あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。のレビュー・感想・評価
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戦時中の経験を得て
以前、映画館の予告で見たことあったので、名前は知っていました。プライムビデオで配信されているのを知り、これを機に鑑賞しました。
現代の女子高生が戦時中の時代に迷い込む物語は、『この世界の片隅に』にタイムスリップの要素を盛り込んだような内容でした。
百合は戦争真っ只中の世界で様々な人々との交流を通して、誰かのために生きるとは何かを学んでいく姿勢が素晴らしかったです。
戦時中を生きる登場人物も魅力的でした。彰は百合と出会ったことで自分の人生を振り返り、その伏線が最後のシーンに繋がったときは涙が止まりませんでした。食堂の女将であるツルも、百合をサポートしながら彼女の真っ直ぐな気持ちを受け入れていく姿に惹かれました。
戦争の厳しい現実は勿論、生きる意味について考えさせられました。戦時中を経験した方だけでなく、若者にも観てほしい作品になっています。
8月だから戦争映画を!って、あれ?違いますか。
去年2023年「ゴジラ-1.0」、「ゲゲゲの謎」と同じような戦後期の映画がほぼ同時期に公開され、話題。テーマ、ターゲットも全く被らないわけではないので、偶然、ということになるんだろうが、ゴジラはさておき、「ゲゲゲ」も本作も予想外のヒットということとなった。
特に本作は興行収入45億円とのことで、すごいヒット。本作のプロデューサーはSNSで人気の原作の映画化を企画し、映画もSNSでバズって、ここまでのヒットになったのだろう。
まずは、ヒットさせることの企画とその成果に対して、素晴らしいと思う。
だが、メンドクサイおっさんが、目くじらを立てて、ああだこうだ言う映画ではない前提を重々承知したうえで言うが、これを「戦争映画」のジャンル分けや本作の原作含め、製作の思いを、「若い人に戦争の虚しさを伝えたい」というにはちょっと辛いものがあるのも事実。
「あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。」
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とりあえず、繰り返しにはなるが、いい企画ではある。
「異世界転生」、「タイムスリップ」、「女子高校生」、「ちょっと重い舞台」、「わかりやすい登場人物」、「主人公の成長」。途中に盛り上がりをちょいと入れれば完成ではある。企画上、主人公はどこまでも、キレイでないといけないし、どうであろうと、ラストは成長して終わり。いいと思う。
だから、おっさんはハナから「戦争映画」として見ることを放棄。
でもね、タイムスリップを描くのであれば、もうちょい見る者を驚かせる、までは言わないけれど、そこをある程度納得させるものとして描いてほしかったなあ、と。
主人公を終戦手前の時代にタイムスリップさせたのが、「何らかの力」であるならば、帰すのも「何らかの力」が何らかの事情、作用、結果が働くことに映画的興奮がある。
「行く」のは、自己を犠牲に、他人の子供を救って死んだ父親を否定している主人公への戒め、とするならば、あの場所である理由も必要性もなく、「帰って」くるのもあそこで消える、というのも、そもそもみんなの目の前で消えちゃイカンでしょ。
所詮、映画なんで、タイムパラドックスとかなんとか言っても仕方がないことなんだけど、資料館で彰の手紙がおかれていると同時に、其処にいた女の子がいきなり消えたとかという記録が在って、ラスト「ニヤっ」てなエピソードがあったら、おっさんはとても嬉しくなったんですけど、そうはならない。
つまり、本作の最も重要視される「ラブストーリー」には「タイムスリップ」におけるスリル、ドラマ、伏線回収は全く必要ないという、潔い製作者側の意志が見える。
と良いように解釈すれば、なんだけど、いくつもの戦争映画を見てきたメンドクサイおっさんにとっては、本作鑑賞中の一番の楽しみは、「どうやって帰るか」になってしまったから、こればっかりはオレが悪い。
追記
主人公のお顔が立派すぎて、どうしてもお化粧しているようにしか見えず、作り手の意図したものなんだろうから、若い子らを呼ぶ「ラブストーリー」として、徹底している。
追記2
彰の最後まで自己犠牲を美談としない、感情的にならないところはよかったね。
と締めたかったのだけれど、本作の原作はこの続きがあって、彰の生まれ変わり、らしい。ありゃ、オレがいいなと思ったのはどうも見当違いだったらしい。読むつもりは全くないですけど、「タイムスリップ」の伏線回収があればいいね。
そういうことなんで、やっぱりおっさんが見る映画じゃなかったということで。
タイムスリップという魔法
