劇場公開日 2023年10月13日

「歌の価値」キリエのうた たけ(c)さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0歌の価値

2023年10月15日
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例えば映画が面白い面白く無いだけで評価されがちみたいに、歌の評価も上手い下手の基準だけだと思われがちですよね。
アイナジエンドの歌も確かに上手いんだけど、上手い歌。それが彼女の歌の価値なんでしょうか?
ほら、今作ラスト近くのライブシーン、権力との対峙構図になって、ロックライブのように描かれるじゃないですか。
でも彼女の意思にはそんな物も無くただ歌いたいから歌う。
思い返せばファーストシーンの路上から彼女は歌しか歌えないから歌っているんです、特にシンガーを夢見てる訳でも無く、怒りをぶつけてる訳でも無い。
ても描かれた彼女の人生を思えば怒りや悲しみを歌に表現しても不思議じゃ無いのに。
彼女は歌う事しか出来ない、言葉の代わりに歌う。
たぶんラストシーンライブの彼女は自覚の無い怒りや悲しみを歌に乗せているんだろうな。
そしてこの映画の登場人物って全員いい奴なんだけど、全員少しづつズルいんだよね、なんか俺らに似てるんだわ、ちょっとズルい所が。
そんな俺らが彼女の歌にちょっと救われ、彼女をちょっと助けたくなる。
歌の価値ってそれなんだと思う、別に俺たちは世界一上手い歌を聴きたくてそれを探してるんじゃ無いからさ。

永田製麺
永田製麺さんのコメント
2023年10月16日

たぶんコレ神の物語だったんだわ、だから彼女の歌を聴いた人達は少しだけど心が救われたんだ。
調べたらキリエって名前にはキリストの意味が有った、たぶんショーシャンクと同じ事を描いてる。
これも俺の想像だけど、アイナジエンドへの当て書きみたいに脚本進めたけどあの歌声を形容するのに神としか解釈出来なくなったんじゃ無い?岩井監督。

永田製麺