「「誰にも逢わないかなぁ?・・・」 「大丈夫でしょう!?」」ほつれる いぱねまさんの映画レビュー(感想・評価)
「誰にも逢わないかなぁ?・・・」 「大丈夫でしょう!?」
勿論、好き嫌いのハッキリするベースであり、会話劇というコンセプトも好みが分れるであろう
正直、自分自身もどう捉えていいのか決め兼ねている心情である
構成としては面白い流れだ 大企業勤務なのか相当のサラリーを得ているであろう夫の持ち家のマンションのしつらえ、そして不倫先での場所はグランピング 電車は快適であり、そして帰宅途中の昼食のレストラン 一切の貧乏くささや現実味の有る泥臭さは無い しかしだからといって一昔前のトレンディドラマの様な脳天気の明るさはなく、色設計そのものが淡いダーク掛ったような寒色で支配される 劇伴も音が外れたり転調が所々に配置されている事も含めて、分りやすく経済的裕福さと人間の心情との乖離を演出しているのだと表現している
物語としてはシンプルで、後半の主人公の台詞にもあるように、『不倫中は当人同士は楽しい』というありふれた結論を会話とキャラクター造形で因数分解していく内容で、食事後の唐突の交通事故死による戸惑いと、不倫隠蔽の為に通報を途中で辞め無関係を装う卑怯さ、その卑怯さと突然の喪失感、贖罪としての墓参りと、偶然の相手の父に寄る幼少期の犬の話、現在の夫とも又不倫による結婚、前妻の子供を引き取らない事、そして、又しても夫の浮気発覚、グランピング中にプレゼントされた結婚指輪を模した"不倫指輪"(苦笑)を、財布交換の際遺失し、夫に発見されたこと、そもそも、もう片方の指輪の存在を確かめる為相手の父親を訊ねた際に父親から相手の妻への謝罪を求められた事と実際に妻に逢ったこと・・・ そして最後はその全てを精算すべく、離婚を選択という流れは、あらすじを文字化してみれば、結局、それぞれが自分勝手でだらしなく、心の隙間を常に求めている脆弱で不完全な有り様を抽出しているに過ぎない 夫婦共々その渇きの根本を他者への追求に対してのみ方向性が集中し、自省が分らない状況を印象付ける描き方は、多分こうして文章化したところで、その本質を表現するのは困難だと思う 今作の感想を述べるのに、簡単に綺麗事だけでは評しきれない事は、単に語彙力不足であり、哲学的心理的、もしかしたら広義の宗教感にも精通していないと語れないのではないだろうか? テーマがシンプルなだけに、自分の人生観や価値観が如実に透過され、内省されていくようなサスペンスでもあったりするのは、脚本や演出、演技の説明出来ないさりげない"質の高さ"を受け止めざるを得ない、興味深い作品であった
こんばんは。
コメントありがとうございます。
実は、いぱねまさんだから白状しますが。。
綿子が木村の父に再度会いに訪れた時に、指輪の秘密がバレてしまいますよね。その時の何か不穏なあの間。。父が綿子に、黙っててやるからその代わりに。。と、身体を要求してくるのでは。。と邪推してしまったのです。あーー言っちゃったあ!お恥ずかしい!
私がただの欲求不満なのか、いや、弁解させて下さい笑
監督の前作も知っているので、絶対仕掛けてくるにちがいない!と思ったのです。しかし完敗でした。若き才能は凡人に理解し得ない所で物を見ているんだなと思いました。本作を不倫はダメ、自業自得、意味がわからないなどのネガティブな感想だけなら、それこそこちらの鑑賞眼を鍛え直して出直さなきゃと思いました。
本作のようなタイプの映画が全国ロードショーされた事に喜びを隠せない私でした。ただ、多くの方の目に触れた事で、加藤拓也監督つまらない。。と感じた方がいらっしゃると思うと残念には思います。映画は賛否あってよし!これからも加藤拓也監督には注目したいです。
「ファルコンレイク」調べて観たら予定作れそうです!ありがとうございます!
