哀れなるものたちのレビュー・感想・評価
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アカデミー賞最有力候補とのことで本日鑑賞。 エマ・ストーンの体当た...
アカデミー賞最有力候補とのことで本日鑑賞。
エマ・ストーンの体当たり演技(死語?)は凄い。主演女優賞は獲得するのではと思いました。
もう一度観たいかといわれると、観る必要はないかな。
R18指定ならモロに映ってもいいですね。知りませんでした。
評価が分かれる作品かも
モノクロで始まる奇妙な物語に、なんだ?カラーじゃないのか。と思って見始めたが、次第に不思議な世界に引き込まれていく。
そして、ベラがそれなりの人格を持ったあたりからカラーになったが、その時はその時で、ん。そのまんま白黒で続けてくれんのかい!と逆に思うようになっていた。カラーになったことで、お伽話的な物語から抜け出してしまってそうではないのだが、現実感を味わうようになっていく事と思ってしまったからである。
そして、トップレスは勿論、全裸と過激な濡れ場を多々演じるエマストーン。「ララランド」の彼女とは大違い。
ラスト、元ダンナの脳ミソを博士に移植して天才外科医バクスターはその身体を利用して生き延びかと思ったが違いましたね。まあ、助手にそんな才能ないか。
そんな男性受けする作品のようですが、公開3日目の日曜日、初回ではあるが10人程度しか観客いなかったのにはビックリ。そしてみんなシングル鑑賞のようだったわ。
映画史に残るヒロイン‼️
まず、この作品の世界観にシビれます‼️ゴシック的でホラー調、ノスタルジックでファンタスティック‼️ジャン・ピエール・ジュネ作品のようでもあれば、ティム・バートン作品のようでもある‼️まるで馬車のようなロープウェーが空中を走っていれば、とても可愛らしい客船が大海原を航海している‼️四本足で歩くアヒル、鶏の身体を持つ豚、まぁこれはバクスターの実験の産物なんでしょうが、奇妙な世界観でもありますよね‼️舞台となるロンドン、リスボン、パリ、アレクサンドリアの街並みの素晴らしい美術やセットデザイン、そして目を奪われる衣装の数々まで、ホント見てるだけで楽しくなる‼️人生に絶望し、投身自殺した妊婦‼️天才外科医のバクスターは、胎児の脳を母親に移植、ベラ・バクスターという名前で育てていく‼️監禁状態で生活していたベラは「世界を見たい」と言う欲望に駆られ、弁護士ダンカンの誘惑に乗り、冒険の旅に出る・・・‼️物語自体は女性版 "フランケンシュタイン"‼️もっとも犯罪者の脳ではなく、赤子の脳なので、見た目は大人でも中身は赤ん坊のベラ役エマ・ストーンの演技が可愛らしくて、素晴らしい‼️そんなベラが言葉を覚え、知識を身につけ、性の歓びに目覚め、自立し、様々な経験を経て、自分の価値観を見出していくまでのベラの変化を体現出来たのは、エマ・ストーンの演技力があっての事でしょう‼️熱烈ジャンプ・シーンなどの体当たりのシーンも、一皮むけた印象を観ている者に強く与える‼️冒険に出るまでをモノクロ、冒険に出てからをカラーで描く、ランティモス監督のセンスの良さも光りますね‼️特にモノクロのシーンはウィレム・デフォーの容姿も含め、デヴィッド・リンチ監督の「エレファント・マン」を思い出しました‼️ベラがカップルで踊る人たちの中、一人で踊り出すシーンはベラというキャラを象徴する名場面だと思います‼️そしてラストで、自殺未遂前の自分(母親)の夫が出現、彼の正体を知り、自分(母親)がどういう扱いを受けていたかを知った主人公‼️それを受けてのラストのカタルシスも快感この上ない‼️この作品は、性別、年齢、国籍等を超えて、自分にとっての本当の価値観を見出そうとした主人公の壮大なアドベンチャーであり、素晴らしき人間讃歌‼️是非エマ・ストーンには2個目のオスカーを獲ってほしいですね‼️
女性は強い
女の人は強いということを風変わりな視点で描いて面白かった。
