哀れなるものたちのレビュー・感想・評価
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ファンタジックな舞台美術とアートな衣装に圧倒される幻想のフェミニズム成長譚
とある時代の男性優位の風潮から、純粋さ故に空気を読まずはみ出してゆく、見た目は大人頭脳は子供の女性ベラの物語。
現実の女性が感じる自己認識と社会から求められる姿の齟齬や、成長のための格闘をフェミニズム的な視点でかなり戯画化して描いているように見えた。物語のテーマ自体はスタンダードだ。
舞台美術や衣装などで圧倒されるような独特の世界観が作り出されていて、アーティスティックで敷居の高い作品と思いきや、意外と分かりやすい話で、節々で結構笑えた。特に、遊び人の弁護士ダンカンがベラのド直球な振る舞いに翻弄されまくるくだりは、ところどころコントのようで面白かった。
ベラは「生まれた」瞬間から、世間の風習や常識に一切触れることなく、ゴッドウィンによる養育という特殊な環境下で育った。だから、欲望や感情の赴くままにふるまうし、セックスに関することにも恥じらいや罪悪感がない。最初は遊びのつもりでベラに近づいたダンカンが彼女の虜になってしまうのは、真に解放された人間の姿を彼女に見たからではないだろうか。それまでの彼は多分、自分こそが自由人と思っていただろう。その観念が、ベラによってくつがえされた。
ダンカンとの旅の中、ベラはさまざまに見聞を広めてゆく。客船で出会った老婦人マーサとの出会いで、まるで「アルジャーノンに花束を」のチャーリーのようにみるみる語彙が豊かになる。自分たちが旅する街のはるか下方に住む貧民と、赤ん坊の死体の山の存在を知り、ダンカンの金を勝手に彼らに恵んだことから、パリで彼と別れて自立のため娼館で働くことになる。
娼婦になったといっても、自分の体を粗末にしているような印象や、卑屈さといったものはベラにはない。彼女はもともと快感に貪欲だからか仕事に抵抗感がなく、客と人間同士の関係を築こうとし、「女性側が男性を選ぶ」システムを提案したりもする。選んだ道にポジティブに関わる姿勢がベラにはある。彼女の身体の使い方を決める権利は彼女自身のもので、他人に簡単に否定される筋合いはない。
やがて彼女は医学を学び、社会主義思想に傾倒する。資金を得てロンドンに戻り、マックスと結婚しようとしたところにやってきた元夫のブレシントンに一度はついていくが(なんでだよ)、女子割礼をされそうなことがわかって夫を撃退、彼の頭にヤギの脳みそをぶちこんでハッピーエンド(!?)。ベラになる前の彼女を自殺に追い込んだような男なので痛快なラストと言えるだろう。いや、ヤギがかわいそうかも。
エマ・ストーンが大熱演。シュールな設定、ファンタジックな風景やインテリア、華やかでアーティスティックな衣装に埋没することなく、ベラという強烈なキャラクターを演じ切った。
ベラが行く先々に広がる幻想的な風景は、ブダペストに作られた巨大セットで、一通りめぐると30分はかかるほどの広さだという。1930年代をベースにしつつ近未来的要素も混在し、細密なタッチの絵本を見ているようなわくわく感があった。
衣装もとにかくお洒落。ベラの衣装に共通する特徴である強調されたパフスリーブで、ベラの非現実的な存在感や個性を際立たせている。
今年のアカデミー賞ノミネート作品は、美術賞と衣装デザイン賞の候補が丸かぶりしている。本作以外の候補は、「バービー」「キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン」「オッペンハイマー」「ナポレオン」。未鑑賞の「オッペンハイマー」を除けば、個人的には本作のセンスが一番好きなので贔屓目で賞レースを見守りたい。
