ネクスト・ゴール・ウィンズのレビュー・感想・評価
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ポリネシア文化の面白さをふんだんに見せてくれた
タイカ・ワイティティ監督は、大作よりもこういうほんわかした作品の方が力を発揮できていて良い。米領サモアのサッカー代表の実話を映画化したものだが、サッカー云々よりも、ポリネシアのカルチャーを描くことと、主人公の白人男性の心の成長を描くことに主眼がおかれている。
これが米領サモアが舞台であるというのも一つキーポイントで、この地では白人は歴史的には占領者でもある。南国の新鮮な文化に触れて触発される欧米人というのは、オリエンタリズム的な観点でよくあったわけだが、そうなりすぎないに描いている点はさすが。結局のところ、主人公の教え方では勝てないと悟り、サモア人たちに合ったやり方を尊重することで勝利するという展開に、啓蒙する欧米、啓蒙されるポリネシアという図式も壊している。陽気なサモア人はいつでも楽しもうとしている。楽しんだもの勝ちであるという風土をリスペクトするということで決着する点や、ファファフィネが自然にチームにいるという状況など、欧米とは異なる歴史と文化の重みをきちんと感じさせてくれるのがいい。米領ではあるが、完全に欧米化されない部分をふんだんに描くことで、欧米視点とは異なる多様性を見出すことに成功している。
タイカ・ワイティティ監督がポリネシア文化圏の歴史を描く意義
ニュージーランド出身のタイカ・ワイティティ監督が国際的に知られるようになったのは、2017年公開の「マイティ・ソー バトルロイヤル」に大抜擢されてから。以降、俳優としての出演も含めアメコミヒーロー物にはいくつか関わっているものの、満を持してオリジナル脚本で臨んだ「ジョジョ・ラビット」(2019)はユニークな切り口で偏見や差別を克服する可能性を示した愛らしい作品だった。
ワイティティ監督はニュージーランドの先住民マオリの血を引いており、アメリカ領サモアや本作でのライバルチームであるトンガなど南太平洋の島国の多くもポリネシア文化圏に含まれる。本作はドキュメンタリー「ネクスト・ゴール! 世界最弱のサッカー代表チーム 0対31からの挑戦」(2014)を原作としているが、劇映画化にワイティティ監督はまさに適任だっただろう。多様性尊重という観点では「ジョジョ・ラビット」から(人種とジェンダーという違いはあれど)メッセージもぶれていない。
サッカー好きからすると、試合やプレーの面白さという点では少々物足りないか。それでも、大作ではなかなか描かれない南太平洋の小国で生きる人々の暮らしぶりや文化を劇映画で伝える意義は確かにあるし、ワイティティ監督にはこれからもポリネシア圏を題材とする作品に取り組んでほしい。そうそう、実写版「AKIRA」の企画もまだワイティティ監督の線で存続しているようなので、そちらもがんばってほしいが。
異文化理解にはいいが?
配信(DMMTV)で視聴。
よくあるスポーツストーリーで実話。
しかし、監督の方針なのかちょっと癖がある。
面白いストーリーにしたいのだろうが、退屈感を感じた。スポーツストーリーは選手をテーマにしないと厳しいと観て感じた。
お土産ネタもたっぷり
史上1点も入れた事のないアメリカン・サモア・サッカーチームがゴールを決めるまでを描いた実話ベースの『クール・ランニング』的物語です。結末はお約束として分かっているけど、『がんばれベアーズ』型物語は最後にはやっぱりグッと来るなぁ。
タイカ・ワイティティ監督らしくとぼけた妙味も散りばめられており、それ故、物語のエンジンが掛かるまでにちょっともたつく感じもありますが、それもよしとしましょう。
そして「これは作り過ぎだろ」と感じた人物が実在するとエンドロールで知りビックリ。また、南太平洋の国々ではサッカーでも warcry (サモアではシバタウ)がある事、サモアもサモア独立国とアメリカン・サモアの二つがある事など、お土産になりそうなネタもタップリでした。
ジャイヤが可愛い
ジャイヤというサモアの第三の性「ファファフィネ」の選手が出てくるのですが、それがとにかく可愛い。映画自体もワイティティ監督らしい笑えつつもジェンダーや植民地主義の問題を受け止めている作風で、安心して見れました。
サッカー詳しくなくても楽しめる
基本的には笑えるコメディ映画ですが、しっかり感動ポイントもあります。
個性豊かな選手が見ていて楽しいです!海外映画でよくある、誰が誰だか分からなくなるってのはないです。
これが実話というのは本当に凄い。
初期のゴールキーパーの人は凄く良いキャラだったのに後半全然出てこなくて少し残念でした。
ワン・ゴール
スポーツ実話って、案外映画化が難しい。
個人に焦点を当てた伝記ならまだしも、試合そのものだと結果が分かっているからだ。
スポーツは筋書きの無いドラマ。そこが醍醐味。
勿論、やりようによっては巧く見せられるが…、そこは異才タイカ・ワイティティの腕の見せ所。
“筋書きの無いドラマ”と言ったが、本作の題材がまさにそう。
アメリカ領サモアのサッカーチーム。
2001年のW杯予選で、オーストラリア相手に31対0の大敗。これはW杯史上最低の記録だという。
それどころか、チーム創設してから一点も得点を入れた事が無い。
稀に観る弱小チーム。最弱レベル。
そんな彼らが如何にして初勝利を飾ったのか…?
