「コメデイではなく、これも石井監督」愛にイナズマ chikuhouさんの映画レビュー(感想・評価)
コメデイではなく、これも石井監督
「月」が同時期に封切られ、監督のインタビュー記事で語られるのが「コロナ」がもたらした影響のこと 「月」では人間の内面を描き出す、観る前から覚悟のいる作品であるのに対して、こちら「イナズマ」は豪華な出演者で気軽に観れるかと思ったら、それは前半だけ
やっぱり重い、いややっぱり石井監督と思わせるものと言える中身であろう
「映画業界」のことなど少々大げさに愉快に描かれている内容も、後半の「家族」の話となった途端に、3人のきょうだいと父親の「空白の家族の記憶」に空白を埋めていく彩が添えられ、バラバラであった家族が一つにまとまっていく 両親やきょうだいに対する思いが、わだかまりが解きほぐされていく様は、観ていて気持ちがいいし、父の病気のこともあったけれど長男は長男らしく、家族を想う役割を取り窓していく 私たちの気持ちに蓋をして損なわれつつある「家族」の思いを取り戻してくれたような気持ちです
それにしても豪華なキャストが脇役ででている 私は配送会社社長の北村有起哉さんが少ないセリフでも醸し出している存在感、納得です 高良健吾さんも贅沢な出演でした
佐藤浩市さん、すっかり白髪の父親役も馴染んでいますが、40年前に「ブレイクタウン物語」という風俗産業を題材にした映画で、覚せい剤の売人をして自らも破滅していくという役をされていました その作品ではチンピラ役がはまっていたのが印象的でしたが、本作ではユーモアを含みながらもいい父親を演じられていました
(11月9日 MOVIX京都 にて鑑賞)
コメディだけではなかったですね。
それぞれがつくるキャラクターがしっかりしてて、笑い、楽しみながらほろりとするような良さがあり。
家族との時間を思い出したり、素直さを羨ましく感じたりの鑑賞でした。