哀れなるものたちのレビュー・感想・評価
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不気味だけど綺麗な映像とエマ・ストーン
女性版のフランケンシュタインという感じのお話でした。エマ・ストーン演じる主人公ベラ・バクスターは、外科医であるゴドウィン・バクスターの手で胎児の脳の移植を受けて”生まれ変わり”、そのままゴドウィンに育てられる訳ですが、ゴドウィン自身も父親から様々な人体実験を受けていて見た目はまさにフランケンシュタイン。そんなゴドウィン=フランケンシュタインが生み出したのがベラなので、まさに女性版フランケンシュタインでした。
メアリー・シェリーの小説に出て来るフランケンシュタイン同様、ベラが色々なことを学ぶことで名実ともに大人になっていく成長物語と言えば聞こえはいいですが、中盤からベラが放蕩者の弁護士であるダンカンとともに家を出て海外を旅するようになり、さらには生活の糧を得るために娼婦になるに至ってはセックスシーンの連続で、R18+指定もむべなるかなという展開に。ただ胎児から母体への脳移植というショッキングな前提だけでなく、ゴドウィンらによる解剖シーンも多々出て来るので、セクシーというよりうすら寒い不気味さを絶えず感じる作品でした。
ベラが娼婦になることを通じて社会性を身に着け、自我を形成していくというストーリーは(勿論ベラの成長過程には、貧しい者に対する慈愛を育む場面があるなど、他の要素も多々ありましたが)、個人的にあまりピンと来ませんでした。ただ19世紀っぽい雰囲気の中にもSFチックで幻想的な雰囲気の映像は非常に素晴らしく、また緩急を付けた音楽もストーリーや映像にピッタリとマッチしていました。
勿論女性版フランケンシュタインを演じたエマ・ストーンの演技は素晴らしく、表面的に狂気じみていた前半から、様々な経験を通じて知性を身に着け、内面的な美しさを得て行くベラの成長を、実に上手く演じていたと思います。
そんな訳で、今年のアカデミー賞でも有力候補である本作の評価は、★4.5とします。
ピカソの絵画
不協和音
見る側を試す映画
字幕版を鑑賞。1992 年に英国で発表された小説が原作の映画で、2023 年ヴェネツィア国際映画祭最高賞の金獅子賞、2024 年ゴールデングローブ賞の作品賞と主演女優賞など、数多くの受賞で話題となり、アカデミー賞でも3部門でノミネートされた。映画の話題に乗り遅れまいとして原作小説の日本語翻訳本が 2023 年に発売されるという珍しい経過を辿っている。原作は未読である。見た側が試されるような内容を持っている。
世を儚んで川に身を投げた臨月の妊婦の遺体が天才外科医によって拾われ、母親の身体に胎児の脳を移植して蘇らせるという離れ技によって、成人女性に幼児の頭脳を持たせた新たな生命体が誕生したことが話の発端である。脳移植は未だに実現の目処が立っていない医療技術であり、他の臓器に比べて繋がなければならない血管の数などが桁違いであり、一部でも血液の流通が滞ると数分で酸欠死を起こしてしまう。また、移植が成功して蘇ったと仮定して、それは脳の持ち主の人格と見るのか、身体の持ち主の人格と見るのかなど、法律的にも越えるべき大きな問題がある。
脳移植を扱った映画には、「ゲット・アウト」という傑作ホラーもあったが、いずれもフランケンシュタイン級のゲテモノ話になるのが避けられない。本作も決してその流れから逃れることはできていないが、物語の切り口が斬新で、ただのエログロに堕するのを辛うじて避けていた。R18+ というのは、簡単にいうと「成人映画」という意味であり、ボカシのない局部が映っていたりするが、必ずしも嬉しい見せ物ではなかった。
成人女性の体に幼児の脳を入れたために、様々な異様なシーンが続出する。一見すれば狂人に見えてしまうのは、その幼児脳が社会性といったものを一切持ち合わせていないためであろう。モラルがないということは社会的な束縛から逃れられるという意味なのだろうが、それは褒められた自由ではなく、世の中の狡猾な男性の搾取を受けてしまうことにもなりかねない。苦界に身を落とすのに躊躇いがないといったところも、ある意味自由な発想なのだろうが、人間の尊厳という価値観を持たないだけの幼稚さでしかないようにも見える。経済的な価値観の欠如も甚だしく、可哀想な子供に他人の金で施しをするなどというのは滑稽の極みである。