●男の視点でか弱いはずの人造女性を都合よく扱おうとしてしっぺ返しに合う描写が良かった。無垢の心はそのまま奔放に行動し、性のタブーも乗り越える展開は爽快ですらある。
●人は壊れている。そういう世界だという視点も皮肉で面白い。
お金のかかったカリカチュア
男性が作ったルールや価値観を女性が壊して新しい道を切り開いていくっていうのがこの作品のテーマだと思うんだけど(実はディズニーのWishと全く同じ)、閉じ込めたり束縛したり罵ったり嫉妬したり割礼しようとしたりでここまでの世界の歴史が女性に対してやってきたことをおとぎ話みたいな映像とエマ・ストーンの演技で表現し切ってて素晴らしい!と言いたいとこだけど結局目線は男性だから性に奔放な女はけしからん!とか娼館で稼ぐ女は売女だ!みたいなトキシック・マスキュリニティがちらちら表に出てしまうのは、まだまだ世界が変わりゆく前ということなのかしらね?出てくる男たちすべてがわりと女の人のことを私物化しようとしてて(とはいえ三擦り半が爆笑ポイントなのは世界共通!)、かわいいおんなはトロフィーではないんだよなあ…などと考えさせられたり。とはいえ今年まだ1ヶ月も経ってないけどベスト候補のわけわからんすごい映画を見てしまったという印象になってるのは、文字通り世界を知ることでしっかり地に足をつけて歩き出し目に輝きが戻って話す言葉がロジカルになっていくエマ・ストーンの怪演のインパクトと美術と劇伴の凄さのバランスなんだと思った。一方で意味のない覗き穴のカットとか寄り引きが激しいズームとかぬるっとしたドリーとかは最近あまり見ないのでちょっとダルく感じてしまったかもしれない…。さて、アメリカも内戦に突入したことだし、このあたりから男が作る世界から大きく変わっていくのかな?
ベラの意志、ベラの冒険
自由になりたい!と全身で抗うベラの姿は美しかったです
美術と音楽は最高
物語はうーん…
登場した男性は全員去勢されて終わりエンド。これはイデオロギーの戦いで男性は女性を女性は男性を去勢するしか道はなくこれは後者のパターン、という風景にも見えました。私の価値観がそう見せているのかも
この結末でベラはハッピー?
ベラは世界を善くしたいと思ってたけど
あのあと世界を善くすることはできた?
この物語の哀れなるものたち=男性たちのことなのかな。わらかない
R18+は大正解。18歳未満に見せるor18歳未満が見るものではない
生成AIが吐き出したみたいな風景、服、建築は音楽と相まってとても美しかったです
エンディングのなんとなくるお○○こを想起させる映像の数々はきれいだけど監督なにやってんスか…
私はベラ・バクスター 〜 全ての女性達へ
特殊メイクを施したウィレム・デフォー演じる天才外科医ゴドウィンの登場が、観客を奇妙な世界へと誘う。
ゴドウィンと屋敷で暮らす娘ベラをエマ・ストーンが熱演。スラリと美しく伸びた脚、しなやかな身体は若い娘にしか見えない。芯の強さを感じさせるエマ・ストーンの目力は、ベラの個性を印象付ける。
ベラに寄り添う医学生マックスをラミー・ユセフが好演。
『 冒険 』と称した旅に出たベラは、外の世界に触れ、様々な体験する。不躾に語られるベラの言葉には嘘がない。彼女と金銭的に繋がる男性達が皆滑稽に描かれ、笑いを誘う。或る日、辛い現実を目にした彼女は悲しみに暮れるが、しっかりと前を向く。
エマ・ストーンの演技に対する熱量と女優魂に圧倒された。
時に哲学的な台詞も有り、一冊の本を読み終えたような感覚に。
全世界の女性達へのエールにも感じた。
ー人は残酷な獣
映画館での鑑賞
人間の生態
前半ブラックユーモアで進んでく感じはバーホーベンぽいと思ったし、中盤から話が重くなり、あまりに公平、フラットで偽善を嫌う俯瞰した視点はザラーっぽい。単に生き物として人間の生態を見てく感じは現実を描いてるなと思ったが、最後フリークスかよ!ってツッコミそうになった。人間観察が趣味の人にはオススメの作品。
以下ネタバレ!!!
