「女性版フランケンシュタインの自立」哀れなるものたち へできさんの映画レビュー(感想・評価)
女性版フランケンシュタインの自立
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女性版フランケンシュタインの怪物が偏見のない目で世界を見て男性が作ったルール・モラルを無視して経験を積み、自分の意志を作っていくお話。自殺した妊婦に胎児の脳を移植して作ったヒロインベラ。
幸福感に包まれた少女時代は世界がおとぎ話のようなフワフワした映像だったのが、だんだん成長していくと現実に即した色合いになっていくのは見事であった。
男が作ったルールを無視して世界を知り、良いことだけでなく不幸も知ることで、大人になった。最後に妊婦が自殺する原因となった妊婦の夫=男性中心主義の権化を倒してベラは自立の道を歩み始める。
良い映画であるけど、ベラに都合の良い世界だな。終わりまで見たとき、ちょっとポリコレ臭を感じた。夫マックスもベラが長い旅行をしている間ずっと待っててくれる都合のよい夫。これが逆だと、男が外で遊んでいる間ずっと家庭で待ってくれる嫁か。長らく男が女に求めていた都合の良い女を逆転した状態だ。男が自分に都合の良い女を求めるなら、女が自分に都合の良い男を求めても問題ない。が、結局自分を抑えて我慢してくれる人が必要なんだなぁ。結局は弱肉強食か。ポリコレは自分が強くなって搾取する側になりたいというのが本音だろう。そう見ると大して正当性があるわけじゃないわ。まあ映画だからいいか、現実だと長い間放置された夫は夫で別の女と付き合うだろうし。
それにしてもいつまでベラが変人で行動が理解しにくくちょっと苛ついたわ。あと、この映画は釈迦が生老病死を知って悟りを開く物語の変形だと思った。
個人的には星4は多すぎだが、星3.5では少ない。星3.8ぐらいにしたい映画だった。
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