違国日記のレビュー・感想・評価
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白紙の日記に今日は何を書こうか・・・
原作未読。タイトルとポスタービジュアルから、相容れない性格の主演2人のすれ違い生活の悲喜交々と心の交流を描いた作品なんだろうと思いつつ鑑賞。
大筋は予想どおりだったが、2人の生活を中心に親子、姉妹、恋人、友人といった、生きていれば逃れられない人間関係の大切さと難しさ、それぞれの微妙な距離感を重苦しくなく淡々と描いていて「あるよねー」と共感しつつ、じわっと心に沁みる。
ストーリーもさることながら、私が印象に残ったのはやっぱりガッキー(槙生)。
ポッキーポリポリしていたガッキーは何処へ?
ボサボサ頭によれたTシャツ、化粧っ気のない顔、つっけんどんで挙動不審、時折放つ名言(迷言?)の数々・・・(小説家故?)。どことなく浮世離れした仙人風情が漂うかと思えば、すぐ頭を抱えて友人奈々(夏帆)と元彼笠町(瀬戸康史)に精神的に頼る弱い俗人ぶりも発揮。変人と言えば変人の部類に入る役柄なんだろうが、案外素のガッキーもこんな感じかもと思いつつ見入ってしまった。綺麗でかわいいガッキーより、こっちのガッキーが人間味があって良い。
朝は天真爛漫なんだけど、ちょっぴり大人な同級生達や槙生、奈々、笠町などとの交流を通じて心が育っていく、親離れしていく様子を早瀬憩がナチュラルかつ丁寧に演じているように思った。
母が朝に残した日記。
とても重要な何かが書かれた日記だと観客を引きつけておいて、実は最初の書き出しの1ページしかなかったというラストシーン。これから沢山のことを伝えようとしていたであろう亡き母の娘への愛を槙生と朝は汲み取ったであろう。何も書かれていなくても、それで十分。
2人はこれから一緒に暮らし、心の交流を深めながらも、それぞれ違う世界を生き、日々それぞれの日記を綴っていく。最後の虹が2人のこれからを語っているように思えた。
(2024年映画館鑑賞16作目)
タイトルに惹かれて。
原作があるのを知らずに観ました。
両親を事故で亡くした朝が、直後にも関わらず
感情を露わにすることもなく、周囲の大人の心無い
言葉に心を痛めるシーンだけで、何の思いも疑問もなく
新垣結衣さん演ずる槙生と暮らすことになるが
悲しみの感情の動きが映画的に描かれることが少ないので、
少し戸惑いました。これが狙いだったのかな。
朝や、槙生が一人で映し出されるシーンがあるけど。
でも、エンディングの描き方は良かった。
そばに誰か一人でも居てくれたらそれでいいってことかな。
それにしてもスクリーンの中の新垣結衣さんを初めて観たけど、
TVよりも映画向きかも。とてもスクリーン映えするし。
どうして日本映画って、誰かが亡くなったり、病気になったり
しないと、ストーリーが展開しない映画ばっかりなの。
臼に水を入れて皿を敷く。
原作ファンとしては非常にがっかり
原作もキャストも良いのに、脚本で台無しにしている印象。
原作のエピソードを中途半端につまみ過ぎているせいで
何の意図で入れてるのか謎なシーンが多く、
間延びしてテーマの一貫性みたいなものが失われている。
大事なセリフや仕草が変更されていたり、
あらすじが変えられていたりと
特に原作に忠実というわけでもないので、
もっとエピソードは少なくていいから
まきおや朝の心情の変化を丁寧に描いてほしかった。
原作での二人の関係性が大好きだっただけに
チープにまとめられてしまいがっかり。
映画よりドラマ向けの作品なのだろうなとは思うが
それにしたってひどかった。
原作を知らない知人と観たが、
「優しい映画だったが面白くはない」とのこと。
空気感は終始穏やかだし、主演の二人は
文句なしに可愛いです。
ガッキーを大きいスクリーンで観たい人にはおすすめ。
サル、サル、サル〜 早瀬憩のサルっぽさが炸裂する愛おしいフィルム。原作漫画は読まなくても大丈夫だけど世界観を確かに受け止めるためには読んだほうが良いかも。
原作は54話ありネームがとても多い。基本的には会話劇。登場人物もそれなりにいるし独特の世界観がある。どのように映画化するのだろうと思っていたがカットするところは思い切ってカットし、設定も若干変えて、でも大事なポイントは残して、と実に上手い脚色がされていた。