共感ありがとうございます。
今ちょっと引っかかってるのが、あの夫婦もう嫌、嫌いになったとは口にしてないんですよね~何か決定的な事は言わない、狡い感じを受けてます。
妙に生活感無いんですよね、ワインや家の話をして、食べたゴミを片付けたりしてるのに。裕福なのに、みんなどこか満たされない、でもしっかり享受してる・・あまり切迫感ないですね。
いぱねまさん
作品に対する感想はその人の経験や、観た時の心情、タイミングによって、さまざまだと思います。
いぱねまさんの書かれていることに反論などありませんし、気に触るなんて全く思っていません。
もし、上記コメントでそう思われたのなら私の書き方が悪かったのです。申し訳ありませんでした。
引き続きよろしくお願いします。
いぱねま様、コメントをいただきまして誠にありがとうございました。
こちらの早計な感想に対して真摯にお返事をくださいまして嬉しく思いますと共に恥ずかしさを禁じ得ません。私も別にこの作品を貶めたかった訳ではなく、単に『人としての優しさ』を作中のどこかに期待していたからに他なりません。
『やっぱり生きていて良かったな』と少しは思いたかったのです。現実には映画に出てくる人たちの様な対応を自分たちも取ってしまうのかもしれません。それをまざまざと見せつけられる事に対してある種の同族嫌悪感を抱いてしまったのかもしれません。
文学・文芸の事は全くといっていいほどわかりませんが、興行としての映画を期待していたのは確かです。
いぱねま様がレビューに書いておられる内容に対して批判等をおこなっているものではないことをご理解くださいませ。
作品に対する感想は人それぞれであり、また個人の中でもさまざまな意見等が出てくるのも当然至極であります。
僭越ながら今後のいぱねま様のレビューも是非とも拝読いたしたいと思っておりますので、お気を悪くされませんでしたら、よろしくお願いいたします。
長文失礼をいたしました。
今晩は。
今作は、舞台作家の初監督作品にありがちな要素が多いと思いました。
或る程度の収入があるような夫。専業主婦の妻。けれども誰もその状況に満足していない寒々しい会話。
専業主婦の妻は浮気した夫に対して嫌悪感しかないのに、自分も不倫している。
ですが、今作はネチネチ夫の喋り方(私が妻だったら、間違いなくグーパンチですが、自分も同じ事をやっている。)と門脇麦さんの耐えて耐えてからの炸裂する演技かな、と思いました。
交通事故で亡くなった息子の父を演じた古館さんの姿は良かったかな。
では。返信は不要ですよ。
私に対する今作レビューの共感ポイントは、多分読んだ人の気遣い、又は先に私がポイントチェックしたお返しだと思い、そのお気遣いに改めてお礼を申し上げたい
多分、本来ならば賛成しかねない拗くれた駄文なので、もしサムズダウンマークがあれば圧倒的な数に膨れあがるだろう(苦笑
と同時に、倫理観の正常さがしっかりと保持されているこのサイトの素晴らしさも改めて敬意を表したい
自分はなるべく目立たないように(今でも目立ってはないのだが、如何せん仕組み上、一定時間、レビューがアップされるとページに記録されてしまう)、本音は後ろに持っていく文体にしておこう(^_^;)
こんにちは、レビューを拝読させていただきました。
今作鑑賞後、私もいろいろと考えてみました。(というか不完全燃焼だったもので…)
ひとつ思ったのが『これプロの仕事ではないかもしれない』ということでした。どういうことかと言いますと、どのようなジャンルのエンターテイメントであっても、「笑えた」「泣けた」「怖かった」「興味深かった」「面白くなかった」「わからなかった」等々何かしら心に引っかかるものを得られるものです。
でも今作には何も引っかかるものがなく、観客が「何かあるはず」と必死に探させられたあげく『何もなかった』。なので取りあえずこの辺の解釈で手を打とうと各々に勝手に解釈が委ねられてしまったのではないかと思います。(結果不倫についてが当然おおくなる)
いずれのジャンルにせよ作品というものは発表された時点で作者の手から離れるものです。後からどうこう言ってみても言い訳にしかすぎませんし、それを言うのはアマチュアです。作品のテーマなど説明されても困ります。ましてや原作者の作風などは理解不能ですね。
今回鑑賞後にちょこちょこっとプロフィール的なものも見ましたが、「ふ~ん、で?」という感じでした。
これで手打ちにしようと思いました。
「本当は奥深いのにそれがわからんのか」と思われるかもしれませんが、世の中にはプロの人が大勢いらっしゃるのでそれを観に行きます。
どのように思われますか(それこそ「で?」と思われるでしょうね)
長々と申し訳ありませんでした。
こんにちは。
コメントありがとうございます。
人を好きになるのは結婚していても当然有ると思いますし、配偶者以外と肌を重ねたい欲望は多くの人が持っているでしょう。
倫理観というのは一夫一婦制の法律の中での倫理であり、一夫多妻制の国の倫理とは違いますよね。
不倫を肯定出来ませんが、心や体が壊れる前に別れる選択を、とは思います。
なかなか奥深い作品かもしれませんね。
こんにちは~
とりあえず門脇麦さん観れたので良かったです!
ちなみに結婚されてから他の誰かを好きになる、なってしまう事は全然いいと思うんですけどね。
ただリアルな私の意見を書くと筋通してからやったら?!(離婚、別れてから)って感じですかね~
自分のレビューアップ後に、他レビュー様方を拝見したのだが、やはり否定的な内容が多くて、一般的な基準値が推し量れる意見であった
但し、そんな企画をこうして有名俳優を起用して、しかもミニシアター系ではなくシネコン等で上映する事の本質を考察したい
これからの映画の方向性の一つとして、誰しもが信じて疑わない思想に対して誰しもが実力を認める俳優がディテールを表現する、そして誠実に演出される画作りの作品、しかも真相を曝くのではなく、観客に気まずさを植え付けていく意地悪さも印象付ける作品制作というのは新機軸足りうると感じるのである
今作のように、『不倫は良くない、やっぱり周りを傷付ける、しかも周りも大概だ、不倫相手の父親も、相手の妻ももっと感情をぶつけてもいいのでは?』等々、正義感と倫理性を盾にすればこのストーリーテリングにこそ不満をぶつけたいのは山々であろう
共感性を得られない内容・・・ でも、ネットニュースでの本作のヘッドラインにそのヒントをみつけた
"非合理な他者に思いを寄せる・・・" 実際には不可能な悟りの心境は、しかし古今東西、そのエピソードは枚挙に暇がない そんな"温故知新"なメッセージを感じ取ったのである