劇場公開日 2023年9月29日

「冗長かつ単調で、驚きもカタルシスもない」BAD LANDS バッド・ランズ tomatoさんの映画レビュー(感想・評価)

2.0冗長かつ単調で、驚きもカタルシスもない

2023年9月29日
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テンポの悪い話がダラダラと続いて、いったい何を見せられているのかと思う。
少なくとも、あと30分は上映時間を短くして、もっとコンパクトにまとめることができたのではないか?
話がどこに転がって行くのか分からないような面白さを、いくらでも作り出せそうな雰囲気があるのに、思いがけない展開は、特殊詐欺グループのトップ(生瀬勝久)を殺してしまうところぐらいで、あとは単調で何のヒネリもない物語が延々と続くのみ。
台詞が聞き取りにくいのは、この監督の作品ではいつものことながら、今回は、大阪弁がそれに輪を掛けていて、登場人物の心情や関係性が掴めないところも多い。
せっかく、警察、特殊詐欺グループの道具屋(天童よしみ)、ヤクザ、投資会社のDV社長、裏賭博の帳付といったクセのある面々を登場させながら、それらのキャラクターを整理することも、活かし切ることもできず、「毒をもって毒を制す」のような気の利いた展開にも持ち込めなかったのは、もったいないことこの上ない。
主人公である姉と弟にしても、「本物の詐欺師にはなりたくない」とか、鉄砲玉として向かった先にいた男(岡田准一)に「撃ちたくない」とか言っていた割には、人を殺しておいて平然としており(しかも、過去にも同じことをしているらしい)、そのキャラクターの一貫性のなさに啞然とするしかない。
何よりも、姉と弟の「絆」の強さを実感することができず、最後の弟の行動が唐突に感じられて心に響かないのは、残念としか言いようがない。
さらに、社会の底辺を這いつくばってきたかのような生活からようやく解放され、朝の街を疾走する主人公の姿に、何のカタルシスも感じられないのは、作劇上の大きな欠陥であると思えるのである。

tomato