実話であり、2013年にドキュメンタリー映画化もされている。
さてさて“3試合目”を、ワイティティがどう見せるか…?
熱血!感動!…のスポ根ではないのは容易に予想出来る。
ワイティティ本人も謎の語り部として登場するなど、人を食ったユーモア。
実際にチームに所属しているトランスジェンダー選手やサモアの文化など多様性テーマもシリアスになり過ぎず、軽快に。
サッカーに興味無くとも実際の試合を知らなくともすんなり見れる。
世界弱小チームを立て直す為に、アメリカ人の鬼監督トーマス・ロンゲンが雇われる。
…と、一見王道なのだが、
サッカー界で名を馳せる名監督ではなく、別の意味で名を馳せる。つまり、
すぐにブチギレ、度々暴言や問題行動を。米サッカー界の暴れん坊。
クールな役やシリアスな役が多いマイケル・ファスベンダーがリアクション爆発の演技。
そんな性格故米サッカー協会が仕事の無いロンゲンに新たな仕事を手配したように見えるが…、要は厄介払い。
暴れん坊監督と弱小チーム。当初はロンゲンもやる気なく、選手たちもソリ合わず。
勝てる訳ない。負けて当然。端から捨てゴマの負け犬たち。
そのままでいいのか…?
選手たちはあの大敗のトラウマを未だ抱えているが、サッカーが嫌になった訳じゃない。
サッカーは好きだ。それにやはり、勝ちたい。せめて、ワン・ゴール。
ロンゲンは渋々監督を引き受けた中で、選手一人一人にポテンシャルがある事を確信する。
各々の才を活かし、スカウトもし、僅か4週間後のトンガ相手の予選試合に向けて…。
負け犬監督とチーム。ワイティティ印であっても、何だかんだ王道のゴールを決める。
悪くはない。が、作品自体、最高の名試合って訳でも…。
訓練や練習。何だかそれほどタメになるアドバイスやコーチ無かったような気が…。
チームが成長する上で重要なここら辺が淡白であっという間。実際に4週間だから仕方ないが…。
試合が始まると、また負けモード。ビビってしまう。ロンゲンも遂に呆れてしまい、試合も監督もボイコット…。
が、己の傲りを見直す。試合に対しても見方を変える。
勝とうとするからプレッシャーに感じる。
楽しめばいい。ただただ、リラックスして楽しんで試合を。
そこからチームは変わり始め…。
その気持ちの持ちようは悪くはない。けど、技巧云々ではなく、結局精神論…?
クライマックスは遂に初勝利を果たした試合で高揚感を見せてはくれるが、サッカーや試合そのものより関わる人間模様の方に重視な気が…。描きたかったのはそっち…?
それもそれで悪くないんだけど、他のチームからの誘いや監督続投を断って、人生にはサッカーより大切なもがあるって…。
弱小チームの奇跡の初勝利を謳う作品なのに、それでいいの…?
笑って、エキサイティングして、奮闘して、ハートフルにも。
見た人の満足度は高いようだが…、
個人的には平凡な試合。
ワイティティ、ちょっとゴールを外したか…?