私達自身の暴露本
閲覧注意の凄まじい映像ばかり。生々しい性描写や手術シーン、死体を持て遊んで切り刻み、人間をオモチャにするかのような脳移植、生体実験、去勢手術。そんなえげつない話でも全て我々が知っている、世界の何処かで行われていることばかりではないでしょうか。ペットを大人しくさせるための避妊手術とか、多くの飼い主の皆さんならやっていることですよね? 勿論、私自身も人間です。何一つやってないなどと云えません。何をやったか、恥ずかしくて云えません。
勿論、我々はやってはいても、あえて口に出したりしないし、人前で見せつけるなんて事はしない。それらをまるで内臓から裏返すかのように露呈したのが、この映画なのかと理解しました。なにせ、人間の作った映画だからこそ、人間の知らないことは映像化できないでしょうから。
映画の締めくくりと言えばスタッフロールですが、この映画は黒いバックで出演者や協力者の名前がスクロールするのではなく、様々な壁画?やなにかのカット映像にテロップを貼り付けられたものでした。制作者の意図は知りませんが、この映画の内容は壁画に著されたような史実、実話の物語なのですよ、とでも云い表そうとしているのでしょうか。あくまで、私の想像ですが。
これはちょっと、へんな既成概念というか偏見かもしれませんが、手塚治虫氏の描いた「ブラックジャック」に類似しているようでもありますね。似たような話もありました。確か、あちらは大人の脳を赤ん坊に移植したんだったかな。心は子供で大人の体になってしまう「ビッグ」という映画もありましたが。それでも、この映画のオリジナリティーが損なわれることはないでしょう。独特のテンポ、聞いたことも無いような音色の音楽。モノクロも交えた凄まじい映像感覚だった。
だんだんダンカン・ウェダバーンの情けなさがツボってきた。
この映画には褒めたいことも掘り下げたいことも大好きな場面も戸惑いもあって収集がつかないのだが、マーク・ラファロが演じたダンカン・ウェダバーンのキャラが、思い起こすほどに有害な男性のサンプルとしてみごとすぎた。自分の性的魅力を自尊心に直結させ、しかし思い通りにならないベラに礼儀作法を押し付けようとし、ベラの自由の魂を傷つけられないと知るや船上に半ば拉致し、果てには捨てないでくれと懇願する。ああ、情けなくてみみっちくてうんざりさせて、ほんとときたま、たまに可愛い。ベラがそういう男性のクソっぷりを映すための鏡になりすぎているきらいはあるが、そんな枠には収まらないぞとエマ・ストーンがエマ・ストーン力でガンガン突破してくるので、気がつけばダンカンなみにベラに夢中になっていて、ああ、これはこれでヤバイなと自分を見つめ直すまでがこの映画だという気がする。あと娼館のマダムはジョエル・コーエン版『マクベス』の魔女の人で、いやほんと妖怪か魑魅魍魎ですよ、すごい役者がいるもんです。
狂気的で残酷、でも恐ろしいほど美しい
自由と束縛の欲望、我々の本能、人間の残酷さ。
それら全てが物語で溢れる、まるで絵画のようなエネルギーとパワーを感じました。
美しさの中にあるメッセージをこんなにも直接的に感じたのは初めてです。
私たちの潜在的な残酷さは、どのように現れるかが違うだけだと分かりました。
都合の良いように物事を進めるために嘘をつく、新しい物や価値観を与え魂を奪う、美への執着から若い女性を傷つける、人を脅し服従させる。
そんな汚くて醜いものを心の奥底にかかえている。目を背けたくなるけど、必ずあるものだと気付かされました。でもその分、美しさも溢れている。
作品内の性や命に対しての直接的な表現が、より力強いメッセージとなり、私の魂をえぐり、くすぶりました。圧巻です。
原作未読。 レイブラッドベリ、萩尾望都の「びっくり箱」、山下和美の...
