劇場公開日 2023年12月8日

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「主演たる存在感と佇まい、そして演技が素晴らしい」あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。 わたしさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0主演たる存在感と佇まい、そして演技が素晴らしい

2024年2月28日
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鑑賞方法:映画館

主演の2人が素敵。
百合の丘で、ただ風に吹かれて佇んでいるだけでも、美しく儚げで尊い。真っ直ぐで懸命な福原さんと、強さと優しさと儚さが共存する水上さんがとてもお似合いで、繊細でナチュラルな演技も魅力的。黒目の表情やちょっとしたまぶたの動きで、心の揺れが伝わって来て、本当に切ない。2人のシーンは、何度でも観たくなる。
反対に、コントのような2つのシーンは、何度観ても、今作風に合っていないように感じて、好きになれない。
原作と設定や構成が変わっていて、全体的に薄味になって、よくある戦時中の話と同じように思われがちなのが残念だ。
今作は、征くことを決意した特攻隊員の彰とその後を知ってしまっている百合の、生きる時代が違う2人だからこその、より切ないラブストーリーが要であると思う。
原作では、ちゃんと戦時中の他作品と差別化を図っていたと思う。割り切ったドライな千代と石丸の関係と対比して、抑えようとしても惹かれあってしまう、想いが溢れてしまう百合と彰の関係が丁寧に描かれていて、分かりやすくて良いなと思っていた。
映画では、素敵な百合と彰のシーンやセリフのカットがあまりにも多い。2人の良さが削がれたようで悲しい。そのようにしてまで、映画オリジナルシーンを入れる必要があったのだろうか。そのようにしたことが、マイナスに作用しているように思えて、甚だ疑問が残る。
原作にある様々な百合と彰のシーンを福原さんと水上さんが演じるのを観たかった。非常に残念でならない。そう思う程、主演の2人はお似合いで素敵。そして、素晴らしい演技だった。

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わたし