ワイティティテイストはコテコテ
ワイティティテイストは、
コーヒーの砂糖でいうと、
大さじ4杯くらいか。
特にコメディとなると、
新喜劇もビックリの、
コテコテ。
しかし、
このコテコテもハマる時もある。
あまりにも凄惨過ぎる設定とか、
SFであったりとか。
オープニングから監督本人が登場、来た来た来た。
そんな大味責めをされるので、
マリネとか、
ヒーホーヒーホーヒーホーとか、
キャプテンとか、
が地味に効いてくる。
ミヤギとかネオとか、
ランボーとか、
楽しめとか、
ワイティティなりの、
小技に乗っかって、
楽しめるかどうか。
優しい心になれる単純明快なサクセスストーリー
映画館で見たかったけどサーチライトなので
ディズニープラスで直ぐに見られるだろうと
思い見に行くのを辞めたこの映画
率直に言うとベタが詰まった映画
下手くそチームが鬼コーチのおかげで
念願の初勝利を手に入れる
チームの面々は個性豊か
実話なのが笑えます
でも大事なことを思い出させてくれるそんな映画です
タイカワイティティ展開の速さと
トークで笑わせにくるテイスト
そこにコメディではあまり見ないマイケルフェスベンダーっていうアクセント
こういうキャラもできるんだなっていう
演技の幅も見せてくれます
展開もベタなので何も考えないで
土曜の昼間とか仕事終わりに見たい映画ですね
あとは子供がいる人は子供と見ることをおすすめします。
勝つこと頑張ることがストレスになってる時
楽しめば上手くいくんだよって事を教えてくれる映画です
最近の映画の中ではど真ん中ストレートなメッセージなのでおすすめです
楽しくって騒いじゃって
世界最弱のサッカーチームであるアメリカ領サモアの
奇跡の1勝を描いたワイティティ監督の作品。
こんな奇跡のようなことが起きるなんて
そりゃ楽しくって騒いじゃっていいんじゃないでしょうか。
出てくる登場人物のキャラの濃いこと楽しいこと。
監督役のマイケル・ファスベンダーが髪の色を変えて
少し痩せた感じも本物そっくりでいいんじゃないでしょうか。
やっぱり映画って楽しいのがいいですね。
ジャイヤが良かった!
見逃していたこの映画を、米国からの帰国便(ANA)で視聴
トーマス・ロンゲンはコーチとしての能力はあるが、米国のサッカー界から追放寸前だった。それを別居中の妻ゲイルが、深刻な病名を言い渡し、それを受容してもらうまでの5段階説を使って、世界最弱のサッカーチーム、アメリカ領サモアのサッカー代表チームの指導者となるよう言い渡すところから始まる。ほぼ実話に基づく物語。
泣いて笑って楽しむことができた104分。
気になったのは、まるで日本人を思わせるような姓がでてきたり、大戦中の、米国海軍の基地跡が出てきたりするところ。サモアはポリネシアに含まれるけど、西隣のミクロネシアは、第一次世界大戦後、日本の委任統治領で先の大戦の激戦区。ミクロネシアの南隣は、メラネシア。実際に、ポリネシアのサモアとメラネシアのフィジーを日本海軍が攻略あるいは破壊するFS作戦があったようだ。それも、ミッドウェーの大敗で潰えた。
今では、サモアの人々は、日本人と中国人、韓国人の区別も難しいようだ。やれやれ。
この映画で、一番良いところ。
やはり、サモア特有のファファフィネ(トランスジェンダー)と呼ばれるジャイヤ・サエルアの活躍に尽きるだろう。ジャイヤは、その運動能力からFWだったが、ホルモン注射をやめても(さらに?)能力は高く、ラインの統率を任された。実際には、ゲーム全体を支配していた。
それにしても、つい最近まで、LGBT(セクシャル・マイノリティ)について、キリスト教社会に比べ、日本人が際立って寛容であったことも忘れて欲しくないと思った。
ストレスはサイレント・キラー!
タイカ・ワイティティが好きなので見ました。映画のアメリカン・サモアの人は老若男女、ふっくらした体型でみんな幸せそうに見えた。白人のことを痩せて貧弱とか、スピリチュアルに弱いとかいいところ突いていて笑えた。「白人」が野蛮で怖くて神経質に描かれていたのはある意味当たっている。小品だけどなかなかよかった。
気に入ったのは奇跡のサッカー試合の様子を映像だけで追うのでなくて、サモアの人々に語らせた点です。そのシーンは二つ。一つは熱中症と興奮で倒れて簡易ベッドで横になっているパパ(でありアメリカン・サモアのサッカー協会会長)に試合の様子を語る出場メンバーでもある息子。話に一喜一憂しながら耳を傾けるパパとママの様子がとても心に沁みました。もう一つは、その試合を島の古老が我らのヒーロー達の話として子ども達に絵本で物語る場面です。口承で伝えることで記憶を共有するプロセスの場に居合わせたような気持ちになりました。あともう一つは、サッカー協会会長のタヴィタと監督(ファスベンダー)が同じ祈りの場所に居るのに、直接顔を見て言葉を交わさず、神に述べることで自分の気持ちを相手に伝えている最後の場面。間接的なコミュニケーションが優しく和らいだ空気を作っていました。面と向かって話す、というのはもしかしたら危険で野暮なやり方なのかも知れないと思いました。そういえばタヴィタは比喩の名人だった。
第三の性であるジャイヤを演じるカイマナとてもよかった。カイマナ本人もそうなので説得力があった。普通にみんなと一緒でみんなから一目置かれ大切な存在と認識されているのがいいなあと思った。ファスベンダーは最高で役の幅が広い人だと初めて知った!
