キリエのうたのレビュー・感想・評価
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全て「ご想像にお任せします」な感じでした。
演技も映像も不満はありません。
主人公を演じるアイナジエンドさんは
雰囲気があり体を張る演技もしっかりされていて
素晴らしかった。
女子高生二人が雪の中はしゃいだり、
広大な浜辺で寝転がったり、
「エモい」映像も良かったです。
ストーリーは色々と気になる点が多かった。
まず主人公のるかちゃんの心情描写があまりにも
無さすぎてどんな子なのか最後まで分からなかったです。
姉の名前を使って歌手活動をする
「るか」自身がどんな人物なのかもっと知りたかった。
※歌は歌えるけど会話は上手く出来ないことに対する葛藤
※お金。里親さんとはどうなった?家も身よりもない人間が金銭面の不安が無いとかありますか・・・?
※路上生活と言ってたけど女性一人で恐怖や不安とかそういう感情湧きませんか?(あと音楽機器とかよく盗られなかったですね・・・)
最後の方はネカフェ的なところにいて生活感出てましたが、そういう主人公がどういう暮らしをしていたかを表現して欲しかったです。
主人公以外のメインの登場人物も表面的な感じ。
登場人物全員、その人物たちが
どうなったのかは観客が好きに解釈していい展開。悪く言うと投げっぱなし。
複数人に焦点を当てているため、
個人的にはのめり込める人物がいなかったのが残念でした。主人公のるかちゃんをメインに、焦点を当てるならイッコちゃんまでにして欲しかった。
それから話の展開となるきっかけが
思わぬ妊娠や男女の関係のもつれというのが
ベタで展開がある程度読めてしまうので
新鮮味が無かったです。
個人的にめちゃくちゃ不服なのが
路上ミュージシャンのフェスの許可取ってるか取ってないかのくだりです。
許可取ってたのか取ってないのか(多分取ってなかったんですかね?)分かりませんが、
〇許可を取っていない場合→
路上ミュージシャンを盛り上げるための
せっかくのイベントなんやからしっかり許可とれよ。
〇許可を取っている場合→
許可証持ってきてないとか責任感無さすぎるやろ。
と、どちらに転んでも腹が立つ結果です。
警察を出したいための展開だと思いますが、
路上で頑張ってるミュージシャンを
盛り上げるためのイベントで、
警察が出動してしまうような事になれば
路上ミュージシャンの活動の幅を狭める事に
なってしまいます。
話の展開のためではなく、
そういうディテールは大事にしていただきたいです・・・。
で?
アイナジエンドの歌が沢山聞けるし、役者さんは皆さんとても上手。そこは良かったかな。
ルカちゃんの大変な運命には心を締め付けられるんだけど、
その他の登場人物の行動に、いまいち共感できなくて、途中で冷めてしまった。
津波で亡くなったというお姉さんのキリエさん、津波が迫っていて妹を助けに来ているはずの切羽詰まっているはずの状況で、
なんで恋人と電話で甘えた会話してるん?
そんなんしとったらそら津波に飲まれるやろうし、その状況下で妹だけどうやって助かったん?
婚約者のなっちゃんとやら、「結局何もできなかった」と言いながら、また泣く。泣くとこちゃうやろ?情けない。
刺されたイッコは、結局亡くなったん?どうなったん?
音楽Pも、歌の才能を認めたんなら、住むところの世話ぐらいしたれや。なんで路上生活させとるんよ。
で最後、どうなったん? 電車乗ってどこに行ったんよ?俺の理解力が乏しいだけなんやろうか???