原作は槙生視点であって生活に入り込んできたいわば異物として朝を捉えている。モノローグが多く全面で槙生ワールドが展開する。一方で映画は、これは結果かもしれないが、槙生の出番はやや少なく、朝中心の展開となっているようにみえる。15歳の少女としてはやや幼く、朝はよく寝る、よく食べる、よく動く。これを早瀬憩が全力で演じており全般としておサルっぽいのである。
朝は感情表現が上手にできない。というか未熟と混乱によって悲しみや寂しさ、怒りといった感情を導き出される機能がうまく働いていない。同じ15歳でももっと大人びた子はパフォーマンスとして涙の一つも流すことができるのだろうが、そのような器用な子でもない。
でも普段がサルっぽいだけに、かえって、心細さ、頼りたいけど頼れない迷いがチラチラとみえとても痛々しく愛おしい。この感じを圧倒的に早瀬憩が表現していて素晴らしい。
原作も映画も、人と人の距離の取り方、寄り添い方について語っている。親子であっても兄弟姉妹であっても夫婦であっても恋人同士であっても、人と人は別々、他人であるので、これは絶対という接し方はない。そこに一方通行の思い込みや押し付けがあるとそれぞれが傷つくこととなる。でもお互いを尊重することによって、槙生と朝のように、年が離れていても、境遇が全く違っていても、寄り添う、そしてひょっとして愛し愛される関係をつくることができるのではということなのだろう。
最後に、えみりの設定について。何でこの映画にわざわざLGBTについての言及が入ってくるのか不自然である、最近の映画ではそういった約束ごとがあるのか、という感想があったので以下の通り付け加える。
「違国日記」で、性指向は、主役である朝と準主役であるえみりの連帯を描写するにあたって非常に大事な設定であるので、映画でも取り上げるのは当然である。ただし当該感想に対するレスポンスとしては、森本千世が受けた進学についての女性差別も含め、それは「今ここにある私たちの問題」であるからというのがふさわしいだろう。「世界中で自分たちに関係のないことなどはない」というのは原作の中での森本千世の発言である(映画ではこのセリフはなかった)。
雲走る
原作は未読です。
歳の離れた友達のような、でも親子に近いような雰囲気の予告に惹かれて鑑賞。
とても優しく美しい作品でした。
リアルを強く描きつつも、近くも遠くもない関係性だからこそ描ける大人と子供の境目や対比が溢れんばかりに表現されていて、観たことのない青春が感じられました。
交通事故で両親を亡くした朝と小説家の槙生の不思議な共同生活がメインの今作ですが、割と様々な描写を1本の作品に盛り込んでいるので、1本筋の通った物語に、枝葉のように分かれてのエピソードが展開されている感じで良かったです。
両親が亡くなった事により、盥回しにされそうになった朝を勢い任せとはいえ自分の家に招き入れた槙生の関係性、最初こそドギマギしてて、段々小突き合いし出して、2人で笑い合い出して、と時間をかけつつもゆっくりと関係性を深めていく描写がとても丁寧でした。
2人と槙生の友達の醍醐で一緒に餃子を作るシーン、これは飯テロだぁ〜ってなって腹の虫は鳴り始めました。
わちゃわちゃしつつも、大人同士の友達という新鮮なものを目にした朝のキラキラっぷりは年相応のものを感じれましたし、このシーンでよりグッと近づいた感があってなお一層良かったです。
終盤の演奏シーンも描写少なめだったとはいえ、自分の殻を破って自分の作った歌詞を自分の声で歌う、勇気がたくさんいる事をやってのけた朝の晴れやかな笑顔がとても印象的で、若者が音楽を懸命にやる姿に弱いので、鳥肌立たせながら観て感動していました。
心情を隠し隠しで日々を歩んできた2人が海岸通りで本音を話し合うシーンはヘビーな内容とは裏腹にどこか晴れやかな気持ちになるシーンで、ロケーションの良さと役者陣の立ち振る舞いの見事さも相まって締めに相応しいものになっていました。
原作未読でも分かるここ端折ってんなーという場面(幼馴染の同性愛や槙生と姉との確執や朝の音楽へののめり込み、森本さんの勉学に励む理由などなど)が多かったのは原作を1本にまとめるためには致しなかったのかなとはいえ、整理しきれていない感じは惜しかったです。
この辺の補足は今後展開されるアニメ版でしっかりやってくれそうですし、原作を読み込むためのきっかけでもあるなという風にポジティブに受け止めておきます。
