「知能戦にあらず」BAD LANDS バッド・ランズ すみれ7878さんの映画レビュー(感想・評価)
知能戦にあらず
普通の人なら関わり合いになりたくないような社会底辺の人たちと特殊詐欺の片棒(三塁側コーチ:周囲を観察して受け子に行けと指示を出す役割)をかつぎながら過ごす女主人公ネリ。そこに山田涼介君の演じる弟ジョーが加わり、アクシデンタルな殺人から金の強奪、逃亡。そして特殊詐欺を検挙しようとする警察。エリを探しているサディストで大金持ちの投資系企業家。それらが混然となってストーリーが回っていく感じです。
映画の前宣伝内容からして特殊詐欺集団を出し抜くような話かと思いきや、そういう知能戦ではなく、ほとんど計画性のない肉弾戦的なストーリーです。セリフは上品ではない汚い関西弁で早口で、ネイティブ関西人でないとわかりにくいだろうと思うほど。
この映画、善人はほとんどいません。でも気分が悪くなるかと言えばそうでもない。それは安藤サクラさん演じるネリという主人公の力だと思います。彼女は善人ではないが、底辺老人たちの面倒を見てやったり、そこはかとない前途への希望を感じさせる感じがすごくいい。そして何と言っても過去を脱ぎ捨てながら夜明けの街を疾走するあのラスト。その爽快感。黒川さんの原作では男性主人公だったらしいですが、この変更は大成功だと思います。原田監督、見直しました。周辺では宇崎竜童さんの演じる曼荼羅、賭場の姐さん、佐竹刑事がカッコ良かったです。
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