おまけ
ファスベンダーがテレビで見ていた試合の監督だかコーチはもしかしてアル・パチーノ?「エニイ・ギヴン・サンデー」?知らない・・・!パチーノも色んな役やってるんだなあ
悪くない作品。観光旅行気分も味わえた
へぼチームの奮闘と再生という、よくあるお話だけど、嫌みなところがなく楽しんで鑑賞できました。
「マジック(インキ)はとれない」というところや、パトカーの警官が口でサイレンを鳴らすシーンなどなど、僕好みのギャグが散りばめられていて笑わせてもらいました。
人間模様もわりとちゃんと描かれていたし、息子が父に語って聞かせるというクライマックスの描き方もよかった。
強いていえば、もう少しなにか仕掛けみたいなものがほしかったような、それからもっとパッションを盛り込んでもよかったような気がするけど、どうでしょう。
南の島のそよ風のような、爽やかな映画――というと、ちょっときれいにたとえすぎかもしれないけれど、うん、悪くない作品でした。
サモアの文化は興味ぶかく、ちょっとした観光旅行気分も味わえました。
コメディ強め
サッカー未開の国(弱小チーム)が、ゴールという喜びを共有することを望む戦いに挑むのだが、コメディ色を強めにしたことにより試合(戦い)への高揚感を感じられなかった。
もう少しドラマ性を強めでも良かったんじゃないかと感じた。またコメディ要素も思ったより笑えなかった。
郷に入ったら郷に‥ではなく「人の中に入ること」が大切
映画「ネクスト・ゴール・ウインズ」
素敵な作品でした。
米国サモアを舞台にしたサッカー代表チームの歓喜と感動の物語。実話がベース。
ワールドカップ予選で「勝ち」よりも前に「まず1点入れられるチーム」を託された白人のロンケン監督。エリートであり、プライドが高い監督であるが故に弱小チームの立て直しには一苦労。短気な性格がさらに遠回りをさせます。
映画では短い時間の中で語るため、思いのほかチーム力が上がるのが速いように感じなくもなかったですが‥。
強くなるためには心がひとつ、同じ方向に向かうことが大事。そのためには「郷に入る」というよりお互い「人」の中に自分を投じて、理解し合うことが必要だと教えてくれます。
僕は公開前から観たいと思っていましたが、先の日記で書いた少年野球時代の監督の訃報を知り、自分と重ね合わせるように観たい気持ちが強まりました。
しかし、観た僕が感情移入したのは選手ではなく‥ロンケン監督でした。つまり、自分の志事のことを思ったのです。
部下の中には若い世代もいます。当然キャリア、スキル、価値観‥違います。その人たちとチームとして取り組んでいくために忘れてはいけないことを考えずにはいられませんでした。
僕も良い歳。ベクトルを自分にだけ向けていてはダメですね。相手の中に自分を投じて、解ろうとしないと。。。
とても励みになりました。
そして、映画としても凄く感動的な作品でした。つまり、オススメです!
ビール片手に見たい
面白かった!重すぎずさくっと見れました。
たらればを悔やみ続ける主人公の技能や知識と、今を生き幸せであろうと存在するチームメンバーの相互作用というかなんというか。
サッカー含めスポーツ観戦について微塵の興味もなかったんですが、ちょっと興味が湧きました。そのくらい面白かった。
映画館でアイスティー片手に見たんですが、どちらかというとビールや低濃度アルコールを片手に、ポップコーンをつまみにしながら見たいなと思いました。
クレジット後にも映像があるので席は立たずにいましょう。
個人的には「人生にはサッカーよりも大事なものがある」というセリフが刺さりました。趣味に傾倒しがちなので、こういう言葉に対して否定的な感情を抱いた時は絶対に立ち止まって周囲を見渡そうと思いましたね…
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