幼児脳の成長は著しく速く、哲学書を読んで難易度の高い用語を駆使して話せるようになるような描写もあるが、本で読んだことが身に付くのは、実体験が価値観のベースにあるからであって、文字情報だけで思想が形成できるというのは、まず絶対にありえない描写であった。こうした現実的でない細々としたことが気になって物語の世界に入り込むのが邪魔された。
一見よく出来た女性解放の話のように見えるが、出来の悪い SF ホラーのようにも見えた。「ゴジラ -1.0」や「ゴールデンカムイ」のように素直に他人に薦めたくなる映画とは同列には語れない映画である。「パラサイト」に最優秀作品賞を与えるような昨今のアカデミー賞のトレンドは、私には全く気に入らないのだが、そういう連中には評価が高そうだというのは察せられた。
音楽は冒頭からチューニングができていない弦楽器の演奏が流れて来て、非常に腹が立った。映画のシーンをなぞるように不快な曲が続き、本当に何度も途中で帰ろうかと思ったほどである。幼児から次第に自己を作り上げていく女性を演じたエマ・ストーンは、プロデュースも兼ねるほど本気で仕事をしていて、その能力は高く評価されるだろうが、初めの頃の野獣のような粗暴な振る舞いは、47 丁を彷彿とさせて不快極まった。他人に薦めたくなるような映画ではない。
(映像4+脚本3+役者5+音楽0+演出2)×4= 56 点。
スチームパンクとゴシックと成長譚
これはホラー?奇想天外過ぎて
フランケンシュタイン博士?アヒル犬?ブタ鳥?
いったい何を見せられているのか???
戸惑いがしばらく続いたモノクロ映像。
どうやら思っていたモノとは違うらしい。
そのうちR18所以の映像のオンパレードに転じたあたりから様相が変わっていく。エマ・ストーンの文字どおりの体当たり演技だが不思議と全くセクシーではない。キテレツ過ぎて色気どころではない。
終盤にはシリアスな展開が待っているのかと思ったが
〆がヤギ人間ではコメディホラーと認定せざるを得ない。私的にエマ・ストーンファンだっただけに複雑な気持ちで映画館を後にした。
気晴らしにゴルフの打ちっぱなし🏌️♀️へ直行⛳️
アカデミーノミネート作品の奇々怪界は今年も続くのでしょうか?😭
08
文句なし!エマ・ストーンの演技からこの作品で伝えたい思いが伝わる。
予告編から楽しみにしていた本作品だが、文句なしこの作品のメッセージが
伝わった。
本作品はとにかくエマ・ストーンの演技が素晴らしかった。何より演技から
強い意志がスクリーンから伝わった。
ヨルゴス・ランデイモス監督作品は女王陛下のお気に入りに続き2作目だが
独創性は監督らしいし、今回はしっかり本作品で伝えたいことがはっきりしていた。
意外と考えさせられる内容。学ぶことによって成長する。唸らされた。脱帽。
ちょっと性描写がきついなと思う場面もあるが、これを吹き飛ばすエマ・ストーンの
怪演に脱帽。
2024年ベスト作品候補にあげたい作品。おすすめします。
タイトルなし
大賞を取ったりするタイプの映画だとは思わないけど(魂が震えたりはしない)、ユニークで、しかもドクターと彼女の愛情、夫との愛情が感じられて良かった。音楽が圧倒的によく、合成動物のビジュアルはすごいし、船の上での空など素晴らしかった。もちろん、エマ・ ストーンの演技は素晴らしい。隠れたテーマは、男性のジェンダー支配への批判であり、彼女の父は科学者で、科学的精神で現実に向き合うこと以外、一切、通俗的道徳で娘を縛らないので、女性ジェンダー規範も入りようがない。彼女にとって人生は欲望と実験と冒険の場である。彼女の好奇心も科学的なハビトゥスだし、ドクターは、何より彼女をその点で育てたと言える。
とはいえ、不幸な赤ん坊に感情移入する倫理感がいきなり出てきているのは不自然か。
しかし性的欲望は知的な問いへと昇華されていく。彼女の成長派この意味で見事。
何とも不思議な映画でした。
エログロファンタジーコメディ
ハチャメチャ幸福論
蘇生
すっごい悪趣味な世界観と変態的な情操教育なので、子どもには見せられません!
