BAD LANDS バッド・ランズのレビュー・感想・評価
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ドキュメンタリーぽさでリアルな大阪
名簿屋の男・高城に従い、別名三塁コーチのネリ。特殊詐欺の受け子を巧みに操り、警察を注意しながら詐欺を実行していきます。巧妙に用意されたオレ詐欺の仕組み、罪の意識なく加担しているバイト感覚の若者達、またそれを捜査する警察などドキュメンタリータッチで描かれています。現在はかなり整備されましたが、怪しく、胡散臭い大阪西成区を再現させ、猥雑な感じでバイタリティに満ち人々を登場させています。冒頭に曼荼羅を演じる宇崎竜童が登場しますが、あまりのリアル感に彼と分かりませんでした。残念なのはドキュメンタリーを意識してかセリフがぼそぼそと聞き取りにく事です。せっかくの伏線が理解されず、後半に伏線回収するも気づくのにしばらくわからない結果となります。また、500億ドルの男と言われる暗号資産の長者ゴヤの人物設定が雑で、またネリとの関係性やなぜ逃げたのかというのも曖昧なのが残念でした。
わからないのか。あまり深く無いのか。
ずっと暗い内容がつづく。
話には引き込まれたので、面白かったけど個人的に好みではない。
クズしか出てこないからキャラクターの印象は強いけど特に良くもないし、もう少し深みがあれば良かった。
単純に銃で殺しちゃったら、なんかね。
見やすさ○
ストーリー◎
キャラクター○
没入感◎
個人的好み○
大阪西成のコッテリ感に安定の安藤サクラ無双とラストシーンが心に染み入る♪
以前から気になっていた作品を鑑賞しました。
で、感想はと言うと…面白い。
大阪の西成と言う、ある意味、日本一のディープゾーンw そんなややこしい場所を舞台にして、オレオレ詐欺や生活保護不正など現代の闇ビジネスを描いているけど、結構しっくりとくるんですよね。
歌舞伎町なんかを舞台にした中国人やブラジル人の所謂外国人マフィアの仕業となると漫画や小説なんかのノンフィクションで多分に描かれていて何処か現実的ではない感じがしなくもないけど、西成と言う関西人なら誰もが知っている土地柄なら“あぁ、西成ならありそうありそう”となってしまうお馴染み感満載。
でも、劇中では大阪の西成が舞台でも、ロケ地としては西成以外に滋賀県の彦根や大津で撮影されているとのこと。彦根は最近過疎化が進んでいて、シャッター商店街も多数なので、ロケ地としてなかなかナイスなチョイス。西成はなかなかややこしい土地柄なので中には許可の取れない、撮してはいけない所も多数なのでこういった似ている所での撮影は致し方無しと言うか、よく探してきたと感心。
3年前に公開された、大阪の飛田新地を舞台にした「悲しき天使」と言う作品も舞台を飛田新地を匂わせているが実際には飛田新地での撮影許可は得られなかったので特定する単語は劇中でも出てこなかった。
そう思うと今から5年前に放送されたマツコ・デラックスさんと友近さんが日本の風俗を紐解く特別番組「かたせ梨乃が進駐軍の前で踊り狂った時代…マツコ」は物凄い番組だったなぁ~。あの飛田新地から撮影許可が降りて、飛田新地を検証する番組なんて思っても出来るもんじゃないのに、歴史的見解や硬軟織り交ぜての見事なエンタメ番組に昇華していた。
そんかややこしい土地を舞台にしてちゃんと撮影許可を得ていると思うけど、よく取れたもんだとこちらも感心。劇中でも安藤サクラさん演じるネリが興味本位に三角公園(らしき)を無断撮影している観光客に「お前ら、誰に許可をもろて撮影してんねや~!」と怒鳴っているシーンがあるけど、実際に安藤サクラさん自身が撮影中に地元の人から「お前ら、撮影許可もろてんのか~」と凄まれたそうですw
キャスティングも見事で安藤サクラさんの安定感と言うか、存在感が抜群。この人が出演しているなら安心と思わせる存在感は個人的には役所広司さんと安藤サクラさんが筆頭かと。
それぐらい安藤サクラ無双っぷりが発揮されていますがクールかつ淡々と仕事をこなしながらも何処か人情味溢れるネリに共感出来るんですよね。
山田涼介さん演じる腹違いの弟のジョーや生瀬勝久さんもいい感じ。
ジョーの軽薄さの裏側にある姉弟の絆やネリへの想いが後半になる程、確りと伝わってくる。
個人的にはサリngROCKさん演じる林田も良い感じだけど、宇崎竜童さん演じる曼荼羅が渋い!