お話からおいていかれてしまった感が、拭えない。。。 ごめんなさい。
癖のある歌手のMV作るの好きね
四半世紀以上前にCHARAがめちゃ好きでスワロウテイルは何回も見に行きました。
スワロウテイルはイェンタウンバンドがめちゃ流行りましたが、さて今回はどうでしょうか。
原作は未読ですのであくまで映画としてだけで言うと、「癖のある歌手のMV作るの好きね」で終わります。
ストーリーはちょいちょい破綻するし警察とか養護施設の職員さんとかが出てくるのは緊張感を出したいだけ?みたいな感じだし。
そこそこ名の知れたYouTuberが主催者でフェスやるのに許可取ってない?なんで?とか。
夜のネットカフェで歌い出すのは迷惑すぎてすぐ止められるだろ、とか。
路上ライブを繰り返してネットカフェにも泊まれないこともあるくらいの困窮度合いのはずなのに金はそこそこ持ってるようにしか思えない感じとか、なんか所々「ん?」ってなる。
スワロウテイルは架空世界の話だったのでまだ良かったんですが今回は福島を絡めるためにそうもいかず、リアリティに綻びがちょいちょい出て結局全体のストーリーがまとまらなくなるというか。
松村北斗と村上虹郎はめちゃカッコいいし、広瀬すずはスクリーンに映るとさすがだなとかは思うけど。
なんかいくつかのストーリーがバラバラで、まとめきれなかったから全部がっちゃんこしてまとめるのを諦めたから3時間になりました、って感じ。
見終わっても「で、なにが言いたかったの?」ってなるので結局3時間の超大作のアイナのMVです、としか…
アイナはBishの中にいたらいいアクセントになると思うけどソロだと正直飽きる。
レイプシーンも未遂で終わってよかった…未遂じゃなきゃ確実にあの場面で外に出てた。
希望見当たらない世界で希望を歌う
流石岩井俊二さんですね。著作のlove letterから日本の小説が好きになった。この映画にも 石巻 大阪 帯広 東京からの4つ繋がるプロットラインはわかりやすくて 様々なカットも岩井俊二らしいと感じられた。
俳優たちのパワーも感じられた。一人二役の広瀬鈴さんはもちろん 特に意外なのはアイナ·ジ·エンドさんだね。キリエの歌を聴くと精神が動かさせられたほど驚いた。同じ感じの歌はこの前よく聴いたaimerの歌だった。音声も似ている。その歌声を聴くと力が強くなれるだろう。
一緒に見た友達はわからないことがある。例えば 残念なことを表すの代わりに海のカットで表した。それ以外に 時長は長過ぎるも惜しい。個人的には適度にスピードが速くて150分ぐらい終わるのは丁度良いと考えている。
希は…
小説を読んでから観たので、あの場面入って欲しかったなと思うことがちらほらあったけど、それでも楽しく観られた。
アイナ・ジ・エンドはキリエ(路花)に合っててハマリ役だなぁと思った。歌もこの歌声で胸がグッとなる部分が何回もあって涙が流れた。
だけど、希はいまいちだった。小説の中ではズル賢い強かな女のイメージだったけど、映画はぶりぶりのぶりっ子で喋り方(声が高い)が少しアホの子みたいな感じで、希は違う女優さんでもう少し落ち着いた感じで演じて欲しかったなとそこだけが残念だった。
でも希と路花が似ていて面影を感じてるからこそ、夏彦が最後許しを乞うことになるので同じ人でないといけないが、ここは思い切って違う人を使って欲しかった。
小説読んだ時は夏彦お前馬鹿だなぁと一切同情できなかったけど、映画ではあんなぶりぶりの希になってたからバカな女に人生狂わされた夏彦可哀想だなって映画の夏彦に少し同情してしまった。あんな女に引っかかる夏彦も夏彦だけど。
それでも、それ以上に映画では松村北斗が演じる夏彦の苦しみと悲しさ後悔が伝わってきた。
イッコはもう1人の主人公みたいな感じなので真緒里からイッコになった部分を入れて欲しかったかなと思った。
というか夏彦やイッコは映画で出されなかったストーリーが沢山あるので小説を読んで欲しい。
広瀬ずずの美しい涙や黒木華の関西弁が聞けて満足。
あとは大物俳優やアーティスト達が続々と出てるけど、こんな短い時間なのによく出てくれたな!と思ったくらい豪華だった。
あとは、路花の子役の子がめちゃくちゃ良かった!!