2024.1.26 字幕 イオンシネマ京都桂川
2023年のイギリス映画(142分、R18+)
原作はアラスター・グレイの小説『Poor Things(1992年)』
ある実験にて幼児化した女性の成長を描くヒューマンドラマ
監督はヨルゴス・ランティモス
脚本はトニー・マクマナラ
原題は『Poor Things』で「かわいそうなものたち」と言う意味
物語の舞台は、イギリスのロンドン
ある橋から身投げした女性(エマ・ストーン)は、天才外科医ゴッドウィン・バクスター(ウィレム・デフォー)に助けられ、ある実験対象となった
それは身籠っていた胎児の脳を移植すると言うもので、それによって女性は「脳は幼児、身体は大人」と言う個体として復活する
ゴッドウィンは彼女にベラと言う名前をつけて、助手のプリム夫人(ビッキー・ペッパーダイン)とともに、彼女の成長を促していくことになった
ゴッドウィンは医学生のマックス・マッキャンドルズ(ラミー・ユセフ)をベラの記録係に指名し、彼は真面目にベラの生育状態を克明に記録していく
ベラはマックスを気に入り、ゴッドウィンは二人を結婚させようと考えていた
その結婚契約書をの作成を頼まれた弁護士のダンカン・ウェダバーン(マーク・ラファエロ)は、この契約で結婚しようとするベラと言う女性に興味を示す
彼はベラにこの契約は不当で、もっと世界のことを知るべきだと諭す
ベラはその考えに感化され、ゴッドウィンに結婚前にダンカンとともに冒険をしてくると言って一緒に行ってしまうのである
物語は、ダンカンとの冒険を描く中で、彼女が精神的に成長し、世界を知ると言う内容になっていた
自分が恵まれた状況であると知り、男女の仲で育まれる性的な欲求を堪能し、最終的には娼館にて働いて、自立していくことになる
その行く先々で色んな人物の価値観にふれていく中で、ベラの人格が形成されていくのだが、人間が大人になるために必要な要素をぶち込みまくっていると言う印象を受けた
性的な探究心では、多くの性癖を持つ変態が登場しまくり、無修正に近い性交が描かれまくる
文字通り「まくる」と言う感じで、合計10回以上のセックスシーンがあったりする
ノーマルな体位変換から、性教育を施す子どもと親と言うものまで登場し、それによって培われる人間哲学が正しいのかすらわからないと言う感じになっていた
登場する男性は基本的にバカで愚かと言う感じになっていて、女性の奉仕活動に多くの時間を割きつつも、学んでいくことはたいしたことがなかったりする
変態性の強い映画で、カップル&ファミリーだと地雷案件としか言いようがないので、誰かに紹介することは憚られる内容であると思う
ぶっちゃけ、「ちょっと長いわ」と思いながら観ていたが、それは着地点がはじめに提示されているものの、回り道ばかりしていく流れにイライラしてしまうからではないだろうか
いずれにせよ、監督が監督なのでヤバいんだろうなあと思っていたが、想像以上の変態映画で驚いてしまった
知的障害に見える幼少期、発達障害に見える青春期を迎えて、性的な衝動が落ち着くと思考的な欲求が育ってくる
このあたりからダンカンがただのわがまま幼児に見えてくるのもツボで、その先に人生を知るために娼館で働きながら、世の中の男性の変態性を学んでいくと言う流れはコメディ以外の何物でもないと思う
最終的に、経験豊富なベラを無条件で受け入れる王子が登場するのだが、抑圧よりも自由を選ぶところが今風ということなのかもしれません
おそらく名作、傑作である。だけど僕はあまり面白くなかった。理由は自分が思ってたのと違う展開だったので残念だっただけ、というよくある理由なので作品に罪はない。
◆失敗した。いや作品ではなく自分のことだ。もっと先入観を持たずにフラットな目線で鑑賞すれば作品を楽しめたかもしれない。
予告編の、 「私はベラバクスター 世界を見て回るの」 というエマ・ストーンのセリフに勝手にときめいてしまったのが敗因と思われる。
