人物のうち2人は、移民ではないかと思えるしシングルマザー家庭に見える。もう一人は自閉症の姉を抱えた家族。大人に頼れない子供達の物語。
なお、サイコスリラーとあるけど、一昔前なら、超能力バトルといっていい内容。
猫は死にます。しかも序盤に(ジョバンニ)。
夏休みにノルウェー郊外の団地に引っ越してきたイーダと知的障害を持つ姉のアナ。
意思疎通が図りづらいアナと遊ぶのがつまらないイーダは超能力が使える地元の少年ベンと出会い、姉を放置して2人で遊ぶようになる。
一方で、アナに近寄ってきたのは心を読むことの出来る少女アイシャ。
特殊な能力でコミュニケーションを取れることを知った4人の子供たちは秘密の遊びを通して仲良くなっていく。
しかし、子供たちの無垢な感情は次第に暴走を始め……
いや、面白い。
まずポスターからしてセンスを感じる。
力が反転した世界、子供が純真だとか力が弱く儚げな存在だとかそんな常識を180度ひっくり返してくる、とんでもない映画。
子供の純粋な悪意、本能的な残酷さが描かれるが、それが人間、動物として本来の姿なのかもしれない。
この残酷さは罪ではない。だからこそ厄介だ。
大人が絶対踏み入ることのできない子供だけの世界は、一見非科学的で空想の世界のようにも思えるが彼らにとっての現実だ。
力が弱くまだ世界を知らない子どもたちだからこそ、超能力という最強の武器を手にしてしまえばもう誰にも止められない。
この映画の何がすごいって描写のリアルさ。
つい最近成人した自分の中でさえ子供の頃の経験や感覚は忘れてしまっている部分が大きい。
しかし、この映画を観ている間だけははっきりと幼少期の感覚を思い出すことが出来る。
子供が作っているのではないかと疑ってしまうほど子供の感覚で作られたスリラー映画。
それでいてカメラワークや音楽などどれを取っても良い。
またホラーやスリラーの一面だけではなく死や命について呆気なくも丁寧に描いているのも印象的。
緊迫感の張り詰めるシーンと少し心が温まるようなシーンが交互にやってきたりして感情ジェットコースターだった。いい感じに思いっきり疲れた。
様々な解釈の出来そうなラストシーンも必見。
作品全体の余韻も凄く、鑑賞後に色々と深め甲斐がありそう。
北欧ホラーは一見どれも一辺倒に見えるが実際鑑賞すると全く違う顔を見せる。
観るか結構迷っていた作品だったが観れて本当に良かった。
静かな街で繰り広げられるサイキックバトル。
どのキャラクターも責められないし、逆にそこまで好きにもなれないんだけど(子供たちの演技力は素晴らしすぎる)、唯一好きだったのがアイシャのお母さん。
幸せになって欲しかった……😢
子供達だけの静かな戦い
ほぼ、童夢と言われるけど童夢読んだことないので読んでみたい。
映画としては、すごく良いクオリティだと思う。
面白かったところは、子供達にそれぞれ
ヤングケアラー、親の精神病、ネグレクト、虐待、いじめなどの社会的問題の背景も含めて4人にカルマ値の様なものが設定されているようにみえるところで
自閉症のお姉ちゃんアナが1番白く、次にアナとテレパシーがあるアイシャ、主人公イーダは中立からやや黒寄りベンが1番黒くダークサイドに近いってなっていて。
主人公がカルマ値が悪方向に振っている状態で物語スタートなのが秀逸だなと思った。
子供は無垢な天使ではなく、社会環境や教育、コミュニティによって善悪の判断が成長していく過程と物語が上手く噛み合ってる。
超能力の正体的はなんなのかと考えてみても超常現象とゆうよりは
大人への成長の過程で忘れてしまった子供の感性や想像力による不思議なものってゆう解釈ができるのも好き。
(その辺りはパンフレットの監督インタビューが補助線として読み応えがあった)
主人公のイーダが子供特有の残酷さを持ち合わせていながら、自分で考え、悪と自分の責任を認識し、邪魔だと思っていた姉と手を繋いで戦う一夏の成長物語。この映画の中に大人は出てくるけど子供達に介入せず、ただただ背景として存在するのみで「子供の世界」を馬鹿にすることなく尊厳を持って、クールな目線で捉えてるかっこいい作品だった。
