「渾身ノワール!安藤サクラ」BAD LANDS バッド・ランズ humさんの映画レビュー(感想・評価)
渾身ノワール!安藤サクラ
どこかにあるだろう闇の世界…
その扉が目の前で次々に開く。
強弱激しい関西弁が軸になり大胆に広げられていく怪しい染みだらけの絵巻物は、特殊詐欺の一員・ネリの歩き方に似た軽快なテンポでドキリとヒヤリを差し込みながら奥へ奥へと転がり続ける。
次第にみえていくのは、世から切り離されたようでいて実は深くつながる吹き溜まりの危うい構造。
濡れた落ち葉が何層にも重なり古い埃で絡み合いくっつきあいながら狭間につくる居場所はまるで身を寄せ合う小さな存在を生かし守る宿だ。
そのなかに常になにかが脈打ちどす黒くねっとりとした時間を泳ぎまわっているのがみえる。
取り憑かれたような執着が生臭い湯気になってあたりを湿らしているのがわかる。
そんな闇仕事に関わり、西成の雑然とした界隈で身を隠しつつ飄々と周りになじみ生きるネリを、出所したばかりの弟・ジョーが頼りに来る。
弟が繰り返す厄介事にやれやれと困り顔で呆れながらも決して見放さないネリ。
共有した過去の心情が作用しているのは間違いない。
弦楽器の尖ったりまろやかになったりする音の変化が胸のなかで不安定に響きながら、ヒートアップし続ける展開を追うために目を凝らし耳を澄まさせる。
血の繋がらない姉弟の絆の理由はもう後戻りを選ばない。
そして昔から信じられる唯一の大人であろう者を味方につける。
その切り札を得てからの役者たちの絶技の応酬は息をのむ程だ。
ラスト。
それまでの自分を突き破るようにネリが駆け出す印象的な姿がある。
彼女の本音が初めて躍動する瞬間だっだ気がする。
自ら切り開いた道にさす光に吸い込まれていくように見えたあの爽快感の先に何が彼女を待つのだろう。
修正済み
humさん、おはようございます。コメントありがとうございます😊
ラストの安藤サクラさん、あの表情、あの走りっぷり‼️あの疾走感、爽快感、開放感は素晴らしかったと思います‼️
コメントありがとうございます。
humさんのレビューも拝読しました。豊かな間接的な表現に作品の広がりを感じました。
映画館を出て抱いた感覚は初めての事ではないにしろ滅多にある事ではなく…とは言え、この作品のどこにアテられたのかも分からず不思議な感じでした。
humさん
仰る通り、ネリは幾つもの犯罪を犯したにもかかわらず、『 観客達も 』、でしょうね。
現実の世界でも、大罪を犯してしまった犯罪者の生きてきた過去や、直接会うなどして話をすると、私達はそのような感覚を持ち得るという事なのでしょうか。
こちらこそ返信有難うございます。
humさん
コメントを頂き有難うございます。
断ち切れたかのように見えた負の連鎖から、果たしてネリは抜け出す事が出来るのでしょうか … 。
ネリにとって本当の明るい未来が見たかった、そんな思いでエンドロールを見つめていました。
彼女の逃亡がうまくいったら、ある種の達成感に浸ると思うのですが、その後どう過ごすのか、気になります。
いつも誰かに追われている気がして、気が抜けないのか、やることがなくて呆けた時間を過ごすのか、何か事業を立ち上げるのか、資産運用で更に財を積み上げるのか。いずれにしても決して楽な生活は出来なさそうです。
コメントありがとうございます!
ジョーが、姉弟の愛情か、男女の愛情か、どっちなんだろうな…と思いました。
(曼荼羅の言い方は、何となく女性として慕っているように聞こえてしまうのですが)
私がトイレへ行っている間のやり取りがめちゃくちゃ気になるので、早くもう一度見に行きたいです!
(>︿<。)
こんばんは~
いつもありがとうございます!
お褒めの言葉ありがとうございます🙇
ティースプーンをくるくる回すシーンが何回かあったのでそのままのタイトルって感じです(笑)