女性版フランケンシュタインのベラが世界を巡る冒険の旅に出て、色々なものを見聞きし体験し成長していくという、よくあるパターンを勝手に想像してた。
確かにベラは強烈な体験を重ね成長していくのだが、ベラの驚きや喜び悲しみが僕には伝わってこなかった。だからベラの成長も、気が付いたら最後のほうで医者を目指していて、なんかきっと成長したんだなと思った程度だ。ベラの体験を共体験(追体験?)して感動する気マンマンで望んだのがよくなかった。勝手な想像と思い込みが強すぎたのだと思う。
◆予告編で、船上の黒人青年のたたずまいがとても良かったので、ベラと老婦人と黒人青年が絡む場面がもっと見たかった。船の寄港先のアレキサンドリアで、地上で赤ん坊が亡くなるのをベラが見て悲しむのだが、肝心の地上場面がよく見えないし数秒間だけなのでベラの驚きと悲しみが伝わってこなかった。脳が子供のベラがお金を全部あげてしまって1文無しになって船上とアレキサンドリア編は終わり。海上に浮かぶ船の遠景の空が不気味で良かった。
◆パリでは、「こんなに楽してお金が稼げてラッキー、しかも住み込み」のベラだけど、女も男を選びたいという提案がマダムにやんわり却下されて少しご不満。これも含めその他男性中心社会の問題が描かれる。
このパリ編、 ”エマ・ストーンのオッパイとヘアヌードとセックスは無くてもよくね問題” が発生。なんでこんなことになったかは不明。
僕は「バードマン」からのエマ・ストーンファン。親子ほど年が離れてるからパパ目線だ。パパ・ストーンからしたらこのパリ編は見てられん。
「うちのエマはオッパイ出さんでも客呼べるしアカデミー賞とれると思うがのう。 女子はオッパイ出すとギャラが上がるんかのう、それほど金に困ってるとは思えんが」と嘆くパパ・ストーンであった。
◆以下の話は英検4級の持ち主が、原題の意味をチャチャッとネットで検索しただけの感想なので、あまり真面目に読まないほうが良いと思う。
◎ 原題 Poor Things に比して邦題 「哀れなるものたち」 がやや重すぎる問題。
Poor Things は例えば
・転んでちょっと擦り傷ができた。
・家への帰り道、雨が降ってきて少し濡れた。
・夜よく眠れなかった。
というときに、相手に対して 「かわいそうに」、 「気の毒に」、 「残念だったね」と軽い感じで使うカジュアルな言い回しらしい。
だから、もし邦題がもっと軽い感じの「お気の毒さま」だったら鑑賞したときの印象も相当変わって、コメディ要素をより強く感じたんじゃなかろうか。
僕は、「哀れなるものたち」に、より重い印象を受ける。 映画を見る前から ”哀れなるもの” とは一体何か? を考えて、 ”哀れなるもの探し” が始まる。
予告編を見た時すぐに「哀れなる人間のゴウだのサガだのが描かれるんだろうな」と思った。 もちろん見終わってからも、 ”哀れなるものたち” って何だろうって考えたさ。取りあえずベラに振り回された男たちかなとは思った。
アメリカでこの映画を見たネイティブは、「ああ、いつもの軽い感じのPoor Thingsね」と思って映画を鑑賞し、「みんなお気の毒さま、面白いコメディだったわ」なんて感想を持つかもしれない。 最初っから軽い感じのPoor Thingsって思ってるから、 重たい ”哀れなるもの探し” なんてもちろんしない。
もしかしたら、世界中でこの映画を見た人のうち、この邦題で見た日本人だけが ”哀れなるもの探し” をしてるんじゃないだろうか? な~んて思ったりしたわけでごじゃるよ。
最初にも書いたとおり、自慢じゃないが栄えある英検4級資格保持者だから、全く的はずれの見当違いである可能性が高いと思われる。
あと今日(1/25)レビューしたけど見たのは先行1/19(金)。
アカデミー主要3部門ノミネート、納得です