原作未読。
レイブラッドベリ、萩尾望都の「びっくり箱」、山下和美の「ランド」、古きはフランケンシュタインなどを彷彿とさせる。
タイトルは「哀れなるものたち」。
人間に最も必要なものは憐憫の情。それが無いと、外見は人間でも中身は化け物みたいな生き物になってしまいます。人間を人間たらしめているものは他者を哀れむ心。そう、必要なのであって備わってるわけじゃない。
さて、そこで作品をどう鑑賞したらいいのか…戸惑いました。ベラが船旅の途中で、貧しい子供たちが固い地面で寝ているのを見て、可哀そうだと涙するシーンがあります。私はこんなふかふかのベッドに寝ているのに、と。そういう非常に豊かな感情が彼女に発露するにはあまりにも展開が唐突過ぎて、自分としては序盤でスーッと冷めてしまいました。身の毛もよだつ、あの狂ったおぞましい成育環境で、外を旅して読書したくらいでそんな感覚育たないぞ。いくらハイスピードで成長しているとはいえ色々雑過ぎんか。ああ…私の心が全然ついて行かない(涙)物語の進行上、必要な展開なんでしょうけども。
こういう作品でそんな風に引っかかってしまうのはナンセンスか。
私が女だからなのか、違和感もありました。ベラが旅先で泥酔して道端に寝ていても誰にも襲われないし、旅に誘った男もベラをなぶり殺しにしない(ある意味まとも)、ゴッドもベラを切り刻むけど性的なことはしない、助手をしていたフィアンセも「性交渉は結婚してからですョ!ダメダメ!」という超マジメ君。性に関しては奇跡的な治安の良さと環境に恵まれている。物語の便宜上そうなのかもしれないけど、実際は女に生まれついたってだけであらゆるハイリスクを背負う宿命をもつので、もし女性の自由とか解放云々いうならそこらへん全く触れないのはどうなんかな、とは思いました。
登場する男たちが軒並みしょうもない感じでしたが、最後にベラも彼らとおんなじ事してて(自分の思い通りにならない元夫にヤギ脳を移植とか)、それじゃ結局同じ穴のムジナじゃん!今までのなんやかんやをどうしてくれるんだ⁈という気持ちになりました。なんなんだ、こりゃ。
キリスト教的タブーの話は、他の方のコメント読んで学びました。なるほどね…!!ぜんっっぜん気付きませんでした。そうか、それでベラは突然食卓でリンゴを…(ゴニョゴニョ)
でも、そう言われれば随所にありますねー。私は全体的にベラが痛々しいと感じてしまって作品としてはあんまり好きな部類ではないけど、映画って色々あって面白いですね。
人生を味わい尽くす
主人公ベラが、身体的にも精神的にも成長していく様に、釘付けになりました。
いわゆる"エログロ"な部分もありますが、それすらもベラの成長過程の一部に過ぎず、
「あー、今脳の発達レベル幼児位かな?じゃぁこんなことやっちゃうよね」という印象でした。
そんなことより、ベラの『分からないから、行ってみたいし、やってみたい』という純粋な欲求に、なんだか、羨ましさすら感じていました。
もういい歳だから、社会人だから、人の親だから、、
都合のいい言い訳を並べて、どれだけ自分の欲求や好奇心に蓋をしてきただろう、と思わずにはいられませんでした。
人生は楽しむもので、味わい尽くさないと損だ!とベラが教えてくれた気がします。
蛙とヤギが酷い目に遭う
本編にセックスシーンが必要なのはわかる。だがいちいち女優のプライベートゾーンや表情を写すあたり、どうも演出が男性向けポルノのように感じてしまう。
ストーリーは面白いけどまだ精神の幼いベラをグルーミングする大人ばかりでエグい。
