「言葉にすると残酷なことになる」違国日記 うらさんの映画レビュー(感想・評価)
言葉にすると残酷なことになる
「嫌い」と言ってもそこには強度や温度がある。言葉もその意味もそのままで裏返しでもなんでもない。ただただ言葉は言葉のままで何も出来ない。そんな残酷なまでに無能な言葉でしかコミュニケーションを取れない、そのことが人間関係や社会を難しくする。その一方で絆やドラマが生まれる。
多分、槙生さんは自らが発する「嫌い」がなんなのか、なんとなくわかっているんだと思う。だから永遠に嫌いな姉の子である姪を自らの不安を押し切ってまで引き受けた。
「少子化問題」を問う前に、「ひとり暮らしの気楽さ」とか「誰かと暮らすなんて無理」とか、そういういつの間にか定着したはぐらかして目線をそらしてばかりの暮らしを見直すべきなのかな。
家族じゃなくても、言葉で伝わらなくても、わかり合うなんて到底無理でも、片付けが下手でも、誰かを受け入れてみようと考えるのは大事なこと。
長身で挙動不審ですまし顔しがちな槙生さん、いちばん大事な場所を奪われて目の前が真っ暗になってもひたむきな朝ちゃん、そしてその周りとの素敵な日々に癒やされました。
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トミーさんのコメント
2024年6月9日
共感ありがとうございます。
二人は違う国の住人と解っていながら同居に踏みきった、ある意味多様性、許容の体現だったのかもしれませんね。朝が行く所が無くなった時、槙生の中に勢いが生まれた、そんな感じがしました。