筋と義理に生きる元ヤクザが格好いいんですよね。
あのクライマックスからラストにかけての散り方がハードボイルド感を醸し出しているんですよね~。
あと、岡田准一さんの使い方が贅沢で“えっ?本当に岡田准一??”と一瞬分からなかったw
天童よしみさん演じる新井ママの“舐めたらあかん”のセリフはあの曲調に変換されますねw
序盤からサクサクとテンポ良く進むんですが、中盤のジョーが出てきた辺りからちょっと中弛みがしないでもなく、少し力業で押してきたかな?と言うのは否めなくない。
特にネリと胡屋との関係性の描写や説明が薄い。何故ネリが東京に行き、胡屋の所に働くようになったかがちょっと説明不足かな。
なので、胡屋が巨大な権力を持ち、徐々にネリを追い詰めていくのは良いが、胡屋が殺されるまでが何処かあっさり感があるんですよね。
もっと胡屋が裏で暗躍していて、全ての元凶の影に胡屋ありと言う感じに振り切っても良かったかな?と。
あと、大阪府警でネリたちを追い詰める佐竹や日野が絡むようで絡まずでなんかスカされる感が結構おマヌケな感じでルパンと銭形警部の関係っぽく感じますw
ラストに至るまでが少し綺麗にまとめ過ぎている感はありますが、個人的にはこれぐらいでも良いかと。
互いを信用はしないが、利害が一致して、相手の力量を認めたら、ビジネスとしての協力はする。無闇に敵を作らず、それぞれのスタンスでこの世界を渡り歩くルールを持っているのが悪党としてのプライドが垣間見得る。
また、ラストのネリの疾走は良いラストシーン。
ちゃんと伏線の回収もされていて、西成での朝焼けは自身のこれからを暗示するかのような解き放たれた自由を表している。
役所広司さんの「すばらしき世界」のラスト手前を思い出しましたが、悪党と言えど、アンハッピーはちょっと苦手。天罰が下るに相応しい悪党ならまだしもネリにはつかの間でも良いので自由を手にして欲しいと思うからこその良いシーン。
文句無しのキャスティングで設定も野次馬根性擽る妙。昨今の闇ビジネス系では屈指の作品かと。
安定感があるのでハズレ無しかと思いますが、とりあえず関西人なら、観てても安心する気がしますw
山田涼介チョケ過ぎ
サイコパス てゆうより
大阪のイチビリ(あんな奴おるワ)
誰にも感情移入できない映画なのね😰
(八尾の歌姫にあんな役さして、、)
江口さんと安藤さん。。。
監督さん、、狙ってたでしょ?
安藤サクラほか演技陣に圧巻
ちみつな脚本、展開に安藤サクラさんら演技陣がしっかりついていっており、テンポよく楽しめた。宇崎竜童若い。。詐欺、仮想通貨等トピックがうまく使われていた。関西に住んでいたので大阪が実感できて楽しい。クラシックのBGMも効いている。
高評価なのか...
評価が高く見に行ったが結果から言って残念でした。ハードルを高くしすぎたか...
全体的に演技もわざとらしく感じてしまい終始気になってしまう、想定外の殺しにもあまり感情も雰囲気も変わらないのがとても違和感。サイコパスなのはわかるがとても単調に思えてしまった。
最後あっさり死んでしまうのも、逃れて1人で逃げられたのも王道だがまとめ方があまりにもさっぱりしてると思ったのは私だけでしょうか...
ところどころに織り込まれる笑いにもちょっとツボが合わず、感想を並べると酷評になってしまい申し訳ないが、深みが感じられなかったなぁ...
