哀れなるものたちのレビュー・感想・評価
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映画「哀れなるものたち」が芸術的で最高すぎた件
とにかく素晴らしかった。
映画はここまで素晴らしくなれるのかとさえ思った。
芸術的であり写実的であり、なおかつドキドキさせてくれる映画だった。
# PG18
なぜこの年齢制限なのかと思ったが残酷な映画ではない。暴力表現がバンバン出てくるわけではない。
ただ手術のシーンがグロテスクなのと、あとは性的なシーンが山ほど出てくる。誰かと一緒に観るより1人の方が観やすい映画だと思う。
# モノクロ
誰もが最初は「フランケンシュタイン」とか「オペラ座の夜」を連想するのではないだろうか。
なにせ顔がズタズタに縫合された男が登場する。そして序盤はなんと、この時代に完全にモノクロの映画なのだ。
白黒時代の映画への多大なるリスペクトを感じた気がした。あの時代の映画のリブートなのだと思った。
# 醜い男と美女
先ほど述べた顔がツギハギだらけの老人と、そして少女のような成人女性のような美女が登場する。
きっとこの醜男に女は囚われているに違いない。誰もがそう思うだろうが真実は違う。
醜い男は父親みたいなもので、女はその子供みたいなものだ。食卓を囲み楽しそうに話すのだった。
だが女は子供のようにしか話せない。男は体に障害があり、女は脳に障害がある。
# 女の秘密
女にはとある秘密がある。最初はまるで1歳児のようなのだが、短い日数のうちに3歳児のようになり、それからもすごい速度で成長して行く。
各年代の役を完全に演じ切るヒロイン。怪演である。
醜い男の秘密最初は「モンスターも普通にいるような世界観なのだろうか」と思ったが違った、
男は子供の頃、科学の進歩のために外科医の父親に実験台にされ、体をズタズタにされたのだ。
# カラー
映画はもちろん白黒だけではなくカラーにもなる。
序盤の現在が白黒で、過去がカラー。そして時間が経つとまたカラー。
特に色の使い分けに意味はなくて、白黒映画時代へのリスペクトをどこかに表したかっただけなのかもしれない。
白黒の世界を抜けてカラーの世界に変わった瞬間はとても鮮烈だった。
# 男女の立場の逆転
女は悪い男に連れられて世界に旅に出る。数々の女を泣かせてきた系の悪い男に。
だがその旅の間にも女の知能は発達し続ける。最初は「俺に惚れるなよ」と言っていた男がだんだんと女に夢中になり立場は逆転する。
そして男の葛藤の中、男と女でのダンスシーンがあるのだが、タイタニックのパーティーのシーンみたいで良かった。
# 後半
全体が長いので後半は少し見疲れてきた。エンディングの後にエンディングがあるような構成なので、もう少し凝縮してくれたらとは思った。
どえらい映画を観てしまった…
それが見終わった後の第一印象。観る前は、まぁ「フランケンシュタイン」のヴァリエーションだなと思っていた。でも、それを乗り越えて想像もつかない展開になってゆき、圧倒された。この難しい役柄に真っ裸も厭わず、体当たりでぶつかったエマ・ストーンに拍手! 元ネタと徹底的に違うのは、醜くない。創造者に愛されている。名前もある。やっぱり、それってすごく重要なことなんだろうなと改めて思った。だから、その後の展開もまるっきり違ってくる。ベラの本能のままに行動する姿に唖然とする自分がいた。現実的には絶対無理そうなのに、軽々と進んでゆくベラにもう応援するしかできなかった。映画はどんな終幕を迎えるのか、想像しながら観ていたが、思いもよらない結末を迎えて、呆然とするしかなかった。ベラの肩を強調したドレスは何を意味していたのだろうか。私にはわからなかった。
キメラがいっぱい
平日の21時過ぎ終了の回に観たけど、席数も結構多いのにかなり埋まってた
最終だったのかな?
