哀れなるものたちのレビュー・感想・評価
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哀れなるものたちとは
「哀れなるものたち」とは、「良識」や「社会」に縛られた人たちのことだ。
ベラは、好きなものを好きと言い、嫌いなものを嫌いと言い、自らの欲求に正直で、好奇心が旺盛で、真実を知ることを恐れず、人の善を信じ、世界が良くなるように努めている。そこには一点の曇りもない。ベラはいつも満ち足りている。
とはいえ、ベラの作った世界(ゴッドの作った世界)もやっぱりいびつで異常だ。
まだまだ成長途中のベラが行き着く世界は。
ストーリー、世界観、美的センス、最高。
評判通りの傑作である。いかにも実際、昔あったかのような怪しい医学を軸に奇想天外のストーリー、ブルジョア風俗もゴージャスに再現、風景や世界観がスケール大きく描かれ、美的センスは衣装からエンドロールの背景に及ぶ。人間性とは倫理とは何かという、いささか哲学的なテーマとともに、明け透けなセックスシーンも入れた娯楽性もある。ヴェネツィアで金獅子賞も納得、恐れ入りましたという感じ。最初は奇怪なベラが、この映画を見終えた後は誰もが好きになる。
Stay foolish
アカデミー賞最有力候補という売り込みで日本に早めに来てくれたので鑑賞。でかいスクリーンで観れたのは良い収穫でした。
かなり人を選ぶ作品だなと思いました。面白いところと置いてけぼりにされるところがあり、トータルでは面白かったなぁって感じになりました。
入水自殺をした女性の脳と胎児の脳を入れ替えて、逆コナン君状態になってしまったベラの成長物語だなぁと最初は思っていましたが、成長を超える形成の物語になっていたのには驚かされました。
初っ端キメラ動物が出てきて、この手の動物が好きな自分としてはテンションが上がりました。犬鶏ってあんな不気味なんだ…。
刺激的な性描写ということで、結構激しめなプレイが多いのかなと思いましたが、刺激的っちゃ刺激的ですがなぜか笑えるものになっていたのが不思議でした。性行為を何も知らない状態でベラが全て体験していくので、超楽しそうにプレイをしていく様子が面白かったです。
傲慢な男性がよく出てきますが、それと対比して誠実な男性も出てくるので、そこのバランスがちょうど良く、男性の悪ばかり描く作品や製作陣たちへの皮肉だなぁとニヤッとしてしまいました。
偏見など何も知らずに育てられて、親の手を離れて真っ白な状態から色付けされて、それが綺麗な色でもあり、汚い色にもなる、そうやって自分の個性が生まれていくというありそうであまり観たことなかった0から1の成長して主体性を掴むという終わり方まで痺れさせられました。
脳内は赤ん坊、体は大人の女性という漫画的設定の難役をやり切ったエマ・ストーンは素晴らしすぎました。
不器用な歩き方やワガママな素振り、感情の制御が効かずに暴れ回る様子にゾクゾクさせられますし、初体験を脳が子供の状態で知るという前代未聞なシーンもこれでもかってくらい演じられていましたし、そこからアクセル全開で体験していく様子は爆笑もんでした。成長して脳が体に追いついてからの立ち振る舞いは前半に観ていた人と同じなのかってくらい演技が違うものだったので、度肝を抜かれました。
まだ公開されてない作品もあるので大きな声では言えませんが、今年のアカデミー賞の主演女優賞はエマ・ストーンに取ってほしいなと思いました。
マーク・ラファロは子供の脳のベラと成長したベラにとんでもないぐらい振り回されるこれまた難役をSEX交え見事にやり切っていました。この方の慌てふためく様子はキャラクターの傲慢さも相まって痛快でした。
服装のバリエーションの豊富さだったり、建物のレトロな雰囲気だったり、空の不思議な明るさだったりと、キャラクター以外にも色々と目に入るものが多かったので、そのシーンがあるたびにワクワクしていた自分がいました。
画面内の情報量は半端じゃなく、その世界観や美術に見惚れながら2時間半あっという間に過ぎ去っていきました。2回目観て考察を深めるというのも面白そうだなと思いました。
苦手かもなと思っていたところに、皮肉たっぷり独創性満載の作品に仕上がっていて面白かったです。監督の次回作にも期待したいです。
