劇場公開日 2023年11月3日

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「震災から12年半。海へのトラウマから抜け出す兄弟の話し。」さよなら ほやマン 琥珀糖さんの映画レビュー(感想・評価)

震災から12年半。海へのトラウマから抜け出す兄弟の話し。

2025年5月27日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

アキラとシゲルの兄弟は石巻に近い漁港の
離島の一軒家に住んでいる。
なぜか2人はカップ麺ばかりを食べている。
兄のアキラは船で漁に出て、素潜りでホヤを採っているが
食べない。
海のものを食べないには理由があることが、後にわかる。
2人の両親は3・11の震災の日に、シゲルを兄に託して、
沖へ向かい12年半経っても未だに行くへ不明・・・
その震災以後、アキラは海のものを食べれなくなったのだ。
(実際にはそういう人は少ないと思う。自分の漁をした獲物を
食べた方が安上がりだし、美味しい筈だ・・・やや無理がある)

そんな兄弟の日常に、漫画家の美春が飛び込んでくる。
借金の抵当に入っているアキラたちの家を1000万円で買う・・・
そういうのだ。
断ると手付金を50万円払って強引に同居始める。
理由を聞くと、
★この家は電波が良い、
★兄弟は漫画のネタになる、
そう言うのだ。
後に、美春は傷害事件で執行猶予中の身だと知れる。

映画的には、停滞した日常に闖入する他者により、
人生が転換する・・・映画のパターンですね。
漫画家の美春が狂言回し。

アキラとシゲルと美春の生活は疑似家族のようで、
次第に美春は、“家庭の憩い“を感じて癒されはじめる。
居心地がいい。

アキラは海への怒り、トラウマと対決して、
自分を取り戻すシーンはアニメーションを駆使して
迫力があります。
ラストでは、美春が買ってくれた漁船に海の怖いシゲルも乗って、
アキラとシゲルは漁師として一人前になって行く。
もう海から逃げない。
美春はフーテンの寅さん的に、どこかへ去ってしまう。

意外と真面目な良い映画でした。
(松金よね子、津田寛治が引き締めてくれました)

琥珀糖