ザ・クリエイター 創造者のレビュー・感想・評価
全325件中、221~240件目を表示
魂とは何か?
アジア色強めの「ブレードランナー」
この様なオリジナルSFが世に放たれると嬉しく思う物だが、ギャレス・エドワーズ監督のこだわりが感じられるこの作風で更にテンションが上がる。「ローグ・ワン スターウォーズ・ストーリー」や2014年版の「GODZILLA ゴジラ」等の「金のかかった映画」でおなじみの監督だが、フランチャイズ化という縛りが無い本作は彼の真骨頂、節約映画製作が思う存分体験できる。それにはデビュー作、「モンスターズ 地球外生命体」が要チェックになってくるが、本作はその当時の面影と、ハリウッド大作で得た技術のハイブリッド版、何とも豪華な作品である。それでも本作の製作費は約80億円。桁1つ違うのではと思うほど破格の金額である。
AIが人を敵とみなす社会像は過去何度も描かれてきた為、設定自体に斬新さは無いが、良い意味で他作品のいいとこ取りな印象を受けた。どうしても「ブレードランナー」は避けて通れないし、人間が悪く描かれている点は「アバター:ウェイ・オブ・ウォーター」の様だし、映像表現は「ローグ・ワン」の様であり、映画オタク臭プンプンの物語である。それは登場するガジェットの数々でも感じることができ、メカ好き、ロボ好きにはたまらないものがある。
テーマとしてはヘビーSFなのだが、心に傷を抱える主人公がターゲットとしていた兵器たるものが子どものAIであり、(男なのか女なのかが分からなかったが)徐々に情が湧いていつしか命を守る為に戦うという誰でも理解できる分かり易いものであり、SFに抵抗がある人でも観やすいのもポイントである。
日本好きの監督の計らいなのか、エンドクレジットにカタカナ表記があったりなど、アジア色が全面に押し出されているのも最近のハリウッド映画のあれこれを体現している様にも思う。ひと昔前はハリウッド映画にアジア要素を入れるとコケるというジンクスがあったが、近頃はまた変わってきているのだろう。リドリー・スコット監督の代表作で、今でこそSFを語る上では見逃しNGな「ブレードランナー」だが、公開当時は興行的には厳しいものだったというのも有名な話だが、(ブレードランナー2049もそうだったが)もしかしたら本作も同じ運命かもしれない。だが間違いなく名前が残る作品になるはずである。リアルタイムで観れたことには感謝したい。
最近、AIがらみの映画を見て思うこと。
AIに意識は芽生えるのか、心を持つのかという話をSFでやってほしいなと思う。
意識とは何か、心とは何かって話になるから、SFっていうより哲学の映画になっちゃうようような気がする。
ほしたら、僕には太刀打ちできない映画になっちゃうな。残ぁ~ん念ぇ~ん。
あと、僕はAIと人間は仲良く出来る派。
日本はドラえもんと鉄腕アトムを生んだ国で、多くの人がそれを見て育ったから、日本人はロボットやAIと仲良くできるという人が割と多いという推論があるらしい。ホントか?
一つの星限定のスターウォーズ
のようなイメージをしていましたが、どちらかというと手塚治虫の【メトロポリス】のようでした。
アレは一つの都市の話でしたが、この作品は国家間?AIと共に生きると宣言したニューアジア、排除を公言する欧米諸国との対立を主軸とした話はおもしろく思えました
AIロボット達のいるニューアジアが基本舞台として生活の至る所で生活に溶け込んでいるのが不思議でもあり違和感の無いのがとても興味深かった、子供を育ててたり教えていたり
アメリカ人の恐怖対象だから壊す殺すとは違い生活感と人間味があり見ているとニューアジア側になって見ていたけど、それは日本もニューアジアに入っていたからかな?w
一つ苦言を言うなら渡辺謙の声はハリウッド版GODZILLAのように本人の声であって欲しかった。
人間の傲岸不遜と付喪神の不在
生成AIの脅威的な発展により、世界は人による対面での信頼関係を失い、互いへの疑心暗鬼のみが助長され、決定的に分断された。
アメリカ◦ヨーロッパ、ロシア、中国を核とした勢力に集約される流れとなった。そんな中、天然資源もなく、人口減少の止まらない日本は、独自のAI保護策を打ち立て、ダライ◦ラマ率いるチベット仏教による人間性とAIの理知とを融合させる世界観に基づく自治区を作り上げた。
その理念は、AIの理知的な判断力と人間性の強欲や嫉妬などからの解脱、良心との融合を、目指すものであった。
この映画の背景となる世界観を大雑把に想像したらこんな感じ?