鑑賞日 1/27
鑑賞時間 12:40〜15:15
座席 R-35
実はクリの話である
大人の体を手に入れた赤子の成長を通じて特に女性解放を描いた映画、などと言われる。
この、女性解放がテーマだとかいうのは実はフェイクだと思う。
見続けるにつれ当初期待していた内容からは外れていくので、多くの人は頭が混乱してしまうんだと思うけど、実は見方を変えれば単純な話になっている。
食卓で卓上のフルーツを膣に入れて幸せを手に入れるシーン。
その後ダンカンの最高の性技で熱烈ジャンプの虜になるシーン。
売春宿で3回擦っただけでイってしまうダンディ。
熱烈ジャンプのダンカンが会いに来ても何の興味も示さないシーン
同僚の黒人娼婦にclitorisをなめられてくつろぐシーン。
clitorisを切除しようとした将軍にブチ切れてヤギにするシーン。
黒人娼婦を呼び寄せて暮らすシーン。
これらからわかることは、ベラが最も大切にしているのはclitorisであること。
clitorisこそ女性の象徴であり最も気持ちよくなれるものと位置付けていて、penisには興味を失っているようだ。
ベラはナカ派からクリ派へと転向したということなんだろう。
もしかするとやっとの思いで結婚したマックスだが、内もものやわらかを見ていない可能性すらある。
clitorisをひたすらに称賛するこの特殊なテーマの本作、果たしてどれほどの女性の共感を得られているのだろうか。
アンモラルな始まりでも
Poor Things
自分が世界を見せてあげると言って、実際に影響を受けて変わると、ある人は自分の手から離れていくのに耐えられないと咽ぶ。大人の身体に子供の脳という設定が、(振り回す立場としても)絶妙なのだろう。
世界では生活困窮者は熱射を前にして、理性を失い子供も虐待する。使用人たちは銃口の脅しに逆らえず、弄り芸の演者を続ける。
傍観していても、その立場に成り代わったなら加害者でも被害者でも、そのまま自分を当てはめる他ないと。それに対して、アンモラルな出生でも、生命自体は魅力的だと。人の可能性を檻に閉じ込めないよう、進歩できるかどうかを問うている
哀れなるものたち
哀れなるものたち
最高だった。
心を揺さぶるものって感動とか、感情移入とかじゃなくてもできるんだと知った。何か見てはいけないものを見ているような、見たくないものに目をそめたくなるような体験。人が人の形をしていなかったり、人間のあるべき姿ではない何か奇怪なものは、気味が悪く、かわいそうに映る。そういういけないものを見ている背徳感は、人間の重要な感情なのだ。だからこそ、ベラの周囲の人たちは平気でいられるのだ。だからこそ、哀れなるものたちなのだ。
①『生の感情』はあったか
おそらくこの映画で1番重要なのがこれ。胎児のような頭脳を持ち大人の体をあやつる、いわゆる「逆コナンくん」のベラは、まさに生の感情の権化。全ての意思表示が生の感情であり、それを抑える術を持たぬ。だからこそ純粋で、愛しく思えてくる。やはり我々観客は、生の感情が爆発するものに共感を覚え、この世界の社会的抑圧から解放されることを願っているのだろう。
②緊張感はあったか
特段、特筆するような緊張感のあるシーンはなかったように思える。それがこの映画がエンタメでない理由だろう。もっとエンタメ性を出すのであれば、ベラの行動がきっかけで命の危険に晒されたり、誰かを殺してしまいそうになったりするが、どちらかというとこの作品はそういう緊張感のあるシーンすらもコミカルに描いている感じがした。だからこそ、ベラに対して嫌な印象を持たず、終始感情移入できたのだろう。
③「謎」はあったか
これはなかった。ほぼなかったと言っていい。この作品は、1人の人物を追っていく物語で、ベラという少女の成長を追っていく物語だった。不必要な要素だと思う。
成人女性の体に胎児の脳を移植して誕生した、見た目は大人で頭脳は子供の少女、ベラ。彼女は、子供ならではの自由奔放さから、ベラを創生した父親代わりのゴッドに半ば監禁されていた。
その事実を知った遊び人のダンカンは、ベラをリスボンに連れ出し、外の世界の冒険をさせる。ベラはそこで出会うさまざまな人間や世界に触れ、だんだんと成長をしていく。しかし、まだ未成熟の彼女の行動により、ダンカンと共に破産し、パリに置き去りになってしまう。