ずるいよな
岩井監督作品を劇場で観るのは初めてです。邦画で3時間近くある作品は久しぶりだな〜って感じです。原作は未読です。
これまた全然合わなかったです。何をどう伝えたかったのかが散漫でしたし、音楽映画としての良さをなぜか掻き消していましたし、絶対無くても良かったよなというシーンがこれまた盛りだくさんで、時系列もハチャメチャで観終わったあとには疲れたという感想しか出てきませんでした。
歌う事以外はあまり喋れないキリエが石巻・大阪・帯広・東京と4つの地域でどう生きてきたのかを路上ライブなどを交えて描くヒューマンドラマです。予告やあらすじの時点では路上からライブハウスなどのステージに立つために躍進するTHE・音楽映画なのかなと思って3時間観ましたが、そう簡単にはいかせてくれないと。
3.11を真っ向から描く作品と、3.11からどうやって復興していくかを描く作品がありますが、たまにそれを悲しみのバックボーンにするだけして、物語に特に活かさない作品があるんですが、今作は例に漏れずそれだったと思います。
パート的には石巻と大阪が3.11に関連のあるシーンになっているんですが、妊娠してしまった姉キリエの出産の有無と夏彦の進学やらを描くなら別に3.11を絡ませる必要性は無いと思いましたし、そこまで多くないとはいえ震災の描写を入れるなら事前に告知するべきだよなとそこんとこの管理の甘さは目につきました。
大阪のパートの先生とる花の交流シーンだけ観ると先生良い人だなという印象なんですが、それ以上もそれ以下も何も無く、ここ別に全カットでも物語上成立するよなと思ってしまいました。黒木華さんの表情や声は本当に優しくて癒されました。
イッコがあれだけ女を売りにする仕事を嫌がっていたのに結婚詐欺を生業にしたきっかけもバックボーンも描かれないので、ただのクズニートじゃんという印象が拭えませんでした。
学生時代はこの人に支えられたからこそというのが強く分かるんですが、大人になって出会ったイッコが何か一歩踏み出すきっかけを与えたかといわれると全然与えてなかったよなってところに着地しました。どうせならイッコとキリエの物語に絞って映画を作ればまだまともになったんじゃないかなと思いました。
ミュージシャンやプロデューサーの役者陣も謎に豪華なんですが、それぞれがフラッと現れては合流してあれよあれよの内に大所帯になってしまったので一体どういうポジションでそれぞれ演じているのかが完全に行方不明でした。人脈で呼べるだけ呼んでわちゃわちゃしたかったんだろうなというのが目に見えてうざったかったです。
最後の路上主義フェスのシーンなんかもうお笑いやってんのかなってくらいにはふざけ散らかしていました。そもそも許可取ってるかどうか分からない、許可証くらい自分で管理しとけよとイラッとしましたし、人集まってるから辞められないとか抜かす主催者をはっ倒したくなりましたし、もう思いっきり爆音で演奏し出しますし、警察の注意喚起と歌が混ざり合ってすごいノイズになっていました。何でこんな訳のわからないフェスをラストシーンにしてしまったのか、これが分からないです。
イッコが刺されるシーンも多分結婚詐欺で騙された人が恨みで刺したんだと思うんですが、何でたまたま路上にスタンバイしていてイッコと気づいたから襲った、というか何でナイフを携帯してるのかとか、武尊さんが4人に分裂した状態でハゲチャビンをとっ捕まえる&イッコを助ける役だけのために出演したのかとかもうツッコミどころしがないシーンでした。花束が飛び散っていくシーンも見せ場なんだとは思うんですが、もうつまらないコメディを見せられているようにしか思えませんでした。
とても個人的な意見になってしまうのですが、アイナ・ジ・エンドの歌はBiSHの中での変化としては最高だったんですが、ソロともなると個性的で声もすげぇ出てるなとは思うんですが、映画としての役や立ち回りにこの声は合わないなと思いました。
お世辞にも上手というよりかは個性的が際立ってしまい、叫び声がメインな時は耳を塞いでしまいましたし、る花が子供時代はとても伸びやかな歌声で歌っていたのに、大人になったらこんな個性を突き詰めてしまったんだろうと、一人二役の障害がガッツリ出ていたなと思いました。
アーティストが映画やドラマに出演する際に下着になるシーンが映った時なんかはかなりゲンナリします。原作にあったならしょうがないんですが、性行為のシーンがあるなと思った瞬間に息が詰まってしまいました。ゲス極のほな・いこかさんも作中でヌードになった時ショックだったので、ステージ上の彼女たちが強く残ってるからこそ、こういう役をやられるのはあまり嬉しくないなと思いました。こればっかりは岩井監督の性癖爆発だろうなって感じでした。ただ3.11の時に果たしてそれは必要だったのかというところを問いただしたいです。
