「らしい映画。」キリエのうた ふちさんの映画レビュー(感想・評価)
らしい映画。
良く言えば日本映画らしい。明確なオチがあるというより、他の世界線でキリエたちが暮らしているような、皆がなにかの形で幸せに(といっても幸せの形は色々でしょうが)過ごしているんだろうと思う内容でした。私は好きでした。
原作未読ですが、少し事前情報を得ていたのでスムーズに理解出来ました。ルカとキリエの二役、イッコの本名など。
松村北斗目当てで見ました。夏彦の心情、弱く、脆い青年の趣を表現してました。(電話のシーンはよく見る松村北斗にしか見えませんでしたがそれはそれで良かったです)横顔の儚さは素晴らしかった。キリエ(ルカ)を前にして泣き出したシーンは切なくなりました。
全編通してアイナさんのMVのように感じましたが、震災やイッコの心情など、色々な物を絡めてありラストの演奏は広瀬すずさんの刺されたシーンを引き立てて美しかった。
広瀬すずさんの美しさと松村北斗さんの儚さ、弱さ、アイナさんの力強い歌声が合わさって人の心を揺さぶる作品になったと思いたいが、割りと見る人を選ぶ作品になってます。歌唱曲の年代やラストのフェスの乱闘(あまり乱れてはないですが)は学生運動のような夢追い人とその他の気持ちを表してますが、今の若い人にはそこまで入れ込めないかもと…。むしろ30代以降の大人の方が感情が入りやすいです。夢を追いかけたけど、妥協したり。夢を夢のまま過ごした経験があれば、スッと胸に落ちる感覚がありそうです。将来を見据えるわけではなく、今を楽しむキリエの姿と歌を感じられると思います。
アイナさんの特徴的な歌声を存分に大音響で楽しめるので、ファンの方はぜひ。
いい松村北斗が見れて良かった。
余談ですが、キリエは「讃歌」や「祈り」の意味を持ち、ルカはキリスト教を説く弟子の一人です。ルカが姉のキリエを名乗ったのは、讃歌として歌う、キリエを忘れないよう伝えていくためかなと思いますが、親はキリスト教信仰者とはいえ、何故姉にキリエと名付けたのでしょうか?名前の意味の姉妹差が大きい気が…そこだけが辻褄が合わない気がして疑問です。