これだけ他の方は高評価なので私の感性がいけてないのかな。
ちょっと長い…⭐︎
ここでの評価が高かったため、行ってみることに。
安藤サクラ、山田涼介の組み合わせも新鮮だったし、生瀬勝彦が癖のある元締めを演じていて、
期待して行ったのだが、うーん…少し長過ぎる。
山田涼介が出て来るまでの時間が長くて、大阪を舞台に西成地区とか関西のグレイゾーンでの
展開が間延びした感じになってしまっていた。
特殊詐欺犯罪と安藤サクラと山田涼介の姉弟を絡めているのだが、繋がりもわかりにくく
スピード感があるのやらないのやら…
そんな中で、教授役の大場泰正となんと言っても曼荼羅こと宇崎竜童の存在感が光る。
山田涼介には、この役は難しいかなぁ…。
銃撃シーンはどうも似合わないように見えるし、ラスト近くの発泡シーンも漫画みたいという
表現が適切ではないかもしれないけど、軽く見えてしまう。
冒頭からフラグのように出現する「走るおねえさん」。
ラストに安藤サクラが、このおねえさんに扮して夜明けの街を走って逃げ切って行くシーン。
ここが一番印象的だった。
原田眞人監督の作品は、どうも自分には不向き。。
…でも、多分また見に行ってしまう、トホホ…
安藤サクラ
大阪のディープな世界が広がる。汚い世界。
画面から西成のあのなんとも言えない街の臭いが
漂ってきそう。
人を騙すなんて悪いことですよね、なんて
一般常識は通用しない。暴力、殺人、発砲、
知らないだけで現実の西成でも生活保護詐欺なんて
日常茶飯事なのだろうな。
しかし安藤サクラをいつしか応援してしまう。
最後の変装逃走はスカッとした。
逃げて逃げて逃げ切って、今度こそ幸せな人生を
掴んでくれ、と。
曼荼羅役の宇崎竜童さん、前半とは別人。
こちらもカッコよく走り抜けた人生でした。
生々しい描写◎、山田くんハマり役!
面白かった!天才詐欺師ではなく、どこにでもいそうな"せこい"詐欺師の姿がリアル。スピーディーな展開にも引き込まれる。
安藤サクラさんと山田涼介さんの関西弁の掛け合いも心地よかった。2人とも流石の演技力。
安藤さんは言うまでもないが、山田くんも今までの役の中で一番良かった、愛嬌のあるクズがどハマり。
切ない姉弟愛にもホロリ。育った環境が違ったらもっと幸せに生きていただろう2人の姿を想像してしまう。
ジョーが身を挺して、ネリが「ほんまもんの詐欺師」になることを防いだのかな。
続きが見たい!と思わせられる作品でした。
_φ(・_・ちょっとゴチャゴチャしてて、、、、。
んんんん、分かりづらかったなぁ、、、、。なんだか大阪のあの独特な雰囲気とオレオレ詐欺の現場を出すためだけの映画になってたような?雰囲気を味わうだけの映画になっているような?もっと安藤サクラの性奴隷から三塁コーチまでの生々しい生い立ちを物語にしてほしかったなぁ。あと山田涼介をもっとサイコパス全開で描いて欲しかったか?銃の持ち方が嘘くさくて萎えました。
宇崎竜童、、、良かったネジが飛んだおじさん、。
捜査班の班長と安藤サクラが似てて少し混乱。アレはわざとか?