女性が自分の意思で不特定多数の男と関係を持つのも娼婦になるのもダメというわけではないが、性病とか望まぬ妊娠とか諸々のリスクについて誰かちゃんと教えてあげてとハラハラしてしまって、ベラをグルーミングしようとした男がしっぺ返しを喰らうのは痛快だがあまり爽快感はない。
馬車がある近世の話に見えて、独特の衣装や街並みがどこか近未来的なのが魅力的だったな。
一番かわいそうなのは蛙とヤギ、多分。
ベラの成長が色彩として現れていた。
ヴィクトリアは失われ・胎児になり何も知らない・そして外に出たい好奇心を抑えられる鬱憤→モノクロ
やっと外に出れた!・美しさや刺激がいっぱい!→まるで現実をかけ離れたドリームコアのような不思議な色彩
たくさんの知見を得た本当に大人になったベラ→現実世界の色彩
どれも美しい世界観でした。
ドリームコアな世界観は、ベラにとっても「待望の夢のような光景」に見えたからなのかな。
でも一見モリュートコアのような、病みと狂気に満ちた世界観でもあり、さまざまな美学を見せつけられた気がします。
ドリームコアな美学が好きな私にとっては見ていて楽しい映像でした。(音楽もドリームコアっぽい)
お洋服も可愛かったですね♡
………
ベラの成長にフェミニズムとか今の社会現象がとか、無理矢理現代社会の問題を入れ込むレビューを何個も見かけたけど、そんな難しく考える必要もないのかな。と私は思います。
なぜならベラはまっさらな純粋な心で世界を見たいと思い、無知な故の良き悪きはあれども自身の心の赴くままに冒険を続け、純粋な心で惹かれた学問を追求していった。
ただそれだけ。ただ普通の1人の女性の生き様、なのです。
そこに小難しいややこしい“大人の事情”は入らないのではと思います。
その証拠に、ベラは確かに博識になり、賢い思考を持ち合わせました。
だけど、最初から最後まで芯は変わってません。
「知りたいから」「行ってみたいから」「ゴットに会いたいから」
その理由は、子供ながらの好奇心と、家族を愛だけなのではないでしょうか?
………
誰1人まともな人がおらんし、上半身ブルドッグ下半身ニワトリとかの動物もかわいいけど最高にクレイジーだし、最後なんか幸せな日常だね♪みたいな雰囲気出しておいてヤギ人間おるし、シュールだけど
毎秒、毎秒、美しい。
そんな惹かれる世界観でした。
観てよかったです。
ラストが最高。美しいカタルシスがあった。
世界観は、微ファンタジー。(犬アヒルとかいる)
主人公は、お母さんの体に脳みそを移植された赤ちゃん。(可哀想)
その設定すごい可哀想じゃない!???って思ったけど、それが判明するタイミングが良くて、あぁ〜主人公が奇妙な行動してるのは赤ちゃんだったからか〜!と、逆に安心しちゃう妙義。
父に家に閉じ込められてた主人公が、冒険に出かけ、外界に出て、世界は色付き始める。
最初は根源的な快・不快で行動していた主人公が、人と出会いの中、思考を獲得していく様は、まさに人の成長の姿。
セックスが、この映画において重要なモチーフなんだと思うんですけど、
・自慰(快との出会い)
・最初に出会った人との性交(快のあるスポーツ)
・不特定多数の男性への奉仕(仕事)
・恋人との情交(愛情のある性交)
と、描き分けがなされていて、表現が素晴らしい。
R18+の名に恥じぬ描きっぷり。
照れちゃう人は照れちゃうと思うので、御家族と見ると気まずいかも。ご注意を。
んで、恋人が同性なんですが、
男性への奉仕的な娼婦という仕事との対比的な意味もあったのかな?とも思ったんですが、
個人的には、その女の子が恋人なんだ!
からの、自分を理解してくれる男性との結婚へ〜の流れで、
え!?あの子はどうなっちゃうの!???
