劇場公開日 2023年10月13日

「優しい雰囲気の映画」キリエのうた alvoさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5優しい雰囲気の映画

2023年11月16日
iPhoneアプリから投稿

若者の自由を阻害する、規則で動く大人たち
自由を求めた結果失敗して堕ちていく若者たち
自分勝手に行動する人、人に翻弄される人

周りの嫌な人たちをやや過剰に悪く描いて、そんな中周りからは理解されないものの自分を見失わず生きてきたルカを優しく包む物語。
しょっちゅう時勢が変わるから混乱しそうと思ったけど、意外と飽きずに展開してすんなり世界にはまれた。

東北震災が急に出てきて一瞬、映画の趣旨変わっちゃった?と思ったし、災害が安易に扱われてないか構えてしまう。でもなんであれリアルに思い出すという意味はやはりあるんだなと納得。その時のキリエの言動は奇怪だけれど。

元は村上虹郎見たくてチェックしてたけど出番は少なく、松村北斗の演技初めて良いと思った。暗くて弱い役柄がすごく上手い。
広瀬すずはあの七色ウィッグどれでも似合うってどういうこと?奔放キャラ素敵でした。
そしてアイナの歌声はやっぱり唯一無二であり、好きかどうかはともかくここまでのインパクト出せる歌手は他にはいないんだろうな。。あれで路上生活ってあり得るんか。

親の都合で進路を変えられ、自分で軌道修正できなかったイッコ、規則で子どもの気持ちも考えず連れ去る役人たち(多分子どもにたかる大人の悪意も見てるんだろう)、それに何も言えないトラウマを抱えたなっちゃん、腹いせでキリエを襲うおっさん、みんな胸糞悪いけど、珍しいケースでもなく、環境によっては自分だって翻弄されてた側なんだろうなと思える。でもこういうのが映画として成り立つということは、日本ではまだまだ中流以上で平和に生きていられる人が多いということなのかな。

alvo