タイムスリップという設定のおかげで、過去を追体験している気分になれるから不思議です。戦時中の特攻隊という、そこまで珍しくは無い話ですが、アイテムの一つ一つまで興味深く観察してしまう。現代なら下手すると放置されかねない(若い女の子だと尚更触れるのも怖い)行き倒れのヒロインをちゃんと介抱する彰さんの格好良さ。ヒロインの百合さんも現代風の女の子でありながら、言うべき事は真っ直ぐに主張する強さが素敵。
お話自体は予測可能で驚きは無いけど、その分、安心して見れる内容だったと思います。特攻隊という話はまあ、時代考証とか難しいのでよく判りません。昔の人は偉かったと言いますが、そういう時代だからこそ偉くならざるを得なかったのでしょう。百合さんが本物の空襲を味わったからこそ思わず口から出た「お母さん、助けて」という台詞が印象的でした。本物の空襲、本物の炎の熱さ、本物の命の危険に居合わせたらあの場面でどれだけの人が強く振る舞えるものかどうか。
とはいえ、今時の若者だって偉いんです。みんなスタバか何処かで身を寄せ合いながらも一生懸命勉強したりしてます。皆それぞれ時代時代で頑張っている。ヒロイン百合さんの決意表明がその表れでしょうか。そして締めくくりのスタッフロールに福山さんの歌声、素敵でした。
生まれる時代は選べないから
この映画での出来事は、夢や絵空事ではない。今からほんの80年ほど前、この日本の地で実際にあった出来事です。特攻隊とは、「特別攻撃隊」の略称で、決死の任務を行う部隊のことです。太平洋戦争末期に日本軍が組織的に行った決して生きて帰ることのないこの戦い方は、多くの若者の命を奪いました。昭和初期の戦時中においては、「お国のために戦争におもむくのは当然、戦場で命を散らすのは名誉なことだ」という価値観の中で人は生きてきました。
この映画の中にも、たくさんの未来ある若者が、特攻隊として登場し、己の任務に向き合い悩みながらもその日を迎えています。特筆すべきは、タイムスリップ系恋愛ファンタジーとしたことで、重苦しい戦争映画にとどまらず、若者たちにも受け入れやすいエンターテイメントになっていること。戦争を教科書の中だけの他人事で終わらせず、より身近な史実として受け止める機会になっていることだと思います。
もし自分がこの時代に生まれていたとしたらどうだろう?この映画をただの恋愛ファンタジーとして、映画館で鑑賞していられる今の自分は幸せ者だと受け止めるべきなのだろうか?この映画を観て、素直に泣けない今の自分の感性は、少し歪んでいるのだろうか?
今も世界のどこかでは、戦争が行われている。
突然の天変地異に襲われて、不自由な暮らしを強いられている人たちもいる。
人は生まれる時代や場所を選べないから、置かれた場所で精一杯咲くしかない。
逃げ出す特攻兵のエピソード
戦争を描く態度はどうあるべきか、という観点でSNS上では物議を醸していた作品だが、戦争を美化しているかといえば別にしていなかった。戦意高揚的な側面はなく、むしろ主人公の女子校生に「無駄死に」というキーワードを頻繁に言わせて、特攻を美化するような視点で描かれているとは思わなかった。
むしろ、特攻に選ばれた若い兵隊の一人が脱走しようとするのを、みんなで見逃すエピソードが心に残った。田舎に愛する人がいるから見逃してほしいという彼の願いをみんなで聞き入れる。その彼が現代の特攻博物館で、病気で出撃できなかったことにされていた。当時、本当のことは誰も報告できなかっただろうし、上層部的にも都合が悪かったんだろう。博物館に真相が書かれていない、つまり、歴史の記述には嘘があるということを踏まえている作品でもあった。
タイムスリップものは歴史改変に接続されやすいが、この主人公は過去を変えることは全くできず、たまたま当時の若者を愛し、理不尽に奪われる体験をする。大きな歴史のうねりに巻き込まれる無力な個人として主人公は設定されている。若い観客に「戦争は嫌だな」と思わせる力を持った作品ではないかと思う。
もっと冷静になれば良いのに。
戦時中にタイムスリップした現代人が、敗戦を予言して戦争を止めようとするなら、ヒステリックにならずにもっと説得力のある説明をしないと。。。
それでも、そんなヒロインを支えてくれるヒーローはカッコよかったです。
一夏の初恋は儚く、ユリの花の香りとともに・・・
公開当時、すっごい気になっていながら、見逃してしまった作品です。今回、テレビ地上波にて放送されたので見てみました。
戦時中とは思い難い会話や表現等もあるかと思いますが、このオヤジは単純に魅入ってしまいました。良いものは良い。反戦の意図も感じましたし、何より初恋の切なさに涙、涙の連続でした。
【ネタバレ】
「ゴジラ−1.0」でもそうでしたが、実際、特攻隊員で、出動間際に逃げ出す人っていたんだろうか?死を恐れて生きようと思うのは当たり前のことだけど、それすら反逆者のように自分を卑下させる、極端に洗脳されていた時代だったんじゃないだろうか?