カナダでは火曜が映画の日で、この作品が上映された6時15分の回はほぼ満席でした。
こちらはエログロな画面に目をシロクロさせながら、エマの微妙に聞き取りにくいイギリス英語に四苦八苦していましたが、会場中爆笑につぐ爆笑。
えー、これでそんなに笑えますか?
女性の自由と解放とかいいながら、売春しちゃうのは、なんだかんだで男にかしづく立場なんじゃないかなと違和感を感じたのは私だけかな。
何もあんなに脱がなくても…とは思いましたが、子供の脳じゃないとだから、そこは恥じらっちゃダメなのか。海外でも評価が高く、終わった後は盛大な拍手が湧きました。多分笑ってたのも、拍手をしたのも男性たちじゃないかな。隣にいたご婦人たちはたびたび顔を覆っていましたから、決して賛辞ばかり集まってるわけじゃないと思います。
プロットとしてはユニークだし、服装もセットも美しいし、よくできた作品だとは思いますが、何となくそこまでスカッとできない自分がいました。
もちろんエマストーンにはあっぱれですが、脱いだらアカデミー賞みたいな流れにはなってほしくないとは思いました。もちろん、そういう人間のサガ、全部ひっくるめて悲しい存在ではありますが。
追記:なんだかんだで年末年始から10本近く見て、見られるものはアカデミー賞候補作品もそれなりにチェックしましたが、今回主演女優賞候補にマーゴットがいないので、エマの受賞が確信できるような、エマが獲れなきゃブーイングが起こるようなレベルの演技だと思いました。
昔は不要なシーンでも、監督やプロデューサーが無理に女優を脱がすシーンを入れたりした時代もありましたが、プロデュース側にエマもいた時点で、女性の自由、女性性からの解放、これまでの価値観を覆した、エマの軽やかで周りの俳優を振り回す役柄は、全てエマの計算だったんだと、作品を見終わった後でジワジワ実感できます。
鑑賞中はグロいわー、エロすぎやん、えー、きっしょ!…などとモヤついていたのですが、赤ちゃんからどんどん知性を掴む過程で、私たちに気づきを与え、生きることの喜びを伝え、価値観を疑わせ、時代を変えていくような力強さを感じました。
そのことに気づかせて下さった、たくさんのレビュアーさんに感謝しています。いいね、コメント、お返事、本当にありがとうございました。
キメラたちが可愛い
ロンドンとかパリとか出てくるけど、明らかにわれわれの世界と地続きでない別世界の物語り。幻想的で、エキセントリックで、とてもユーモラスで、ちょっとグロテスクで結構エッチ。いや、この世界観の具現化は相当凄い。でもって、メッセージ性も強い。好き嫌いがかなり別れそうな作品だが、わたしには大好物だった。
フィルム撮影とかペッツバールレンズの使用とか、撮影も凝りに凝ったらしい。
エマ・ストーンの文字通りのカラダ張った演技、W. デフォーのマッドサイエンティストっぷり、M. ラファロのスケベ駄目男、何れも最高。
ラストはロンドンに帰って終わりかと思ったら、もう一波乱あった。
ドクターの庭にいたイヌアヒル(イヌニワトリ?)とかアヒルヤギとかのキメラアニマルたちのフィギュア欲しいな。海洋堂さん、お願いします。
剥き出しの欲
時折混ざる不協和音や毒々しい色のCGが不気味ながら神秘的な雰囲気を醸し出している。このような演出に加えて、主人公の無邪気さ、無鉄砲さと哲学的なセリフなども相まって、刺さる人にはとことん刺さるエッジの効いた作品となっている。
R+18指定の作品であるためポルノシーンやグロテスクなシーンも多く、登場人物がモラルよりも自身の性欲や探求欲、知識欲などを満たすために行動する様が一切の配慮なく生々しく描画されている。
好みは別れるものの、非常に個性的・衝撃的な作品であることは間違いないため、予告編を見て興味を持った人は観に行っても後悔はしないと思う。
採点4.3 ヨルゴス・ランティモスの新作。 「女王陛下のお気に入り...