Bitter&Sweet
予告から伝わる渋い感じ、こういう感じの邦画を待っていた!と同時にスタートミスったら結構キツイかもな…という不安を携えながら鑑賞。
いやもう最高‥!どのシーンでも役者陣がギラギラしたオーラを纏って全開のワルを演じ切っており、特殊詐欺という一見地味に映ってしまうかもしれない内容をここまで魅惑的に映すのかと舌を巻きまくりました。
濃密な人間ドラマも見応えがありました。裏社会という遮断された場所で生きる人間たちの葛藤や渇望がこれでもかってくらい描かれていてとても良かったです。
前線で詐欺を働くために身を粉にして動く者もいれば、受け子たちを操って戦略を練る者、ひたすらに業務のように詐欺を働く子分たちなどなど、それぞれの視点でこの世界をどう生きるのか、選択の数々をこなしていく姿が鮮明に映されていました。
アクションシーン自体はそこまで多くありませんが、狭いフィールドでの銃撃戦のリアルさは最高です。脳天をぶち抜いたり、足を撃って機動力を奪ったり、トラップとして使ったりとハンドガンのみでもバリエーション豊富で凄まじかったです。
ジョーが東京まで出向いてネリを犯した胡屋に弾丸をぶっ放して始末をつけて、そのまま自分も追ってきた警官に撃たれて死亡、悲しいシーンのはずなのにやるべき事をやって死んだという決着をつけてくれたお陰かなぜだかスッキリした気分になれました。
最後の金銭の取引のシーンもここまで眼光がバチバチぶつかり合うと静かなはずなのに、見応えマシマシになっていて良かったです。
ネリがラストシーンで纏ったものを取っ払って街中を駆け抜けるシーンなんか最高のラストショットだったなと思いました。
役者陣はもう文句なし、それぞれの最高値を叩き出していました。
安藤サクラさんのやさぐれた仕事人の雰囲気がたまらないくらい好きです。飄々と物事をこなしつつも、裏社会からの脱却を目論んで目の前の仕事をこなす姿が風貌も合わさってギラギラしていました。安藤さんにかかればセリフの聞き取りづらさ(関西弁のアクが強いのもありますが)も感じずに、スッと会話が入ってきてとても良かったです。
山田くんはベビーフェイス×サイコパス×姉思いと属性もりもりでしたが、情けなさ全開のコメディリリーフとしての役目を果たしつつも、胸熱なシーンは彼が全部持っていった激ヤバキャラでした。本当にいそうな胡散臭さも堪らないですし、原田監督と何作も組んでいるからこその信頼関係が見て取れるナイス好演でした。
生瀬さんのTHE・悪役が最高でした。超高速喋りもあってセリフの聞き取りづらさは1番でしたが、いつもの生瀬さんが演じるキャラとは全然違う底無しの悪にゾワゾワさせられました。
宇崎竜童さんの厳つさも今作をよりディープなものに際立たせてくれる役割を強く果たしていたなと思いました。
サリngROCKさんの風貌、言動、行動、どれを取っても後について行きたくなるくらい魅力的に映っていました。この人が主人公のスピンオフが観たくなると思うぐらい好きになりました。
原田監督作品常連の岡田くんも友情出演でチンピラ役として出演していますが、存在感がもう目立ちすぎててこのままタイマンしたらこの人勝っちゃうよなってくらいの存在感が面白かったです。
メタ的発言も面白く、「燃えよ剣」で沖田総司を演じた山田くんが全く同じロケ地に訪れて「懐かしいな」と言わせるシーンとかファンサービスとはいえ、こんな角度からのファンサービスを繰り出してくるとはと驚きと同時に笑いも起こりました。
やはり懸念点だったセリフの聞き取りづらさに序盤は頭を抱えていましたが、慣れてしまったらそれも味だなと思い楽しめました。序盤だけでも字幕が欲しかったのは本音ですが笑
原田監督の唯一無二の世界観を築き上げる力、それに応える役者陣の好演、邦画の中でも群を抜いた完成度に痺れまくりました。是非ともこのテイストで名作を作り続けて欲しいです。
鑑賞日 10/3
鑑賞時間 15:25〜18:00
座席 B-6
安藤サクラの眼とバッハだな
こてこての関西ストーリーにバッハを合わせるあたり、いいじゃーん。
全方向的にバランスがいいよね。キャスティングも有名無名合わせてね、宇崎竜童なんかは上手いよね。
安藤サクラは「どんな役にもなれる」というより「どんな役も安藤サクラになる」感じだけどね。個人的には好きだなあ。過去作でいうとやっぱ「愛のむきだし」とか「サイタマノラッパー2」とかかな。
ストーリー展開もテンポいいしね。
山田涼介のラスト、ああいうのいいよね。名前のある俳優の使い方としてはグー!生瀬勝久も。