科学だアップデートだとかって異種をくっつけてしまう様な不自然で倫理に反したグロテスクな事。それでも人間だから完全なる存在、神にはなれない。俯瞰しきれず情が湧いてしまうのも人間。不完全であるから。
精神年齢が低いからすぐ感情のまま誘導されてしまう。自由意志の尊重みたいな甘い言葉にコロッと引っかかる。実はその後ろで手を引いてるのは脂ぎったオヤジってのもリアルだったし、善意の募金は悪人に奪われるのも全て現実を描いてるなと思った。
主要人物全員が主人公に執着しており、それぞれの執着の仕方がよく描かれていて面白い。価値観は人間が勝手に作り出したもので自然にとっては無関係な事。
科学者には実験であり神(創造主)視点からのつもりだったけど結局は神になりきれず情が湧いてしまう。
どの執着の視点で見るかで評価も分かれそう。
個人的には全部あるなと思った。
お伽話は戒めであって自分にもこういう部分があると認識しながら見るのが良い。
見ている人が男性か女性かで主人公か、彼女に関わる男性のどれかに感情移入しがちだが、もう1つの神の視点、全体像で見る映画だと思う。そうすると主人公も含め全員哀れな人達になる。
動物は一歩外へ出たら生きるか死ぬかしか無い状況だが、人間はそうではないので生死と関係のないエゴや感情があり不完全であるから調和していくには何事にも妥協が必要。
主人公はタオイストの様な執着の無さ、完全なる自然体、神であるから人間は敵わない。
1度死んで本当の意味でバージョンアップした生物。
普通の人間はアップデートは出来ないし感情から来る執着が湧いてきてしまう。博士がそうだったように。
ロボコップみたいなもんで魂がない。超越した存在で人間とは別の生き物。どう捉えようと見た人の勝手だがここだけは間違いない。
でもこうやって生きられたら強いよねと思うのもいいでしょう。
エンディングでズラっと全員揃った絵は良いとか悪いとか言ってる訳ではなく、ブラックなユーモアもこめてこれで健全に思う?思わない?あなたはどう思う?と問われている様に感じた。だってあれ、唯一の肉親でしょ?
魂の無いロボコップから、知識が蓄積しても感情表現は動物や子供と同じ純粋なままで理性を伴った感情の起伏はなかった彼女が己の意志でいろいろ飲み込んだ上でのルールを破棄するくらい一度だけ人間としての倫理観に目覚めたか心を動かされた相手だよ?あのラストを単純にカタルシスに受け取ってしまうのは浅はか。
こういった人達にそう思わせてしまう作りがまた狡猾なんだけど…
本当のメッセージはこれだと思う。
よく考えろよ?相手が間違ってたら何やってもいいんですか?自分の自由の為に人の自由を奪ったり、自分の方が優位になりたい欲求は矛盾してませんか?
これはベネデッタのラストであなたはまだ子供ね!って一言を彷彿とさせる。理想だけでなく現実も見ないと、世の中はグレーなバランスで成り立ってるのよ?って。
科学の進歩に関して遺伝子をいじったりするのは優生学と深い繋がりを感じる。それは人が手を出していい領域じゃない。
あなたが誰かからけしからん人間と認定された時、ロボトミーされる事を容認できますか?
タブーを超えていく壊していく事でしか先に進む事が出来ないのが人間とは言えると思う。
常にグロテスクなニュアンスが散りばめられてる。
偏らず全てが陰陽の関係性。敢えて露悪的に邪悪とピュア、汚さ美しさ全て対比して描かれているし重層的な物語。
ベースはフランケンシュタインとフリークスを混ぜた様な話。
エロに関して。
エロさは全くの皆無で嫌悪感すらある。キモい…
この感覚はストーリーがほぼないのに必然性のないゴア描写だけがやたら気合い入ってるスプラッター映画をみた時の様なキモさがある。これも敢えてなんだと思いました。ここまでやる必然性を考えてみてください。
変化を恐るる勿れ
作品を通して女性の権利の歴史を見ているようだと感じた。
無垢で純粋な女性像を男性に押し付けられる。
言葉を知り、自我に目覚めて世の中を知る。
性について体感し、他者の価値観を知る。
物事の表裏を見て、絶望を味わう。
己を知り、自由意志を獲得する。
終始、気持ち悪いなぁ。と感じながら鑑賞していた。
気持ち悪いと感じた原因は、ベラに対して対等に話をする異性がいないこと。
