PERFECT DAYSのレビュー・感想・評価
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繰り返される日常<リアル>とそこから抜け出せない現実<リアリズム>
率直な感想としては、久々に「映画的な映画」と感じる映画であった。
その理由としては、もっとも多くを占めているのは、この映画がストーリーを伝えようとしているのではなく「生きる」ことや「現実」というものを表現しようとしていたからと感じる。
昨今の多くの作品においては観客を飽きさせないようにさまざまな仕掛けが脚本に敷かれていてそれはそれで楽しめるしむしろ映画はそうでなくちゃ観てられない。一方でこの作品はそういう作品とは異なり、「生きる」こととはどういうことなのかを作品全体で観客に問いかけてくる。
映画を観る前に監督が小津監督のファンであるという噂を聞いたが、作品を見て彼がこの作品に小津監督のエッセンスを入れてきたことがよくわかった。小津監督は映画ファンの方は既にご存知とは思うが徹底したリアリズムを描き1950年代を代表する映画監督だ。
彼の代表作「東京物語」で描かれた「リアリズム」とは、「日常は繰り返しながら、少しずつ変化していく」というものであった。本作でも、同じシーンが繰り返し登場し、セリフもまた繰り返し話されることが見受けられる。小津的なリアリズムのエッセンスを入れながらこの主人公にヴェンダース監督は何を託したのか。
主人公に焦点を当てると、彼(役所さん)は光の当たらない職業(=人目にあまりつかないトイレ掃除という職業)で、繰り返される毎日をただただ生きていた。その中で光の当たらない存在やちょっとした木漏れ日を探すのが彼の趣味もしくは幸せであった。
ここからは私自身が感じた感想であるが、ヴェンダース監督は「生きる」ことは喜び(光/希望)であり悲しみ(影/絶望)であり、抜け出せない日々にそれらの感情が同居していることなのではないかと観客あるいは私に問いかけているようであった。
冒頭で「映画的な映画」であると感じた理由は「生きる」という抽象的な概念に対して映像的アプローチで感情に訴えようとした挑戦が非常に映画的であったと感じさせたためではないか。
何にもないがあるんだね
退屈なようで色んな事が起きている。 孤独なようで、全く孤立はしていない。 つまらないようで、木洩れ日を幸せに見つめる。
大方の人生ってこんな感じですよね。 平山さん自身のここまでの人生も決して平らな山ではなかったはず。
主人公が観る者それぞれの人生に寄り添って泣き笑いしてくれた気がして、画面がエンドロールに変わってからしみじみ泣けて来た。
ミニマリストが何だか泣く、だけ。
まず地味。
で、無臭無毒が達成されたかの東京(んなわけない)でミニマリストが何だか泣く、だけな一本。
アートなトイレと行儀の良い美男美女。
外国人巨匠に東京をちゃんと見せたのか?
同業でソレまみれの「せかいのおきく」を想う。
評判の主役好演も宙に浮く。
尤もらしいが。
役所さんの表情と流れる音楽に酔えた
なぜだろう、引きこまれていった。
誠実に仕事をして、着実にやるべきことをやる。自分の中のルーティンが決まっている、華やかではないが楽しみは持っている。誰とも比較しない生き方に興味がわいた。
静かに流れる時を最小限のセリフで表現している。観客に考える間を持たせているのか、一方的になっていないのが、それもよかった。
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数日後に妻と2度目の鑑賞。
それでも新たな発見や二人で観たことによって、感動が深まった。
アカデミー賞の日本代表推薦ということで、3月が楽しみだ。
手袋しようよ
粗ばかり気になった
スカイツリーが間近に見えるアパートで一人暮らし。マイカーで首都高使って渋谷まで通勤。
電車じゃないの?駐車場代馬鹿にならないんじゃ?あと、アパートの各部屋はメゾネット式っぽいけど、外階段は何?
トイレ掃除、素手でゴミを拾ったりしているけど手袋しようよ。
お姉さんやお父さんとの関係は?
お姉さんはなんか凄く金持ちそう。お父さんとはなにがあった?
なんでトイレ掃除の仕事してるの?
とか色々粗ばかり気になる。
作品内の事は作品内で解決してほしい人にとってはもやもやするかも。
何気ない東京の映像は目に優しいし、挿入歌も聴いていて心地よかった。
柄本時生のクズっぷりと田中泯の憑依は好き。
柄本の耳たぶが大好きな少年は柄本をまた探し当てるんだろうか?
