裸足になってのレビュー・感想・評価
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【政情、治安が不安定なアルジェリアに住むバレリーナを目指す若き女性が、闘牛賭博での揉め事で階段から突き落とされ、声と夢を奪われるも、リハビリ施設で出会った聾者の女性達に勇気を貰い再生していく物語。】
■イスラム国家、アルジェリア。不安定な社会でバレエダンサーになることを夢見るフーリア(リナ・クードリ)はある夜、男に階段から突き落とされ、踊ることも声を出すこともできなくなってしまう。失意のなか、彼女はリハビリ施設で心に傷を抱えた聾者の女性たちと出会う。
◆感想
・抑圧されたアルジェリア社会の中で、手を取り合う心に傷を抱える女性達の関わり合いを通じて、人間の深い慈愛と生命力を瑞々しく描き出した作品である。
・口はきけなくとも、手話とダンスで自身の想いを表現する事の自由と美しさに魅入られる作品である。
・フーリアを演じたリナ・クードリは今や注目の女優の一人であるが、彼女の後半の声なき、表情と身振り手振りだけで自身の想いを伝える演技は凄い。
<最も圧倒されたのは、フーリアが聾者の女性達にダンスを教えるシーンからの、彼女達が一糸乱れずに群舞するシーンであろう。
今作は”人生のために躍る。決して立ち止まらない”と劇中にテロップで流れる言葉が忘れ難き作品でもある。>
題名と写真から
想像していたものと全く違いました。
「理不尽」という言葉が一番適切かと思います。
見てよかったです。
(主人公の躍りはあんまりうまくない気がしましたが。気のせいか・・・)
希望が見えてこない
ポスターには『夢と声を失った少女がダンスを通じて生きる力を取り戻す命がきらめく再生の物語』とあるが、確かにどん底に落ちた少女が再生する物語ではあるが、とにかく境遇が辛すぎ。
アルジェリアの情勢なのか、治安なのか?逮捕されるべき犯人は逮捕されず、再び彼女を襲ってくるし、弁護士に相談するも、泣き寝入りを推奨される。希望をもって亡命した親友は亡くなるし、涙は全くでないけど、でもスカッとするところもない。
あと
アルジェリアなので、基本フランス語なんだけど、めちゃくちゃなまってるのと、ところどころアラビア語で字幕を頼りにしないとならないので、わかりにくいところもあった。
主演の少女のお芝居、ダンスは良かった。
手のひらに太陽を
前半ウトウトしたのでそのせいかもしれないが、情報や過程が省かれすぎに思えた。
例えば、主人公のケガの度合いやバレエへの影響に対する言及がない。
その為、日常生活どころかダンスも出来るのに再びバレエをする意思さえ見せないことに違和感があった。
また、聾者たち各々が抱えるものも描かれず、フーリアが手話を憶えたり親交を深める過程もない。
序盤のカメラワークにもかなり不親切さを感じた。
口元が映らない状態での会話が多く、誰が誰に喋っているのかが非情に分かりづらいのだ。
声どころか、まだ顔も名前も憶えていないのに。
人物の区別がつきづらかったり、アルジェリアの内情に疎いのはこちらの問題。
しかし、上記のような設計によりかなり没入しづらかった。
中盤以降は、主人公が言葉を失うこともあり台詞に頼らない画面づくりの力は感じる。
2回ほどあったMVのようなシーンも雰囲気はいいが、それよりもっと描いてほしいことがあるのよ…
バレエへの喪失の深さは冒頭の練習風景から感じたが、フーリアに執着はあまり見えず。
逆に、ソニアの死に対しては自分側の感傷が薄かった。
良き友だったのだろうが、仕事もせず自分の話ばかりするソニアを好きになれなかったせいかな。
最初は何かと闘うように踊っていた主人公が、最後は何かを訴えるように踊っていた。
このコントラストだけでも見事だとは思う。
その分、間に挟まるものが整理さてれいたら、と思わずにいられない。
すべて道半ば
ラストは拍子抜け感あり。
なにも解決していない。
でも、この映画のラストはこれしかない!
