「 主人公は音楽で成功したいなんて思ってないし、みんなに聞いてほしいわけじゃない【再鑑賞】桜田ひよりさんを見に行く。」バジーノイズ マサヒロさんの映画レビュー(感想・評価)
主人公は音楽で成功したいなんて思ってないし、みんなに聞いてほしいわけじゃない【再鑑賞】桜田ひよりさんを見に行く。
清澄は人と関わらないように生きていた。必要なのは自分の世界だけでいい。心地よい音楽を作り奏でるのは自分のためだけだ。
そこに潮というノイズが、ガラスを叩き割って踏み込んでくる。ノイズどころか大音響で清澄の殻を打ち破ってくる。
「アレ?ああ、やっぱし管理人さんだったんだ 」。 ( ̄ο ̄;)/
他の部屋のガラスを叩き割るなんて全然リアリティがない。だけど、こんぐらいやんないと清澄の世界に他人は入っていけないというメッセージを込めたイメージ映像だろう。イメージじゃなくてがちリアルにガラスを割ってるけど、桜田ひより様々なのでOK (^o^)。 清澄も同じ考えだと思う、でなければ警察へ即通報である。可愛い子ってズル~イ。 それと、ちゃんと弁償しろよ。きっとけっこう高いと思うが。だけど桜田ひよりちゃんは、当然これも免除。 (ズルイ) x2
潮に清澄の作る曲が好きだと言われ、清澄の意識が変わる。今まで自分のためだけに作っていた曲に、潮という心地よいノイズが加わる。独りよがりの曲が2人よがりの曲になる。潮のイメージが楽曲に取り込まれる。早い話が君のため(潮のため)の曲だ。
で、なんと清澄は、こ~んな大事なことを潮にちゃんと伝えないんだぜ。それは潮が清澄の前から消えてしまう一因になる。 あー、ホントにもう。何でちゃんと伝えないんだヨ。マッタク。
潮は清澄の曲や演奏してる動画をSNSにアップする。こんな素敵な曲はみんなにも聞いてほしいし、きっとみんな気に入るはずだ。潮はただそう思って上げただけだ。だけど清澄はそんなことは望んでいない。この曲はキミのために作った君と僕の曲だ。キミだけが聞いてくれればいい。そして君が君が気に入って笑ってくれれば、それだけで僕は嬉しいんだ。他のヤツはどうでもいい。
最近は気軽にアップしちゃって、バズったらラッキーぐらいの感じだ。だけど清澄にとっては迷惑でしかない。コメントには聞きたくもないアンチの声も混ざるし、それはノイズでしかない。称賛の声もノイズとは言わないが、清澄にとってはどうでもいい話だ。
清澄は動画を見た音楽プロデューサーやミュージシャンと知り合いバンドを組む。清澄の曲でやがて世界に飛び出すと盛り上がるメンバー。清澄は別に音楽でのし上がっていって成功したいなんて思ってないから戸惑う。どんどん話が進んでいってしまう。みんな清澄の考えも聞けよと思った。清澄は別に承認欲求で音楽やってる訳じゃなさそうだが、売れるのがイヤだとも特に言わない。
初ライブで清澄は潮を見つめ潮のために演奏する。最初は喜ぶが潮だが、熱狂に包まれるライブ会場で潮は不安げな表情に変わる。イヤな予感がする。【修正】潮が不安げな表情に変わったのは、ドラムの岬とのセッションの場面でした。
清澄はバンドAZUR のCD制作のため、しばらく家を空ける。CDが完成し、潮に聞かせようと家に帰ると もぬけの殻でガランとしてる。突然のことに何が起きたか分からず呆然と立ち尽くす清澄。見てるこっちも突然のことで、何で潮が消えたか理由がサッパリ分からんヨ。取りあえず、潮が消えたことだけは間違いない。
潮が消えた理由を今まで見てきた他の映画から推測するに、相手が成功の階段をどんどん昇っていってしまい、自分が取り残されてしまったような気がする寂しさから、相手にとって自分は必要ないんじゃないか、邪魔なんじゃないかと勝手に思い込み、黙って相手の前からいなくなるというパターンその1だと思われる (その2はない)。 この「勝手に思い込み」というところがミソである。今回はガラスを叩き割るような潮の行動力が裏目に出た。
君たちまず自分の想いをちゃんと言葉に出して伝えあえよと思った。
そして潮が消えてしまい、心にポッカリ穴が空いた清澄は、海を見ながら悲しみに沈む。いま海を見ながらと書いてしまったが、海を見つめるシーンは無かったかもしれない。だけどこういった展開で海が近い設定では、海を見に行くのがパターンである。脳内妄想補完。
こも後のカラオケの場面にちょっと笑う。潮が渡辺真知子の「カモメが翔んだ日」のサビの部分を歌い上げる。 「あなたは、 一人で、 生きられるのネ~~」。 次の人のリクエスト曲が尾崎紀世彦の「また逢う日まで」。
清澄が缶詰にされてる部屋のドアを潮が木の椅子で叩く場面はもっと激しく派手にやってほしかった。ガラスと違って頑丈なドアは壊せないけど、パイプ椅子かなんかでガンガンやって、ドアはへこむは、椅子は壊れるは、足や拳でドンドン叩くはで、清澄の部屋のガラスを叩き割ったパワーを見せ付けてほしかった。
最後はハッピーエンドだったと思うが細かくは覚えてない。
清澄は、生まれつき音を聴くと色が見えたり、色を感じられるようだ。困ったことに、他人も自分と同じように音を聞いて色が見えると思っているらしいことだ。清澄くん、みんな見えないんだよ。ドラムの岬に、「もっと濃い青で」なんて言っても分からないのだよ。
【追記】
うちの近所(トホ1分)がロケに使われたと思われる。時間は1分もない場面だったが間違いない。さっき見に行って確認した。ただし合成の可能性もあると思う。