「織里の縫製工場で働く若者たちの青春」青春 エロくそチキン2さんの映画レビュー(感想・評価)
織里の縫製工場で働く若者たちの青春
タイプが違うとはいえフレデリック・ワイズマンと並び称されるべきドキュメンタリー映画の真の巨匠、王兵(ワン・ビン)。
今作もまた破格の傑作。
上海を中心に長江の下流一帯に広がる「長江デルタ地域」。ここだけで日本のGDPをはるかに上回るという。
上海の西に位置する織里という町の小さな縫製工場で働く若者たちの労働と日常をナチュラルに記録した。
朝8時から夜11時までの過酷な労働と低い賃金。「搾取」という言葉が相応しいか。多くは地方の農村からの出稼ぎだったが稼ぐこともままならず。
ここに色々な意味での「貧しさ」が在った。
しかし溢れ出たのは悲壮感ではなくバイタリティー。
異世界だった。
自分の中で消化できない激しい違和感を覚えた。
そう、まったく知らなかった世界を提示され愕然とした。欧米や日本の企業が「安い労働力」として使う中国があった。
そして何より瑞々しい青春が在った。
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