そこで彼女は、自身の性的好奇心と金銭的危機を考え、娼婦になることを自ら決める。
そうした中、ゴッドの危篤を知り、帰ってくるベラ。そこで彼女は、自らの出生の真相を知り、やがてゴッドが死ぬと、医者になることを決意するのであった。
「生々しい描写」は もう少し控えめにしてほしいと思いました。
予告編で魚に乗っている女性の映像や
ミニチュアっぽい特撮映像を見て
テリー・ギリアム監督作の映像に似た雰囲気があったので
面白いかも・・・と期待して
「哀れなるものたち」
字幕版を鑑賞してきました。
以下ネタバレ
テリー・ギリアム監督作の映画で表現される、
空想と現実の対比描写や
特撮映像の雰囲気を期待しましたが
「哀れなるものたち」の予告編で見た
魚に乗る女性は
チャプターのイメージ動画なだけだったり、
ミニチュアっぽい特撮映像は
テリー・ギリアム監督作というよりは
ウェス・アンダーソン監督作の
お洒落模型表現のパクリっぽい印象でした。
そして
空想と現実の対比はなく、
虚構雰囲気を漂わせた背景美術演出で
マッドサイエンティストの謎技術がつくりだした生命体の
生々しい現実を表現した映画だったのが残念でした。
また広角レンズの使い方が下手だなとも思いました。
マッドサイエンティストの
不思議な謎の電気機械と
内容・正体などがはっきりわからない説明イラストで
雰囲気演出された謎の外科技法は
面白みが少なく、
生々しい描写でリアリティ感を強引に
押しつけてくるので
「謎技術」と「生々しい描写」の組み合わせの
雑な設定のためか
フィクションとして楽しめませんでした。
教育などによって整えられたりせず
自然のままの状態で育った「野生」的な
女性の主役の「生々しい描写」も
やりすぎで、下品な印象が強く、
大きなスクリーンで見せられてもな・・・
と思いました。
衣装デザインや船のデザインは
大きなスクリーンならではのディテール情報が
楽しかったので
そのぶん
「野生」的な女性の主役の「生々しい描写」は
もう少し控えめにしてほしいと思いました。
ラスボス的な将軍を
「謎技術」で山羊にしたラストは
山羊の虐待だったので
後味わるいなと思いました。
西洋美術の絵画などで表現される
残酷描写に抵抗がない層向けの
映画という印象の作品でした。
24-015
ディズニーでR18+、
そういう事なんですねぇ。
趣味の悪い設定に奇怪な生き物、
そしてモノクロ。
しんどい始まりだなぁと思っていると、
成長と向上のお話。
なかなかええやんと思っていると、
食欲と性欲の話、そして支離滅裂。
終始よくわからん。
フランケンシュタインとピノキオに
何が足されたようなお話し。
寓話で啓示のような、ないような。
まあ、
エマストーンの表情だけで満腹です😅
オトナの童話
女フランケンシュタインの怪奇路線モノかと思い観始めたけどラストに向かいエマはもう成長していくしなかなか面白かった。
画が独特の色調、ウィレム・デフォーのメイク良いし、エマの脱ぎっぷりも良いし。オトナ向けの童話で好きだわ。
ブッ飛んだけどスゴイ映画と言うしかない
ぶっ飛んだ、スゴイ映画を観てしまった…という感想です。あくまでもいい意味で。
数々のR18指定の映画はあれど、
ここまで真っ向から描かれると
それは、食べたり眠ったり…といった人間の日常の行為と何ら変わりません。
そればかり注目されがちですが、
人はこうやって成長していくのか…とまじまじと考える
真面目で、でもシュールな映画だと思いました。
1人の女性の驚くべき成長と純真無垢な様を前にして
「哀れなるものたち」は
ひれ伏すしかありません。
主人公ベラも、演じたエマ・ストーンもあっぱれ、です。
エマ・ストーンというと
私はずっとラ・ラ・ランドのイメージを引きずっています💦
もし、あの映画の中で、最後は有名な女優になった設定のミア=エマ・ストーンの人生が続いているとしたら、
相手役を演じたライアン・ゴズリングは、
「ミア、君はなかなかスゴイ女優になったんだね…」とつぶやくことでしょう。
まあよくこの役を引き受けたし、
製作側にも加わっているそうです。
これがアカデミー賞候補?