役者陣はもうどの方も素晴らしくて、静と動ならば静な演技がとても目立つ作品で、キャラクターの雰囲気一つ一つがこれでもかと伝わってくる名演の連発でした。
新垣結衣さんはこれまでとは一線を画す、ダウナーなカッコ良さとちょっと抜けた愛らしい部分のリミックスという豪華さ。
最初は怪訝な感じが漂っていたのに、ほぐれたように表情や仕草が柔らかくなっていくのが最高でした。
面食らったシーンで出てくる擬音がたまらなく可愛かったです。
早瀬さんは今作ではじめましてだったんですが、これまた素晴らしく、等身大の女子高生のもどかしさや煌びやかさがこれでもかってくらい滲み出ていて、泣き笑いも跳ねて喜んだりするところもどのシーンを切り取っても素晴らしく、今後の飛躍が大いに気になる女優さんでした。
同級生の小宮山さんや伊礼さんの演技も素晴らしく、なんで逸材を見つけてきてくれたんだ…!と製作陣の先見の明には脱帽ものでした。
夏菜さんのゆる〜さ全開の大人な友達も最高でしたし、瀬戸さんのこんな優しい人手放したらアカン!と言いたくなるくらいの良い人(最後まで良い人)なのも最高でした。
海を眺めるしっとりと、それでもきっちりと物語を締めて、続きの未来を予感させる感じの終わり方はオリジナルならではだと思いますし、とても良かったです。
これは原作読まなきゃなという事で読み込んでいこうと思います。自然体のままで生きたいなぁ。
鑑賞日 6/10
鑑賞時間 18:05〜20:30
座席 H-4
「触れられたくない所」の描写が良い
原作未読。
起承転結がはっきりしてる映画や大どんでん返しが好きな人には向かない、繊細な感情の機微や日常の不安感みたいなのを丁寧に描いた作品だと思う。あの予告を見てどんでん返しを想像する人もいないとは思いますが。
カットされてる原作エピ沢山あると思うので、強いこだわりがあるならオススメしませんが、あのこうなんというか、心の柔らかい所をギスギス突っ込んで引っ掻き回していく感じがちゃんと実写にも現れていて個人的には良かったです。
全体的に「ちょっとだけ心に引っ掛かる」感情が丁寧に描かれていてそれがエグみでもあり良さでありヤマシタトモコ〜!ってなりました。
一瞬トップスがぐちゃぐちゃになってたまま話が進みかけてて直せや!と思ったら次のカットから直ってたのはどうかな?と思ったけど、まあでも気になったのはそれくらい。
スタッフロール短くてびっくりしました。でも全然良かった。心のやわこい所を引っ掻き回されるのが好きなら見てほしい。
個人的に満足度高かったです。見れて良かった。
惜しいあと少し足りない生煮え感
エコー(反響)
人と人は分かり合えない、そんな言葉を
槙生は朝に言う。槙生の経験からだろう。
分かり合えないもどかしさが愛おしい。
ただ、時間と供に相手をより知るように
なると違った方向から見える部分もある。
そして少しずつ気持ちの変化も生じる。
他者を知っていく自分自身と相手との間には
境界線があり、そこには信頼が不可欠。
そのバランス、人と人の距離感や関係性を
演出したかったんだろう。なかなか難しいよね。
家族の関係は誰にも伝えてないだけで
何かしらのしこりや問題があると思う。
家族だからはっきり言うし、言い難い事
もあるから複雑化していく。
槙生と奈々、朝の3人のやりとりはほっこり。
心を寄り添う歩みよりは本人しか出せない
不思議な潤いの感情。
日常生活の積み重ねが自分にエコーのように反響して、心に影響を与えていくのを改めて実感でした。
天真爛漫
空気感がとても好み
朝は必ず来る、新しく、美しい
目の前で両親を事故で亡くした15歳の少女、朝(あさ)
朝の母の妹、つまり叔母にあたる、小説家である槙生(まきお)。
槙生は姉のことを嫌い、家族とも疎遠になっていた。
そんな二人が一緒に暮らすことになるが、性格は対称的。
理解し合えないながらも、日を重ねていくうちに、親子とはまた違った、
関係性を築いていく。
朝の母は朝から見てどんな人だったのか、
槙生の姉は槙生から見てどんな人だったのか。
両者の視点からの対比。
また、二人を取り囲む、女性の友人たちとの関係。
大人の女性友だち、女子高生の友だち、そして年齢差を超えた、
大人と女子高生の友だち関係。
面白い描写であった。
朝を演じた早瀬憩さん、新人さんなの?