しかし皆思ってた通りの映画だったのかな?wと思った
うーん、何か文学的な映画でも無いし
ギリアムみたいな感じとも違うし…
まあ重苦しいフランス映画みたいになってもしんどそうだけど…
鑑賞後感があまり良く無いと言うか…
何だかんだでずっと白痴とセックスみたいに見えてしまって、それでもまあいいんだけど、意外と面白くならなかったと言うか…
役者さんそれぞれは良かったんですけどね
人間について探究する壮大な「旅」
スチームパンク、ゴシックホラー、そして子どもの絵本のようなファンシーな世界観などを縦横無尽に横断しながら、
文字通り「旅」をするように”人間”という生き物について観察するような体験をさせてくれる映画でした
壮大な人間讃歌として素晴らしい傑作
肉体、感覚的な探究から思考の世界へ、そしてそこから社会や他者との在り方についてと、自らの好奇心を満たす要素の成熟過程を辿っていく様が個人的には白眉。
絵作りも素晴らしく
モノクロで始まったと思えば、
極彩色かつコントラストバキバキの圧力強い絵作りへ、
ラストに向かう頃にはノイズと調和したような淡さが出てくるところまで、
とても幅広い色彩の振れ幅。
さらに独創的な背景、道具に乗り物、建築や衣装まで、
とにかく視覚的にビビッドな刺激が満載
また、過激な表現を惜しまずに曝け出し、R18指定の作品。
それはまるで大人向けの絵本を見ているよう。
人体の解剖シーンや人体手術、そして性描写までがボカシやごまかしも無く真正面から描かれているが、
不思議と露悪的なグロや官能的なエロを感じさせる事はありませんでした。
人間についての好奇心や探究心へのワクワクが常に根底にあるような、そんな感覚。
基本的にはずっと笑える映画です
もう哀れな人々の可笑しさの乱れ打ちに笑いの連続です
世界一汚いシャボン玉みたいなのが出てくるシーンなんかは、最後まで説明がないあたりがマジで最高でした。
マークラファロ演じるダンカンは最後まで本当にしょーもなくて、大好きでした笑
シーンの繋ぎやテンポも軽やか、そしてラストにはカタルシスもある。
その為140分超のコッテリとした映画にも関わらず、鑑賞後の気分は爽やか。
壮大な冒険の旅を経て
今まで慣習的に使っていた”人間らしさ”って言葉を考え直したくなる。
そんなきっかけになった映画でした
難解な大人のおとぎばなし
胎児の脳を母親に移植して云々という発想は興味ぶかく、また、高度な映像表現や音楽により物語の世界がしっかり作られていると感じました。
それから、邦題や『Poor Things』という原題が示唆するように、言いたいこと、描きたいこともなんとなくわかった。
でも、映画そのものが面白くなかった。観念的な遊びのように映り、こころに響くものはありませんでした。
中2のころから知能がほとんど発達していない僕には、この大人のおとぎばなしは難解でした。
哀れなのは誰?
【ドレス物】というジャンルがあればいいのに…と思う程ドレスが好き。美しいドレスのポスターに惹かれて鑑賞。
中世?SF?みたいな世界観も大大大好き!
…でも、はっきり言ってそれだけ…映像美だけ。
主観だけど登場人物全員哀れ…自分で自分のことを哀れと思わなければ幸せ…と気づく…というか発展途上国の女性とか気づかないように、色々遮断されてるんだろうな…とも考えさせられた。
美しくあれと求める哀れなるものたち。
彼女はひたすらに純粋で、ただただ知りたいという欲求のみを抱いて旅に出る。
思考も言動も、およそ人間的ではない彼女だからこそ、そこには穢れなき美しさが存在する。まるで人形や犬や子供のような、いわば押井守的な美的感覚を醸し出しているのである。
そんな美しさを求める人間たちに対して、彼女は全く意にも介さず、さらなる知識をもとめ、より人間らしくなっていく。
自由意志の名のもとに、その変化は許されてしかるべき行為ではあるのものの、普通になることが是が非か未だ結論を出せないでいる。
純粋無垢な人が歩む人生譚としてはフォレスト・ガンプでいい。無垢であ...
純粋無垢な人が歩む人生譚としてはフォレスト・ガンプでいい。無垢でありながら頭がよく愛を知らない姿はあまり人間的には見えない。それでいながら魅力的なエマに感情移入して観ると寄せられる父性・愛情・支配欲様々な感情が哀れに見えてしまう
熱烈ジャンプ!
エマ・ストーン目当てで見に行きましたが内容よくわからずw
ハルクやゴブリンが出てきたのは良かった!
特にハルクはプレイボーイな序盤とはうってかわってエマ・ストーンの毒気?にやられて堕ちていく様はなかなかハマってた。。
ちょっと哲学的過ぎるのか内容が難しい(・・;)
めちゃくちゃだけど、自己啓発映画でもあるんだよな
赤ちゃん脳から性に目覚め、熱烈ジャンプ迄早くねぇか!?だから、ちょっとエロいシーンに釘付けになりがちなんだけど、自分自身を常に問いかけ見つめ直し、やるべき道を選択する、コメディタッチの哲学的作品でした。
興味深かった。
映画館にて鑑賞しました。
タイトルに惹かれて前情報なしで見に行きました。アカデミー賞の複数の部門にノミネートされている作品だと映画が始まる前のCMで知りました。
最初は色無しから始まり、旅に出たところから色が付き始める演出であったり、現実なのか幻想なのか若干不安になるような街並みや色合いに独特な世界観を感じました。この監督さんの世界観なのかもしれませんが、現実味をちょっと薄めることで「ここで描いているのは現実じゃないんですよ」という言い訳をギリギリなところでしているようにも感じました。
大人の女性の体に、その女性が身ごもっていた胎児の脳を移植して観察するというのは、とてつもないマッドサイエンティストな発想で設定自体にはかなり驚きましたが、彼女の成長過程はシミュレーションゲームを見ているような感覚にもなり、個人的には興味深かったです。
この映画はこの結末を見せたかったのでしょうか。結末に至る過程を見せたかったのでしょうか。表現しづらいのですが、映画のあのラストはあの過程を経ての結果として良かったのでしょうか。
善意の自慰
流石だなぁ〜、って感じでした。好き。好きだけども長いッ笑 ハルクターンはもっと削っても…、いや必要か。たぶん本気で好きにしたら後半の将軍ターンも延びて4時間超えだったのでしょうね。昨今色々と言われるけれども「プロデューサー力」ってのも大事なんだなぁとトンチンカンな感想を抱きました。
一見、男性陣を愚かしく描いて〜風に見えたりもしますがさにあらず。やはりこの監督の視点はフラットで素晴らしい。なんなら一番吐き気がするのが「ベラの施し」である所。アレが意味を為していない処か、(問題はあれど)恩のある人を窮地に追いやっている様は、滑稽を通り越して胸糞悪かったですねー(たぶんそれが狙い)。終わり方も個人的には「オエッ」でしたが、話全体の纏まりとしては秀逸でした。
自分の感覚をフルに刺激される映画
あらすじだけ読んでいったのだけど、想像を遥かに越えて凄かった!!