女性は男性に庇護と管理される存在であるべきだと言う社会通念が事あるごとに描き出される。
男性にとって、無垢で哀れで扱いやすい女性。
男性の三歩後ろを歩くのが素晴らしいとされていた女性が描かれる。
セックスを目的とした、搾取しても良い存在の哀れな女性。
容姿端麗でルックスを武器に男性に媚を売るファムファタール的なセックスシンボル的な女性が描かれる。
主人公のベラを通して、その時代に求められていた女性像が描かれている。
無垢で純粋な女性であった時の序盤のベラと物語も中盤に差し掛かった頃の本を読み、知識を身につけたベラの表情や考え方はまるっきり違ってくる。
井の中の蛙大海を知らず。
世の中に出た事で初めて自分の立ち位置に気づいていく。
無一文でパリに着いた後は娼館で体を売って生計を立てる。
結局、男性に求められ、選ばれる場所にいる方がお金は安易に稼げてしまう。
ダンカンに売女と罵られても、自分の体でお金を稼いでいると言い放つベラは潔い。
ロンドンに戻ってから、自分の生い立ちを知った後もベラの変化は続き、最終的には自分の行く末を決めることのできる立ち位置までやってきて幕引きとなる。
人は変化していく生き物である。
自身の変化だけではなく、時代の価値観も変化している。
何事も前向きに捉えて肯定的に物事を吸収していく柔軟性を持ち合わせていくことが、生き物としての次のステップに足を踏み入れることになるかもしれない。
不協和音な寓話
予告編でエマ・ストーンとウィレム・デフォー、マーク・ラファロが出てて、
見た感じジャン=ピエール・ジュネのロスト・チルドレンぽいので、期待して観に行く。
期待してたのではありませんでした。
以降、あくまで私的感想なので、
この映画をお好きな方は、ごめんなさい。
変種のフランケンシュタイン物で、
幼児の脳を持つ主人公が、自立した女性になる話で、所謂フェミニズムの映画の様で、パンフレットのコラムもそれを謳ったものが掲載されてますが、ラストシーンのシチュエーションの性別を入れ替えてもわかる様に、ソレさえも嘲笑っている様な気がしました。
ラストで主人公は、都合の良い夫、肯定し続けてくれる友人、従属関係だけの使用人、奇異な実験動物、復讐の成れの果ての山羊に囲まれて、微笑むのですが、それらを含めてPoor Thingsなのでしょう。
観るきっかけとなった映像も、確かに色んな様式のごった煮の美術や衣装を使い、ある世界感を構築しようとしてる風ですが、
パッチワークの様で作者のアクというか、美意識の様なモノが感じられず、浅い上澄みの世界感だと思いました。
こう言う絵作りは、印象的なシーンが必ず残る物ですが、私には残りませんでした。
強いていえば、術後の主人公の目覚めるシーンで、これもラング作メトロポリスのアンドロイドマリアのシーンの引用でしかなく、雰囲気だけのものでした。
悪趣味な所まで昇華される事もない、平坦なアートの羅列の様に感じました。
唐突に意図が感じられない広角レンズに視点が変わるのは、歪んだ世界の描写として成功してるとは、私は思えなかったです。
その視点が気になってノイズとなって、疑問のまま見続けたのですが、あるシーンで音響が、執拗に不協和音を奏でる所で、この映画の意図を理解した気がしました。
エロスもグロテスクも装いだけで、
根源的なものに迫る訳でもなく、
音響も映像も不協和音で綴り、
描かれた物語もフェミニズムを謳う様で嘲笑う、ニヒリズムにはちょっと乗れないなぁと。
作者のニヒリズムは、まるで観客も含めて、
お気の毒さま(Poor Things)と言われてるみたいで。
なので私は、この作者の立ち位置が不快です。
画の魅力あるも、幼稚園児に翻弄される大人達に共感出来ず。 ★3.4
現在、概ね高評価レビューが多いが、私的にはは自信の基準点★3.5よりマイナスに。
原題が「Poor Things」なので、邦題が「ものたち」で"物"と"者"の両方を表しているのはよく考えられている。
まずよい点から記すると、衣装やセット美術は目に留まる美しさで、船や小さい城などが本物ではなく、アート作品の様に魅せている画力が抜群。