今年の邦画ではベストかも。というほど邦画みてないのですが😅
最後の一粒が溶けるまで
安藤サクラさん、生瀬勝久さん、宇崎竜童さんの凄みのある演技、弱さを孕んだ短絡的な行動を取る若者を演じた山田涼介さん、見応えがありました。
計画を実行するか否かを見極める役もあるとは … 。捕まらない為には必要ですね。。
二人は、まるで仕返しをするように罪を重ねていく。ラストの主人公の晴れやかな表情に、これから彼女が背負うべき罪の重さを改めて思った。
映画館での鑑賞
安藤サクラの人間力と2回目の観賞
一度見たラストはカッコいいと唸ってしまってこの監督の邦画のダサさがない
とことか宇崎竜童にしびれたとか
金髪の山田優かと思ったら
お初にお目にかかります。
サリングロックさんに惚れてしまったり
ストーリーも見せ場も山田涼介が男を見せるのも全て良かった
あとからじわじわきたのが生瀬さん
普段あんなに面白いのに
冷酷な悪人オーラを醸し出す
役者さんってすごいとしみじみ思った。
安藤サクラさんの今までの映画で一番魅力が溢れていた。
それは積み重ねた年齢と人間力を感じる
彼女の為だったら、普段どうしようもない
自分も皆一肌脱いじゃう
自然とそうしてしまう。そんな魅力。
この映画は詐欺師や悪党と呼ばれる人たちばかりが、警察以外は多いが、
この映画で善悪を問うのはナンセンスだろう。
ネリとジョーをはじめ、林田も選択肢のない生い立ちがあるから、
皆一様に何かを抱えてここにいる。
持てる者が持たざる者に何が言えるのか?
勿論全ての悪人に通じる訳ではないけれど
2回目の観賞で気が付いたのは
ネリとジョーがコーヒーの砂糖を溶かす場面がやたらと沢山あること。
ココアが飲みたいと泣く幼きジョーにネリは砂糖たくさん溶かして飲んだらうまいでと
慰めてた
多くは語られない
2人の切なく、おそらく悲惨すぎる過去
これみよがしでないのがよい
繰り返される
2人が一緒に俯いてスプーンをかき回す仕草を見るたびに
お互いしかいなかった過去
2人にしかわからない絆をひしひしと感じる
だからジョーの決断に説得力があり
姉であり、1人の女でもあるネリのために
まるで子供が不貞腐れたように、
寂しそうに
ゴヤへと近づいていくのがたまらない。
そして、それを知ってもネリは涙を流さない。
涙っていうのは余裕のある人間しか流さないからだ。
絶望という、ものを言葉でなく体現したことのある人間は
おそらく知っている。
渦中にいる時涙って案外出ないものだ。
涙がでるのはずっとあとだったりする。
だからネリの
代わりに余裕のある2回目観賞の自分は
スクリーンの前で阿呆のように涙を垂れ流すのだ。
一度見た時には感じなかった
表には出ないネリの悲しみがひしひしと
スクリーンから伝わってきた。
ジョーや曼陀羅と共に泥の上に咲く花のようなネリの幸福を願わずにはいられない。
渾身ノワール!安藤サクラ
どこかにあるだろう闇の世界…
その扉が目の前で次々に開く。
強弱激しい関西弁が軸になり大胆に広げられていく怪しい染みだらけの絵巻物は、特殊詐欺の一員・ネリの歩き方に似た軽快なテンポでドキリとヒヤリを差し込みながら奥へ奥へと転がり続ける。
次第にみえていくのは、世から切り離されたようでいて実は深くつながる吹き溜まりの危うい構造。
濡れた落ち葉が何層にも重なり古い埃で絡み合いくっつきあいながら狭間につくる居場所はまるで身を寄せ合う小さな存在を生かし守る宿だ。
そのなかに常になにかが脈打ちどす黒くねっとりとした時間を泳ぎまわっているのがみえる。
取り憑かれたような執着が生臭い湯気になってあたりを湿らしているのがわかる。
そんな闇仕事に関わり、西成の雑然とした界隈で身を隠しつつ飄々と周りになじみ生きるネリを、出所したばかりの弟・ジョーが頼りに来る。
弟が繰り返す厄介事にやれやれと困り顔で呆れながらも決して見放さないネリ。
共有した過去の心情が作用しているのは間違いない。
弦楽器の尖ったりまろやかになったりする音の変化が胸のなかで不安定に響きながら、ヒートアップし続ける展開を追うために目を凝らし耳を澄まさせる。
血の繋がらない姉弟の絆の理由はもう後戻りを選ばない。
そして昔から信じられる唯一の大人であろう者を味方につける。
その切り札を得てからの役者たちの絶技の応酬は息をのむ程だ。
ラスト。
それまでの自分を突き破るようにネリが駆け出す印象的な姿がある。
彼女の本音が初めて躍動する瞬間だっだ気がする。
自ら切り開いた道にさす光に吸い込まれていくように見えたあの爽快感の先に何が彼女を待つのだろう。
修正済み
大衆向けではない面白さ!