ホワイトカラーもガテン系も例外なく仕事を失い、ただ生きていくのは暇だし退屈なので、レジスタンスにでもなるか。
仕事の無くなった人間は、デモシカ教師ならぬデモシカ戦闘員に。
(昔、◯◯にでもなるか、◯◯にしかなれない、という表現がありました。
機械なんだし、殺してるのではなく、ただ破壊してるだけ。
そんなことを平気で言える人間になると、道端のお地蔵さんも、ただの石なんだし、破壊するのになんの抵抗があるの?
なんてことを言うのと同じように聞こえます。
※付喪神…九十九神ともいい、99年経ったモノ(ここでは技術に置き換えて解釈)には魂が宿るという考え方。妖怪の一種。
久々のSF大作!
AI少女の好演が光る秀作
まぁ観たいもんは観られると思いますよ。ただ...ねぇ?
まずは、大スクリーンで新作オリジナルSF映画が見れた事に感謝。大の大人が大金集めて架空の世界を一生懸命成立させようとして、あたかも本物であるかのように見せつけられるのを楽しむ。これぞ映画だなぁって体験はやっぱりSFにこそあるような気がします。
田園風景に佇むロボットっていう絵面はまさにセンスオブワンダー!って感じで良かった。ノマドの圧倒的超兵器感も、ニューアジアの人達にゃ申し訳無いけどワクワクしましたね。
で、どんな突拍子もないテクノロジーが出てきたって、ブッ飛んだ世界観だって、良いんですよ。SFなんだから。
ただ、その作品内での「理屈」が通ってないのはいただけない。
見え見えの「違和感」が説明されないまま進行すると、コッチはせっかく本物だと信じ込もうとしてるのに、世界観に穴が開いて没入感が徐々に漏れ出して行っちゃうんですよ。
まず西欧進歩(合理)主義VS アジア自然主義という対立構図自体古臭すぎる。近年のハリウッドはポリコレに耽溺して観客を置き去りにすらしていたりする癖に、配慮するのは声の大きい人達に対してであって、アジア人なんかは未だに平気で見下してくるなぁと毎度感じますね。
っていうかこれ、西欧は恨みによってAI(最新科学)を禁ずる事で合理を放擲してるでしょう?
なのに描かれ方としては「文明は進んでるが邪悪な西洋人」と「遅れてるが精神的豊かさを持ったアジア人」っていうあたりに落ち着くのは支離滅裂かと。
なんで進歩に感情的歯止めをかけるような、天動説絶対支持の暗黒時代キリスト教社会みたいな連中が「AIと共存する事でその先に行った」筈のアジア人を圧倒してるのよ。何故アジア人はボロを纏いバラックに住み顔さえ洗わない未開人のように描かれるのよ。なんで狙われてると分かってるのにまともな備えもせず、場当たり的に雑多な小火器で抵抗するのよ。
別にそれならそれでもいいけど、ちゃんと「何故そうしているのか」の説明はして貰わないと。「戦いを軽蔑しているから」でも何でもいいから。それすら無いというのが、ナチュラル見下しの証拠かなぁと。
あと、核落としたAIの意図や事情やその後の説明は絶対必要だったでしょ。
一番大事なその説明がないから、両陣営の善悪の判断がつけよう無いですよ。
一度核攻撃かけてきて大虐殺かましてきた陣営をそのままにしておいたら普通に危険でしょ?またやられるかも知れない訳だし。
西洋人を邪悪な存在として描きたいなら、「二度目は起きようがないのに」という理屈なりを用意しておかないと...。
で、最終的にノマド落としてハピエンみたいな空気醸してるけど、あれ設計含めてたった10年で作ったんでしょ?
