違国日記のレビュー・感想・評価
全269件中、41~60件目を表示
いろんなつながりがあるなと思った
ダメな映画化の典型
マンガのテクスチュアは、線とセリフですよね。線の位置・勢いとセリフの配置とでマンガ独特のロジックを作って、物語を展開させる。だからマンガのセリフをいくら忠実に映像化しても、それだけでは決して「映画」にはならないのです。これは、その当たり前の法則を無視して撮られてしまった作品。とりわけ小説家の女の演技と演出は、説得力を欠いています。
カメラは奮闘していて、新緑の小径をあるく少女二人、湘南の海辺で言葉をかわす作家と少女、空っぽの体育館で秘密を明かす少女…と、映画的な場面は何度も何度も出てきます。そのどれもショット単位ではきちんと秀逸に撮れているのです。しかし、そのたびにそれが「映画」になり損なっている。それは何よりも演出の感覚が通俗的で、編集技術が追いついてないからです。海辺の高台にある実家を作家の女がたずねるところなんて、ほとんどダブルアクションに近い編集エラーがそのまま残ってしまっています。
映画全体を通じてもっとも力強いシーンは、その体育館なんだけど、うーん、どうしてそう何度もカットを割ってしまうのか。秘密を語り出そうとする少女、それを聞き取ろうとする少女、それぞれの顔をもっと黙って凝視していたら、はるかに「映画」になったはず。こうやってちょこまか細かくカットを割って話をドライブしようとするのは、TVドラマ。
要するに映画作品としてはもののみごとに失敗しているのですが、唯一、早瀬憩は恐るべき存在感を残しました。原作のイメージに近いという点でも、口先でひそひそっと発声する今の若い日本人の姿を映画の世界に接続したという点でも、すばらしい成功。この新人だけは、次回作を見てみたい気がします。
朝が来る
映画は新星発掘の場でもある。
また一人、フレッシュな逸材が誕生。
早瀬憩。
ちょいちょいTVドラマや映画に出ていたようだが、大役は初。
1000年に一人級の美少女ではない。演技もまだ拙い。
が、今この瞬間を捉えた初々しさ、ナチュラルさは特別。
思春期特有の複雑な感情の揺らぎ、ひたむきさ、懸命さも伝わってくる。歌声も披露。
年末の新人賞に期待!
作品も少女の成長やこれからを背中押ししてくれる温かさと優しさに満ちている。
中学卒業直前、母親を交通事故で亡くした15歳の少女・朝。
葬儀中、親戚の間でたらい回しにされそうな話が…。
そんな時引き取りに名乗り出たのは、母の妹の槙生。
小説家として活躍する35歳の若いおばだが、人見知りで人嫌い。母(姉)とは絶縁状態。引き取ると言ったのも姪への情愛からではなく、見かねてつい勢いで…。
言った手前、取り消しは出来ず。一つ屋根の下で一緒に暮らす事になるが…。
疎遠だった親族があるきっかけで一緒に暮らす。
映画ではよくある設定。展開も大方予想付く。
それをどう魅せられるか。演者や監督の手腕に懸かる。
瀬田なつき監督やガッキーや新星・早瀬憩らは心地よく魅せてくれた。
35歳。不器用女。
15歳。多感な少女。
この設定がミソ。まあ円滑に行く訳がない。
母との関係を聞こうとする朝。が、槙生は一切NG。
槙生は朝に事前に言っておく。あなたの母親が嫌いだったから、あなたを愛せるか分からない。
ちょっと壁ありのドライな関係。
笑い合ったり、ほのぼのの時もある。
かと思えば、些細な事で言い合い。気まずく…。
が、翌日には何事も無かったように。そしてまた言い合い。また平常に…。
お互い必要以上に気遣ったり、仲良しこよしじゃない微妙な関係が絶妙。
見ていて微笑ましく、もどかしさも。
おばと姪の間柄だが、ちょっと違うような。もっとそれ以上な。
大人と子供。対等の女同士。少し似た者同士でもある。
そんな距離感。ズレや溝。関係を深めていく様…。
ガッキーと早瀬憩が素晴らしく体現。
早瀬憩については先んじて触れたので、ガッキー。
いつものキュート&スマイルを封印したガッキーがいい。『くちびるに歌を』『正欲』に続くシリアス好演。