が物語は、序盤の外科手術による誕生というプロットはフムフムと作品に引き込むが、その後が”幼稚園児”に翻弄される大人の物語が、作品の3分の2あたりまで続き、私的にやや冗長に感じ、他作品のデジャブを感じた。 「ギレルモ・デル・トロのピノッキオ」だ・・。
それに矛盾と疑問を感じる設定も多々。
なぜ博士は一般道徳を教えなかったのか・・。
なぜ宝物のように大事な"実験体"を不安な旅に出させたのか・・。
なぜ100人も女性を知る狡猾な弁護士が、幼稚園児に魅了されたのか・・。
なぜ弁護士はその者と旅に出ればトラブルが待ち受けている事を予知出来なかったのか・・。
なぜ狡猾な弁護士自身の方が、稚拙な態度を取る様に変わったのか・・。
と、物語優先のご都合主義で展開するのに嫌気が増し、時々ため息も・・。
が、今作がそれでも見る者の注意を引くのは、幾度となく"意外な物"を画に描写している点だ。
奇怪な動物、現象、唐突な主人公の行動、ユニークなダンス、ヌード、キモい男性、性描写・・・。
エマ・ストーンはそこまでやるかと驚愕してしまう熱演で、是非主演女優を獲得してほしいと記している方もいるが、私は逆にこの役で受賞してほしくないと感じる。
世界中の「映画女優」を目指して努力している女性に、あそこまでしないとアカデミー主演女優は獲れないのか・・。 逆にあそこまでやれば主演女優が獲れるのか・・と"異質な基準"になってしまいそうに感じるから。
(が、実情は他の多くの女優達は、彼女以上の"仕事"は出来ないと判断しストーンに投票する方も多いと思う)
あのお人形の様な大きな目のストーンはこの役にはピッタリで、エロティックなシーンでも、ポルノチックになってないのは彼女のキャラが貢献してると思う。
が今作役は、心中にある事がすぐ行動に出てしまう、稚拙な成長途上で、人としての人格が完成されていない役どころなので、私的には、他にもっと打ち込める作品でその演技力を発揮してほしかったと・・。
私が思う、本当に素晴らしい演技とは、僅かな出演時間、あるいは台詞がないシーンでも、その登場人物の性格や心の深淵まで伝わってしまう様な演技だと思う。
あきらかに一般ウケしそうにない今作が、もしアカデミー賞を多部門受賞すれば、ますます国内では洋画離れが進行してしまうかと・・。
(現在、日本国内の映画収益の「和洋対比」は68:32で、圧倒的に邦画優勢)
↓ エンディングネタバレ
終盤でベラの心が大人に成長して、ようやく感情表現も含まれる描写になるも、傲慢将軍が現れてマックスとの関係がフリダシに戻りそうに・・。
その時点で、そうか今作がこれほど★評価が高いのは、この将軍をベラが殺してマックスの元へ戻るのか! と、(より感情的な行動を取るのかと)瞬時にひらめいた♪
だから、マックスに「必ず戻るわ」とか、「私がこの状況を解決するわ」等の台詞を言うはず!
と思ったのだが、無言でふらふらとついて行く・・。
なんだ結局奥深い感情を表現する演出はないのかと、やや落胆・・。
が、物語がまだ続き・・という事はやはり将軍を・・・。
私はもっとブラックなエンディングを予想した。
危篤の"博士の脳"を”将軍の体”に移植して蘇らせ、
"将軍の脳"を、"犬の体"に移植する!
が、結果は見ての通り、1段階弱いラストに。
ベラが式場でマックスに予定行動を一言告げて、尚もっと必然的に将軍に銃を向ければ、私の評価はもう少し上がったが結局、叙情表現より叙事表現の方が強く感じ、★が上がらずに・・。
同じ異色作でも「TITANE/チタン」はもっと感情移入出来、「バビロン」は全編魅了されたのだが・・。
でも記憶に残りそうなシーンは数知れずの作品でした♪
PS=
現在米アカデミー協会の「作品賞」対象作品には"二つの必要条件"が。 2020年秋に発表された内容を要約すると↓
1 . 主演または重要な助演役に白人以外の人種を最低一人以上起用すること。(発表文ではアジア人・黒人・ヒスパック系・・と記載)
2.または作品テーマに、女性、人種/民族的少数派、LGBTQなどの性的マイノリティー、障がいを持つ人等の要素を含むこと。
さらに制作スタッフにも、最低二人は上記に該当する者を起用するなどの新基準が設けられた。
昨年「作品賞」の「エブリシング・・」や、その前年の「コーダ あいのうた」も上記に該当する。
そして今作も・・・。
が、「バビロン」は候補にならず・・。