発想・衣装・背景の建物群、世界観全てものすごく好みで、最初から最後までずっとベラの変わりゆく視点に合わせて変化していく衣装や小物やセットにわくわくした。
ベラが成長過程でスポンジを吸収するように体験から得ていく全てのものが、最終的に彼女が女性として成長した後に、彼女の価値観や倫理観に繋がっていくことに心が震える。
冒険と成長はセットだよね。
彼女が成長するにはあの素敵な豪邸を出て、彼女の自由さを愛して好奇心を満たしてくれるスポンサーとお出かけし、見聞を広める必要があったのね。
家でどれだけマナーを教えても、色んな人と出会って他人から見た自分がどんなかを自分で学ぶまでは、必要なことはよくわからないよなと思った。
性的なことはその人の隠せない本質が顕になることの表現なのかなと思ってみてたけど、色んな欲望を隠しながら人は生きてて、それを全部出しても良い場所に来たらその人本来の人間性みたいものがバーンと出てしまうだろな。
文字通り丸裸になった人間をベラの純粋な観察眼でたっぷり観察してまた彼女は成長していく。すごい。すごくよくできてる。
さぞかし多い学びがあっただろう。
衣装はコルセットをつけてない時のリッチに生地を使ったフワフワのお袖のドレスもものすごく可愛いけど、カチッと型通りに着られた赤いドレスもすごくすごく素敵だったなー。どれもこれもうっとりで、新しいドレスで現れる度に隅々まで眺めてしまった。
建物がまた素敵で、窓!窓がものすごく凝ってて素敵だった!!
住みたい。
とにかく自分の感覚をフルに刺激する映画だったなと思う。
凄いものみたな。
見どころは多い
見どころは多いのだが、人にも勧めたいほどではない。
前半の不快感からの後半の巻き返しは面白かった。
しかし、赤ん坊がうるさい、女性の話がつまらないなどの感覚はあるのに、おっさんに触られるのが気色悪いという感覚だけ抜け落ちているのはあまりに都合が良すぎる。
男性向けに見せかけて女性向けの映画だと思います。
映像はとても綺麗でした。
人体実験の被験者の成長譚である奇譚
ストーリーが奇想天外かつ演出が強烈で『奇譚』という表現が似合う作品だろう。
人体実験の被験者としてマッドサイエンティストである外科医・ゴッドウィン(ウィレム・デフォーさん)により脳の部分に赤ちゃんの脳を移植された成人の身体を持つベラ(エマ・ストーンさん)。
ベラの行動は言われてみれば/子育て経験があれば分かるだろうが子供の成長過程をなぞっていくものである。
ベラの成長は周囲の大人からみると急激であり、人間の欲求のひとつである性欲もストレートに表現するようになっていった。
ベラの行動は少しずつ成人の行動に近づいていくが、
・ゴッドウィンの教え子の医学生・マックス(ラミー・ユセフさん)
・ゴッドウィンとマックスを結婚させるための手続きを担当した弁護士・ダンカン(マーク・ラファロさん)
・ベラとダンカンの旅行中にクルーズ船で出会った乗客
・船から追放された後のパリの売春宿の客や労働者
などとの出会いや交流の中で、本能的行動と人格形成のアンバランスに周囲が振り回されながらも、ベラがひとりの人格を持った成人に近づく過程が興味深く観ることができる。
性欲の発露の描き方が故・大島渚さんの『愛のコリーダ』とは違う描き方ではあるが直接的であり、R-18指定も止むなしかと思った。
人体実験の被験者がストーリーに登場する作品としては個人的には大友克洋さんの『AKIRA』や貞本義行さん+庵野秀明さんの『新世紀エヴァンゲリオン』が印象的だが、この2作品をご覧になった方はベラの生き様と『AKIRA』の被験者たち・『エヴァンゲリオン』の綾波レイの姿と比べてみるのもアリかと思う。
元々彼等が非人道的な実験の産物であり、物語の終盤に登場するある人物の最後の姿の描き方が妥当かどうかは意見が分かれるだろう(個人的にはあまり好ましいとは思わなかった)。ベラにとっては明るい結末だが…
ピンホールカメラや魚眼レンズを使ったカメラワークや、モノクロから総天然色に移行する映像は、ヨルゴス・ランディモス監督の得意なスキルが反映されているようである。
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