歌唱シーンが多いのはまぁ音楽映画だもんなって事で片付けられるんですが、いかんせんカバーが多すぎるのは問題大有りだなと思いました。カバーを何回も聞かされても感動する事はありませんし、前半なんてそればっかなので飽き飽きしていましたが、いざオリジナルが始まったと思ったら同じ曲ばっかやるのでこれまた飽きます。もう少し変化を加えてくれたら良かったのにと何度も思ってしまいました。
あと粗品ことサザンカが言い出した外でのリハはどこか小さなハコを借りてやるのかと思ったら屋外であの大人数でやるなんて迷惑じゃない?と疑問に思ってしまい、きっとあれも許可取ってないでしょうし綺麗事のように描かれていましたがかなりモヤモヤしました。
強いて良かったところを挙げるとすると映像や撮り方がとても好みだったのと、子役の子の伸び伸びとした歌声とエンドロールの淡い感じは良かったです。それ以外はどこか引っかかるものが満載でした。
3時間かけて一体何を語りたかったのか、それともハナからアイナ・ジ・エンドの長長長編MVを撮りたかったのか、映画としてはまとまりのないものになっていてかなり辛かったです。監督の変態っぷりもしっかり滲み出ていて、それもあって次回作があっても観るかどうかはかなり躊躇ってしまいます。モヤモヤしたまま劇場を出たのでまだムズムズしています。ムズムズ。
鑑賞日 10/13
鑑賞時間 16:30〜19:40
座席 A-1
観る人を選ぶのはマストではありますが、11月の肌寒さのような岩井俊二文学を堪能出来る作品です。
劇場での予告編を観た時から気になっていた作品を鑑賞しました。
で、感想はと言うと…個人的には好きな作品。一連の岩井俊二作品が好きな人なら多分好きなのではないかと思いますが、正直好き嫌いは分かれそう。
アイナ・ジ・エンドさん演じるキリエに尽きる作品で映画初出演とは思えないぐらいの存在感。
キリエの純粋過ぎる透明さがキリキリと突き刺さる。
キリエが純粋過ぎて、周りの大人がなんか胡散臭くて、淀んで見えるくらいw
そんなキリエに周囲が食い物にしようと寄って集ってくるのではないかとハラハラしましたが、とりあえずセーフ! 松浦祐也さん演じる波田目に汚されなくて、ホント良かったと思う。でも、波田目もよくとどまったもんだと後から感心してしまうw
「スワロウテイル」のCharaさん演じるグリコもそうでしたが、岩井俊二監督は核となる女性の描き方が独特かつ存在感抜群に描くので物凄く印象に残るんですよね。
アイナ・ジ・エンドさんは在籍したBiSH時代には名前を知っている程度でしたが、役者さんとしても良い役者かと。ハスキーボイスも個性的で好きな役者に小松菜奈さんは森七菜を挙げているのもなんか分かります。
ただ、ちょっとセクシーショットが多い感じがしなくもないのは…サービスですかねw
他の役者さんも個性的かつ良い役者陣で結構贅沢な使い方。
黒木華さんの存在感は安定感かつ一服の清涼剤的な感じだし、イッコ演じる広瀬すずさんの派手なウイッグも結構似合っていて上品なコギャル感が素敵ですw
石井竜也さんの「北の国から」や「夜明けのスキャット」なんてなかなか聴けませんが、ただ、ロバート・キャンベルさんのあの起用は…ちょっと謎ですw
いろんな曲が歌われていて、主題歌の「キリエ・憐れみの讃歌」や劇中で歌われる「異邦人」や「さよなら」も良いんですが、個人的にはデュエットで歌った「マリーゴールド」が好きですね♪
ただ、ラストには1本に繋がるストーリーも場所と時間軸が行ったり来たりし過ぎていて、事前に多少の予備知識が無いと正直ややこしいと言うか、こんがらがる。
アイナ・ジ・エンドさんが姉のキリエと妹の路花(キリエ)の一人二役を演じるのもラストではその味と言うか、意味と意図を理解出来るんですが、ちょっと岩井俊二節が効き過ぎているし、178分と言う長尺の上映時間も観る前からは結構ハードルを上げている。
原作の小説を読むとその辺りのことが分かるかと思いますが、映画は原作未読でも成立してないとダメと考える主義なのと、未読であってもこれだけの時間を使って理解が追い付き難いのはちょっとどうかと。
結局岩井俊二文学が好きな人か、もしくはアイナ・ジ・エンドさんが好きな人なら付いていけるけど、この辺りが岩井俊二作品らしいと言えばらしい。
個人的に感じた難点はラストの音楽フェスが開催される辺りから、世界観に少し澱みと言うか、キナ臭い感じがしましたが、フェス開催の使用許可証を取得してないのには正直お粗末過ぎる。