最近この様な作品が増えたのは、このアカデミー基準が要因のひとつに。
苦手
予告編でのウィレムデフォーさん見て、なんてハマってるんだ、イカレ過ぎだろう。で、こりゃ観なくちゃ。
ストリートオブファイヤーのデフォーさん、何だ?この気色の悪い男は。道ばたにいたら、迷わず回れ右だな、なんて思っていて、プラトーンでは、すげぇいい人じゃないかと思って、心の中でデフォーさん、すみませんと謝りました。兎に角素晴らし俳優さんで、このメイクもデフォーさんの他にできる人はいないだろうと。
死んでいるシーンも、本当に死んでるんじゃないかと思うほど、素晴らしかったです。
私は、ちょっとこの手の作品が苦手です。
話も全く違うし、比較対象にもなりませんが、ソドムの市を観た時と似たような感覚に陥りました。
女性版フランケンシュタインの自立
女性版フランケンシュタインの怪物が偏見のない目で世界を見て男性が作ったルール・モラルを無視して経験を積み、自分の意志を作っていくお話。自殺した妊婦に胎児の脳を移植して作ったヒロインベラ。
幸福感に包まれた少女時代は世界がおとぎ話のようなフワフワした映像だったのが、だんだん成長していくと現実に即した色合いになっていくのは見事であった。
男が作ったルールを無視して世界を知り、良いことだけでなく不幸も知ることで、大人になった。最後に妊婦が自殺する原因となった妊婦の夫=男性中心主義の権化を倒してベラは自立の道を歩み始める。
良い映画であるけど、ベラに都合の良い世界だな。終わりまで見たとき、ちょっとポリコレ臭を感じた。夫マックスもベラが長い旅行をしている間ずっと待っててくれる都合のよい夫。これが逆だと、男が外で遊んでいる間ずっと家庭で待ってくれる嫁か。長らく男が女に求めていた都合の良い女を逆転した状態だ。男が自分に都合の良い女を求めるなら、女が自分に都合の良い男を求めても問題ない。が、結局自分を抑えて我慢してくれる人が必要なんだなぁ。結局は弱肉強食か。ポリコレは自分が強くなって搾取する側になりたいというのが本音だろう。そう見ると大して正当性があるわけじゃないわ。まあ映画だからいいか、現実だと長い間放置された夫は夫で別の女と付き合うだろうし。
それにしてもいつまでベラが変人で行動が理解しにくくちょっと苛ついたわ。あと、この映画は釈迦が生老病死を知って悟りを開く物語の変形だと思った。
個人的には星4は多すぎだが、星3.5では少ない。星3.8ぐらいにしたい映画だった。
シナプス大量形成
成人の体に赤ん坊の脳を持つ女性が、この世界をみて成長する話。
ロンドンブリッジから身投げして亡くなった妊婦の遺体を天才科学者ゴッドが発見し、胎児の脳を移植して蘇らせるという人体実験を行って誕生したベラ。
最初は言葉も拙くよちよち歩きでお漏らしもしてという状態だったけれど…あっ、みつけちゃいましたね〜。
記録係として連れてこられたマックスと結婚?と思ったら、立会人である筈の弁護士ダンカンと冒険旅行へ。
熱烈ジャンプは入り口で、人間の心理や本質を覗き見て、そして哲学を語り考え…って人の汚さや世の中の不条理をみても恐れず戸惑わず何でも欲しがるベラだからこそですね。
終盤はオールドボーイ的復讐か、ゴッドアルフィーかなんて思ったら、まさかのそんなドストレート?それはそれで良いけれどw
白黒混濁でコミカルな描写も結構あるけれど、かわいーとかおもしろーいというよりも、常にどこか不快感がついて回り、それの対象が変化して行く様な感覚があって面白かったけれど、設定以外にぶっ飛んだものが少ないし、落とし方がコント過ぎて、もっと行けるんじゃ?と物足りなさも感じた。
現代のフランケンシュタインなのか?(的外れ笑)
エマストーンの演技も中々ぶっ飛んでていいね。
頭と身体が噛み合ってない感じが上手い。特に表情とか。
子供が性欲に目覚めちゃうんだから仕方がないよね。あーゆー風になるのは。しかも初めてでもないわけで。
映像もなんか独特な雰囲気を出していると思った。
1番すごいのは、BGMだな。あの何とも言えない不快感というか不安感はいいね。そのままエンドロールに突入したのも良かった。あのエンドロール、秀逸だよ。芸術性を意識したのかな?あーゆーのあんまり好きではないけど、本作にはあってた。
