「推し主演だがワースト1位。何が"一瞬の178分"だよ。」キリエのうた わんわんさんの映画レビュー(感想・評価)
推し主演だがワースト1位。何が"一瞬の178分"だよ。
何が"一瞬の178分"だよ。アホか。
一言で【アイナの無駄遣い】です。
『キリエのうた』がどんな作品かというと、「雰囲気」を撮りたいだけの中身のない臭いイメージビデオです。
アイナのファンという理由で観にいきました。Kyrie(路花)の歌や曲はすごく胸に響いてずっと歌声が頭から離れないくらい魅了されました。
しかし歌唱シーン以外は内容的に受け付けないものでした。全体的に不必要なシーンのオンパレード。正直ここまで目を背けたくなるようなセンシティブなシーンが多いと思わず、上演中は「つまらない」終演後は「疲れた」こんな感情を抱いてしまいました。
大体路花は「歌うことでしか“声”が出せない」と公式サイトで紹介されているのに実際は「声は出にくいが言葉を話せる」ことになっていて拍子抜け。会話ができない設定はストーリーに不都合だから無かったことにしたんですか?
それを上手く表現する覚悟がないなら設定に盛り込むな。表現できないくせにキャラ設定を雰囲気作りのためだけに使うな。あまりの無責任さ・登場人物への愛のなさに監督に強い嫌悪感を覚えました。
未遂に終わったもののレイプシーンはトラウマ級。路花の台詞がこれまた気持ち悪く「お願いします」「じゃあいただきます」のやり取りは吐き気がするほど気色悪い。
「受け入れたら全部許してくれるんですか?じゃあ好きにしてください」っていつの時代の女性像なんだよ。昭和のAVみたいで気持ち悪い。
地震の起こったシーンもなぜ下着姿にしたのか未だに謎です。
不必要に脱がせて楽しかったですか?職権乱用おじさんの個人的欲求が満たされましたか?
さらに年齢制限設けない生々しい濡れ場の表現にはドン引き。性的表現や震災などセンシティブなシーンを多用するわりには色んな人への配慮がない。
綺麗な部分だけPRしてなるべくたくさん人を入れて興行収入が伸びればそれでいいもんね。
でも人間として誰かのトラウマやフラッシュバックになりえる表現を注意喚起や年齢制限なしに軽率に扱うもんじゃない。
繊細な問題を「雰囲気作り」だけに使うから安っぽいし響かない。
映像がスローモーションになって"ボーン"と鈍く低い音を出す演出や場面ごとに急に音量を爆音にする演出がわざとらしくて大嫌い。
技術任せで感情を煽ろうとするな。台詞やストーリーで感動させてみろよ。
ラストにかけての路上主義フェスのシーンはいい大人が集まってるのに使用許可証が見せられないだの、中止を求められてもこんなに集まってるのに今更やめられないだの「警察を無視して強行突破する俺ら!音楽の力すげえだろ!行政までもひれ伏してやったぜ!」と言わんばかりの10代の青春映画じゃないと見ていられない恥ずかしい内容でした。幼稚すぎて見てられない。
ファンタジーでもないあの繊細な空気感のなか「えー!ありえないでしょ!」と突っ込まざるを得ないシーンや台詞が多々あって自ら世界観ぶち壊していているように感じました。
震災中にのんきな恋愛モードの希やカフェでのアカペラやネカフェでの弾き語りなど思い出すとキリがないほど。
明らかに浮くであろう粗品や武尊をだすのは「俺の人脈すごいだろ?こんな意外な人出しちゃう俺おもしろいだろ?」って見せつけたいだけ。「岩井俊二ってすごい!」って言われたいだけ。
結局アイナも「俺が見つけた!俺が世に出したんだ!」って自慢したいおっさんの承認欲求に利用されただけ。
ファンだからと言って作品を肯定する気にもならないしわかった気になりたくない。
ファンとしては岩井俊二にだけは見つからないでほしかったなと思った。推しが主演だろうがなんだろうが今まで見た映画のなかでも圧倒的ワースト1位の駄作です。
結局は真心のこもっていない、紛い物・作り物止まりだから感情が1mmも動かされなかった。
同情を誘うような事柄を見せ物みたいに中途半端に小出しにしてなんとかストーリーとして機能させようとする無理やり感は違和感として見逃せない。
すべての事柄が「撮りたい雰囲気」に漕ぎ着けるための後付けだからふわふわしていて内容がない。薄っぺらくだらだらとした間延び映像は拷問でした。
さらに映像の空気感に馴染まない台詞ばかりで気持ち悪い違和感が3時間ずっと付きまとってきます。
物語と呼べるほどの起承転結もなく結末を放棄した岩井俊二は無責任。
聞こえのいい「結末は想像してください系」に逃げただけ。
承認欲求だけは人一倍強い、拗らせ自己愛おじさんの3時間にも及ぶ自己満作品。