行政や警察の融通の無さを描こうとして、純粋に歌の魅力を伝えたかったにしても、あそこまでのステージセットを組み、キッチンカーまでも手配して、使用許可証を実は取得してませんでしたって、共感は出来ないし、路上至上主義を大きく掲げても素人感丸出しで一気に冷めてしまう。
また、イッコの暴漢に襲われるのもなんか蛇足感を感じる。実家のスナックを継ぎたくない理由に「女を売り物にしたくない」は10代の女の子なら、十分過ぎる理由になるし、援助をしてくれる予定だった母親の再婚相手の援助打ち切りで大学進学がどうにもならなくなったのも分かるけど、それならその辺りをもう少し丁寧にとは言わないけど、ある程度描いていなければ、イッコが単にワガママで都会を満喫しているようにしか見えない…まあ、満喫はしてたと思えますがw
限りなくシンプルに描こうとしていても、何か足したくなり、何かしら混ぜようとするのがなんか岩井俊二監督らしいと言えばそうなんですがw
ですが、久々に岩井俊二節を味わえたし、アイナ・ジ・エンドさんの魅力を十二分に感じられたのは個人的にはかなりの収穫。
観る人を選ぶ作品ではありますが、11月の肌寒さを感じながらも上着と人の暖かさを感じる嬉しさを感じられるような岩井俊二文学を堪能出来る作品です。
【”キリエが歌は歌えるが声が出なくなった訳。”複数男女の2011年から2023年までの関係性の変遷を、忌まわしき天災を背景に描き出した音楽作品。岩井俊二監督の脚本が冴え渡る作品でもある。】
ー 2011年当時の大阪で発見された小学生の女の子イワンと、キリエ(アイナ・ジ・エンド)の関係(姉妹)や2023年になってからのキリエとイッコ(広瀬すず)の関係や、
夏彦(松村北斗)と高校生時代のまおり(その後はイッコ)との家庭教師と教え子であった関係。
脚本が上手い為、何の苦も無く頭の中に相関関係が自然に出来て、面白く鑑賞。-
◆感想
・冒頭、二人の女の子が雪の中、大の字になって大地に仰向けで寝ている。
そして、最後半、それが夏彦が家庭教師をしていたまおりと、夏彦に頼まれて友達になった彼の妹、ルカである事が分かる。
そして、まおりはその時にルカが歌ったオフコースの”さよなら”を聞いた時から彼女のファンになった事が後半に、分かるのである。
・路上ミュージシャンのキリエの前に座り”一曲歌って。”とお願いしたイッコは直ぐに”気が付いた”のだと思った。で、”マネージャーになるよ。”
■今作は、音楽を小林武史が担当した故に、アイナ・ジ・エンドの曲も含めて素晴らしい。
特にメインテーマの「キリエ・憐れみの賛歌」は、アイナ・ジ・エンドのハスキーな声で伸び上げるように歌い上げる冒頭のサビメロからの流れは名曲である。
・大震災後、夏彦がお腹に自身の子がいるフィアンセの身を案じる姿や、その後も彼女が見つからない事に長い間、心痛める姿。
だが、その後、彼に訪れた僥倖なる事。
・震災後の石巻からたった一人、大阪にやって来た小学生の女の子イワンを気遣う小学生の先生(黒木華)の善性溢れる姿も良い。
<今作は、音楽映画としても良いし、震災で傷ついた人達の再生の物語であり、年代を跨いだ”4人”の男女の物語でもあるのである。>
■その他
・客電が上がった後に、周囲の観客から”長かった!”と複数の声が上がったが、私は長いとは思わなかった。
だが、正直に書くと昨晩あるレビュアーさんに”178Mもあるよ!大丈夫か俺の膀胱‼”と泣きを入れていたのは事実である・・。
予想してたサクセスコメディじゃなかった。
すずが出てるから、絶対楽しめると思いながら着席。
予告編で、変だなって思っていた主人公のキリエが、歌えるけど喋れないって設定。納得いかなかった。だってキリエ、本名ルカは子供の頃から喋らない。でも男の子達に呼ばれて、ザリガニ釣ったりして楽しんでるし、バレエも踊れるし、歌も歌える。そんな奴が会話をしたくないなんて不自然すぎない?何故喋らなくなったかも分からなかった。
そんな女子が東京で路上歌いやってたら、イッコに声をかけられる。ん?イッコは芸能プロダクションのやり手かと思ったら素人なのにキリエのマネージャーになる。それからなんだか変な展開。とにかくイッコは髪がバンバン変わる、なんだこりゃ?あ、時間の設定が変わってんのか。ずっと過去と現代を行ったり来たり、バンバン入れ替わる。登場人物も大量。この手の演出って大の苦手なのよ。えっ!イッコは犯罪者だったの!超金持ちじゃん。最後、生きてる?死んでる?
アイナの歌、昭和の名曲をたくさんカバーしていて、自分の歌にしているのは良かったけど、自分はこの歌声嫌いだ。何より楽しみにしていた、プロを目指すキリエの努力や失敗の積み重ねのコメディが一切無し、天才だったのね。
とても長くてとても残念でした。
松村北斗を見つけた時に岩井俊二の世界にハマりそうだなと思っていたの...
