マザーズ・デイのレビュー・感想・評価
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瞬殺される雑魚までが個性的。ポーランド独特の凶々しい空気感が封じ込められた個性的な大殺戮スリラー。シリーズ化希望!
自動車解体工場のクレーンオペレーターの女性が昔訳あって養子に出した息子が誘拐されたことを知って奔走するという話ですが、この女性がポーランドの英雄で18年前に死んだことになっている殺傷能力抜群の元スパイという設定なので当然ながら全編血塗れです。やっぱり舞台が東欧だと画面の隅まで禍々しさが充ちていて、政権が変わったんだから粛清されるのは当然だよねみたいなセリフがシレッと出てくるし、敵の中ボスが完全に狂っていて自分のオフィスに自分の父親の生首のホルマリン漬けを置いて話しかけたりしててその独特な設定にボディブローを食らいます。主人公のニナのやさぐれ方も独特で、仕事帰りに立ち寄ったコンビニの前でタムロするチンピラグループに喧嘩を売ってボッコボコになったり、養父母と幸せに暮らす息子の姿を遠くから双眼鏡で覗き見したりしてます。
アクションスリラーなので当然見せ場は殺し合いなわけですが、これもかなりオリジナリティに溢れていてまず中ボスの武器が2丁スタンガン。これをドジった部下のこめかみにかまして焼き殺した時にはそんなエゲツナイ技があったかと膝を打ちました。最近のアクション映画ではもはやマストとなっている長回しワンカットも独特で普通ならひたすら主人公の動作をカメラが追うものですが、こちらは長回しの最中にあっちこっちズームインするという一層テクニカルなスタイルを使っていて感心しました。
とにかくポーランドの皆さんは顔が独特過ぎて名前もついてないような雑魚までキャラが立ってて飽きないし、そんな皆さんの死に様がバラエティに富みすぎてるので94分があっという間。よくあるエンディングと思わせておいて脇腹にエグいボディフックをかましてくる終盤の展開も斬新、ポーランド映画恐るべし!と思いました。主演のアグニェシュカ・グロホウスカ、多分すぐに名前忘れるでしょうが殺人マシーンのような冷酷さと慈愛に満ちた母性を同時に発動する佇まいがメチャクチャカッコよかったです。
あとこれ観ててびっくりしたんですがポーランドの母の日って5月26日と日付固定タイプの平日なんですね。あと前述の中ボスが電話をかけるたびに日本語で「もしもし?」って言うところに狂気とキュートさがブレンドされてて度肝を抜かれました。なんせもうとにかくどうかしてる作品でした。
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