ってヤキモキしてたんで、ラストが凄く良かったです。
理解者も恋人も(旦那と友人かも?)手に入れて、親との円満な別離を果たし、己の力で外敵を排除し、後続の似た境遇の女の子も成長が見られ、未来への希望を感じる。
外敵って書いたけど、お母さんの旦那さんな訳だから、DV身内ですよね。
銃を突き付けるシーン本当に嫌だった。
「自分の望む回答以外は受け入れないし、場合によっては殺す」って態度は、本当にDVだな。って思いました。
兄さんや、姉さんの旦那さんが、僕が彼らの望まない発言をすると、「ちょっと黙って」って凄い目で言ってくるのを思い出して吐きそうだった。
ラストは強くてしなやかで賢い主人公の明るい未来を感じさせる一枚絵。といった風情でとても良かったです。
満足出来る映画でした。
至福の時間
この辛そうなタイトル
長い上映時間
と避けて通る気まんまんでしたが
尊敬する先輩から勧められて鑑賞
で、観たんですか
いやー楽しかったなあ。
なんといっても
主要登場人物四人全員に感情移入ができてしまうという快挙
ヒロインと駆け落ち犯が不協和音になってゆくところなど双方の感情か伝わってくきて、さらに感情移住が双方に出来るという理想的映画体験。
老婦人と若者カップルや
娼館従業員の皆さんも
みんな素敵に魅力的で
悪い奴って元夫くらいじゃないかしら。
この作品一本背負う悪者ぶりで
(まあ、他に小悪党がいることはいますが)
ラストの
「みんな楽しくハッピーエンド」
の中
まあ駆け落ち犯は出てきませんが
元夫の扱いがあまりといえばあんまりで
これを「笑い」に昇華させるためには極悪ぶりが必要だったのではないか
と、テーマそっちのけで思ってしまいます。
また、このハッピーエンドで一番うれしかつたのは
ヒロインと折合いが悪かった使用人女子が、次の人造人間とは折合いがいい事です。
いやー
こんなに居心地のよい作品と思いませんでした。
気楽に楽しい
前情報なしで観に行き、
最初はどんなスタンスで観るものか判断がつかずにいたが、
コメディだとわかってからはとても楽しめた。
観てからだいぶ時間が経ってしまったが、
・衣装や背景のケレン味がよかった。
リスボンってあんな街なんだ、
と誤った印象のまま記憶された。
・もっと合体生物に出て欲しかった。
・弁護士のおっさんがそんな重要な役になるとは。
・ぽっと出の将軍?がつまらない。
・船のばあさんがよかった。
・デフォーの泡はなんなんだ???
・娼館の客のイヌみたいなのがよかった。
・ラストはデフォーを移植すると思ったのに。
まあ楽しそうだからいいか。
・音楽がとてもよかった。サントラを買ってもいい。
などの感想を抱いたことを思い出した。
『聖なる鹿殺し』を観ないとなあ、ともなった。
友達に似てる
最高でした。
前半はベラの自由奔放さが輝いていて、後半社会性を身につけていく流れは喜ばしいとともに悲しくなりました。
ベラはゴッドの支配から逃れるために旅に出ます。
最初は見るもの全てに興味津々なベラですが、そのうち世の中のショボさを知り、ゴッドの元に戻ってきます。ここまでは空間的な旅。
最後の元夫との再会は、今度は過去への時間的な旅を通じた逃避の機会をベラに与えますが、この夫もクソ。
結局ゴッドの場所に戻り、愉快な仲間たちと暮らしましたとさ。
常識破れなベラと比べると、常識的なはずの紳士たちが情けなく見えてきて、誤解を恐れずにいうと、海外の友達やちょっと発達障害のある友達と一緒にいる時に感じる雰囲気と似てました。
自分の持ってる常識がくだらなく思えてくる感じです。
世界観も凄い。ゴッドが吐き出す玉みたいのが意味わかんな過ぎて好きでした。
マルコヴィッチの穴やアンダーザスキンを思い起こさせる内容でしたね。
マルコヴィッチの穴は最後好きな人の子供の脳内に閉じ込められるというオチでしたが、この映画では元夫が羊の脳を移植されるという何ともカオスで愉快なラストでした。
ピノコ
いつもの映画館①で
かねてからリストアップしていたがなかなか時間が合わず
いよいよ最終週となってしまったので平日仕事を早退
水曜日は安いからとオンライン予約したらリピーター割引で1100円
なんだ明日でもよかった