松村北斗を見つけた時に岩井俊二の世界にハマりそうだなと思っていたので、夏彦には期待していました。
繊細な演技がとても良かった。
切なくて苦しくて自分を責めて赦せなくて赦せなくて…
夏彦を誰かが、Kyrieが生きる歓びや赦す存在になってくれれば…と思いました。
あなたはそんなに大きい十字架を背負わなくていいよ。
広瀬すずはもう日本映画には欠かせない存在ですね。
ただの若手可愛い枠では絶対にない。
彼女の演技好きです。
コロコロ変わる姿が可愛くて、自由奔放に生きる振りをしているイッコが切なくて…
真緒里と路加があそこで出会えて良かった。
真緒里生きててほしい。
Kyrieのアイナジエンドもすごく良かったんですが、他の方も書いてた通り一人二役がちょっとしんどかったかな…
最後の夏彦が「もう1回顔を見せて」っていって泣いたの所のために両方やらせたのかな?って思ったんですがどうなんだろう?
正直キリエ(姉)は重すぎるしちょっと怖かった。
クリスチャンのキリエ家族もきっと夏彦に不気味に映ってしまったのではないかな。
地震の場面が結構長くてしんどくなる人は多いと思うので観れない人もいるかもしれないけれど、
歌声が素晴らしくて心が震える場面が多く、多くの人に共有したい映画だと思いました。
歌
による人との結びつきによる波乱の13年間。父親を早くに亡くしたけど、幸せな家庭に育っていたのに、震災が人生を大幅に変えてしまうが、歌が色んな人を呼び、生き方に大きな影響を与えてくれます。岩井監督の悪い場面でも何故か透明感を感じる映像が凄くらしさがある感がありました。
悲しい苦しいけれど音楽が包み込む
こんなにも残酷なほど悲しくて、けど温かさもあって色々な種類の涙が溢れて、心に響きすぎて体温が上がるような映画は初めてです。それぞれの時代やシーンを行ったり来たりして感情がかなり忙しいけれど、重たい場面のあとに音楽の描写があることで上手く調和されていてなんとか心が保てるような感じでした。むしろ感情が忙しく揺さぶられる続けることこそ一つの映像体験として心に刻まれるようで、編集の絶妙さに感服します。
生きていると色々な種類の苦しみや悲しみが人の数だけあって、けれどその重さは誰にもはかれなくて、真実は本人の中にしかなくて、どこまで行っても悲しくて辛くて苦しくて希望はないのかもしれない。登場人物に思い巡らせながら、それでもその絶望の先にあるものを見つめていくこと、生きていくということを考えさせられました。決してスッキリ腑に落ちるような映画ではないのだけど、観終わった後には、余白と余韻で整理がつかない混沌とした気持ちさえも心地よくて、簡単に言葉にしてしまうのも勿体無いような大事で大切なものが心にじんわりと残ってる、そんな映画です。
この映画、音楽とアイナさんの歌声がとにかく素晴らしい。
個人的には広瀬すずさん演じるイッコ(真緒里)が不思議な魅力のある人物でハマり役。キリエ(路花)とイッコ(真緒里)2人のシーンは、どのシーンもどこか儚くて、でも可愛らしくて魅力的で、音楽と同様にこの映画の醍醐味かなと思います。
夏彦を演じた松村北斗さんは、希と出会った頃の精神的な幼さや危うさ弱さも、罪悪感や後悔などを背負い続け葛藤し続けるさまも、彼の表情セリフ回し一つ一つに夏彦という人物が透けて見えてくるようで、人の弱い部分生々しい部分を繊細に演じられていて素晴らしかったです。特に異邦人のシーンは、あの表情だけで夏彦という人物が見えてきて、ある意味ものすごい衝撃が走りました。
それから路花を演じた矢山花さん、なんだかすごい子を発見してしまったような感覚。自然に溶け込むように物語の中に存在していて、歌も上手で、とてもナチュラルなお芝居。彼女演じる路花が、教会で目に涙を浮かべたシーンは忘れられません。
震災の描写は想像以上で被災者ではない自分でも相当なダメージで、思った以上にリアルできつい描写がずっしりと体に心に響いて残ります。それだけではなく色々な意味で1度観てしまったからこそ、2回目以降の方が観る覚悟がいる作品だと思います。けれどそのきつさ重たさなくしてはきっとこの物語は成立しなくて、それでも映画の余韻の中で「キリエ憐れみの讃歌」が全てを包み込んでくれるような気がしています。
お家芸の「一人二役」が裏目に出てしまったとしか思えない
泣いているような、絞り出しているようなアイナ・ジ・エンドの歌は、確かに心に響いてくる。彼女の歌唱シーンこそ、この映画の目玉であると言えるだろう。