決して大衆向けではない作りになっていて、商業的に大丈夫なの??と心配させるくらいの非エンタメ演出。ただ重々し過ぎることはないし、内容が難しすぎることもない。何より作品として大変面白かった。
正直行ってあまり期待せずに見に行ったのだが、良い意味で期待を裏切られた。大人な作りで、お話の筋も通ってるし、見ていて迷子にならない程度の複雑さに抑えてある。そして何より"ダラダラ描かない"というポリシーを感じた。個人的にとっても好き。
以下、気になった細かいこと。
安藤サクラと江口のりこを同じ作品に出すなよ、見分けつかんわ。
ネリのキャラクターと安藤サクラはバッチリ合ってたし演じきっていたと思うが、年齢感だけミスマッチ。若々しく動き回る安藤サクラに若干の"痛さ"を感じてしまった。
山田涼介どうなのよ?あんまり上手いとは思えなかった。特に最後の殺しに行く手前のイッちゃってる感の演技何あれ?仲間と3人で殺しに行くときは『撃ちたくない』ってビビってたのに、ラストだけサイコパス殺人鬼気取り。アレ、ジャニーズ側の意見取り入れただろ。無駄だわ、この作品唯一の汚点。これさえ無ければ…。
宇崎竜童と生瀬勝久、天童よしみが最高。本当に素晴らしい存在感で、主役二人よりも圧倒的に印象に残った。やっぱり裏社会描くなら悪党のじいさんばあさんを重厚に演じてもらわないと冷めちゃうからね。アツアツの演技に痺れた。
岡田准一出てきたときは笑っちゃったけど、ただのジャニーズゴリ押しだからなあ…。物語の流れというか勢いを止められた感あったな。
今まで安藤サクラに対してあまり良い印象が無かったのだが、この作品を見て本当に良い役者だなあと実感した。今後の活躍が楽しみである。
生きる為に"奪う"
裏社会で生きる社会的弱者達の雑草精神物語として、大満足の作品だった。
己と母親の全てを詐欺グループから掠め取られた憎き父の下で詐欺グループの末端の指示役としてギリギリの生活をしているネリとそこに訪れる弟のジョーを主体にした群像劇としても楽しめた。
個人的には序盤のオレオレ詐欺の一連の流れを見せるパートは未知の裏社会を覗き見る様な感覚で楽しかった。
役者陣の演技は実力派揃いなので、作品に没入して鑑賞出来た。特に、今回は大阪弁の台詞での会話劇なので、流暢な関西弁は聞き取りづらく苦戦した。
序盤は、珍獣
、別世界と思って面白がっていたが、中盤暗号資産の寵児みたいなの出て、何かうすら寒くなった。最後はゆかいなしゅうまつ! 原田監督、粗いけど面白いねえ! あんまりTV出なきゃいいのに。エンドロールが墓碑銘に見えました。
歴史に残る傑作
ラストは安藤サクラが走ってるシーンなんだけど、笑顔で走るよね。観てて泣きそうだった。
なんで泣きそうなのかは分からないの。嬉しいのか悲しいのか。
ラストで余韻を感じる作品って今までフランス映画でしかなかったから、これはスゴイなと思うの。
特殊詐欺の受け子から話が始まるんだよね。「三塁コーチ」とか良く調べてるなあと思うの。取材の深さが違う。
安藤サクラは仕事に失敗しても「受け子にも少し渡したいんです」と生瀬勝久に金をせびって、なんか良い人かも感出してくるんだよね。宇崎竜童たちの面倒もきちんと見るし。
でも、この失敗が響いて、府警にはマークされ、安藤サクラを執拗に追い掛けるいかれた大会社の社長にも見つかってしまう。