だったらまたすぐ同じの作られるんじゃ?と思う訳で。
作中でも「戦況が傾く」と言われてた訳だけど、っていう事はこれまで無抵抗で受動的だったニューアジアは西欧社会に大侵攻かけて圧倒的虐殺を始めなきゃって事になりますわな。
想像つかないけど、そうしないとまたノマド2作られて結局同じ事の繰り返しにしかならない。
ここがまさにこの映画の救いようの無さかなぁと...。
あと一つ足りなかった挑戦的なSF映画
随所にSF文学や日本の漫画などに対する強烈なリスペクトを感じさせる作風は非常に好感が持てる。
AKIRA、攻殻機動隊、サイバーパンク2077、ブレードランナー、そんな作品が好きな人は間違いなく楽しめる歴史的な名作。
ただ、少し残念なのはビジュアルイメージに走りすぎ、作品が持つべきテーマが失われてしまっているところ。イノセンスやブレードランナー、マトリックスのような類似テーマを扱ってきた作品が問い続けていた問題がこの作品ではおざなりになってしまっている。
おまけに、中盤以降から展開が読めてしまうエンディングはあまり褒めらない。正直、この手の映画が好きな人ならラストの展開も、なんだったらカメラアングルまで読めてしまい、やっぱり予想通りのエンディングを迎えてしまう。せめて第9地区やチャッピー、ブレードランナーのような、予想の少し上を行く新感覚なエンディングが欲しかったところ。
本作は末永く語り継がれる名作であることは間違いない。ただし、伝説になるにはあと一つ足りなかったな、というのが正直な感想。
ハズレ引いた
人間の脅威となってしまったAIに戦いを挑む物語なんだけど、それだけの話なら新造人間キャシャーンの頃から知ってるわ、戦いしか知らない男が、運命の女との再会を求め、結果人の親になる話もボトムズで知ってるわ!
もうね、人工生命体と命の話だろ?何で個人的愛に着地してんだよ?!
人間とは何か、心とは何かって描けよ攻殻機動隊見習えよ。
脚本の失敗だぞ、SF設定とか状況説明をセリフに丸投げすんのも良く無いぞ。
もうねメカとか近未来デザインだけ力と趣味高く作ってるだけに余計腹立つわー。
そもそもSF寄りなら人型ボディの意味無くね?物理の人体なんか使わなくて良いじゃん、プログラムへの侵入操作なんてオンラインでやれば良いじゃん。
もうそことかも攻殻機動隊の下行ってるしさー。
うわーハズレ引いたわー、3時間無料の駐車場100円追加だったわ腹立つわー。
世界観にハマれます
既視感の中に光る新しさ
予告の圧倒的な映像に惹かれて鑑賞決定。それなのに、期待して迎えた公開初日の夕方時点のレビュー評価はまさかの3.3!不安を抱きつつも鑑賞してきました。
ストーリーは、進化したAIがロサンゼルスで核爆発を起こした近未来、AI陣営にある人類滅亡兵器の破壊を命じられた元特殊部隊のジョシュアが、敵陣で発見した兵器である超進化型AI少女・アルフィーと行動を共にする中で、核爆発やアルフィーに隠された秘密が明らかになっていくというもの。
鑑賞前の不安を吹き飛ばすほど、なかなかおもしろかったです。特に、立ち上がりのテンポのよさに引き込まれます。ここまでのAI発達の歴史、そこから人類との対立のきっかけとその後の現状をコンパクトにまとめ、それが5年後のジョシュアの作戦参加動機に繋がっているのはお見事です。
その後も、人間vs AIという構図ではあるのですが、 AIの反乱と思わせて実は…という展開がおもしろいです。他にも、既視感のある世界観の中に、人間がAIを守る、人間がAIを愛する、といった目新しさを感じる設定を取り入れている点もおもしろいです。むしろ本当のテーマは、こちらにあったのではないかと思います。そうであれば、「AIならもっと簡単に人類を追い詰められるでしょ!」なんてツッコミもしないですみます。
期待していた人類vs AIの激しい攻防シーンは、さすがハリウッドと思わせるVFXバリバリの迫力ある映像でどれもすばらしいです。特にノマドの存在感とその凄まじい破壊力よ!これはAI陣営からすれば放っておけません。他にも、シミュラントの意匠、自爆ロボットの挙動など、近未来を思わせる映像がワクワクさせてくれます。
ただ、SF大作としては十分におもしろいのですが、壮大なスケールのわりにドラマ部分はやや薄く感じ、イマイチ感動に至らなかったのは残念です。本作のカギを握るアルフィーは、全てのメカにハッキングして自由自在に操るのかと予想していたのですが、実は意外な存在でした。それならそれで、もっと早めに出自を明かし、ジョシュアとの絆をより強くする展開にしてもよかったのではないかと思います。
主演はジョン・デビッド・ワシントンで、人類と AIの間で揺れ動くジョシュアを好演しています。脇を固めるのは、ジェンマ・チャン、アリソン・ジャネイ、渡辺謙さん、マデリン・ユナ・ボイルズら。
行きつく先
全325件中、221~240件目を表示