母親に胎児の脳を移植というこどもが考えるようなことを真面目に
お金をかけて 且つユーモアラスに描かれていた まぁSFだな
博士が食事中に吐き出す泡みたいなものが奇妙で面白かった
何か説明していたように思うが聞き逃した
ヤギ将軍はオマケだな
マークラファロは最近好きな俳優
きっとこの監督の作品に出たかったんだろうな
なんだかいい人のイメージだったが酷い目にあっていた
エマストーンはこの監督に全幅の信頼を寄せているのだろう
体当たりという言葉は陳腐すぎる
プロデューサーにも名を連ねているというから
いつもより気合いが入っていたということか 脱帽
いやまぁつくづく女性にはかなわない しみじみ
監督の頭の中のイメージを丁寧に表現するとこうなるんだろう
生と性は不可分なのはわかるが あまりの剥き出し好みではない
さすがの18禁 性教育のくだりはギリギリ好きだ
主人公と博士の関係はブラックジャックとピノコに重ねた
博士の顔のキズもあったし
ピノコは奇形嚢種で生まれた胎児をつなぎ合わせたのだった
ちなみに終了後は市役所前のベンチで缶ビール2本
やっぱりちと寒 旧ダイエー地下の王将に移動して餃子と天津飯で〆
今年度もお疲れさん
シュールでブラック!独特な世界観が美しい。
結論から言えば、めちゃくちゃ面白かった。エマ・ストーンもよくこの役を引き受けたなと驚いたし、難しい役をこれほどまでに体現できる人はそういないと思う。見事だった。美しかった。特に船の上でのダンスシーンが最高。ダンスシーンからのぐちゃぐちゃした展開も最高。
調律のとれていない音楽と、時折切り替えられる魚眼レンズの歪んだ画面が不穏さを掻き立てる。
一見古い時代かと思いきや、未来ともとれるファンタジーな世界観。
天井や床まで凝りに凝った装飾、肩にボリュームを出した衣装、車輪の付いたゴンドラ、赤い木の幹の色使い、どれもどこか気味悪さもありつつ、独特でとても美しい。
ベラの成長とともにモノクロから色鮮やかな世界へ移ってゆく様も良い。
ベラが駆け落ちすると決めた時は「その男はダメ!」と思ったけれど、ベラを使い捨てるつもりだった男の方が夢中になってしまい、ベラの意図せぬうちに男がみるみる破滅してゆく様がとにかく面白かった。
別れを切り出した時に、二人の後ろを葬儀の参列者が厳かに通っていく場面は、男の心情とリンクしているようで申し訳ないが笑ってしまった。
ベラも破滅へ向かうと思いきや、持ち前の頭の良さと逞しさ、"進化への欲求"が正しい方向に軌道修正させ、自身にとって有益な人物を判別する力も身につけてゆく。
ゴッドが風変わりでもちゃんとした心のある人で良かった。冷徹で頑固なようでゴッドも進化しようと努力していたし、娘としてベラを愛していた。だからベラが正しい道を選んでいけたのだと思う。
コイツは殺すしかないか、と思うほどの人物である将軍の末路はブラックすぎて笑ってしまった。ここで鶏犬が効いてくるのか、と。あれは羊の脳でも入れられたのかな。
途中までの展開では、ラストはタランティーノの映画のように全員ぐっちゃぐちゃになって終わるしかないのかな、と思ったけれど、なんだか皆が楽しそうで希望溢れるラストシーンでやけにシュールで面白かった。
マダムの達観したおちゃめなキャラも最高だった。あの人は仮に殺されたとしても、最後の瞬間まで楽しめるのだと思う。私も彼女に是非師事したい。
観る前に「グランド・ブダペスト・ホテル」を思い出していた。ウィレム・デフォーが出ているからか、シュールでちょいグロ、独特な世界観が似ているからか。あちらの方はもう少しポップだったな。
個人的にこの作品は非常に面白かったが、ただ一点、性的シーンが異常に多いので、一緒に観る人は慎重に選んだ方がいいかと。そこは注意。
ー追記―
ベラは将軍を「助ける」と言いながらも、なぜ動物の脳を入れてしまったのかが分からず妙に引っかかっていた。
ふと思いついたのは、将軍は彼女がベラの脳に入れ替わっていたにも拘らず、彼女を自分の妻(箱)として見ていて、ベラの人格(脳)については一切見ていなかった。
ベラはいつでも人と関わる時に、結果的に鏡のように接してきた。自分を使い捨てようとする人は使い捨て、婚約者として真摯に向き合う人には真摯に向き合い、父として愛してくれる人には娘として愛した。