未来からタイムスリップしてきた少女が、敗戦の事実を知っていて、当時の人たちに訴えかける。この構図は非常に面白いものだった。ただそれだけのことで、世間が変わるわけもなく、本作品の主題はやっぱり淡い初恋だろうね。
一夏の恋は儚いもので・・・
離れることが決定づけられていても、お互いに惹かれ合う。それぞれの想いを胸に秘めて。
唐突に過去へ行った彼女は突然、現代に戻ってくる。あれ、単なる夢オチって思っていたたところで、自分宛ての手紙を見つけて泣き崩れる少女。いや〜、切なかった。
でも少女の成長物語として、本作品はホンっと面白かった。
オヤジは素直に涙して感動しちゃいました。あぁ、良い映画だった。
この主題歌の「想望」が大好きで、カラオケでも歌わせてもらってます。ただ、地上波の放送では流れないだろうなと、感慨にふけていたところ・・・テレビ画面に続編映画化決定の文字が。
え〜〜〜!あの感動のあとに何を続けるの?
一気に冷めちゃいました。
想定ないの展開
内容的には、特攻兵を描いた想定通りの展開でした。
ただ、昭和生まれの私にはイマイチ響かなかったです。
学校や戦争にいっていた祖父から、当時の日本の状況を聞いて知っているからなのですが、
令和や平成生まれの人には、もしかしたら戦時中という環境が新鮮なのかとも思いました。
劇中に警察に問い詰められる展開においても、当時の状況を知っていれば、
公の場でベラベラと正論を訴える展開にはならなかっただろうし、
その展開でしらけてしまいました。
とはいえ、最近はあまりこういった戦争を題材にした作品が昔よりも少ないですし、
若い人に伝えるにはいい映画だったと思います。
第二次世界大戦中の日本の悲惨な状況と考え方が馬鹿げたものであったことが
多くの人に伝われればいいかと思います。
感動
8月ということと、TikTokのオススメで見た作品。戦争についてあまり詳しく知らなく、興味関心すらなかった自分にとっては、当時戦争にいく人たちは色々な思いがあって特攻していて、日本国民、日本のために、愛する人のために命を捧げており、毎日をもっと幸せに生きようと思ったし、大切な人、友達を幸せにしようと思った。
自分の家族が大切なのはもちろん、見ず知らずの人の命を助けるために自分の命と引き換えに助ける父、その結果、母親が一晩中働いてようやく生活できるような暮らしになってしまい、そこまでした父親の気持ちが理解できない百合。夢の中で特攻隊の夢を見て人それぞれ違った思いをもち特攻しているのは目の当たりにして百合の考え方が成長して、夢から覚めた後に母親に接する態度が変わっていく。
ストーリー的にはある程度予想がつくような感じだった。
けど、終始涙は止まらず、感動した。
もう少し
中高生にみせるべき
恋愛ファンタジーでも新しい戦争映画としてみられることは良し。しかし......