可愛いだけじゃない。これがガッキー…いや、女優・新垣結衣の実力だ。
二人を取り巻く人間模様も素敵。
槙生の(唯一の)友人役の夏帆。これまた素を思わせるナチュラル演技。
3人で餃子パーティーのシーンは撮影じゃなくまんまオフ会でしょう。
ガッキーも夏帆も10代の頃から見ていた。そんな二人が今は見守る側に回って…感慨深い。
朝の友人・えみり。序盤、ある事で喧嘩。が、すぐに仲直り。これこそ青春。えみりは朝にある秘密を打ち明ける。これこそ親友。
演じた小宮山莉渚は正統派の美少女タイプ。こちらも今後が楽しみ。
本当に温かい作風で、ゆったりと流れていく。
身を委ねたくなる一方、劇的な展開は起こらず、130分強長く感じてはしまう。
が、瀬田監督の繊細で透明感ある演出、映像美や音楽はヒーリング効果すらある。
ただの癒しだけではなく、しっかりと悩みやエールを送ってくれる。
卒業直前の不幸。つい友人が学校に話してしまい…。
普通に卒業したかっただけなのに…。
周りの腫れ物にでも触るような反応がイヤ。
誰も私の事を思ってくれない。
母親との関係は良好。時々厳しかったりもしたが、いい母親だったと思う。
そんな母親が突然いなくなった。まだまだ一緒にいると思ったのに…。
その喪失感は周囲の慰めだけで埋められるもんじゃない。母親の幻影を見るほど。
槙生だけは違った。過剰な同情や慰めはしない。
こういう時嘘でも母親とは関係悪くなかったと言いそうな所を、はっきりと、大嫌いだった。
不思議な人。変わってる人。ちょっと大人としてダメダメな所もある。
でも、自分に正直。朝にも正直。不器用ながらも向き合ってくれる。
人見知り人嫌いな槙生だけど、案外面倒見はいい。彼女に引き取られて良かったかも…?
いや、良かったのだ。今の心境、学校や部活や友達の事で朝が悩み顔をしていた時、さりげなくアドバイスとエール。
何故だろう。しっかりとしたパーフェクトな大人から言われたって聞きたくない。
ちょっとダメな所もある人から言われた方が響くのだ。例えば寅さんとか。
この人も自分と同じ。似てる所がある。だから、分かってくれる。
やりたい事をやればいい。
あなたと私は違う人間。一人一人、違う人間。それでもいいんだ。
決してあなたを踏みにじらない。
説明不足や物足りなかった点もある。
槙生と姉の関係。槙生は姉が朝に宛てた日記を預かり、それを1ページ読んだだけで閉じてしまうほど嫌い。異常なほど。一体二人の間にどんな確執が…? 一応語られるのだが、あ、そんなもん…って感じ。うるさ姉と不器用妹、ソリが合わず。
しかしその日記がグッとさせられる。
“朝”という名前の由来。これ、素敵だなぁ…。
母の思い。槙生の見守り。
それらを一心に受けて。
朝が来る。それは必ず来る。
そして新たな私が始まっていくんだ。
住む国は違えど
とても好きな映画。
とても好きな映画がまたひとつ増えたなって思えた作品でした。
原作を知らないまま観たんですけど、映画全体のバランスがとても良くて、最初から最後までを全体的に愛せる作品。
バンドのシーンは青春と若さとぎこちなさが完璧な演出でした素晴らしい。
個人的には葬式のシーンが心に残っています、泣きました。
良い空気感
映画の原作と知って途中までだが漫画を読んで、きにいった。人の繊細なところ、機微をうまく書いてると思った。
その目で映画を見ると、違いが気になった。
ガッキーは世捨て人には美人すぎるし、朝ちゃんはもっと突進するタイプ、原作で考えさせられ共感したセリフもカットされていたり違うトーンになっていた。
でも見ていて現実はこんなもんなのかもと思った、人の内面の細かいところまではどうしても分からない、それがリアルであり、リアルな人間を使って映像化するということは、現実での感覚に近い形でそれを見せてくれるということだから。でも原作の繊細なところも知ってほしいなあ。
空気感は素敵。設定もあってか海街ダイアリーの空気感とやや似てる。
自分らしく生きる?それとも…
作家になりたいという自分の夢を否定され続け大嫌いで疎遠になった姉...
