劇場公開日 2024年5月3日

「好きなものいっこ!」バジーノイズ Moiさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5好きなものいっこ!

2024年5月4日
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鑑賞方法:映画館

興奮

幸せ

萌える

感想

人との関わり合いを諦め、
深くコミュニケートする事が無くなって
しまった男。DTMを趣味とし、
その世界観は個人的なまま、そこで全てを
完結させて生きてきた人間に視点を当て、

ただ諦めて受け入れるだけが人生では無い事。

人は人を観ているという事。

人生の中で自分で選択し、進んでいく道は、
時に誤る事がある。その誤りを救ってくれる
のも人という事。

人との関わり合いを通じて、音楽が好きで
やり続けると、自分の世界観も、そして人生観も
変わり、広がっていくという事!

世界は自分が思い知っている以上に広く、
多様である。多様な世界で、様々な経験をしていく
事が人間性の幅を広げ、人の個性を創り上げる。

時には人生の道を誤る事もある。誤ってしまった
ら、反省も必要だが、それ以上にまた別の、
新しい道を探して行けばいい。

人生は辛い事もある。辛いときは楽しい、
好きなことをしたり考えたらいい。

人は他人同士いろいろな事がある。だけど、
いろいろな人がいるから、たがら、人生は、
世の中は、面白いし、楽しいんだよ。

そんな表面上で当たり前に思う事を、
あらためて、強く再認識させてくれる作品。

この映画を観れて良かったと感じる。

昭和の『若大将シリーズ』に始まり、最近では
平成の『BECK』『サヨナラまでの30分』等の
音楽をテーマにした、若者の生き様を描いた
作品を観てきて、音楽と青春は斬っても切れない
モノで、大好きなジャンルなのだか、今回、
令和にしてまた素晴らしい作品が出来上がったな。
と映画が始まってすぐに確信した。

原作◎大変失礼ながら存じ上げず。
テーマが原作者の身近な問題であったからか、
ある視点としてとても秀逸な導入と展開で良かった。

音楽・脚本・演出◎
この物語に出てくる音を全てが納得する形で
創造し、音楽として出来上がるまでのプロセス
と登場人物の人間性が、きちんとオーバーラッ
プされた脚本構成となっていたところが素晴ら
しい。
坂本さんをはじめとする音楽家の皆さんの
創造力の高さと、風間監督の演出力の賜物で
あると感じる。
映像、アングル的にも人そのものが中心に
落ち着いてよく捉えられており、映画の印象を
強くしている。全体的によく纏め上げられていた。
DTMの魅力全開で、誰でも新しい音楽世界の
創造が可能である事を感じさせる。

出演者◎若手中心であるが、全員が配役をよく
理解した丁寧な演技で素晴らしい。
柳さん、円井さん、奥野さん、他若手ミュージ
シャン役の方々。
本当にプロミュージシャンなのですね。と
感じる程、歌い方含めて技法が出来ていて
素晴らしいと感じる。演技する上での苦労が
あったのだなと同時に感じた。

主演の清澄役の川西さんは主人公の内面にある
沸々と燃えるエネルギーを静かに印象的に演じて
いた。
桜田さんの潮役はとても印象的で良かった。
演技的にもスキルが上がり、成長した姿を見る事
が出来た。寅さんからの推しが続いている。
これからが楽しみな俳優さんである。
航太郎役の井之脇さんは着実にキャリアを積んで
いる、とても安定した演技。青春モノには欠かせ
ない俳優さんになってほしい。

⭐️4.5

Moi