完璧な日々とは
主人公の感性、生き方はパーフェクトなのかもしれないと思わされた。
現代は、煩わしいことが多い中、生きてくためにあくせくと動いているが、それが果たしてパーフェクトかというと違う。
じゃあ、お金があって生きたいように生きていることがパーフェクトかというと長期的に見ればそこには摩擦もなく生きがいが感じられない。
主人公は、固執することなく全てと調和しながら人生を歩んでおり、その中で喜怒哀楽しながら生きている。
そして、平和がある。今の時代にこそ、思い出すべき生き方なのかもしれない。
良い映画でしたよ
好きなこと、得意なことだけを重ねてきたトイレ掃除のおじさんは、側から見れば不潔だろう。
おおよそ人が好んでやる仕事ではないと現実と同じ視線がフィルム上で垣間見える。
哀れみや、諦観や、様々な負を抱えているのはしかしどうして周りばかりで当の本人は幸せそうだ。
それなりの浮き沈みはあるが、それでもまた日常へ落ち着いていく。
こんな暮らしがしたいなぁと嘆息しながらもまた私たちもそれぞれの日常へ戻っていく。
生きることはルーティン
この映画は絶対観ると決めていた。封切当日に映画館に行くつもりだったが、あいにく病院での検査と重なってしまい2日後になった。
何も変わらないのがイイ。生活はそういうもの。同じことの繰り返し。たまに変化があるから楽しい。如実にそれを表現していた。カーステでかけるカセットテープの音楽が日々違うのがまたイイ。ほとんど知らない曲ばかり。でも、映像を彩っていた。
スマホもない、テレビもない。こんな生活だからこそ見えてくるものがあることを教えてくれた。
数日後、小津安二郎の「秋刀魚の味」を観たが、ヴェンダース監督の目線に納得できた。
大好きな映画です
予告編を見た時から素敵な映画だろうなと楽しみにしていました。早速見に行くと期待を裏切らない出来で嬉しくなりました。パリで見たのですがフランス人の観客にも評論家にも評判がよかったようです。
平山の様な生き方は誰にでも出来るものではありませんが、こんな生き方が出来れば幸せになれるのかなと思いました。
俳優が皆それぞれ素晴らしいのですが私は三浦友和が特に好きでした。役所広司と交わす言葉が印象的で登場場面はわずかですが心に残る役でした。この映画でファンになりました。
Wim Wenders監督が撮影した日本や日本人は素朴で心優しくて穏やかでしかし情感たっぷりで嬉しくなりました。この映画は、昔々あるところに、、、的な話かもしれないですね。
カセットテープやガラケーがちょっと懐かしかったです。でもこういう東京が残っているのなら東京も捨てたものじゃないと思えました。
10のうち9ぐらいかな。
(音楽はヴィムの趣向性だと信じたい)いたって日本の映画だったので、なんだかホッとした。そもそも小津派だけに馴染みは良いのだろうけど。
印象的なシーンや台詞が散りばめられていて、毎日の平凡で単調な日々に訪れる喜怒哀楽を誘発する出来事に反応する役所広司の演技がちょうど良く、観ている側にもその感情が伝播してくる。家のテレビやスマホではなくて劇場で観たい日本映画としてオススメしたい。
追記
トイレは掃除する人のこともそうだけど、次に使う人のためにも綺麗に使いたい。
さっぱりわからない
湯川先生ばりにつぶやきたくなる。
だが、論理的展開はこれっぽっちもなく、
ゲージツなので私には永遠に読み解けまい。
いろいろ匂わせてちりばめるが、全く回収しない。
私と相性最悪のフランス映画を想起させられる。
きっとヨーロッパ辺りのゲージツ的映画祭では高評価なのだろう。
それとも興味がないから知らないが、既に何かもらってる?