その一方で、ストーリーはといえば、同時並行で描かれる異なる時代と場所での物語には引き込まれるものの、結局、3時間もかけて何を描きたかったのだろうか?という疑問が残る。
そもそも、主要な登場人物達のキャラクターが、最後まで把握できない。
アイナ演じる路花は、震災で自分だけが生き残ったことに後ろめたさを感じ、贖罪の気持ちから姉の名であるキリエ(希)と名乗っているのだろうが、それにしては、ただ歌手としてデビューしたがっている女性にしか見えない。
村松北斗演じる夏彦にしても、本当に希を愛していたのか、それとも「できちゃった婚」から逃げ出そうとしていたのかが分からなかった。
黒木華演じる風美については、路花を救い、寄り添う姿に菩薩のような慈愛が感じられるのだが、その背景が描かれないため、単なる「善い人」で終わってしまっている。それどころか、ストーリー上、この大阪のパートは、丸々なくてもよかったのではないかと思ってしまった。
広瀬すず演じるイッコ(真緒里)に至っては、スナックを継ぐことを嫌がっていたのに、それ以上に「女」を武器にする結婚詐欺を働くというのは、いくら大学進学に挫折したからといっても、一貫性が無さ過ぎるのではないか?それ以前に、帯広で知り合いだった真緒里と路花が東京で出逢うという偶然は、通常ではあり得ないし、その一方で、夏彦が東京に出てきても、イッコ(真緒里)と再会することはない。
こうしたご都合主義や不自然さを排するためにも、真緒里とイッコは別々の人物にして、違う女優が演じた方がよかったのではないかと思う。
似たような思いは、アイナが一人二役て演じた希と路花という姉妹についても抱いてしまう。
アイナのキャラクターは、心に傷を負って声を失い、歌でしか自分を表現できない路花のイメージにこそピタリとはまっているのだが、普通の高校生である希のイメージからは乖離しているように感じるのである。それどころか、粘着質の希に迫られる夏彦が、なんだか気の毒にさえ思えてしまう。ここは、やはり、姉妹のそれぞれを違う女優が演じた方がよかったのではないだろうか?
「一人二役」は岩井俊二監督のお家芸だが、残念ながら、本作では裏目に出てしまったとしか思えない。
キリエとKyrie。
歌う事でしか言葉を発っさないシンガーソングライターKyrieの話。
震災で家族を失ってしまった路花(Kyrie)、小学生の頃、男性路上ミュージシャンへ出会った事がきっかけでシンガーソングライターの道へ…過去の震災や家族を失ってしまった事で言葉を話さなくなってしまった路花、姉キリエの名前を使い歌で想いを届けるKyrieのストーリー。
シンガーソングライターKyrieが路上から始まりプロへみたいな話かな何て軽く思ってたんだけど本作観たら以外と話のストーリーは重めな感じ。
「キリエのうた」ってタイトルだけあって路花、キリエがやはりメイン、個人的には広瀬すずさんが目当てだったんで彼女をもう少し観てたかった(笑)
姉キリエの彼氏(夏彦)役、松村北斗さんも何か優しさと寂しさ悲しげを纏った感じの役だったんだけどよかったね。
Kyrie役のアイナ・ジ・エンドさんの歌の上手さは本物!歌ってくれる度彼女の歌声で涙。
震災絡みで悲しい過去、路花のい何処は転々としてて何か可哀想だったけど作品として面白かったです。
キリエ、魂の歌
人生最速の3時間。
エンドロールが流れはじめると、もっと見たい!終わらないで!と切実に思いました。
フィアンセを失った夏彦と自分の居場所を見つけられないイッコ、そして家族を亡くした路花。
それぞれの喪失と再生の物語、なんて陳腐な言葉では到底言い表せられないほど、
圧倒的。
路花がキリエとなって祈るように慈しむように歌う姿を見る度に、切なさで胸が苦しくなるような感覚で、泣いてしまう。魂の叫びを感じる。心が震える。
彼女の歌には、彼女自身が家族を亡くした苦しみだけでなく、夏彦の後悔と哀しみ、母や祖母らと同じように女性性を売りにする生き方からの脱却を目指したのに結婚詐欺師に身を落としたイッコの喪失感などいろんな人の想いをすべて汲んだ歌に聴こえる。
それも、それぞれが抱える想い丁寧に描かれているからこそ、キリエの歌に力が宿っていると感じる。物語性が最大限に音楽性の持つ力を引き出しているし、その逆もまた然り。
映画と音楽が補完し高め合い、唯一無二の次元に到達している。これは岩井俊二監督だからこそ成し得た作品。