作家になりたいという自分の夢を否定され続け大嫌いで疎遠になった姉が急死し、その娘・朝を預かって二人暮らしをする事になった女性・槙生の物語で、漫画原作なのだそうです。
槙生が憎む姉を、母として恋しく思う朝の思いが複雑に交差します。ただ、原作では槙生が姉を許せぬ思いや朝の母への思いがもっと細やかに描かれているのではと想像するのですが、映画にまとめる過程では刈り取らねばならなかったのかなと思えたのが少し残念でした。それでも、若い叔母と姪が細い糸で少しずつ繋がって行く様が暖かで、その触媒となる夏帆さんも愛すべき存在でした。朝と近い年齢であろう早瀬憩さんが醸し出すこの年代特有のヒヤヒヤ感も素晴らしかったです。
関係性の構築
疎遠だった姉の子を引き取り過ごす2人。
ほぼ知らない者同士の微妙な関係から互いに寄り添う関係性を構築するまでを丁寧に描いている。
心情的に大きなものはあるのが、物語として引き込まれるものとしては弱く2人の関係性の構築だけでは静かな海を眺めてる様な穏やかさを感じるのだが、もうひとつスパイスが欲しかった。
相手を心配するっていいな…
子どもとの距離、母親との距離、同僚との距離… 人間関係って距離が大切だと思う。
この映画を見て、一番気に入ったところは、アサが学校から飛び出し、なかなか家に帰れなかった時、マキオちゃんが、外で待っていたところ。
「決してあなたを踏みにじらない」とは、ともすると距離が離れすぎることがある。「踏みにじらないこと」と「関心が薄くなること」は同義ではない。「あなたを尊重しています」「自由な関係でいよう」といいながら、心配したり相手に関する責任をもったりするのを、サボっていることがある。この私がそうだ。
心配して待つっていいなと思った。相手がいない時に、相手を思うっていいな。「余計なお世話」と言われがちだけれど、私も言いがちだけれど。相手がどんな気持ちだったかを知る、私がどんな気持ちだったかをわかるように伝える、このめんどくさいやりとりが、お互いの心をあっためてくれるし、時間が経っても、ずっとあたたかい。
最初のシーンいらんよね
原作の世界観そのままに
原作が大好きで、槙生の「本当のこと」しか言わない言葉のつぶてに痺れていました。映画ではどうかなと心配していたのですが、新垣結衣の透明で自然な存在と話し方が、原作の世界観を見事に表現してくれていました。大好きな登場人物たちが映画の中でも生きている!!と、とっても嬉しくなりました。
長いです
長い。
槙生の姉との確執やら元カレとの関係やら朝の学校生活のあれこれとエピソードが多いがどれも浅い。多い分散漫になった感じ。同じところを何度もなぞっているのでもう少し整理してほしかった。
全体的に単調で冗長に感じた。
気づいたらうとうとしていました。
ガッキーの槙生は目力が強く、仏頂面も含めて自分の生き方を持っている女性で良いのだが、両親亡くして槙生に引き取られたもうひとりの主人公の朝がいかにもな少女漫画の主人公。
原作が少女漫画らしいので仕方ないところかもですが、常に甲高い声を張って話し、手足をヒラヒラさせて跳ねてて、天真爛漫さとの合せ技であざとく見えてしまって乗れませんでした。両親(母と内縁の夫ですが)を一度に亡くしても、あんな感じなんだろうか。
同性が恋愛対象の朝の親友とか、懸命に頑張ったのに女の子だという理由で奨学生(だったかな)になれなかった同級生とか、興味を惹かれるキャラクターはいるが、あまり生きていないのが残念。
正直なところ退屈でした。
せめて1時間半くらいにまとめられていたら評価が違ったかも
50代女性の自分には退屈であった
癒し系の姪っ子ちゃん☺️
好きな場面がたくさんあった。 子どもから見た大人という存在。これま...
全269件中、41~60件目を表示