最後の戦いは興奮したし、うんと小さな子供や犬しか気づかない静かな戦いかっこよかった。
悪役として登場するベンは、力が強まることでどんどん暴走し人や動物を傷つけてるが
加害をしたあとに、涙を流したり
本当に孤独を感じている子供でもあって、ただの邪悪な存在として描かないのも、厚みがあって良かった。
子役達は皆んな魅力的だったな。
映画館で鑑賞
子供の実在感
外見は静かに静かに、子供の世界だけで進んでいく話。
クライマックスがまさかの「ただ立ってるだけ」という絵。もちろん遠目にはという話ですが。
「童夢」に似すぎているという話もありますが、純粋であるが故の残酷さが子供達の実在感と共に迫ってきて、見応えのある作品でした。
子供の遊びが狂気に変わる
退屈な夏休みを過ごしている子供たちが超能力的な不思議な力に目覚めてしまうサイキックスリラー。無邪気な子供たちの遊びが狂気に変わっていく姿を上手く描いている。これは、世界中の子供たちにも共通するものであり、周囲の環境次第で子供の生活が大きく変わってしまうという強いメッセージ性を感じた。
2023-153
「超能力」に「科学」を見た
団地(集合マンション)を舞台にした、その辺に普通にいる一般人が繰り広げるサイキックバトル! これはまさに大友克洋の「童夢」を思わせる。「童夢」は漫画世界におけるリアリティを革命的に更新したけど、この映画はさらにそのリアリティを上書きした感じ。現実に超能力が存在したとしたら、どのよう場所でどのような人間にどのような状況で発生するのか、その力がどのようなものなのか、圧倒的なリアリティがある。子役の演技力も驚嘆するしかない。
タイトルの「イノセンツ」というのは、「無邪気」「無垢」「純粋」みたいな意味だろうか? しかしポジティブな意味というよりは、子供が「無知」ゆえに歯止めのかからない残酷さや、他人や動物への想像力の欠如をもつ存在である、非常にあやうい不完全なものでことを示唆しているように思う。
ふつうは子供は無力であるゆえに、その不完全さが大きな問題にならないのだが、それの不完全な存在が大人には見えない(理解の範疇を超えている)強大な力をもってしまったらどうなるのか、と考えざるを得ない。
子供たちの様子や心理は、何か舞台であるノルウェーの社会のゆがみをあらわしているっぽい。同じ集合マンションの中での幸・不幸の差、多様な人種の中での差別(?)、貧富の差みたいなゆがみがあって、最も弱い立場である子供たちがそのゆがみをひきうけている。
ただ、僕はこの映画を観ていて、監督の意図とは全く違うかもしれないのだけど、この子供たちが今の人類を象徴している気がして仕方なかった。
つい数百年ほど前における科学革命で、「科学」という自然に隠されたささやかで神秘的な力を発見し、無邪気に喜ぶ人類。はじめは遊ぶ程度にその力を楽しんでいたが、実験をくり返しながら、この力をもっとうまく使いこなすことに夢中になる。そして、原子爆弾をはじめとする、一歩間違えれば人類を破滅させ、地球環境を一変させることができるくらいな強大な力を手に入れるほどになり、そこではじめてこの力に恐怖を感じるようになった。
人類はこの強大な力をコントロールし、うまく使いこなせていけるだけの、倫理観も、自制心も、智慧も、合理的思考も持ち合わせてはいない、いまだ「幼児」の段階だと思わざるを得ない。
この映画の子供たちが、子供が扱うには危険すぎる強大な超能力をもってしまい、ハラハラどきどきしながら見守る心理は、まさに人類が科学技術をうまく使っていけるか、とハラハラする感じに似ている。
見た後しばらく立ち上がれなかった