キリエが新たに出会った仲間たちと野外でテスト演奏を幸せそうにしている時に、北村有起哉演じるプロデューサーが「永遠には続かないよ、そんな時間は」と言っていたけれども、この映画ではそれぞれが暗い過去から明るい未来へ歩きはじめる物語を切り取って描いていると思う。少年少女が大人になって輝き出す瞬間を。
その脆くてすぐに壊れそうな彼ら彼女たちが何かを乗り越えて羽ばたく姿を描くのが抜群にうまい。
「止まない雨はない」の言葉通り辛く苦しい時もいつかは終わるように、楽しい時間がずっと続くこともない。
私たちはみんなそれを知っている。分かっている。だからこそ共感する。
ラストで、イッコが「夢から醒めてしまったんだよ」というシーンは明るい未来へ進み出したキリエや夏彦とは対照的で、目の前の広大な海も相まって死を連想する。
そんな彼女に対しても、キリエの歌は同じように優しかった。
岩井監督らしさ
岩井監督らしさ、はわからないけど、
学校の雰囲気や小学生の描き方、
黒木華ちゃんの先生、
すごい良かった。
アイナジエンドが好きで見た。
期待を裏切らない歌声で何度も(なぜか)
泣けた。
もっといろんな曲が聴きたかったな〜。
ずーっと聴いていたい歌声。
虹郎くんもすごい光ってた。
地震のシーンと、レイプ未遂のシーンは
結構抉られた。
内容は、『なぜ?』『どうなったの?』
ばかり。
小学生の子供が1人で大阪まで行くことある?
その間ご飯とかどうしてたの?
たくさん家族や親戚いたけど
どうなったの?そもそもなんで生き残った??
野宿してるにしては綺麗すぎな?などなど、、。
YouTubeやってるなら黒木華先生にも
再会して欲しかったな〜
あと、1番は
江口さんとかキャンベルさんとか粗品
起用するなら!
キリエちゃん(姉)を
きちんとキャスティングして欲しかった!!!
原作知らんけど、実は娘でした。とかならまだ納得できたけども。あれじゃ双子やん。
せめて、せめて髪型変えてほしかった、、
それと、広瀬すずちゃん、
イッコさんってキャラ?年齢?にしては
幼く見えてしまうというか、、
詐欺師にしては色気がないというか、、
ミステリアスさや陰がないというか、、、
厚みがない。(芝居ではなく人間的に)
人生で辛かった過去や負ってる物、無いでしょ?って思ってしまう、、、
(水は海に向かって〜を最近みたので、
榊さんにしかみえない同じ芝居、
プロデューサーはお盆投げられた人だし混乱)
彼女は岩井監督らしさは感じなかった。
逆境を生きる
感想
岩井俊二節が炸裂した見応えのある青春群像劇作品で楽しめた。
震災被災で孤立した少女(キリエ)の心の成長潭として充分に満足できた。キリエの天真爛漫さと圧倒的な歌唱力に引き込まれたあっという間の3時間だった。
個人的には、義理の兄⁈的ポジションの夏彦の視点の物語に最も共感して観ていたので、夏彦がキリエに謝って泣く場面が最も感動した。
岩井作品ならではの画面の綺麗なショットはどれも美しくて、呑み込まれた。
アイナ・ジ・エンドという才能
岩井俊二監督が久々に音楽映画をつくるということで期待をして観たが、期待以上だった。
なんと言っても主演のアイナ・ジ・エンドの歌声。
彼女の声は独特なハスキーボイスで、もしかしたら万人受けはしない歌声かもしれない。
しかし、時に語りかけるように、時に叫ぶように歌う彼女の歌声は私の琴線に触れ、何度か目に涙が滲んだ。
音楽で心が震えると言うのはこういう事なのだと久々に実感することができた。
岩井監督はChara、Salyuに続く新たな才能を見つけたのだろう。
彼女はほぼ初演技とのことだが、話せない役柄もあってか演技力に申し分はなかった。
他の主要キャストも広瀬すず、松村北斗、黒木華と言った実力のある若い俳優だったが、
中でも幼少期のルカを演じた矢山花という子役がまた良い味を出しており、教会で次第に目に涙を滲ませ、一筋の涙を流すシーンは秀逸。
映像美や、全てを語らず観客の想像を駆り立てるあたりもさすがの岩井作品。
3時間という長尺映画ではあったが、盛り込まれた音楽の多さとストーリーの重厚さを考えたら納得である。
岩井俊二真骨頂、
きれいな画、雰囲気が堪能できます。でもな、何で古臭い邦画の不条理エンドにしちゃうかなあ?ネカフェや電車で夜を明かすエンドロールは悪くなかったですが、震災のくだりは乱暴過ぎませんかね?
広瀬すずはイイ役でした、JKにも見える見える。
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