「好奇心と自由と寛容」哀れなるものたち Kさんの映画レビュー(感想・評価)
好奇心と自由と寛容
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久々に劇場に駆け込みたくなる話題作は期待を裏切らなかった! 驚嘆の世界観、寓話性、芸術性に加え、アイロニックな笑いを誘う楽しさもあり、常識はずれの主人公の言動や行動にはある種の爽快さもある。ただ奇妙奇天烈なだけなく、好奇心を持ち自由に生きることを賞賛する一貫したテーマがある。
映像からたくさんの刺激を受け、たくさんのことを考えたくなるし、物事の表層ではなく根源を見つめさせてくれる。重厚で高次な映画芸術の最高峰だと思う。
勿論、お下劣なところがあるからこそ、より興奮するというのも事実。高尚と下品のバランスが実に丁度いい。
とにかくベラの強烈な生き様に目が行きがちなところで、ベラの父親的存在ゴッドウィン・バクスターについて一つ。クライマックスで彼は肉体を入れ替え不老不死のハッピーエンドに進むのかと思わせるカメラワークののちに、予想を裏切り安らかな死を迎える。私には印象的なシーンの一つであった。
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