劇場公開日 2024年2月23日

「どんな時でも相手の幸せを願えることの素晴らしさ」ネクスト・ゴール・ウィンズ sow_miyaさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5どんな時でも相手の幸せを願えることの素晴らしさ

2024年2月25日
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鑑賞方法:映画館

米領サモアのサッカー連盟の会長が、全編を通して語っている「相手の幸せを願う姿勢」に救われる映画。

それに対して、アメリカ本土の連盟内部で、主人公ロンゲンの首を切り、なおかつロンゲンの別居中の妻といい関係になっているクソ男は、対比的に描かれているということだろう。ロンゲンの首を切る理由などとして、とんでもないことを口走る。

「どんなに幼い頃は従順でも、年老いて言うことを聞かなくなった犬は、うちの親父は池に沈めて殺した」
「バカな犬は、射殺した方が幸せだ」

これって、ペットの犬のことと言いながら、彼は人やチームに対し「自分の意に沿わない相手には、僕ちゃんそういう手段を取るけど、悪いこととは思ってないからね」と宣言しているのと同じではないのか。
例え映画の中で、否定されるべきものとして描かれているセリフだとしても、ディズニーも株主になっているサーチライトで、よく許可が出たなとびっくりした。

その他にも山頂でのロンゲンのセリフなど、危うさを感じる所がちょくちょくあって、ちょっと雑音を感じてしまった。

まあ、選手の本気さをちゃんと感じとれて、トランスジェンダーの人の名前呼び問題を、相手の人格を認めてきちんと謝罪できてということで、ロンゲンはセーフ、アメリカの連盟のクソ男も、試合の場面では、米領サモアの活躍に喜んでいるからセーフってことかもしれないが、それでいいのかなぁ…。

(ここからちょっと追記。上記のように鑑賞直後のレビューに書いたのだが、ワイティティ監督のことをよく知らず、ジョジョ・ラビットも未見だったので、お許しを。ジョジョ・ラビットを観たら、個人的な好き嫌いは別にして、ちゃんとその危うさをどう受け取られるか自覚した上で描いているということはよくわかったし、その覚悟を決めていることもよくわかった。ワイティティ監督、なめていてごめんなさい。ただ、自分自身が100%乗り切れるわけじゃないってだけで、こちら側の問題でした)

タイプ的には、ちょっと古いが「クールランニング」みたいな感じの事実をもとにしたコメディ。
事実をもとにって、それが功を奏することもあるけれど、マイナス的な描き方によって、かえって微妙になってしまうこともあるなぁと思った。

(ここも追記。最初と最後、ワイティティ監督自身が登場するのだが、そのメッセージを考えると、マイナスどころか、ワイティティ監督風味の味付けをしたワイティティ映画に仕立て上げていて、お見事というべき所だったことがわかった。お恥ずかしい限り…)

ただ、繰り返しになるが、米領サモアのサッカー連盟のタビタの語りは常に素晴らしく、特にハーフタイムでの発言はジーンときた。それを観るだけでも、この作品を鑑賞する価値があると思う。良かったら、劇場でぜひ。

(という訳で、3.5から4.5にします)

sow_miya
Mさんのコメント
2024年2月29日

いい話でしたね。
私は二回目を見に行ったのですが、もう最初のメールの場面からダメでした。

M
2024年2月25日

タビタのことば、よかった

talisman