「どんな愛も必ず満ちていく!」四月になれば彼女は 三輪さんの映画レビュー(感想・評価)
どんな愛も必ず満ちていく!
皆さんの評価があまり上がらない理由を、鑑賞させていただいて良くわかりました。この作品は、ストレートな恋愛の成功と失敗を描いたものではありません。人間の持つごく自然な恋愛感情に、簡単に飛び込めないめちゃ臆病な世代を描いているような気がしました。世代と言って仕舞えば、今の若者を指しているようですが、大きな括りで言うと突破力のある生命力が衰退している人たちのことと言えるかもしれません。それでもそれは悪いことでもないし、あるがままなので、私はそれなりにOKだと思います。そういう角度で描かれた原作ですから、若者の支持が高いのかもしれないと想像しています。この作品の中では、10年前の学生時代に佐藤健を振った森七菜が、佐藤と行くはずだった南米やヨーロッパを一人で訪れ、自身の佐藤に対する愛を確かめます(直近ではすでに不治の病に侵されています)。その想いを現在の結婚相手であった長澤まさみにバトンタッチするという流れは、ある意味不自然で難しい流れだとは思いますが、それでも時間が経つにつれて、だんだん腑に落ちてくるような気がするのは私だけでしょうか。いずれにしても、佐藤、森、長澤の三人は現代の雰囲気が作り出した、立ちはだかるハードルに向かって、行動しない、飛ばない人間の要素を冷徹なまでに描き出していて切ないです。しかしながら、あるがままに生きるという意味では、結局何の問題もないのかもしれません。それは最後の海岸での佐藤と長澤の抱擁が示しているように、物事はちゃんと幸福の方へ満ちていくのでしょうか。最後に流れる藤井風の楽曲「満ちてゆく」の曲が、ぴたりとハマるところが本当にすごいと思いました。
突破力のある生命力が衰退した人たち…
その視点には気が付きませんでした。
世の中が、なんでもコスパや結果で物事をハッキリさせるようになり、曖昧でイジイジしたりグダグダしたりする思春期のようなあり方やそういう状態への寛容度が小さくなってるようにも感じます。
「みーんな悩んで大きくなった』時代は過ぎ、就活も目標も若いうちからハッキリさせろ!というプレッシャーが不必要に強い。若者は生きづらいはずです。
共感ありがとうございます。
昨日原作をぱらぱらと立ち読みしたのですが、どこか無機質なフジくんも周囲との関係は結構濃密で、弥生不在の間に何かしら変わっていった様子が感じられました。映画は大分エピソードをカットした為か、いい感じにくたびれたオッサンになった・・位の印象。動物の事を調べて話すのはいかにも付け焼き刃感でした。