人の物差しは、人それぞれですが、私には全くマッチしませんでした。エマ・ストーンの演技は良かったのですが、作品としては理解できません。異種間の動物がでてきたり、最後は山羊人間がでてきたりして。←これらを登場させる意図が理解できませんでした。
本能と理性と感性を刺激する一作
公開を楽しみにしていた一作。
奇作でアート的な作品かと思いきや、中身はわかりやすい作品ではあった。
しかし、いい意味で期待を裏切られた。
奇抜な設定から、しっかりと人間の本能と、社会性と愛が新しい視点で描かれており、斜め上の行動をするベラから目が離せなかった。
セックスシーンだらけではあるが、最初は微笑ましくなるが、だんだんと生々しく、重くなってくる。人間が生きるのに性が深く結びついており、人間たらしめることが改めて感じさせられる。
体当たりで演じたエマ・ストーンにただただ脱帽である。
社会性を学んでいく過程でのさまざまな登場人物も癖が強くも魅力的である。
そして、不協和音と優美だが禍々しくもある、こだわり抜いた美術も長い映画を飽きさせない。
最後は丸くおさまってしまった感はあるが、人間の期待と怖さを感じるベラであった。
好き嫌いはあれど主演女優賞レベルです
予告CMをみた時は生理的に苦手かも…と思いましたが、解説やレビューをいくら読んでも作品のイメージがわかず、結局は気になって自分の目でみに行くことにしました。
フランケンシュタインでもマイフェアレディでもなく、もっと単純な成長物語のように感じました。性的なシーンが多いですが、動物的で色気がなく、あぁ人間も動物だわという気分になります。
かなりファンタジックで非現実的な衣装や装置、演出があまり私の好みではありませんでしたが、とにかく主人公を演じたエマ・ストーンから目が離せず、ベラが次にどうするのか、どうなるのかが気になって見守ってしまいます。いかに彼女が真剣に役や作品に向き合い、全身全霊をささげて演じているのかが見て取れて感動しました。
くせの強い内容で好き嫌いが分かれるとは思いますが、たとえ映画自体が嫌いでも、この演技はアカデミー主演女優賞レベルではないでしょうか。
ヨルゴス・ランティモス × エマ・ストーン
これは今年のベストワン候補となる傑作。
自ら命を絶った身重のベラ。天才外科医によって自分の胎児の脳を移植され蘇生した。
そう、これは新生児の脳と大人の体を持ったベラの成長記。無垢だからこそ、偏見がないからこそわかる物事の本質。
例えば性欲は食欲と同じように自然に存在するもの。なくてはならない大切なものなのに何故に恥ずべきもの、包み隠すべき存在になってしまったのだろう。
何の先入観もなく善し悪しを判断するベラ。
ここに清々しほど明確な哲学がありました。
美術も好きだった。好きな世界観を形成した。あり得ない世界で、作り物の世界で真実を模索する。久々に「映画は映画である」と叫びたくなった。
とんでもないムービー
これはとんでもなく面白い映画でした。
とんでもない実験で生まれたとんでもなく魅力的なキャラクター。
フェミニズ厶などのメッセージもありますが、主人公の成長物語として単純に楽しめます。
しかしエマ・ストーンの演技はとんでもなく素晴らしかったです。こういうハリウッドスターの体当たりの演技を見ると、日本の人気女優はとても敵わないなと思ってしまう。
とっても文学的
こういう小説があれば大好物と思ってたらハヤカワepi文庫で原作出てるんですね。早速購入して読んでみようと思ってます。
赤ん坊の知能、大人の肉体。彼女に常識なんて言葉は存在しない。不味いものは吐き出す。気に入らないものには暴力も辞さない。自分の欲望を満たすために駄々もこねる。お金と肉欲のために身体だって売ってしまう。気持ちいいことして何が悪いの?欲望、好奇心の思うままに何でも試してみる。それがベラという女。
