「「大人はわかってくれない」ホラー」ブギーマン 杉本穂高さんの映画レビュー(感想・評価)
「大人はわかってくれない」ホラー
子どもだけが見えるというおばけの伝承を描いたスティーブン・キングの短編小説の映画化。キング原作らしい良質なホラー作品に仕上がっていた。母親が亡くなって精神的に不安定になっているふたりの娘。父親は精神科医で、ある日妙な男が突然診療にやってくると、子どもが死んだと告げて、子どもの言った通り「あの怪物は実在した」と言い出し唐突に自殺。子どもたちは闇にやばいものがいると訴えるが、精神的な不安からくる幻想だと取り合ってくれない。まさに「大人はわかってくれない」という状態である。
ブギーマンの造形が最終盤まで明かされないのが、この場合は効いている。ホラー映画モンスターの造形はたくさん堪能したいところなのだが、大人には見えない怖さがこの物語には重要。見えない恐怖を優先したのはいい判断だったと思う。配信用に企画されたらしいが、出来がいいので劇場公開したというのは納得感がある。あまり変化球ではない、クラシックな作りが逆に新鮮。監督はZoomを題材にしたホラー映画で有名になった人だけにこういう直球も作れるのだなと嬉しかった。
コメントする