「好きなテイストだったのに」キリエのうた みっぴーさんの映画レビュー(感想・評価)
好きなテイストだったのに
広瀬すずと松村北斗が美しくてスクリーン向けの俳優だと認識。黒木華もそうだけど、繊細で透明感があるのは稀有な存在なので、この3人のお芝居はもっと見たいです。現在と過去を行き交うのも、アイナさんのキリエ憐れみの讃歌も良かった。178分も長いと思わず、イッコの過去に何があったのか、夏彦や風美は幸せになったのかもっと知りたいと思わせてくれるストーリー。
ただ、希と夏彦の恋愛パートは純愛だと思っていたので、神社で夏彦に迫る希の声がヘビが絡みつくような感じがしてホラー映画並みに怖かった。
家庭教師がいる間クローゼットに隠れてる、シャワーを浴びてたと下着姿で夏彦に電話する。女をアピールする希に嫌悪。(パンフに2人がハグしている写真があるが希は笑顔なく全然幸せそうじゃないし。お金持ちのイケメン男子を身体で落としたようにしか見えなかった)
高校生で妊娠したのに、母娘で将来の心配をする訳でもなくフィアンセと言いたい浮かれ具合。希の家に行った時の夏彦の絶望と諦めと生真面目な表情が印象的だった。一人苦しむ夏彦がキリエに泣いて懺悔する姿を見て、呪縛が解けて良かった、夏彦幸せになってねの感想しか浮かばなかった。
希に嫌悪感を抱いてしまったので、同じ顔のキリエにも嫌悪感が。ひたすらキリエ、これはキリエと頭の中で訂正。キリエは希と違い、生計を立てようと必死に生きているし、でも、上手くいかなくてカプセルホテルでギターを弾く姿はリアルで凄く良かった。
人生は選択の連続で流されず自分の意思で生きろ、だけど頑張っても思い通りにはいかないのも人生だよ、とメッセージを感じて私は凄く好きだった。だからこそ、濡れ場も暴行シーンも不要。(これらを削り、どうしてマオリがイッコになったのかを見せて欲しかった)
あれらの気持ち悪いシーンが無ければ友達や子供を連れてリピートしたし、みんなにお薦め出来たのに残念です。