物語が進むにつれ、赤ん坊が子供になりそして大人になるようにベラも成長していく。その過程も面白い。
人生謳歌
R18指定で奇想天外な話しだけど、ただの
所有物とされ感じてきた主人公ベラ・バクスター
は飛び降りを。
科学的実験も大好きな医師、ゴッドにより蘇生。
胎児の脳を移植され生きて行くお話。
行動、言動やシーンもかなり枠外ではあるが
徐々に知性と感情を身に纏っていくベラ。
自由を手に入れる為に出た冒険の旅立ちが
自分自身を築いていき、人生謳歌をしていく。
そして物扱いをしていた男性達を蹴散らす。
男性社会の権力により社会追放を受けてた時代。
性に対して自由な欲望を吐き出せなかったフェミニズムを主張してる感じもする。
エマストーンの陰と陽の演技は凄かった。
不協和音は頭がクラクラする程の余韻が
あり、心に残る色彩と世界観。
所有物では無く自由の権利を訴える。
男の支配力は哀れ。
哀れなものは誰だったのかを突き付けられた
映画でした。
『ベラ・バクスター』の世界を知る冒険
主役の『ベラ・バクスター』を演じる『エマ・ストーン』は
自身がプロデュースも兼ねる熱の入れよう。
それだけ本作の映画化を強く願ったということだろう。
そこで魅せるのは役者魂。
〔女王陛下のお気に入り(2018年)〕より更に過激に。
よくみればレイティングは「R18+」とされており、
予告編でもその類のシーンは一切無かったので
かなり虚を突かれた思い。
もっとも、余禄として嬉しくはあるのだが。
とは言え本作のテーマは女性の自立と解放。
型や枠に嵌めようとする社会や世間、
なかんずく男性からの。
綺麗ゴトを言い、
最初は自由に振る舞わせていても、
次第に束縛が強くなるのは、ありがち。
または最初から
女性を自分の所有物としか思わない者まで。
そこからの解放が終幕に向け、
うねるように紡がれる。
本編は若い女性が橋の上から身を投げるシーンで始まる。
彼女が次に目覚めた時には、
全ての記憶はおろか、脳もまっさらの状態。
そこから、驚異的なスピードで
しかも貪欲に知識を吸収する。
そこで再び『エマ・ストーン』の演技の素晴らしさである。
とりわけマリオネットのようなぎくしゃくとしたムーブと、
舌足らずのしゃべり方、
好奇心丸出しの表情も、観客を圧倒。
劇中ではそれを蠱惑と捉え、
入れ込む者が現れるのも納得なほど。
一旦死んだ『ベラ』を再生させたのは
医学者の『ゴドウィン・バクスター(ウィレム・デフォー)』。
彼の風貌は『フランケンシュタイン』が生み出した
『Frankenstein's monster』のよう。
それは彼もまた、父親から虐待に近い抑圧を受けて育ったことの結果。
しかし自身が生み出した創成した女性には『ベラ』との名を付け、
先のクリチャーが最後まで名無しの『?』だったことに比べ雲泥の差。
既にして、ハッピーエンドは約束されていたのだろう。
カラダそのものは最初から大人の姿。
一方で精神は幼いまま。
最初は子供らしい残虐さが
次第に憐みの心と共に
他人に感情移入できるまでに成長を遂げる。
その過程がユーモラスなエピソードで語られ、
観る側は思わず哄笑してしまう。
舞台の設定は「ヴィクトリア朝」を模したロンドンも、
建造物や交通機関や医学技術は時代を超越。
そんななか、幾多の失敗も繰り返しながら貪欲に知識を吸収、
セルフプロデュースもしていく主人公の姿は
現代に生きる我々の目から見ても
ほれぼれするほどのロールモデルかもしれない。
ただ寓話としてみた時には
〔ピノッキオの冒険〕の近しい
ストーリーと印象を受けもする。
導く人物により、
人はどうにでも染まる、との。
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