ただちょっと性的な描写がしつこい感じもしたな。あれはもうエロスではなく獣性な色合いに近づいていったような。まあ、男としては拒否反応はしないけど、エロさが少ないのはね、ちょっとなあ。しかし、映倫も通すようになったんだなあ、あーゆーの、と思った。
マークラファロってやっぱハルク役がなければここまで躍進してなかったよなあって思いつつ、演技はちゃんとしてて役にハマってると思った。
最後は、博士と将軍の脳を入れ替えちゃえば良かったのになあ。まあ、流れであの展開は既定路線だけど。
現代のフランケンシュタインとして考えると、社会にある一定のテーゼを主張してる点なんかからもなんかあるのかなあと。こう言うのって大抵メッセージ性あるからね。
まあ、エマストーン、迫真の演技であったのは間違いない。「ゾンビランド」の頃が懐かしいね。
後追いの成長。
天才外科医によって蘇生し生まれ変わった女の話。
橋から身投げしたヴィクトリア、橋の下で天才外科医ゴッドに拾われ、お腹にいた胎児の脳を移植され蘇生した体は大人で精神年齢は子供なベラ・バクスターのストーリー。
物心がつき好奇心旺盛なベラ、子供の様に駄々をこねやりたい放題、性に目覚めては盛りのついた動物の如くセックスだったけど…セックス、裸描写は結構あったけどエロさ全然感じずで、どちらかといえば始めましての人とのやりとり、急にビンタ、蹴りあげるみたいな描写の方が笑えた。
月日が経つにつれ片言な言葉や歩き方、考え方などが徐々に成長して、ホントの自分を知り元の家に戻るも、なぜ自殺をしたかが分かり蘇生した場所へ戻ったけど…実験の経過観察はどうなった?
変人天才外科医の「あ~」って唸りながら口からだすあの空気玉は何すか?(笑)
笑っちゃった。
「ラ・ラ・ランド」よりも個人的には「クルエラ」が好き、エマ・ストーンは好きな女優さんだけど、本作は体張って裸体を晒したけど、役やストーリーとはいえ裸体を晒す女優さんって他の作品でもいるけど、晒す=その女優さんが安く見えてしまうのよね個人的に、なので女優さんの裸は見たくない。
作品は飽きずに観れたけどちょっと時間を感じてしまった。
好奇心と自由と寛容
久々に劇場に駆け込みたくなる話題作は期待を裏切らなかった! 驚嘆の世界観、寓話性、芸術性に加え、アイロニックな笑いを誘う楽しさもあり、常識はずれの主人公の言動や行動にはある種の爽快さもある。ただ奇妙奇天烈なだけなく、好奇心を持ち自由に生きることを賞賛する一貫したテーマがある。
映像からたくさんの刺激を受け、たくさんのことを考えたくなるし、物事の表層ではなく根源を見つめさせてくれる。重厚で高次な映画芸術の最高峰だと思う。
勿論、お下劣なところがあるからこそ、より興奮するというのも事実。高尚と下品のバランスが実に丁度いい。
とにかくベラの強烈な生き様に目が行きがちなところで、ベラの父親的存在ゴッドウィン・バクスターについて一つ。クライマックスで彼は肉体を入れ替え不老不死のハッピーエンドに進むのかと思わせるカメラワークののちに、予想を裏切り安らかな死を迎える。私には印象的なシーンの一つであった。
冒険してもいい頃
よくよく考えてみたらエロ漫画のテーマではないですか。
俳優陣の名演に騙されるところでした。
ただ生と性の問題は人生のテーマですので哲学的にも捉えることができそうです。
エマさんとゴッドが素敵な映画でした。
奇妙な世界に没入
ゴシックホラー、SF、童話、実験的アート、シュール・コメディ、ファンタジーといった言葉が思いつくが
感想がうまくまとめられない。
しかし映画自体は演技、演出、音楽、美術が素晴らしく融合しており、奇妙で怖くて美しくてなんとなくクセになりそうな五感に響くゾワゾワする感覚をもたらしてくれた。
登場人物の倫理観やエログロ行為など眉をひそめるようなシーンはあるが、そもそも狂気から始まる超現実的なワンダーランドなので何でもありかと。
よくこのスケールでこの世界観を作り出せたものだと感嘆。モノクロもカラーの切り替えも美しかった。
ラストは優しくて残酷だが収まる所に収まった?と妙に満足。
最初から最後まで謎の没入感に包まれた時間だった。
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