「それでも愛してる」キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン サプライズさんの映画レビュー(感想・評価)
それでも愛してる
見る前から分かっていたけど、恐ろしい作品だ。
映画ファンを名乗っているのにふざけんな!と真の映画ファンの方々に叱られるのを覚悟で暴露するのですが、実はマーティン・スコセッシ監督の映画、今の今まで1度も見た事がなくて。本作が〈映画の中の映画〉と称される、スコセッシ作品の鑑賞デビューとなったわけですが、もう言葉を失い、自分の口からは語れないほどの衝撃作でした。
映画人生、最長の206分。
流石に長すぎるだろと懸念していましたが、やっぱり長かった。時間の経過はしっかり感じるし、終わったあとはどっぷり疲れる。だけど、スクリーンに目が釘付けで、緊張感が最初から最後まで続くため、飽きるどころか前傾姿勢になって没頭していました。そこまで大きな動きがあるわけでもないし、基本的には会話劇で退屈な映画になってもおかしくないのに、こんなに観客を夢中にさせるものに仕上げるなんて。鑑賞後、彼の映画を見てこなかったことを酷く後悔しました。人生の○割損してるよとかよく言うけど、これがそうなんだと。長い時間が経過しているのに、ラスト際が1番アガってしまう。
最高の演出と最高のキャスト。
レオナルド・ディカプリオとロバート・デ・ニーロの至極のアンサンブル。狂気と欲に満ちた、当時の白人という化け物を怪演。ディカプリオから溢れる怒りと涙、そしてデ・ニーロが放つ人間の意地汚さと醜さ。何百回、何千回と言われたことだろうけど、やはりこの2人は尋常じゃなく演技が上手い。というか、その域を遥かに越している。彼らの所業に憎しみを覚えながらも、いくら入れても満たされない壊れた心に、とてつもなく寂しくなる。1つの表情で2つの感情が読み取れる、二面性を持ったとんでもない俳優です。
ストーリーはそう易々と語れるようなものではありません。最近の映画で例えるなら、アメリカ版「福田村事件」のようなもの。重くて、辛くて、実際に会ったことに目を逸らしたくなるような悲惨な殺人事件。本作の元となったのは〈インディアン連続怪死事件〉。時代が生んだ残虐な事件であり、100年前に起こったという、何かと共通点の多い2つの出来事。1つの民族・人種を蔑んで、自分の地位を保ち栄光を得ようとする。それは、例え土地が違えど、欲望を追求するネジが壊れた人々は多くいたのだ。これらの事件が何故、今となって映画化されたのか。過去の時代背景と共に、我々が生きるこの世の中を考え、照らし合わせてみれば一目瞭然。過去を繰り返すなんてあってはならないのに、人間は何度も同じ過ちを犯してしまう。今だからこそ、振り返って思い返してみる時ではないだろうか。
お初にお目にかかりました、リリー・グラッドストーンも善良な人間が荒み、崩れていく姿を熱演。彼女がアーネストにかける言葉が、見ているものの心までも大きく動かします。キャストで言えば、ブレンダン・フレイザーの配役もすごく良かった。音楽や映像、構成に演出などなど、触れたらキリのないほど、本作は完璧に研ぎ澄まされた〈映画の中の映画〉。もう一度見たいと思っている自分が恐ろしく怖いが、何度観ても新たな発見があると確信している。
動乱の時代を生き、ウィリアムという人間の仮面を被る悪魔のような叔父を持ってしまった悲しき元傭兵・アーネストと、想像することすら出来ない悲惨な人生を送った、インディアンであるモーリーとの物語。彼は心から妻を愛していたのだろうか。たとえ愛があったとしても、それは彼女に届いていたのだろうか。何度考えても答えは見つからない。これほど読み解くのが難しい愛は無い。本作はミステリーでも、サスペンスでもない。最高の愛を描く、壮大なラブストーリーなのである。
スコセッシの作品が合うようなのでグットフェローズやカジノやタクシードライバー死ぬほど超絶お勧めですよ
今だにタクシードライバーのデニーロの着ていたジャケットとか大人気でレプリカ品が売られて居たりするくらいヤバイ作品ですし。
サプライズさん、わかりましたー!あの嫌な弁護士ですね!鯨から完全にシュッとした姿を期待していたので全くわかんなかったです!ありがとうございます!あの体格で!と監督の指示ですかね。そっかー!すっきり。もう一度この映画挑戦したくなりました!
サプライズさん、ブレンダン・フレイザーはどの役をやってましたか?よくわかんなかったです。太ったイメージが頭にこびりついていて(その映画は見ていないのに!)よかったら教えてください!