劇場公開日 2024年1月26日

「こんな映画だったとは…」哀れなるものたち 町谷東光さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0こんな映画だったとは…

2024年3月5日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

グロいです。エロいです。
グロくて、エロくて、エロくて…。すごいです。

先に見た「ボーはおそれている」も、さりげなく男性器が映っていたが、この映画はその何倍も映っていた。
ファックシーンも何度も出てきて、接合部そのものはないが、かなりの性描写である。
女性器が映ることはないけれど、ぼかしもかからず、ヘアも映る。
いつのまに、日本の映倫は性描写にここまで寛容になったのだろう?

もちろん、そのことは映画の本質と直接関係はないものの、ヒロインのエマ・ストーンが裸、ファックシーンを厭わずにやっていることが映画の迫力、重みにつながっている。
映画館で予告編を見ているときにはまったく想像もしなかった内容だった。
予告だけ見ると、中途半端なファンタジーのようで、どうして高い評価があるのか不思議だったが、オスカーの可能性がある、というので発表前に見ておきたい、と思って足を運んだのだ。
封切りから1カ月半たち、上映劇場、回数もかなり減っているはずだが、平日昼間というのに新宿ピカデリーにはそこそこ客が入っていて驚いた。

これまでも書いてきたが、僕は事前情報をほとんど入れずに映画を見るので、今回は想像もしなかったシーンが多かった。

作品の内容とは無関係に、そういう場面が「出し惜しみ」なく描かれているというのは、演じる側、作る側の根性も座っている、と感じたのだ。
趣里主演の「ほかげ」について、彼女がまったく裸を見せなかったことについて僕は批判的に書いた。彼女が裸にならなかったのは、はっきり言って女優根性がない、と断じたい。
今の時代にこういうと不適切なんだろうが、そう思う。この映画を見ると、なんと日本映画は演じるほうも、作るほうも、ぬるいことをやっているのか、と思う。

かつて、大島渚らが、日本の性表現の制限にあれだけ闘ったのに、今の映画人はどうなっているんだろうか?

未見の人は、早めに行っておいたほうがいいね。

町谷東光