「痛(そーだけどそー)快バイオレンスアクション」SISU シス 不死身の男 マスゾーさんの映画レビュー(感想・評価)
痛(そーだけどそー)快バイオレンスアクション
WWⅡのフィンランド
WWⅡの時期のフィンランドは
非常に微妙な立場で
元々は1939年
ソ連がポーランドへ侵攻
隣接するフィンランドにも
領地の割譲を要求してきたので
拒否し開戦辛くも「冬戦争」は
ソ連を退ける
その後ソ連から続く圧力の影響で
フィンランドはドイツへの協力へ
傾き独ソ戦でも枢軸国側に
つくこととなり1941年
ソ連との戦闘を再開
この「継続戦争」も
多大な犠牲を払った
その後ドイツは徐々に劣勢
1944年ソ連がレニングラードを
突破するとフィンランドは
ソ連に講和を持ち掛けるが
ソ連は一緒に戦っていた
フィンランド国内の
ドイツ軍を掃討しろという
条件を要求
親独方針と板挟みだった
リュティ大統領は一旦
拒否するものの大統領が
辞職すると方針転換
ソ連に講和を持ち掛け
実質の降伏
それにブチギレのヒトラーが
フィンランドに焦土作戦を開始
ソ連は再びドイツ軍の掃討を
要求したが
ドイツはもはや敗色濃厚
かつての同盟国兵と
戦う兵士はもはやいなかった
ドイツ兵はソ連の
捕虜になると絶対死刑なので
ソ連の包囲網をくぐり抜け
捕虜の扱いに関する
ジュネーブ条約をちゃんと守る
英国等の捕虜になりに行く
という選択を選んだのである
…という背景が
一応あるものの
この映画ではそんなに
関係ありません(笑)
ソ連軍を一人で300人倒した
元フィンランド国内最強の
特殊部隊のじいちゃん
アアタミが
掘り当てた金塊を
荒くれナチス兵から奪回する
だけのはちゃめちゃ
バイオレンスアクション
荒廃した世界観も
どっちかというともはや
北斗の拳です
ヒャッハー共がなめて
金塊持ったじいさんに絡み
お前はもう死んでいる
とばかりにザッパザッパ
屠られていきます
地雷原に入っても
地雷を投げ返してくる
身体に火がついて水中に
潜っても水中で追っ手の
首を切りそこから
酸素をもらう(!?)
この映画何より
セリフより描写
ビジュアルで説得力を
出してきます
ナチ側の
女好きのスナイパー
顔の傷を頭巾で隠す律儀な若い兵士
自分だけ逃げようと企む隊長
キャラクターがデザインから
容易に読み取れます
いちいち説明が要らないのです
こうしたテンポの良さから
わずか90分でも濃密に
楽しむことが出来ます
最近映画界が忘れてる
ことじゃないでしょうか
いくらなんんでも
ダラダラ長すぎな映画が
増えてますから
捕らわれていた女性たち
が解放された時に
アアタミが奪ってきた
MP40をみんな与え
ナチ兵に全員でやり返す
シーンはスカッとします
ここもセリフは一切ありません
そしてエクスカリバーの
如くツルハシ一本で
バキバキ倒していく
アアタミおじいちゃん
刺されても撃たれても
死なないこの人
ランボーっていうより
マイケル・マイヤーズ
じゃないかなと
あっだからハロウィンの
時期に公開なんだ(違)
ああそうそう
冒頭に書きましたが
映画で何やっても良いみたいに
扱われがちなナチスですが
時代背景的には同盟国
なんですよね
そこがちょっとスピルバーグが
やりがちなナチ描写とは
違ってきてるとこが面白い
もはや軍紀を外れた荒くれ者
達である必要があったわけです
あと何より恐ろしいのは
アタタミじいちゃん(を越える?)
兵士が実在したこと
「シモ・ヘイヘ」という
伝説のスナイパーで
スコープもない普通の
ライフルで冬戦争では
ソ連兵を542人(!)葬り
「白い死神」の異名で
敵からも恐れられたそうです
ちょっと片岡鶴太郎に
見えなくもないアタタミおじいちゃん
ですがジョン・ウィックや
ロバート・マッコールに比肩する
ヤバさの痛快アクション
楽しめたと思います
二次大戦末期には国同士のそんな思惑が有ったんですね、勉強になります。
今作は、んな馬鹿な!?というのが多いですがそれを考えつくのも、映像化するのも凄い。セルフ火だるま、強制人工呼吸、そしてお気に入りのセルフ串刺し! モズの番組を観たのでセルフはやにえの方がイイかも。