まず、本作は、「戦争」というものを、或いはそこに生きた誰かを、その思いを、まざまざと観せては私たちに何を想わせるかという所謂これまでの「戦争映画」ではないと思います。
タイムスリップにしても、主観的に主人公がそうなる意義みたいものはあまり感じられません。現代の悩みと戦争はあまりにかけ離れているからです。
終戦から今年で80年ですから、戦争の記憶を伝えられる方というのは少なくなってきているでしょうし、テレビでは『火垂るの墓』はもう随分と放送されていませんでした(と、書いていたら今年は放送されるみたいです!追記)。
もしかしたら、いまの若いひとたちが感じる戦争というのは変わってきているのかもしれませんし、伝わる伝え方というのも変わる必要があるのではないかと思います。
その答えの一つとして、本作のような作品が生まれたように思います。
あくまで現代を生きる主人公の物語であるということです。現代の若いひとたちが、ー戦時下の誰かではなくー同じく現代の主人公を通じて戦争を知り考えるきっかけになる。
何が起こったかを学び知ることも大事ですが、なぜそれを学ぶ(知る)必要があるのか、歴史が現状を理解するためにあるという視点でみるならば、そのきっかけは、現代的な感覚で良くて、例えば恋愛のような感情的なものでも良いと思うのです。その中で「現実離れ」した不条理を肌で感じることができれば一つの正解だと思います。そういう意味では本作のような作品が映画としての価値を持っているように思います。
言っちゃいけないとはわかっていてもやっぱり「行かないで」と言ってしまう「ダメな妹」の百合と、涙しながらも笑顔で「明日、お見送り行きます」という千夜。二つの時代に生きる女の対比がよくわかる。千夜のこの一言には多くのメッセージが込められているでしょう。とても強くて儚くて悲しくて美しい。しかし観る者は、何も千夜ばかりに同調する必要はないと思うのです。現代人の感覚で、百合に共感していいと思うのです。
これが本作が描く新しい戦争映画のカタチだと私は感じました。
しかし、シンプルに物語として、どうしても詰まらないと感じてしまったことがあります。
心や物事の機微の描き方が粗雑で軽薄に感じられるのです。
タイムスリップや彰との出会いにおける心の動きが、実に淡々としていて趣に欠けますし、特に印象的だったのが、現代人の感覚をストレートにぶつけ過ぎている点です。
観る者は現代人の感覚で共感して良いと前述しましたが、これは話が別です。過去の人々の価値観や信念を否定的に捉えることは、軽々しく描いていいということではないと思うのです。
百合が警官に盾突くシーンがありますが、どれほどの覚悟があったでしょうか。客観的にみれば、何も知らない若い娘が戯言をぬかすなって話です。殺されてもおかしくはありません(現代の価値観でいえば勿論おかしいですが)。警官だけでなく、そこにいた多くの人々だってそう思うはず。特攻兵を神様扱いしているのですから。ましてこれだけの信念(の是非はともかくとして)を持っている警官が「今回は見逃してやる」なんてダサいセリフは絶対に吐かないはずです。これでは、彰が体を張って守ってくれる胸キュンシーンのためだけに悪役として警官を立てただけに過ぎないのではないでしょうか。実に軽薄な描写だと感じました。
戦争とタイムスリップという論理性や緻密性を要するテーマを扱っている割には、恋愛に重きを置いただけに感情的というか直感的になってしまって、デリカシーのバランスが崩れ放漫になってしまった印象です。
それでもホロリと泣いてしまったのは、私が涙脆いということだけではなく、切なくも優しい空気感が確かに心地良かったからです。
続編やるの〜?
戦争映画が大ヒットする意義はある。しかし・・・
今年は放映されるが、「火垂るの墓」が放映されなくなって久しい。
若年層が戦争の事を考える機会が極端に減っている
。そういった意味では、本作が大ヒットする意義は大いにある。
しかしエンタメとしては、残念すぎる。
ZAZZY か! とツッコミたくなる程福原遥の声に慣れるのに時間がかかる。
役が無愛想なのはわかるが、それにしても水上恒司の抑揚が全くない演技はそれでいいのか?
それ以外の役者は良かった。嶋崎斗亜の脱走シーンでは思いがけず涙してしまった。
特攻隊員達と松坂慶子のシーンもリズムが良かったのにな。
あと無駄に長い。
続編が公開されるそうだけど、もうちょっと作品としてクオリティを上げてほしい。
とっても微妙
題材、設定、ストーリーは総合的に普通だけど、それらが綺麗に繋がれた一本筋のある映画では無い。やりたかったのであろうと思われるシーンやメッセージのある重要シーンがそれぞれ点でバラバラに、小さな盛り上がりとして演出されており、物語の流れの妨げとなっている場合がある。主に、前半から中盤にかけてこういう場面が多いので前半だけ見てリタイアした人は多いと思います。あと、これは仕方が無いことだけど主演の女優さんの演技が良くないと思いました。
しかしながら時代のディテールなどはとても良い。なので戦争映画として良いのだと思います。
もしかしたら物語の流れが悪いというのは、一つ一つの場面がおんなじようなペースで展開されていてメリハリが無いからかもしれない。
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