駒田蒸留所へようこそのレビュー・感想・評価
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アニメーション作りとウイスキー作りの関係性
一時期は冬の時代が訪れていた「ジャパニーズウイスキー」が今は世界から注目を浴びる存在となってきているなかで、ジャパニーズウイスキーを題材にしたお仕事シリーズの作品はタイミング的にぴったりだと感じました。
仕込んでから最低でも3年は樽の中で熟成されて世の中に出回るのはそこからという時間感覚は、アニメーション作りそのものにもつながっている世界でもあると感じることができます。
今作のモチーフになった複数の蒸留所のそれぞれの苦労がうまく混ざった「駒田蒸留所」という存在は、ジャパニーズウイスキーの苦労の歴史をうまく表現していました。
来年で国産ウイスキーが誕生して100年という節目を迎えるなかで、このような素敵な作品と巡り会えたことに感謝です。
ぜひ公開されたら皆さんに見ていただきたい作品です。
若者へのエール
東京国際映画祭でひと足先に拝見。
P.A.WORKSが丁寧に作ったお仕事系作品の最新作。
実写向きな内容ながら、そのままの社名を出したりすると差し障りのある蒸留所の社名を変えたり、社長の趣味をバラしたりのところはアニメで作った意義はあるかな。
だが、酒の色、味、香りなどはアニメーションでは伝えにくいから、題材としてわざわざ難しいものを選ばなくてもとは思った。
ニュースサイトの記者・高橋に、私は一切共感できるところはなかったが、たぶん仕事のやりがいを見つけられない若い世代に向けてはいいキャラ設定なのだろうなぁ。
映画祭らしく監督のQ&Aがあり、
「蒸留所は働いてから成果物を手に入れるまで最低で熟成期間の3年、良いものなら10年はかかる。
やる気がないとこれに付き合ってはいけない。
Webライター・編集者である高橋光太郎の方は、他人を介在させて記事を書かなければ良い記事はかけない。
だから他人をどう介在させていくかが大切。
この2つをブッキングした。
若者は初めからやる気があるわけではない。
最初は自分がやりたいと思わない仕事であっても、小さな成功体験を重ねていき、次第に自信とやりがいを手に入れていく。
そんな姿を重ね合わせて描きたかった」
と、語っていました。
自社のアニメーターの育成にも関わる監督らしく、日々の仕事の中で芽生えた、若者へのエールを込めていたように思います。
また、変に恋愛感情を絡めない作劇は、自分好みでした。
11月の公開前にあまりネタバレになってもいかんので、このくらいで。
働き甲斐はどこで見出せるのか
P.A.WORKSの”お仕事シリーズ”アニメ新作は劇場版。このシリーズで観ている『SHIROBAKO』、『サクラクエスト』との比較になってしまうが、本作は過去作よりも「好きな事を職に出来るか」に重きを置いているように感じた。
そりゃあ誰だって自分の趣味や特技を生かした職に就きたい。でもそう上手くいかず、理想と大きくかけ離れた職に就く者もいるだろう。でも、最初は嫌々やっていくうちに仕事に慣れて面白さに気づき、いつの間にかそれが天職になる者だっている。いかに働き甲斐を見出せるか。そのきっかけは誰にも分からない。
観る前はロングスパンで成長が追えるテレビアニメにした方が良かったのではと思っていたが、90分というランニングタイムで収められたのはウイスキーの蒸留所という職場だったのも大きいかも。あとお仕事シリーズは、無理やりな恋愛要素を盛り込まない点で以前から好感を持っていた。では本作はどうかというと…それは観てのお楽しみという事で。
にしても、主人公の女性社長を演じた早見沙織の声はホント癒される。
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