観てる方(我々)のカタルシスなんかどうでもいい。
フーリアたちの覚悟が伝わってくるいいラストだった。
屋上で踊ってるシーンが何回かあるんだけど、毎回心模様が異なっているのがわかる。この女優さんの力量が伝わります。
夢が砕けても、違う形でも輝く
イスラムの内戦がまだ残る時代。。。女性は差別されているみたい。。。でも、バレリーナの夢を追いかけてるのに。。。あんな形で無惨な身体に。。。悲しいです。しかも、貧困が絶えない、背景が治安が悪い世の中に置かれてるからかな。。。
話はちょっと、ドキュメンタリータッチな所があるので、幾度か眠くなっちゃいました。。。笑。
でも、主人公が、最後の方に、ろうあ者の女性達にダンスを教えてる姿(バレリーナの形のダンスでは無く。。。)は、生き生きとしてて。。。明るい未来が垣間見えて良かったです。女性達が、かっこよく、生き生きと踊ってる姿が感動、圧巻です。
追伸。。。親友をあんな形で亡くすなんて、悲しい、今の時代なら彼女達は、もっとオープンに容易に彼女達の夢を見れたのに。。。と思うと胸がせつない。。。
ダンスが好き。
ある男とのトラブルで足を骨折し声まで出せなくなった女性バレエダンサーの話。
怪我した事で病院からリハビリ施設へ、そのリハビリ施設で色々な原因で傷を負った女性達と出会い、バレエとは違ったジャンルのダンスで自分を取り戻してく女性ダンサー、フーリアのストーリー。
今まで出来た事が不慮の事故で急に出来なくなるって作品に限らずリアルでもありがちだけど悲しいですよね。
そういったフーリアの心情が描写されてたって感じ。亡くなってしまったけどいつも一緒にいた友人の明るい彼女、フーリアへの明るい立ち振舞いも素敵だった。
いつまでも金を返せと言ってたトラブルの男アリ、何か筋違いもいいところで何か鬱陶しかった。あとやる気あるんだか無いんだかわからない警察も!
ちょっと仕事で疲れ過ぎてて感情移入が出来なかったんだけど普通の時に観てたら泣けたのかな?
冒頭のダンスシーンに息を呑む
舞台は北アフリカのアルジェリア。将来を嘱望されていたバレエダンサーの少女が、暴漢に襲われPTSDで声を失うも、戦争やテロで同じ様に心に傷を負った女性たちのグループに、ダンスを指導する中で再生していく感動ドラマ。
女性たちの力強いダンスが、イスラム社会での新しい女性の生き様を示唆している様で胸が高鳴る。
少女を襲った犯人の男が元テロリストで、警察の情報屋をやってるので逮捕されずに更に嫌がらせをやってくるとか、親友の女性が密出国で出稼ぎしようとして船ごと沈み命を落とすとかの、現代のアルジェリアの負の側面を暗示させるエピソードが随所に散りばめられていてなかなか重い作品でもある。
作品は早朝のピンと張り詰めた空気の中、無音で少女が踊るシーンから始まる。昏い夜明けの時間が、アルジェリア社会での女性の生き辛さや、そこから立ち上がる意志を示していて、まさに本作の内容を示唆する象徴的なシーンだ。
観たい度○鑑賞後の満足度◎ 自由(フーリア)は踊り傷つき泣き叫び躓き立ち上がり怖れ時に笑い時に泣きそれでも戦い続ける。本来“自由”とはそうやって勝ち取るものだ、ということを描いているように思う。
①アルジェリアの現代史を知らなければ半分も登場人物たち(殆どが女性)の心情も苦悩も希望も喜びも哀しみも理解できないだろうと思うけれども、映画としての巧みさに酔わされてしまう。
②アルジェリアの映画が、ビヨンセの「プット・ア・リング・オン・イット」のアルジェリアバージョンで始まり、途中の遊園地のシーンでなつかしやローラ・ブラニガンの「グロリア」アルジェリアバージョンが流れた時はビックリした。
③予告編を観て“踊れなくなったダンサーが聾唖の女性たちに踊りを教えて再生する感動もの”と思っていたら全く違っていた。
④“自由”という名をつけられたフーリアは、現在のアルジェリアという国で踊りを通して様々な過去や事情を持つ女性たちと関わることになる。
何が起ころうとダンスへの情熱を忘れないフリーアの生き様を縦糸とすると、彼女が出会う女性たちのあり方が横糸になってアルジェリアで暮らす女性たちの姿が織物になって目の前に現れるような感じ…
⑤フリーアは殆どはじめの方でショックから声がでなくなるが、その強い瞳・表情・踊りが言葉の代わりに彼女の内面を的確に豊かに表していく。
⑥聾唖の女性達が踊りが上達していく過程は殆ど描かれない。フリーアを中心に練習シーンが何ヵ所か挿入されるだけ。
⑦最後の群舞シーンは期待した程のカタルシスはなかったけれども、大変快い気持ちで全編を鑑賞出来た。
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