正月映画がアニメだらけなので消去法で選んだが、
アーニャでも観た方が微笑ましい分だけ数段ましだったろう。
妻も珍しくちょっと寝たそう。
ゲージツを理解しない馬鹿夫婦にはハードルが高すぎる作品だった。
おそらく人生最悪の映画観賞初め。
最後の一滴までベンダース
シンプルな中に大切なものが
いっぱい詰まっている。
ゆったりとした時間が流れる
ベンダース監督作品。良い映画
はあとで考えさせられます。
最後の字幕ロールで帰った人
ちょっと損しますよ^ ^。
神の視座
私は無宗教ですが、神様がいるとしたら、こんな人間(平山)に、一番に微笑ましさを感じているだろうと感じる映画でした。自分は絶対にこんな生き方はできないなあと思いつつも、平山の生き方に共感してしまうのは、人間の根底に息づく「何か」に触れるせいかも?だからベンダース監督の視座を「神」と表現しました。それにしても映画監督ってすごい。
監督のインタビューで、平山の人物描写のヒントとしてレナード・コーエンがあった、と知りました。レナード好きな私はここにも感動。・・・・と、取り留めのない感想ですみません。辛いこと多い世の中ですが、生きていくのがまた少し楽しみに変わりました。
PERFECT WORLD
役所さんが好きで 見た訳ではありません
カンヌ国際映画祭で賞を貰い話題に
なったので見ました
ドライブマイカーと同じプロダクションというのも 興味を持ちました
テレビも無くカセットテープ フィルムカメラ 昭和の時代を彷彿させるアナログ生活
毎日決まった繰り返しのなかに
喜びを見出だす
トイレの掃除は 一見嫌がる仕事の
様に思う事を 一生懸命するのに
なぜか共感を 持ちました
極力台詞を廃止た彼の演技力が
素晴らしいと
もう一度見たくなる作品です
ひとりだけど、ひとりじゃない
何も起こらないんだけど涙が止まらない。
確かに質素な日常の中にささやかな幸福を見つけるというテーマはあるけど、自分は違うところに心ひかれた。
平山は孤独なんだけど、孤独じゃない。
決して世捨て人じゃなくて、無口な性格ながらも世界に開かれてる。
飲み屋のおっちゃんとか、子供とか、〇×ゲームとか、木漏れ日とか。
大都会の片隅で、ひとり世界に開かれてる。
なんかね、尊いのよ。
平山と同じ境遇だったら人を恨んだり、羨んだりとか
その人の性格によってはあると思うんだけど、
平山はぜんぜんそういうところがない。
自分ももっと世界に開かれていたいと思った。
表現の仕方として、音楽とか映像とか芸術度が高くて、
かつ作品として心に訴えてくるところが多くて、
巨匠の面目躍如といった感じ。
過去作の「パリ・テキサス」と「ベルリン天使の詩」を久しぶりに見返してみよう。
鑑賞動機:カンヌ7割、役所さん3割
2024年1本目。
何も起こらない変わらない日々のようでいて、全く同じ日常というわけでもなく、役所さんだから成立した映画の気がする。
『11の物語』にまんまと食いついてしまった。カタツムリのイメージが強かったけど、すっぽんもあったのか。ヴィクターみたいになるってもう脅迫ですよそれ。
いろんなとこに色んな人が出てたみたいで、イヌコさんは声ですぐわかったけど、えっ、写真屋の店主柴田元幸ってあの柴田元幸?!
良くぞ外国人監督が
こんな日本的映画撮れましたね。
ビム・ベンダースの日本愛(小津愛?)がヒシヒシと伝わって来ました。
主人公の背景なども間接的に色々と匂わせて上手いなあと思いました。
日本のトイレ文化が世界に広まって行くといいですね。
まさに「完璧な一日」、ヴィムヴェンダースの小津的日本。
いつもと同じように起きて歯を磨く
いつもと同じように缶コーヒーを買う
いつもと同じようにトイレ掃除する
いつもと同じように焼酎を飲んで帰る
ああ、なんて完璧な一日だろう、とルーリードが歌ってる
ヴィムヴェンダースは健在、
誰にも描けない日本人的感覚で私たち日本人に「何が完璧か」を教えてくれた
とにかく東京がすばらしくうつくしい街だと思わせてくれる光の描き方
役所広司の台詞の少なさと佇まいは「すばらしき世界」同様眼を取られる、彼の存在感は他の俳優とは一線を画しこの圧倒的「役」の人となり言葉少ない彼の気持ちを知りたいと思いながらその映画の時間を過ごす。
そう「ベルリン・天使の詩」では天使の視線で街を俯瞰し、
「パリテキサス」では日常を捨てたハリーディーンスタントンが荒野を彷徨い人としてロサンゼルスを傍観し、
この映画では役所広司が東京を。
ああ、「まさに完璧な一日」、
良い映画を観た。
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