「淡々と生きることが最高の幸せである!」PERFECT DAYS 三輪さんの映画レビュー(感想・評価)
淡々と生きることが最高の幸せである!
この映画の極論は、人生は100%完璧で幸福だということでしょうか。つまり今が不幸せだから足りないものを求めて希望や夢だと言って足掻くことなどに意味がなく、今生きていることの幸せを享受し淡々と生きていくのが美しくてパーフェクトな人生なのだということなのでしょう。設定ではトイレ掃除といいう職業です。職業に貴賎はありませんが、行う人にとってはある意味プライドを捨てた職業かもしれません。それをまるで宝の時間のように役所広司は淡々とやり抜いていくのです。もちろん悲しいことや辛いことがあって泣いたり苦しんだりしますが、その全てが満面の笑みに変わっていくのです。生きることの幸せは日常にしかないと高らかに歌っているようです。人生はあるがままが一番幸せなのだとつくづく思いました。劇中いろいろな金言が囁かれます。「変わっていくのが人生であり、変わらなければならない」「今と今度は違う」「木漏れ日は刹那である。一度しかないものである」。役所が木にすごい執着を持ちますが、きっと生命の不可思議を感じているのでしょうか。私は、毎日の日常の繰り返しに眠ってしまうかもしれないと危惧していましたが、最初から最後まで人間の日常を深く描く魅力に取り憑かれたようになって、あっという間に観終わった気がします。ありふれた姪との別れでさえ涙が滲んでくるのです。この作品は間違いなく多くの人の心を打つと思います。それは私たちの日常の美しさを隅々まで描いているような気がするからです。
追記 江東区、墨田区、台東区、そして隅田川の背景が心に沁みます。仕事などで何度も足を運んだ故郷のような場所です。
何度も足を運んだ故郷のような場所…作品でふたたび訪れるのは嬉しいですね。味わいのある眺めにふらりとその界隈を歩いてみたい気分になりました。
その居場所ごとに幸せを噛み締められる人と人生はやっぱり幸せだろうと思います。
>「変わっていくのが人生であり、変わらなければならない」
>「今と今度は違う」
>「木漏れ日は刹那である。一度しかないものである」
確かに!共通していますね。なるほど。。
共感ありがとうございます。
「こんどは今度、今はいまー」変な歌、普通なら聴いてられないんですが、ニコの雰囲気、役所さんの照れながらの唱和が何か良かったです。