「あのマスクの使い方が絶妙」愛にイナズマ kenshuchuさんの映画レビュー(感想・評価)
あのマスクの使い方が絶妙
人の意見をやたらと否定してきて上に立とうとする人は存在する。それでこちらが正論や反対意見を返すと、論点をずらしてまた否定してくる。噛み合わない。それはそうだ。相手の目的が議論ではなく、上に立とうとすることなんだから。本作に出てくる助監督を見てふとそんな嫌な感覚を思い出した。相手が女性だとそんなことをしながら口説いていくんだ。嫌だ嫌だ。前半で印象に残ったのは追いかける夢でも、二人の夢でも、飛び降りを煽る群衆でもなく、あの助監督だった。
でも、中盤で花子の家族が出てきてからは個人的に全く別の印象の物語となった。家族愛の話だし、生きるってこと、しかもまっすぐに生きるってことを正面から描いた話だった。息子っぽくない次男の後半の言動が最高におかしかったし、血は争えないよなとニヤニヤしてしまう。いろいろと後半でそういうことか!と思わせる展開がまた憎い。伏線と回収の仕方がさりげなくていいんだよな。
笑えたし、心が奮い立ったし、ホロリともした。あぁ、いい映画だった。でも、思い返してみると、はなことまさおの恋愛の印象は薄い。いや、あのキスシーンはよかったけど。多分その後2人で愛を語るシーンがあまりなかったからかも。それくらいあの家族のインパクトが強かったってこと。
こんな感じの悪態つく役のほうが松岡茉優には合っている気がする。「勝手にふるえてろ」に続く、彼女の代表作の1つになった。
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