「凄い映画見ちゃった・・・」と言うのが鑑賞直後に頭に浮かんだ言葉。完成度高く、映像・脚本・子役達の演技、すべて秀逸な良くできた映画なんですが、とにかく怖い!ホラー的にじゃなく心理的に怖い!余計なものが削ぎ落とされた、北欧ならではのセンスの良さみたいな空気感のある作りが、いっそう怖さをマシマシにさせるのかも。 残酷なシーンが複数あるので、軽くオススメとは言いにくいですが、心理描写の表現方法や、説明くさいセリフを排除してるのにしっかり伝わる脚本とか、本当によくできた作品だと思いました。そして子役が素晴らしすぎる。 猫好きな人は見ない方がいいかも。
鑑賞動機:『童夢』にインスパイアされている10割
『童夢』は何度となく読んでいるが、もちろんストーリーは別物だけど、終盤の描写が思っていた以上に『童夢』でちょっとニヤついてしまった。ベランダとか赤ん坊とかブランコとか、そのまんま。そんなに好きなのね、うんうん。
最初はあまりにもやさぐれているので、大丈夫かと思ったが、子供はバカじゃないというスタンスが変わらないのは良かった。その代わり容赦もないけど。猫好きは…大ダメージを負う覚悟で。
無垢と悪意
エスカレートする力と無垢な邪悪。
起きてほしくないことばかりが起こり、見ぬふりをしてきた自分の意識を炙り出され、強い衝撃と重さに縛り付けられる、あまりにも恐ろしい映画だった。
まっすぐな感情のままに行動する子供たちだからこそ危うい。
悪意を孕まないただのサイキック遊びがどんどん意志を持ち始め、強い悪意に変わっていくさまがどうしようもなく辛かった。
ただ愛されたかっただけなのだろうけど。
最初の凶行、ズーンと衝撃を受けつつ、流れるような行動のシークエンスに目を奪われてしまった。
虫や小動物に対する残酷な行動って子供のころのあるあるだと思う。
大なり小なり誰しもが経験することじゃない?
ただしその中でも無意識にボーダーラインは引いているもので、その辺の境界の無さが露呈するシーンはとても印象的だった。
感情も感覚も知能も見えなかった姉の中身が少しずつ見えてくる瞬間、妹がちゃんと嬉しそうに笑ってくれたことにホッとする。
そしてテレパシーの遊びの中でどんどん「人間らしく」なっていく姉に私も嬉しく思っていた。
これってどういう感情なんだろうね?
障害があるだけで最初からずっと人間なのに、意思疎通ができないだけで途端に「人の形をした何か」みたいな認識がうまれてしまうような。
でもやっぱり妹を守るように立ちはだかる姉の姿にはかなり胸が熱くなるし、サイキックなサポートが無いときのフワフワした状態に戻ると少し残念な気持ちになってしまう。
普段は意思疎通が難しいからこそ、ほんの少しでも感情的な部分や本人の意志が見えた時のコントラストでグッと来るんだろうけど。
派手な演出はないけどどのシーンもインパクトが強い。
圧倒的な恐怖や精神的な負担が大きく、観ていて非常に疲れる上質なホラー映画だった。
タブーとされる感覚もストレートに表現して切り込む姿勢を感じる。
透明な空気を感じる北欧映画独特の映像美がとても好き。
子役がすごい
不思議な力がなぜ身についたのかは説明されていないが、幼少期の精神的な不安定さがうまく描かれている。なにより子役の演技と撮り方が凄く良く、言葉がなくても不安や恐怖、苛立ちがわかる。各家族人種がバラバラなのは何かの意図があるかもしれないが、イーダちゃんかわいい。
良質なホラー しかし不快指数高スギ
子供の純粋さ 故の残虐性みたいなものがとても上手く描かれてる。
しかし、動物好きな自分にとってはみるのがしんどかった。猫好きならやめておいた方がいいです。
見た後めっちゃ疲れたな。
音の使い方から何から本当に不快でゾクゾクしてホラーとしては良質な作品です。
公開してすぐ行ったのに、席に空きが多かったし過小評価気味ではありますね。
大友さんの作品が好きなので童夢も読んでますが、終わりとかそのまんま過ぎて影響受けたとかそういう次元か?ってなったので、ちゃんとしてください。
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