採点4.3
ヨルゴス・ランティモスの新作。
「女王陛下のお気に入り」のタッグで、これが予想以上の強烈な作品でした。
あまりにも悲しい奇妙な生い立ちの少女、その成長を描いたロードムービー。というより寓話の方が正しいでしょうか。
まずそのアートワークが素晴らしい。
御伽話のような街並みや建物に船、ビビッドな空にファッション。
モノクロや魚眼を多用したカメラなど、本当に目まぐるしいです。
あと凄いのが劇伴ですね。音楽ともSEともいえない音はとても作品に彩りをつけていましたし、それが傷のように残るんです。
その視点や景色は全て子供の「世界を知りたい」といった好奇心だけで描かれていて、それが何処か愛おしいかったです。
夢のような美しい世界から、バベルの塔から見下ろす地獄。
最初から危なっかしい冒険でしたが、貧富や争い色欲など世の中の闇も学び、どんどんと大人になってその目に映る景色も変化していく。
エマストーンは野生味のある芝居で、無垢な部分が良く出ていました。
だからか、いやらしさがないんですね。正に熱烈ジャンプです。
それとゴッド役のウィレム・デフォー、エマストーンに劣らないインパクトを残していきます。
フランケンシュタインの様な風貌と、凶器と裏腹な優しい父親像。
育て・見守り・見送り・看取られる。最高の演技でした。
それと最後にもうひとエピソード入れてきたのには驚きましたね。
そしてエンドロールがまた素晴らしかった。
テキストとビジュアルの組み合わせが本当美しかったです。
最初から最後まで耽美で生と性とアーティステイックな魅力に溢れた作品でした。本当に見事ですよ。
独特な映像美と、ファッションに釘付け!
ちょっと抜けた弦の音が印象的な、めくるめく奇妙なお伽話の世界。
女性をモノのように扱い管理し、搾取する世界に絶望した女性が、社会の既成概念など通用しない万能な無垢な心を手に入れて再生、自由な冒険をする物語。
ウィレム・デフォー演じるゴッドウィン・バクスターは、ブラックジャックも真っ青!
手術痕だらけの見た目がまるでフランケンシュタイン博士の創造物のよう。
ベラに「ゴッド」と呼ばれるけれど、ホントその通り、創造者。
作品中で、彼の体は父親の実験で切り刻まれていたし、その結果、人々から奇異な目で見られ嘲笑され続けた彼は、ベラを父親のように庇護し続けようとするのがちょっと切なく見えてきて、愛情深いVer.フランケンシュタイン博士を想った。
(ウィレム・デフォーはいい仕事するなぁ)
もっともジェンダー云々というのはあまり語らなくても良いかもね…
ラストの庭のシーンで、一瞬ハッピーエンドを感じた自分に、ちょっと苦笑。
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