だから、「将軍(箱)は助ける。人格(脳)の方は知らないけどね」ってことかなと。ウインクされたらウインクを返すのがマナーでしょ?って。
そして初めは羊の脳かと思っていたけれど、あれは山羊なのかもしれない。キリスト教では山羊は悪魔を意味するものらしいから。そう考えると強烈な皮肉。
将軍の末路を笑ってしまって申し訳ないけど、仕方ない。人生はブーメラン。
ラストはほっとできる。
最初はメルヘンではなくオカルトでもなく、でも素敵な衣装と建築。
ウィリアムデフォーがすごい。
だんだん子供の脳が成長し、秀才になって終わる。
途中、北欧特有の性的描写はいなめないが、なにも技のない人間として、人間的な成長の一環なのだと思う。
CMのイメージとはまったく異なる内容でした。
既存の価値観から解放されると人はこうなるのか
珍妙な世界観にマッドサイエンティストによって放たれた主人公は、既存の価値観に囚われることなく自由に行動し世界を経験し学び、二度目の人生をやり直していく。最後は親の愛情を受け継いだのか。二人目の成長が遅いのはあまり感情を注がなかったからなのか。よく分からない。頻繁にある濡れ場は少しくどく感じたが、なぜか笑えてくる。一回目ではあまり理解できないが、もう一回見たくなる映画。
初めてのR-18映画
買ったチケットを入場ゲートで見せながら、そういえばこれはスクリーンで観る初めてのR-18映画だと気付きました。
遠いながら隣に座っているのが同性なことにまず安堵し、あまりに『そういう』シーンが多かったら出ようと心に決めたところで上映開始。
初っ端から『そういう』モチーフの嵐。流石R-18、遠慮を知らない。
しかし慣れてしまうと、これが一人の女性の誕生から成長までを真摯に描いた伝記なのだと理解しました。
マッドサイエンティストが作り出した、成長した女性として生を受けた赤ん坊。もちろん周囲は子供としてなど扱ってはくれませんし、赤ん坊として当然の行いも白い目で見られてしまいます。
大人のような洗練された選択などできない訳ですから、彼女はいつも失敗ばかり。その上まだ幼い脳では、失敗したことにさえ気づかない。
間違えた選択を繰り返しながら成長する彼女を、いつの間にか私は尊敬していました。
ラスト近く、颯爽と馬車を抜けて家の玄関を開ける彼女の姿には心から感動しました。
……でも現実の友達に勧めるのは無理かなぁ、『そういう』所が多すぎて。
意義はわかるけれど幻滅もある
脳を入れ替えて蘇生手術をするなんて、フランケンシュタインの怪物のようであり、その原作者が当時不遇であったことを描いた作品があり、幼女を大人の男性が自分好みにしていくような『源氏物語』とも違い、ひっくるめて、女性が男性に「逆襲」していく物語であった。主演のエマ・ストーン氏の裸体と性交渉場面には、『ジョゼと虎と魚たち』の池脇千鶴氏と同じくらい幻滅した。
エマ・ストーンの演技力と魅力が炸裂!
最初はモノクロから始まり一体どの時代なのか、よくわからないベラの衣装も奇抜で、前情報で胎児の脳を移植されたというのがわかってて見てたので、すんなり物語に入れたけど、コレなかったら、どうだったのかな?ちゃんとベラの奇妙な動きとかわかったのだろうか?でも中盤で明らかになる時にわかりたかった気持ちにもなりました。
娼婦の館で人と触れ合うたびにどんどん成長していくベラの変化は本当にすごかった!ただ本能のままに生きてたベラが女性として力強く生きていくのは見ていてとても気持ちが良かったです。
なので最後の展開!え?ウソ…となりながらもラストはスカッとして最高でした!もしかして博士の脳をあの元夫に入れるのかなー?とも思ったけど、あやつはヤギの脳で十分でしたねww
配給はディズニー
配給はディズニーっていうのに、なんだこの映画は
確かに深いところでは夢や希望はあるかもしれないが、ポルノ映画
脳は幼児。性へ目覚め快楽を追求する。
快楽のために娼婦になる。
追求した後は、育ての親への情が湧いてくる
あー。そうか。ベラの心の成長の物語なんだ。
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