人懐っこい性格や感情表現、セリフの言い回し、多感な年ごろの女子高生を
うまく演じていました。なんともかわいらしい。
槙生を演じたのはガッキー、小説家だけど、家事はダメダメ、
髪はぼさぼさ、服装も無頓着、がさつな女性な役柄。
ホントは主人公なのかもしれないけど、この映画は朝に持っていかれた感も。
周りの友人には瀬戸康史さんや夏帆さん、
私の好きな染谷将大さんはもっと出番がほしかった笑
でも・・・結局、槙生の姉、朝の母は結局槙生をどう思っていたのか、
そして娘が高校卒業のタイミングで何を伝えたかったのか。
最後まで知りたかったような気もする。。
普遍的ではないと自覚ある私が多感な少女を育む
2024年劇場鑑賞43本目 秀作 69点
ちょっと捻くれた、そして今の仕事や生きてきた過程でいわゆる普通ではないのかもしれないと思う成人女性がひょんな出来事から多感な時期にある大人になる前の女の子との生活を強いられるが、影響を与えてしまうことを懸念して、仲を育むのを躊躇している一部始終を映す
まず、主人公の新垣結衣の同義が理解できる
自分の価値観が卓越しており、空間や関係に他者を介入させずにいる反面、どこか寂しさと社会から孤立を少し恐れている様、過去のしがらみや正しい自分とその側面を理解できている上で自立している佇まいが納得である
小宮山ちゃん、ヤクザと家族から一目惚れだが少女は卒業しないから3作目の今作でも光ってましたね
特に大きなことが起こるわけでもないし、スローライフムービーだから尺も長いけど、そこまで退屈だった印象はない
思い返すと、夏帆との3人で家で料理だかするシーンでの我々みたいな大人にならないほうがいいとか、手本にしない方がいいみたいなセリフの皮肉も交え、少女を思ってあくまで超一般的な成人社会人とか少し離れた我々をスタンダードにするなと言わんばかりのそんな卑下してない感じが印象的だった
あとは3人で帰るシーンとか最後のバンドのシーン、家に友達呼んで襖越しに見え隠れしてるシーンとか、全体として距離感と陽と陰の対比がよかった
主役のお二人が素晴らしかった
交通事故で両親を失った田汲朝を、母親の妹である叔母の高代槙生が引き取って同居生活するというお話でした。「正欲」で新境地を開拓した感のある新垣結衣が、引き続き安定の演技を魅せてくれたのは期待通りでしたが、本作が映画初主演という早瀬憩が、非常にいい味を出していて素晴らしかったです。
ストーリーのポイントとしては、槙生と姉の長年の確執でしたが、そんな姉の娘を引き取った彼女の心境の微妙な移り変わりが暗示的に描かれており、その辺がジワジワと伝わって来て心地よかったです。また両親を亡くした直後の茫然自失した状況から、本来の明朗快活で元気な高校生に戻りつつある朝の姿が変わっていく感じも、観ていて勇気付けられるものでした。叔母と姪の関係とは言え、殆ど没交渉だった2人の出会いと共同生活が、観ている者がそれぞれに抱える実生活におけるわだかまりとか悩みに重ね合わせて振り返る時間を貰った気がして、ヒーリング効果があったように思いました。
不満があるとすれば、作中しばしば出て来る手紙などの文字が、半ばぼんやりと写っていてきちんと読めなかったこと。敢えてそういう風にしていたのか、私のメガネの度が合っていないのか分かりませんが、もう少しちゃんと読ませて貰いたかったなと感じたところでした。
そんな訳で、本作の評価は★4とします。
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