それで、山田涼介がやらかしてくよね。どうしようもない奴なんだけど、弟だから安藤サクラはとことん面倒みるの。
弟の面倒みなきゃって賭場にいったのに、宇崎竜童が暴れて帰らざるを得ないっていう展開も自然に流れていい。そこで山田涼介が借金は作るは殺しに失敗するわで散々。この殺しのシーンも良かったね。岡田くん出てきたし。
それで、弟が生瀬勝久を殺しますと。
これが最悪なんだよね。
もうイカレタ大企業の社長から守ってくれる人いなくなるし、府警には追いかけられるし、見るからに危なそうなサリngROCKにもマークされる。絶体絶命なんだよ。
どんな悲惨な末路になるのかと観ていくと、きちんと収束させてくの。
暗証番号のわかりかたもいいし、「スピリタス飲むときは火気厳禁やで」の張り方もうまい。
府警も仕事をして、研修生が活躍して、「上から手を回してるから潰れない」という生瀬勝久の組織を潰してくれるの。これで追手が一つ減るね。研修生の活躍良かったな。オリンピック頑張れ。
山田涼介が借金をキッチリ返して「おかしいな?」とサリngROCKにマークされて、安藤サクラのところに訪ねてきたときは「万策窮した」と思ったけど、「なるほど」で抜けたね。
残ったのはイカレタ社長だけど、これも納得の終わり。ラブホが伏線になってるんだね。
最後の逃げ出すところでは、月曜日の巫女を使って、とにかく話の細かなところがうまい。
さすがは原作・黒川博行だね。
それでラストシーンで心が動くのは、人物描写のうまさやストーリー展開の良さもあるんだけど、どうしようもないやるせなさだね。安藤サクラの幸せを願わずにはいられないけど、そのために払われた犠牲を思うと、そしてそれが避けがたい犠牲だったのではと思うとみたいな感情かなと思いました。
相棒の下は用心棒
タイトル前の一連のシーン、あんなに尺いります?
嫌な予感が当たり、冗長な描写に反して欲しいところは描かれない。
主人公のネリでさえ、胡屋とのブランコで見せた廃人のような姿から現在に至る流れが皆無。
15歳での義父殺しや、胡屋のもとでの生活も台詞のみ。
全体的にキャラクターに立体感がなさ過ぎるし、台詞も聞き取りづら過ぎ。
途中までは無闇に人や勢力を増やしながら身内でもだもだ。
警察の捜査は進んでいるものの、主人公たちに迫ってくる緊迫感はなし。
聴取にいったタクシードライバーが無駄に非番だったりと、本当に余計なことが多い。
物語が動き出すキッカケは、賭場でのジョーの大負け、からの任務失敗、からの後先考えずの親玉殺し。
…アホなの?
金を手に入れるために策を弄したり、取り繕ったり、闘ったりするあたりはまぁ楽しめた。
これ、中盤くらいに持ってこれませんかね。
逃走するでもなく現場でのんびりし過ぎだし、曼荼羅もそっから都合よくマトモに。
ジョーが胡屋を殺りにいくのも見え見えだが、あんな簡単に潜り込めますかね。
個人的に、性◯隷にされたり義弟まで性的な視線を向けたりする役に安藤サクラはハマらない。
ヤサグレた芝居は合ってたけどね。
芝居といえば、胡屋サイドは全員、特に糸井の棒演技はヒドかった。
こういった内容なら、もっと疾走感のある構成(短尺という意味ではなく)にして欲しい。
あと、ファブル兄さんに喧嘩売ってはダメ。
全60件中、21~40件目を表示













